先週発表されたアップルコンピュータの新型パソコン「iPad」。
「シンプルデザイン」な、このB5サイズのタッチパネル式パソコンはいったい世の中に何をもたらすのだろうか。
まず、サイズ。
ほぼB5サイズで13.4mmという薄さは魅力的だ。
というのも、多くの人が持ち運んでいるB5サイズのノートPCと比較しても薄く、重量も僅か700グラムということになれば、出張などへの持ち運びが快適になるということだ。
鞄の中のスペースは僅かにフラットファイル一冊分。
そしてキーボードを装備せず画面をタッチする方法。
メールの入力なども画面上に表示されたキーボード画を叩くことで対応できるうえ、基本的な操作はiPhoneと同じなので難しくない。
スティーブ・ジョブスによるデモビデオを見てもサクサク動いているので、正直、印刷版下の作成、設計、グラフィックデザインなどを除くと、この1台で全てが行なえてしまうように見える。
で、とりがら的に何が変わるかを考えてみると、何もかもが変わる可能性があると思う。
iPadに用意されているビジネスソフトはiPad版のiWorksのみらしく、MS-Officeはない。
「Officeがなくて何がビジネスだ」と言われるかも知れないが、ネット機能の高いiPadならGoogle Documentに接続することにより、その課題はほとんど解決されるだろう。
しかもGoogleDocumentのストレージ機能を使用するのでiPad本体に重いデータを保存する必要もない。
したがって忙しビジネスマンにとって出張、オフィス、自宅勤務、海外国内の違いに関わらず、特別なシステムを使用しない会社のほとんどの書類は処理できることになりそうだ。
メディアの楽しみ方も変わってしまう。
B5サイズの画面を持つiPadはテレビの見方や雑誌、書籍の読み方も変えてしまう可能性がある。
ただでさえテレビの視聴者が減っている今、視聴者としてはつまらないバラエティー番組ばかり放送している地上波テレビよりも、ネットを通じて多チャンネル、多コンテンツサイトを「手軽に」見るようになる。
デモではYou Tubeの動画が画面一杯に映し出された。
しかもHD画質で映し出された。
サイズからして居間での大画面には向かないかも知れないが、キッチン、勉強部屋、講義室、ホテル、トイレ、書斎などなどにはピッタリだ。
書籍にしても紙をめくるように操作できるiPadは、従来は操作に違和感を感じた電子書籍さえ身近かなものに変えるかも知れない。
音楽の販売がCDからネットに変わりつつあるなか、出版も印刷媒体からネットに変わるかも知れない。
印刷物という工業生産品を必要としなくなる出版界には小資本でも手軽にコンテンツを配信することができるようになるというチャンスが広がる反面、工場である印刷業界は仕事を失う可能性がある。
iPadの「シンプルデザイン」は世の中を激変させる可能性を秘めている。
恐るべき製品かもしれない。
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