政治、経済、映画、寄席、旅に風俗、なんでもありの個人的オピニオン・サイト
とりがら時事放談『コラム新喜劇』



英会話を習いはじめて16年。
習いはじめたきっかけは「キャッチセールス」だった。

初めて通った英会話スクールは大阪駅前第三ビルの2階にあった「アメリカンプラザ」という名前の英会話サロン。
大阪駅前ビルというのがすでに怪しい。

ある日、インテックス大阪で開かれていた展示会(内容は忘れた)に行って、
「すいません、海外旅行のあたるアンケートに参加しませんか」
という綺麗なコンパニオンのおねえさんがさし出したアンケート用紙に住所氏名などを書き込んだのがキャッチセールスの種になった。

当時私はとある会社で企画の仕事をやっていて、仕上げなければならないプロジェクトを大小様々に抱えていた。
もちろんメチャクチャ忙しく休みは日曜日しかなかった。
若かったこともあり忙しすぎる毎日に何か釈然としないものを感じていて嫌気が差しはじめたところにかかってきたのがこの英会話サロンを運営する会社からの電話だった。

「一度お越しいただけませんか?」
という女性の声につられたからかどうかは分らないが、大阪駅前まで出かけてこのサロンを訪問した。
で、電話の女性を期待したのだが実際に内容の説明に出て来たのは男の社員だった。
なにやらオカシイなと感じたが、仕事のしすぎで感覚が狂っていたのか、グイグイグイと営業トークに乗せられて気がついたら契約書にサインしてローン契約を結んでいた。

そう、繰り返すがここは大阪駅前ビルにあった会社。
会長が刺殺された豊田商事のあったビルだ。

2年間で200レッスン。
1レッスン90分。
30分間の個人レッスン兼カウンセリングが24回付き。
1クラス8名までの生徒で講師はすべてネイティブな「外国人」。
カリキュラムは各レベルごとの色の紙に印刷され掲示板に貼られている。
その異なるテーマ、異なる時間のクラスを自由に選べる仕組みになっていた。
テキストなし。
テストなし。
授業料は〆て80万円と少しだった。

今の私なら、
「英会話に80万?アホちゃうか」
となるところであるが当時はうぶな若手社会人。
思わずサインしてしまったのだった。

結果的に支払い金額は高額だったがそれなりの効果はあった。
まず、まったく話すことのできなかった英会話がカタコトだけだができるようになった。
そして数多くの友人ができた。
時々このブログにも登場するSさん(注意:一部の読者へ。Sさんは神経質男ショウジさんのことではありません)もその時からの親友だ。
このキャッチセールス式英会話サロンに通わなければ今の自分の生活や地位はないわけで、そういう意味では「価値のあったキャッチセールス」ということができるだろう。

なお、この授業料のバカ高かったアメリカンプラザはもう無い。

多田文明著「キャッチセールス潜入ルポ ついていったら、こうなった」は巷に溢れる「いかがわしい」キャッチセールスやカルトの勧誘に自ら飛び込み、その体験を綴ったノンフィクションだ。
正直この本を書店の棚に見つけたときは興奮した。
こういう書籍をずっとまえから読みたいと思っていたのだが、テーマがキワモノ過ぎるためか、危ないからか、なかなか登場してこなかった。
内容は私の好奇心を十分に満足させるものだったが「もうちょっと突込んでもらいたかった」と思える部分も少なくなかった。
しかし筆者が調査のために時にはその勧誘の犠牲にまでなっていることを考えると、そういう弱点は大目にみてもいいんじゃないかと思えてくるくらい面白かったのだ。

なお、巻末のおまけ「訴えられたら、こうなった」も実に面白い。
裁判の経過もさることながら、こういうキャッチセールスまがいのいかがわしいビジネスを展開する会社がいったいどういうものであるのか。
その本性の一部を理解することのできる、とっても役に立つ一篇であった。

~「キャッチセールス潜入ルポ ついていったら、こうなった」多田文明著 彩図社刊~

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )



« ミャンマーレ... ミス・リトル... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (お初天神)
2014-05-14 06:46:02
私も数々の悪徳商法に潜入してきたものです。

大阪も東京も経験しています、エスエスアイ・アールブリアン・霊波の光・アデンランス・アートネイチャ・青山カラーズ宝石・不動産のデート商法。

エステ・アンケート英会話。

大阪の方がキャッチは賑やかです。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。