「取材中の長井さんは流れ弾ではなく至近距離から意図的に撃たれた」
とは昨日の国連調査団によるミャンマー騒動の調査結果。
今更そんなことを言われなくてもYouTubeなどにアップされている動画を見れば素人目にも明らか。
サンダルを履いた兵士が軍用銃で長井氏を数メートル先から狙い撃ちしている。
なんで「流れ弾」なんて説が流れてきたのは判然としない。
きっとミャンマー政府が「流れ弾」なんて言い訳していたのがきっかけの調査なのだろうが、大の大人が雁首そろえて一ヶ月以上もかけて出した報告がこれでは情けない。
ところで、ミャンマー報道については日本では必ずと言っていいほど、どこかの国を経由した記事になっている。
「バンコク発」
「香港発」
「上海発」
これはミャンマーへの直行便がなくだいたいがバンコク経由のタイ国際航空で行くことになるからという理由ではなく、どの新聞社も駐在員はバンコクや香港に滞在させており、ヤンゴンには「記者」と名乗る人はいないからだ。
そのためかどうか知らないが、ミャンマーに関する新聞記事や論調はまったくもってお粗末なものが多く、今回の国連の発表記事のように読むに堪えないものが少なくない。
今回の記事もジュネーブ発の共同電。
通信社の記事を購入して掲載しているだけだから、なんの分析もなされていないし論評も付いていない。
日本人が一人殺されているというのに購入記事の掲載だけとは情けない。
「観光客」に変装してミャンマーへ入国し、取材活動するぐらい甲斐性持ちの日本人記者はいないのか、と言いたいところだが、
「オレは長井さんのように、軍事政権に殺されて契約していた会社の社長の食い物になるなんて真っ平だ」
というのがホンネかもわからない。
ということで、情けない新聞や週刊誌に成り代わって以下、私がお届けする「とりがら」ミャンマー事件関連情報。
現地では色々な噂が広がっており、私はジャーナリストではないからホントかどうか確かめたわけではないので念のため。
まず、長井氏は民主化運動家と称する人たちに煽動されて殺されたという噂。
観光ビザで入国したベテランジャーナリストの長井氏は家庭用ビデオカメラを回しながらデモ隊の中を一緒に行進。
「危険だから止めてください」
という再三にわたるガイドの願いも、無視。
「私たち、俺達を写してくれ」
という運動家たちの英語での要求に撮影を続行。
その結果悲劇を招いた。
長井氏のガイドやアレンジメントしていた旅行社等の現在が危惧されるところだ。
長井氏が宿泊していたのはナラワホテルというシェダゴンパゴダにほど近い中級ホテル。
「お客さんが殺された。しかも日本人だ。」
ということで、ホテルのスタッフはパニックに。
お客さんのことも心配だし、違法に入国したジャーナリストを宿泊させたかどで法的措置が取られるのではないかという危機感が。
幸いなことにナラワホテルは平常通りの営業をすることができている。
「長井さんが可哀想」
というのはミャンマーの人々の心境。
上座部仏教に帰依する彼らは人の生き死に対して日本人以上の感受性を持っている。
しかし、一方、
「長井さんはバカですね」
というのもミャンマーの人々の感想。
普段でも政治活動や軍人、公共施設などの撮影は厳禁されているミャンマーで、しかもデモ隊の中でビデオを回し続けたベテランジャーナリストの未熟さを嗤う人々も少なくない。
ちなみに軍事施設や関連部署を撮影禁止にしている国はミャンマーだけではない。
中国や他の東南アジア諸国も同じ。
日本でも自衛隊施設や米軍基地、入管などを許可なく撮影すると銃殺されることはないにしても逮捕拘束されることもありうるので国際的に普通のことだ。
ミャンマーの人々にとっては長井氏殺害よりもデモに参加せず軍政とデモ隊に冷静を呼びかけた僧侶を棍打した兵士たちが一番許せないようだ。
そしてこれが一番驚くなの噂なのだが、
「デモ隊を鎮圧したのは正規軍ではなく刑務所の囚人だ」
というものだ。
「兵士はサンダルなど履いていない」
というのがその根拠になっていて、確かに長井氏を殺害した兵士はサンダルを履いている。
私もミャンマー国軍の兵士を観察してみたけれどサンダル履いて任務中の者は一人もいない。
田舎の駐屯兵でもフリーの時間を除いて軍靴を履いている。
サンダル履きの兵士は「ベトナム戦争時のベトコンのイメージ」にほかならず、日本陸軍の教育を元にスタートしているミャンマー国軍の服装はさすがに頭のてっぺんからつま先まできちんとしているのが普通とも言える。
ところがデモ鎮圧部隊はサンダル履き。
ではいったい彼らは何者か?
「インセン刑務所から薬を飲まされて連れて来られた囚人だ」
というのがまことしやかに語られている噂なのだ。
インセン刑務所はヤンゴン北部に位置し、地球の歩き方の地図にも乗っている有名な刑務所だ。
そこに収監されている囚人が駆出され軍の命令で殺人をもいとわない特殊部隊に編成されたというわけだ。
もっとも、
「外国人は絶対に撃つな」
という命令を出していたにも関わらず、日本人一人を殺害してしまったわけで、
「撃った兵士はすでに処刑済み」
というのも現地での尤もな噂になっている。
どれが本当で、どれがウソかはわからないが、真のジャーナリストならこのあたりの真相をきっちり突き止めたうえで「日本人殺害」の記事を載せるくらいの力量を持ってくれてもいいのではないか。
それともバンコクや東京の飲み屋で同業者と溜め口きいているほうが楽なのか。
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