東京の地下鉄で一番困るのは「階段が多い」ということだ。
どうして首都の地下鉄なのにエスカレーターがなく、しかも通路にさえ段差があったりして、ちっともバリアフリーでなかったりする。
例えば三田駅で都営浅草線から三田線に乗り換えるのに地下を歩いていると段差や階段があり、
「車いすの人は駕籠を雇わねばなるまい」
と思ってしまう。
この点、大阪市営の地下鉄はだてに税金の浪費をしているだけではなく、ちゃんとエスカレーターや動く歩道を整備していて市民の目をごまかすことは忘れていない。
これが東京のようにエスカレーターもなければエレベーターもないと言う状況であれば、すでに大塩平八郎の乱パート2が発生していたことであろう。
東京の地下鉄の階段はとりわけ夏がかなわない。
バンコクのBTSも開業当時、エスカレーターが少ないのと、年中暑い土地柄が融合し、プラットホームにたどり着いた時はヘトヘトになったものだが、東京の夏はまさにそういう感じ。
どうして東京の地下鉄にはエスカレーターが少ないのか。
その疑問に対する答えが、この本には書いてなかったけど、なんとなく関連付けられそうなことが記されていた。
秋庭俊著「帝都東京・隠された地下網の秘密」を読了。
この本には「戦前に『軍事政権』によって築かれた地下鉄網が東京の地下には総延長400kmも走っていた」という政府による極秘鉄道の存在が描かれている。
なかなか見せる。
「なぜ南北線は丸ノ内線よりも上をクロスしているのか」
とか、
「西新宿の駅はなぜ忽然と開業したのか」
など、
「もともとそこにトンネルがあったとしか思えない」
という仮説からドンドン飛躍し、政府陰謀説が展開されている。
実に面白いのだ。
とりわけ国会議事堂前駅の謎が記されており、その駅を利用したことのない私は???なのだったが、なるほど。
政府の重要施設の下には秘密の地下鉄網が走っていたのか、ということに納得した。
しかし、これだけの雄大な秘密をなぜ政府は今も明らかにしないのだろうか。
そこには「自民党の利益が潜んでいる」のだと著者は別の著作で述べる。
だから「民主党を応援します」とまで述べている。
ということで、なかなか面白い本なのだが、『軍事政権』のひと言で「おや?」と思った私は著者の略歴をチェック。
「朝日出身のお方」なのであった。
ともかく、朝日出身を差し引いてもなかなか面白い一冊であった。
なお、こういうのをトンデモ本というのだと納得したのは言うまでもない。
~「帝都東京・隠された地下網の秘密」秋庭俊著 新潮文庫~
注:日本には軍事政権は存在しません。第二次大戦中でも議会があり、当時のことを「軍事政権」と呼ぶ人には注意が必要です。
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