人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

イアーゴが主役か?~METライブビューイングでヴェルディ「オテロ」を観る 

2012年11月18日 06時54分49秒 | 日記

18日(日).昨日の朝日朝刊の連載記事「元気のひけつ」に「ミカンを食べて健康で長生き 毎日3~5個で効果」という記事が載りました 記事によると,ミカンにはβクリプトキサンチンが多く含まれていて,欧米の研究によると,これを多くとる人は肺がんにかかるリスクが低いとことが分かったとのことです.日本の研究では,ミカンを毎日3~5個食べている人は,肝機能障害,動脈硬化,骨粗しょう症などになりにくいことが分かっているそうです ・・・・・ということですので,脂質はほとんどゼロで手軽に皮がむけるミカンをもっと食べましょう

ミカンと言えば,幼いころのことを思い出します.私はお茶で有名な埼玉県のS市に生まれ住んでいましたが,学校が休みになると東京・月島に住む従兄達,私より1回り年上の”こーちゃん”と”せっちゃん”が遊びにきてくれました 母親がおやつにミカンを出すと,せっちゃんは皮を剥いて半分にしたかと思うと,一房ずつ分けないでそのまま口に放り込んでむしゃむしゃ食べるのです 私はそれを見て「これが東京の食べ方か・・・・カッコいいなあ」と”せっちゃんスタイル”に憧れました.その日から私のミカンの食べ方は”せっちゃんスタイル”変わり,現在に至っています

 

  閑話休題  

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,ヴェルディ「オテロ」を観ました これは今年10月27日に米メトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画です

キャストはオテロにヨハン・ボータ(テノール),デズデーモナにルネ・フレミング(ソプラノ),イアーゴにファルク・シュトルックマン(バリトン),カッシオにマイケル・ファビアーノ(テノール)ほかで,バックを務めるのはセミヨン・ビシュコフ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団,演出はエライジャ・モシンスキーです

 

          

 

オケがスタンバイして指揮者のビシュコフが登場します.私は個人的にはこの人はあまり好きではないのですが,第1幕冒頭の嵐の中,オテロ率いるキプロス官軍とトルコ軍との戦いの場面の迫力ある演奏を聴いて,一瞬にしてヴェルディの世界を表出した彼の統率力に評価が変わりました ヴェルディのオペラの一つの大きな特徴は勇壮で力強い音楽だと思いますが,ビシュコフは見事にその特徴を表現していました

幕間にソプラノのラドヴァノフスキーのインタビューにオテロ役のボータが答えて「急病のため開幕から3日間オペラを休んで休養をとって満を持してこの日の公演に臨んだ」と語っていました.ボータは,70歳過ぎてからヴェルディが作曲したオテロを完ぺきに歌い演じました

オテロの妻デズデーモナ役のルネ・フレミングの声はまさに”ビロードの声”とでも表現するのがぴったりくるような美しく輝かしい声です 演技は言う間でもなくMETで1,2位を争うほどの素晴らしさです特に第4幕で歌う「柳の歌」の”寂しい荒野に歌いながら泣く”と,それに続く”アヴェ・マリア”の15分以上にわたる独唱の素晴らしさは,鳥肌モノでした

そして,この主役の2人を食ってしまうほどの存在がイアーゴ役のシュトルックマンです デズデーモナのハンカチを利用して謀略を企てオテロとデズデーモナの仲を引き裂き,二人を死に追い込んでいく悪党の役を見事に演じ,歌い上げました このオペラの主役は,実はイアーゴではないのか,と思えるほど存在感が大きいのです

そして何より良いのは極めてオーソドックスな演出であることです 舞台を勝手に現代に置き換えたりしないことが,物語をシンプルに伝えることにつながっています

休憩,インタビューを含めて3時間27分の上映です.新宿ピカデリーでは23日(金)まで毎日午前10時から上映されます

 

          

             〔来年生誕200年を迎えるジュゼッペ・ヴェルディ〕

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