人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未+フィルハーモニア台湾でグリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」を聴く

2012年11月10日 06時58分39秒 | 日記

10日(土).昨夕,東京オペラシティコンサートホールでフィルハーモニア台湾のコンサートを聴きました プログラムは①チャイコフスキー「幻想序曲”ロミオとジュリエット”」,②グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」(ピアノ:萩原麻未),③ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」の3曲.指揮は台湾出身でブザンソン,ペドロッティ,コンドラシンの三大国際指揮者コンクールの優勝者リュウ・シャオチャです

フィルハーモニア台湾は1986年創設の若いオーケストラですが,これまでマゼール,バルシャイ,スラトキン,ホグウッドなどの著名な指揮者がタクトを振ったとのことです

萩原麻未は,言うまでもなく広島市出身,2010年第65回ジュネーブ国際コンクールで日本人として初めて優勝した若手のホープです パリ国立高等音楽院を首席で卒業後,パリを拠点に演奏活動を行い,今年の秋からザルツブルクのモーツアルテウム音楽院で研鑽を重ねています.日本では,今年2月17日にサントリーホールで開かれた南西ドイツ放送響とのラヴェルの「ピアノ協奏曲」と,8月11日にすみだトりフォニーホールで開かれた新日本フィルとのラヴェルの同曲の演奏が記憶に新しいところです 今回は,初めて彼女の弾くグリーグの協奏曲が聴けるので楽しみにしていました この日も,風邪薬の眠気をコーヒーで打ち消してコンサートに臨みます

 

          

 

自席は1階8列1番,かなり前の左サイドです.会場は7~8割程度の入りでしょうか オーケストラの面々が登場します.通常コンマスは後から拍手に迎えられて登場しますが,このオケは他のメンバーと一緒に登場します オケの編成はオーソドックスで,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,後ろにコントラバスという配置です

1曲目のチャイコフスキー「幻想序曲”ロメオとジュリエット”」はシェイクスピアの作品にインスピレーションを得て書かれた作品です.単一楽章から成りますが序曲とはいえ20分程を要する堂々たる曲です

リュウ・シャオチャのタクトで冒頭の暗くて重い序奏が奏でられ,物語の悲劇性を暗示します 次第に劇的な展開を見せて悲劇の結末を迎えます 左サイド席で上に天井(2階の床)がある席の位置のせいか,音がこもって変に偏っていて音楽の響きを正確に把握することができません.熱演であることは判るのですが,それがストレートに伝わってきません

さて,ピアノが中央に設置されていよいよ萩原麻未の登場です.鮮やかな赤のドレスを金色の幅広のベルトで締めた衣装で登場します いつもながらあどけない顔つきです.

グリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」は1868年に作曲者が25歳の時に作曲されました.自席からはピアニストの背中を見ながら演奏に耳を傾けることになります 冒頭,ティンパ二の連打に導かれてピアノが強打され,曲の幕開けを告げます.萩原麻未は最初から全開です.第1楽章終盤のピアノ・ソロによるカデンツァのような部分を表情豊かに奏でます 会場は物音ひとつ立てず,萩原のピアノを一音でも聴き逃すまいと耳を澄ませています

第2楽章「アダージョ」のピアノの繊細な美しさは格別です 萩原のピアニッシモには底力があります.どんなに小さな音でも美しく存在感を示します.そして切れ目なしに第3楽章に突入します.萩原は快調に飛ばし,オケは必死についていく,というパターンで音楽が続き,フィナーレのクライマックスを迎えます 萩原は,ピアニッシモからフォルテッシモまで明確な音で音楽を表現します

盛大な拍手に何度も舞台に呼び戻されますが,その都度,あどけない顔に笑みを浮かべて深々と一礼します この人の特徴は,どんなに困難な曲も楽々と(見える)弾き切って,あっけらかんとしていることです.この日も,やっぱり萩原麻未は凄いと思いました.彼女の演奏が聴けたので,もう帰っても良いかなと思ったのですが,せっかくなので後半も聴くことにしました

久我山在住のAさんとその幼馴染のTさんもこのコンサートに来ているはずなので,休憩時間に探しました.やっと,1階後方席にAさんの姿を発見したので,話しかけました Tさんは風邪で来れなかったとのことで,この日は別の友人とご一緒でした.Tさんお大事に ホワイエに出ると日本語と中国語が入り乱れていました

ドヴォルザーク「第9交響曲」はあまりにも有名ですが,第2楽章「ラルゴ」でイングリッシュ・ホルンによる”家路”のメロディーは郷愁を誘います 残念ながら第4楽章で管楽器が乱れ,演奏に傷がついてしまいましたが,まだ若いオーケストラですから,早く立ち直ってほしいと思います

アンコールに①ドヴォルザーク「スラブ舞曲 作品46-8」が勇ましく,そしてハイゼン・シャオという多分台湾の作曲家の「フォルモアからのエンジェル」がメロディアスに演奏されました.アンコールの方が絶好調だったような気がしますが,言い過ぎでしょうか

フィルハーモニア台湾は初めて聴きましたが,まだ若いオーケストラということもあって,在京オーケストラのレベルには達していないと思いました.これからレベルアップしていくことを期待したいと思います

 

          

 

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