人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小菅優+カメラ―タ・ザルツブルクでモーツアルト「ピアノ協奏曲第21番,第23番」を聴く

2012年11月03日 06時58分25秒 | 日記

3日(土・文化の日).昨夕,すみだトりフォニーホールで小菅優のピアノ,ハンスイェルク・シェレンベルガ―指揮カメラ―タ・ザルツブルクによるモーツアルトの演奏会を聴きました プログラムは①歌劇「イドメネオ」序曲,②ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467,③ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488,④交響曲第41番ハ長調K.551"ジュピター”の4曲です.

小菅優は1983年生まれ,2004年モーツアルテウム音楽大学を卒業,2005年にニューヨークのカーネギーホールでデビューリサイタルを開き高い評価を得ました 一方,シェレンベルガ―は1948年ミュンヘン生まれ,1980年1月から2001年夏までベルリン・フィルのソロ・オーボエを務めました.帝王カラヤンのもとで長くベルリン・フィルの中核を担っていた人です

 

          

 

会場は8~9割の入りでしょうか.自席は1階17列10番でした.が,隣席の青年が友達と隣り合わせにしたいので替わって欲しいというので11番になりました.通路側に一つ近づきました

拍手の中,カメラ―タ・ザルツブルクの面々が登場します.日本人女性も弦楽器を中心に4~5人含まれています コンマスは女性です.オケは向かって左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリン,管楽器の中央後方にコントラバスがスタンバイする”対向配置”を取ります 通常はコンマスが立ち上がってチューニングの指示を出しますが,このオケは楽屋で済ませてきているようで,音を出しません.ティンパ二は日本人女性です.プログラムの名簿を見るとローマ字で杉下リズムという名前がありました.きっと音楽一家に育ったのでしょう

シェレンベルガ―の指揮で1曲目の歌劇「イドメネオ」K.366序曲が始まります.オーボエの中年女性が素晴らしい音を出しています.まずは小手調べです

2曲目のピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467を演奏するため,小菅優がダークブルーのドレスに身を包まれて,シェレンベルガ―とともに登場します 軽快なオーケストラの序奏に導かれて小菅の軽やかなピアノが入ってきます.小菅は時に管楽器,とくにオーボエの方を見ながら演奏します.オーケストラと会話しながら演奏しているのがよくわかります オケの中央に構えるチェロの女性は「私はシャンドール・ヴェーグの頃からこの定位置で弾いているんですよ」とでも言いそうな貫録のある面構えです

第1楽章のピアノのカデンツァは初めて聴いたような気がします.モーツアルト自身のものではないとすれば,誰の作曲によるカデンツァなのでしょうか?小菅は強弱をつけながら見事に弾き切りました 第2楽章のアンダンテの穏やかなやさしさ 一転,底抜けに明るい第3楽章.小菅は自由自在です

休憩後の1曲目「ピアノ協奏曲第23番K.488」はピアノ協奏曲の中で一番好きな曲です.第1楽章のオーケストラの序奏が始まるとわくわくしてきます そして軽快なピアノが入ってきます.モーツアルトって何と素晴らしい音楽を作ったのでしょうか 第2楽章のアダージョはピアノの独奏で始まり,クラリネットそしてフルートに受け継がれますが,その静かな世界はクラリネット協奏曲の第2楽章”アダージョ”に通じるものがあります 小林秀雄いうところの”人間存在根底の哀しみ”の世界です.小菅は淡々と静謐な世界を描いていきます.そして,間をおかずに第3楽章「アレグロ・アッサイ」に突入します.「モーツアルトはみんながいつまでも悲しみにくれている時に,もう笑顔で鼻歌を歌っている」そんな表情の変化を表現します

彼女の演奏する姿を観ていて思ったのは,ダイナミックかつ繊細な音楽表現は,あの二の腕があってこそだろうな,ということです さらに言えば,あのマルタ・アルゲリッチの二の腕を思い出してしまいました そんなことを想っているときに隣のおじさんをチラっと見ると,私と同様紙に書きものをしています.私の場合はブログを書くためのメモですが,ひょっとしてこのおじさんもブログを書いているのかな,と思ってよく見ると,会場で配られていたアンケートに回答を書いていたのでした.演奏中にアンケートって・・・・・・・ 時々見かけますね,このおじさんのように音楽に集中できない人が

圧倒的な拍手とブラボーの嵐の中,小菅が舞台袖に退場しピアノが片付けられます.再度,シェレンベルガ―が登場,最後の交響曲第41番ハ長調K.551”ジュピター”が始まります 第1楽章「アレグロ・ビバーチェ」が力強く演奏されます.第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」を聴いていて,第1ヴァイオリンの音がまるでコンマス一人のヴァイオリンから出ているような感覚を味わいました それほど全員の音が揃っているということです.かつて東京交響楽団がシューベルトの交響曲第3番を演奏した時,第1ヴァイオリンの音がまるでコンマスの大谷康子一人のヴァイオリンから出ているように感じたことを思い出しました

暗譜で指揮した”ジュピター交響曲”を聴いて,シェレンベルガ―もなかなか良い指揮をするな,と思いました メリハリを効かせて気持ちのよいテンポでグングン音楽を進めます

会場一杯の拍手とブラボーに応えてモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲を演奏しました これも軽快なテンポで,コンサートを締めくくるのにふさわしい気持ちの良い演奏でした

今日も同じ組み合わせでモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバン二K.527」序曲,ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466,同第25番ハ長調K.503,交響曲第38番”プラハ”を聴きます

 

          

          

 

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