人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

気軽に読みたい珠玉の短編小説~佐藤雅彦編「教科書に載った小説」を読む

2012年11月02日 06時59分06秒 | 日記

2日(金).最近、頭の中をマーラーの音楽が渦巻いています というのは、先日、園子温監督の映画「希望の国」を観て、そこでマーラーの交響曲第10番「アダージョ」が使われていたことから、映画で使われていたNAXOSのCDを毎朝、新聞を読みながら聴いているのですが、第10番とカップリングされているのが一番好きな第3番なのです

最近は第10番よりも第3番を聴く機会が多く、毎朝聴いているものですから、電車に乗っているときや、歩いているときなどは自然にマーラーの第3番の第1楽章冒頭の音楽が頭の中をぐるぐる回っているというわけです。マーラーが当初”夏の行進”と名づけたあのメロディーです

若い時はウォークマンでCDを聴いていたものですが、今はヘッドホン・ステレオは持っていません 長時間聴いていると難聴になるという話もあるし。自然に頭にメロディーが浮かんでくるのですから機械は要らず、ヘッドホンは要らず、まったくタダで、しかも健康に害もありません

頭に浮かんでくるのは、時にベートーヴェンだったり、ブラームスだったり、モーツアルトだったりしますが、不思議なのは、CDでも生演奏でも滅多に聴くことのないブルックナーの交響曲のメロディーが浮かんでくることがママあることです これはどう考えても理解不能です

かつてタイガースが強かった頃は(何年前だったか思いだせない)「六甲おろし」(正式には”阪神タイガースの歌”)が浮かんできたものですが、ここ数年のテイタラク状態ではまったく浮かんできません。いつかは優勝するなんて,阪神半疑でっせ,ほんまに 

 

  閑話休題  

 

昨夕,警備・清掃を委託しているT社の幹部と当社の患部,もとい,幹部とで9階の日本記者クラブで会食しました ほぼ同じ年代層の集まりだったので,懐かしい昭和の話が話題の中心になりました驚いたのは,T社のIさんは,真珠湾攻撃を題材にした映画「トラ・トラ・トラ」に水兵役でエキストラ出演したとのこと.やくざ映画にもエキストラで出ていたとか.当時から世間に顔を売っていたわけですね.かつてのエキストラは今やT社で主役を張っているというわけですね,なんちって

その後,T社のNさん,Tさん,Tさんを拉致して当社N,E,Sと私とで(私がWだったらNEWSになっていた!)車に分乗して上野のカラオケ・スナックFに向かいました.例のごとく歌合戦を繰り広げましたが,誰が何を歌ってどういう点数だったやら・・・・・・だれか覚えてたらおせーて あ~今日も朝から頭イテ― 今日は土曜日じゃないのか~ サラリーマンはつらいよ

 

  閑話休題  

 

佐藤雅彦編「教科書に載った小説」(ポプラ文庫)を読み終わりました この本は1954年静岡県生まれの筆者が,かつて読んだ教科書の中で印象に残った短編小説を13篇選んで紹介したものです.宿泊した不審な親子を見つめた三浦哲郎の「とんかつ」,差出人のない小包が届く「絵本」,通夜の帰りに靴を間違えて履いてきてしまった男の顛末をかいた「出口入口」など,極めて短い”面白い”小説が集められています 私が一番印象に残ったのは横光利一の「蠅(はえ)」という作品です

一匹の蠅が宿場の隅で蜘蛛の巣に引っかかる しかし,もがいて下に落ちて命拾いする.そして馬の背中まで這い上がる.その馬は,人や荷物を乗せて運ぶ馬車の馬で,死にそうな息子に会う目的の母親らが乗っている.のんびりした馭者はなかなか馬車を出そうとしない.やっと走らせたと思ったら,そのうち饅頭を食べて満腹になり,昼寝を始めてしまう 制御できなくなった馬車は車輪が道から外れ,崖の下へ転落する ただ,蜘蛛の巣から命からがら生き延びた蠅だけが,その馬から飛び立ってゆうゆうと青空を飛んで行く

という話です.たった12ページの小説です.この小説は教育出版の「中学国語2」(昭和61年検定済)に載りました われわれは中学生ではありませんので,これを読んで感想文を書く必要はありません.

自分で走って目的地に行く代わりに,お金を払い馬車で行くことが出来る人間は大した存在だ しかし,他人の居眠りが原因で崖から落ちて死んでしまうはかない存在だ その点,蠅は話すこともできず,お金を使って何かをすることも出来ない しかし,空を飛ぶことが出来るから,いざとなれば自分で自分の命を救うことが出来る 人間,死んでしまえばおしまいだ.あ~蠅がうらやましい・・・・・といったところでしょうか

1篇1篇が味わい深い作品です.”感想文”を頭から除外して気軽に読むことをお薦めします

 

          

コメント
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