人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブラボー!ラドロヴィチ~メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,「ホ短調」を聴く

2012年11月11日 07時08分46秒 | 日記

11日(日).昨日,東京オペラシティコンサートホールで,東京交響楽団第70回オペラシティシリーズ定期演奏会を聴きました プログラムは①バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番から”シャコンヌ”」,②同「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」,③メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,④同「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」の4曲,指揮とヴァオオリンはネマニャ・ラドゥロヴィチです

ラドゥロヴィチは1985年ユーゴスラヴィアのセルビア生まれで,パリ国立高等音楽院などで学び,95年ストレサ国際,96年コチアン国際,2001年エネスコ国際,03年ハノーファ国際各コンクールで優勝した実力者です 彼の演奏を聴くのは数年前に東京国際フォーラムで開かれたラ・フォル・ジュルネ音楽祭で聴いたメンコン以来です.あの時は,あまりの激しい動きにびっくりしたものです 聴衆の反響はもの凄いものがありました

プログラムの最初にヴァイオリン独奏曲,しかもバッハの無伴奏パルティータ第2番の”シャコンヌ”を持ってくるという,普通なら考えられない構成で意表を突きます

ラドゥロヴィチが下の写真のような縮れ毛の長髪,上下黒一色の衣装で颯爽と登場します まるでロックンローラーがクラシックコンサートに殴り込みをかけてきたかのような雰囲気です 舞台中央に立って,おもむろにバッハのシャコンヌを心に沁み渡るように演奏します

次いで,東響の弦のメンバー14人とチェンバロが登場,そこにラドゥロヴィチが指揮者兼ソリストとして加わります.チェンバロとチェロ以外は立ったままでバッハの「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」を演奏します ラドゥロヴィチは右を向いたり左を見たり正面を向いたり,あちこちに気を配りながら演奏しますラドゥロヴィチの”動”とオーケストラの”静”が対象的です.第1楽章と第3楽章はまるでジャズの掛け合いのようなノリの良さで躍動感溢れる演奏を展開します

 

          

 

休憩後はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が2曲演奏されます.メンデルスゾーンは経済的に恵まれた家庭に育ちましたが,自宅では毎日曜日に名演奏家たちが集うサロン・コンサートが開かれていました ニ短調の協奏曲は13歳のメンデルスゾーンがこのサロンで演奏するために作曲したものですバックを務めるのは弦楽器のみです.ラドゥロヴィチの演奏を聴いていると,とても13歳の少年が書いたものとは思えません.彼はモーツアルトのように早熟の天才と呼ばれますが,この曲を聴けばその理由が分かります

有名なホ短調の協奏曲は,当時,ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者として活躍していた彼が,コンサートマスターのフェルディナント・ダーヴィットのために作曲したもので,1844年彼が35歳の時の作品です ちなみにモーツアルトは35歳で死去しました

オケのメンバーが追加され,フルオーケストラの状態でホ短調協奏曲に臨みます.この曲でも,ラドゥロヴィチはヴァイオリンを指揮棒代わりに指揮をしながら自らソリストも務めます この曲でも,演奏しながら右を向いたり左を見たり正面を向いたり,すべてのセクションに気を配りながら演奏を進めます 興に乗ると片足を後ろに蹴り上げたりして演奏します.とにかく忙しく動き回り,切れ目なく演奏される3つの楽章を颯爽と弾きまくります

会場割れんばかりの拍手 最前列の女性数人が一斉に立ち上がり,スタンディング・オベーションを始めました ラドゥロヴィチはていねいに四方の客席に一礼し,賞賛の拍手に応えます ロックンローラーのようなスタイルですが,ステージマナーは一流です.人は見かけで判断してはいけません

鳴り止まない拍手とブラボーにアンコールを演奏しました.まず,バッハの「無伴奏ヴァイオリンパルティータ」第2番から”サラバンド”を静かに,次いでパガニーニの「カプリース」から”悪魔の笑い”を優しく,そして激しく,自由自在に演奏して聴衆を圧倒しました ラドゥロヴィチこそ,実力を備えた真のエンタティナ―です

 

          

            (プログラムの表紙の絵はクリムト「りんごの木」です)

 

コンサートが終わってロビーに出ると,ラドゥロヴィチのサインを求めてCDを片手にした聴衆が長蛇の列を作っていました.すごい人気です 一方,出口付近では森永製菓の人がチョコレートの試供品を配っていました.CDケースに近い大きさだったので期待したら,中に入っていたのは海賊王ルフィ―,ではなくて,ワンピースのみでした 味はどうかって?・・・・・・娘に聞いて下さい

無料と言えば,数年前にサイトウキネン・オーケストラを松本まで日帰りで聴きに行ったときには,ホワイエで地酒や,ある年は地元のワインが振る舞われていました.バーコーナーのお酒が売れなくなるのに,この英断は見上げたものだと思いました

 

          

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