人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

もっと早く読めば良かった!~許光俊著「クラシックを聴け!完全版」を読む 

2012年11月21日 06時59分42秒 | 日記

21日(水).昨夕,記者クラブ・ラウンジで4者会議がもたれました.2つの懸案事項を検討して40分の短時間に一定の結論を得て解散しました.そこまでは良いのですが,地下まで下りたところでX部長から焼鳥0に行こうと誘われました 前日も10時過ぎまで散々飲んで歌ったのに,そんなことはちっとも意に介さないようです こちらはこの日まっすぐ帰らないと今週自宅で夕食を取るのがゼロになるので,丁重にお断りしました X部長は焼鳥0の店内に目ざとくテナントJのN氏を見出して一緒に飲むことにしたようです 彼に付き合っていたらお酒がエンド―レスになってしまいます.くわばら・くわばら,クワバラ・クワバラ,桑原・桑原

 

  閑話休題  

 

民主党の鳩山元首相が衆議院議員選挙に立候補しないと決めたとのこと 本人のためにも日本のためにもベスト・チョイスです 彼ほど日本の信用をどん底に貶め,政治家の発言が”羽よりも軽い”ことを証明した人もいないでしょう 確か数年前,”もう選挙には立候補しない”と発言したのに,舌の根の乾かないうちに前言を撤回して今日まで議員を続けてきました

鳩山氏のモットーは”友愛”でしたが,沖縄の米軍基地問題でオバマ米大統領に,何の根拠もないのに「トラスト・ミー」と言った時には,”友愛”どころか,よく”言うわい”と思ったものです,国民の大半が 「鳩山は山を張るけどピジョンがない」と言われても仕方ないでしょう・・・・・・わかりますね.鳩のピジョン(pigeon)と展望のビジョン(vision)をひっかけたわけです.ちょっと高度でしたか?

鳩山氏に言いたいのは,今度こそ「選挙に立候補しない」という発言を二度と撤回しないでほしいということです それが国益につながるのです.後になって「民主党から立候補しないと言ったのであって,他の党から立候補しないとは言っていない」などと理屈をこねて,政界のドンが束ねる「政治家の生活が第一」から立候補することなど,ゆめゆめ考えないでほしいと思います これからは,何の努力もなしに親から相続した莫大な遺産を食いつぶしながら,時には奥様とファッションショーにでも出演して世間に話題を提供しながら,充実した隠居生活をお送りになることをお祈りしております

 

  閑話休題  

 

許光俊著「クラシックを聴け!完全版」(ポプラ文庫)を読み終わりました 読み終わった今,なぜもっと早くこの本を読まなかったのか,と悔やんでいます

許光俊氏は1965年,東京生まれ.慶應義塾大学教授です.「問答無用のクラシック」「オレのクラシック」「絶対!クラシックのキモ」「オペラにつれてって!完全版」など多くの著書があります この本は1998年に青弓社から刊行され,加筆修正して2009年に文庫化したものです

最初に「序文に代えて」で著者は衝撃的な発言をします.『クラシックは滅びた!』と バッハ,モーツアルト,ベートーヴェン,ブラームスと続いてきたクラシックの伝統はブルックナーを持って終了したのだ,と主張しています その理由はブルックナーに至って,音楽は宗教(神)のレベルに達してしまったからだ,と言います

この本は第1章「超基本 聴きはじめる前に」,第2章「実践編1 基本の3曲,これだけ聴けば,クラシックは完全にわかる」,第3章「実践編2 もっとディープに,もっと危険に」,第4章「コレッキリ!実用情報」から成ります

第1章「超基本 聴きはじめる前に」では,クラシック音楽を聴く前に①推理小説を読むこと,②サラダを作ることを勧めています.これはクラシック音楽の構成(成り立ち)を考えるのに役立つという主張です

第2章「実践編1 基本の3曲,これだけ聴けば,クラシックは完全にわかる」では,①チャイコフスキー「幻想序曲:ロメオとジュリエット」,②モーツアルト「ピアノ・ソナタ第15番」,③ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」を取り上げ,それぞれの曲の成り立ちを解説してます ①ではチェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルのCD,②では内田光子のCD,③ではギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団の各CDによる演奏を紙上で再現して,具体的に解説していきます ちなみに許光俊という人は,指揮者ではチェリビダッケとヴァント(いずれも故人)を最高に評価していて,他のほとんどの指揮者はぼろくそにこき下ろしています.相当偏ってますね

例えば,チャイコフスキーの「幻想序曲:ロメオとジュリエット」のCDのトレース時間を取り上げながら,

00:44 チェロやコントラバスといった音に低い弦楽器(低弦楽器)が沈痛な調べを奏でる これは暗い運命を暗示するメロディで(このように曲のなかで意味をもって機能するメロディやリズムをモチーフや動機という),今後おりにふれて登場してくる.やがてそれは清らかではあるが悲しげなヴァイオリンに受け継がれる.重い低弦の響きがもう一度現れる

と解説しています.非常に具体的で分かりやすいでしょ

実際にCDを聴きながら読むと曲の内容がよく理解できると思います.音楽評論の中に,時折楽譜を登場させて解説していた吉田秀和氏とは全く違うアプローチで,一切音符を紙面に登場させず言葉だけで音楽を表現していきます.これは相当な才能です 抽象的な事がらを具体的に分かりやすく解説することがいかに困難なことか 脱帽するしかありません

文芸評論家の吉田美奈子さんが本書の「解説」の中で,

「大八車や馬車が行きかう町に,いきなりターボエンジンつきのスポーツカーで乗りつけてきたようなものーーいささか大袈裟ながら,90年代後半の音楽評論界に許光俊が登場したときの印象をひと言でいえば,そんな感じになるだろうか

と書いています.それは,2012年の今でも,印象としては変わらないのではないのかと思います.冒頭にも書いたように,なぜもっと早くこの本を読まなかったのか,と悔やむほど,面白く,刺激的な本ですクラシック入門者だけでなく,クラシック大好き人間にも自信をもってお薦めできる本です

 

          

 

コメント (2)
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