30日(金).昨夕,虎の門でのコンサートが終わって外に出ると,何と雨が・・・・・・傘を持っていなかったので,最寄りの虎の門駅か溜池山王駅まで雨に濡れて行こうかとも思ったのですが,風邪をひいてもつまらないので,コンビニで525円のビニール傘を買いました 玄関先の傘立てはビニール傘で一杯です.一昨日のネクタイといい,昨日のビニール傘といい,思わぬ出費がかさむ今日この頃です明日からさらに出費がかさむ予感のする12月.あ~,ど~しよ~
閑話休題
昨夕,虎の門のJTアートホールでJTアートホール室内楽シリーズ「ロータス・カルテットのブラームス」公演を聴きました ロータス・カルテットは1992年に結成,95年ドイツに渡りシュツットガルト音楽芸術大学に入学,メロス弦楽四重奏団に師事しました.ヴァイオリン=小林幸子,マティアス・ノインドルフ,ヴィオラ=山碕智子,チェロ=斉藤千尋,クラリネット=セバスチャン・マンツというメンバーです なお,小林幸子さんは,某国営放送局の年末恒例・黒白歌合戦の選にもれた全身電飾歌手ではありません.念のため
プログラムはオール・ブラームスで①弦楽四重奏曲第1番ハ短調」,②弦楽四重奏曲第2番イ短調,③クラリネット五重奏曲ロ短調の3曲です
自席は10列12番,センターブロック通路側です.会場はほぼ満席.舞台上は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロという編成です
第1曲目の弦楽四重奏曲第1番は1865年から73年にかけて作曲され,69年から73年にかけて作曲された第2番とともに作品51として出版されました ブラームスの弦楽四重奏曲は普段聴く機会がほとんどないので,ここ数日,ウエラー弦楽四重奏団のCDで予習していました
第1番,第2番ともにバランスのよく取れた演奏で,個々人の演奏レベルの高さがうかがえます それぞれの奏者の音楽性が豊かなのですが,私が特に魅かれたのはヴィオラの山碕智子さんの演奏です.ブラームスがヴィオラを引き立てるように書いていると言えるのかもしれません この2曲を聴く限り,弱音部分での演奏が極めて美しく,ワインで言えば若いボージョレヌーボーではなく,結成20周年を迎えたカルテットに相応しい20年ものの熟成したワインのような演奏です
クラリネットのセバスティアン・マンツは2008年に,滅多に1位を出さないことで名高いミュンヘン国際音楽コンクールのクラリネット部門で40年ぶりとなる第1位を獲得した逸材で,現在シュトットガルト放送交響楽団首席奏者を務めています
第1楽章冒頭,主題がヴァイオリンによって奏でられ,情感溢れるクラリネットの音色が加わります.マンツは,その瞬間から聴衆の心を掴みます.豊かでふくよかで優しいクラリネットです ブラームスの魅力が十二分に伝わってきます
会場一杯の拍手に,マンツが手元のペーパーを見ながら「どうも,ありがと,ございました.アンコールに,モーツアルトの,第2楽章を,演奏します」と日本語でアナウンス して,モーツアルトの「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」第2楽章”ラルゲット”の演奏に入りました
これがまた素晴らしい演奏で,「クラリネット五重奏曲においてブラームスはモーツアルトを超えることが出来なかった」ことを図らずも証明することになった演奏でした この日のコンサートのタイトル「ロータス・カルテットのブラームス」に照らせば,むしろアンコールに応えるべきではなかったと言っても良いかも知れません.それほど素晴らしい演奏でした