人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

宮谷理香,磯絵里子,水谷川優子~アンサンブル・φ(ファイ)デビュー・コンサートを聴く  

2012年11月01日 07時00分21秒 | 日記

1日(木).今朝6時の東京の気温は10度でした.ずい分寒くなりましたね 時の経つのは速いもので今日から11月.今年もあと2か月を残すのみです 昨夕,銀座のヤマハホールにコンサートを聴きに行きました.久しぶりに銀座を歩きましたが,きれいなお姉さんがちらほら見受けられました.少しは景気が戻ったのでしょうか?コンサート開始まで時間があったので,ヤマハビル2階のCD売り場に行って時間をつぶしました 相変わらず品揃えの少なさにはガッカリします.私のCD所有枚数(約4,000枚)よりは多いと思いますが,あまりにも少なすぎます.ヤマハはやる気があるんでしょうか

 

  閑話休題  

 

7階のヤマハホールでアンサンブルφ(ファイ)のデビュー・コンサートを聴きました アンサンブルφ(ファイ)は,ピアノ=宮谷理香,ヴァイオリン=磯絵里子,チェロ=水谷川優子の3人によるユニットで,φ(ファイ)は「黄金比」の意味です 「芸術のおいて最も美しいと言われる黄金比のように,音楽において,いつまでも美しく,上質な演奏に挑戦し続けるユニットでありたい」という願いを込めて命名したとのことです

プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」,②チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調”偉大な芸術家の思い出に”」の2曲です

自席はK列14番,センターブロック右の通路側.会場はほぼ満席です.照明が落とされ,3人の登場です ピアノの宮谷理香は淡いベージュ,ヴァイオリンの磯絵里子は淡いグレーとシルバー,チェロの水谷川優子は淡いパープルのドレスを身にまとっています.小ホールで演奏する時はハッキリした原色よりも中間色が正解でしょう

1曲目のベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調”大公”」は1811年4月にベートーヴェン自身がピアノを弾いて初演されましたが,彼の難聴がかなり進んでいたため音量の調節ができず,それ以降,彼は公の舞台に出ることはなかったといいます この曲の大きな特徴は,それまでのピアノ三重奏曲がピアノ重視だったのを,ピアノとヴァイオリンとチェロが同レベルで活躍するように作曲したことです

第1楽章冒頭,宮谷のピアノがテーマを奏で,次いでヴァイオリンとチェロが加わって絶妙なハーモニーを奏でます 何という良い曲なんだろうと思い,背筋が寒くなりました.これは曲の持つ力であり,演奏の力です この3人はお互いの音に良く耳を傾けながら自分を主張しているように見受けられます息がぴったりといっても過言ではありません.演奏では第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」におけるチェロの独奏の音の豊かさが印象に残りました

 

          

 

休憩後のチャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調”偉大な芸術家の思い出に”」は,ロシアン・ピア二ズムの祖とも言われるアントン・ルビンシュテインの弟ニコライがパリで客死したことから,ニコライ=偉大な芸術家に捧げるために作曲した曲です

再度,照明が落ちて3人の登場です.女性の演奏家の場合は必ずあることが起こります.今回もありました.お色直しです 3人とも黒を基調にしたドレスに着替えての登場です.この曲が偉大な芸術家を”追悼”する意味を持つ曲であることから”黒”を選んだのでしょう

この曲も,第1楽章冒頭ピアノの序奏に次いで水谷川のチェロによりテーマが奏でられるのですが,まさに情熱的なカンタービレとでも言うべき素晴らしい演奏でした センチメンタリズムの極致とでも言うべき曲ですが,心の底から音楽を発信しているのが分かります ピアノの宮谷も主張すべきところは十分に主張しています.もちろんヴァイオリンの磯も負けていません.この3人は,それぞれが一人でも客が呼べるソリストですが,3人集まってもアンサンブルが乱れることはありません

満場の拍手に,3人が舞台中央に揃い,水谷川が代表して「今日はありがとうございます.アンコールを演奏したいのですが,聴く側の皆さんも息絶え絶えだと思いますし(笑),こちらも精一杯演奏して疲れてしまったので,きょうはアンコールはいたしません 次の機会にもっと明るい曲を(笑)演奏したいと思います.今回がこのユニットのデビュー・コンサートですが,これからも聴きたいと思われるような演奏を続けたいと思いますので,今後ともよろしくお願いします」と挨拶しました.やはり,3人の中ではこの水谷川優子がリーダー的な存在のようです

「この3人のうち誰かひとりもう一度聴いてみたいソリストを選べ」と言われたら,私は躊躇なく水谷川優子を挙げますが,このユニットが長く続くことを祈ります

 

 

          

              (上から宮谷理香,磯絵里子,水谷川優子)

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