人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クァルテット・エクセルシオのモーツアルト,ベートーヴェン,ブラームスを聴く 

2012年11月24日 07時04分33秒 | 日記

24日(土).昨日,東京文化会館小ホールでクァルテット・エクセルシオのコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲第11番K.171」,②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第10番”ハープ”」,③ブラームス「弦楽四重奏曲第3番」の3曲です

 

          

 

自由席なので開場の1時半には小ホールに入りI列20番,センターブロック通路側の席を確保しました.ホワイエでコーヒーを飲んで席に戻ると,近くの席でニコニコしてこちらを見ている人がいます.東京シティフィルハーモニー管弦楽団の元事務局長Yさんでした コンサート会場で知り合いに出会うことは滅多にありませんが,Yさんは数少ない”例外”の一人です 開口一番「ブログ拝見してますよ.いやー,相変わらず凄いコンサート通いですねぇ!」と言われたので,「今朝も6時に起きてブログ書きました」と答えると「それもまた凄い!」とのお言葉をいただきました 楽界のセミプロのご感想,ありがたいです.しばし立ち話をして席に着きました

Yさんと当社のU専務は,かつて博物館の学芸員の資格を取るため大学でのスクーリングで知り合った仲ですが,数年前に専務から「現在オーケストラの関係の仕事をしているYさんという人がいる.音楽好きの君と話が合うかもしれないから会ってみるかい?」と誘われ,3人で会食することになりました 話がオーストリアの作曲家コルンゴルトに及んだ時,当時大学のスクーリングで教えていたのが,私が30年程前に神保町の下倉楽器のフルート教室で習っていた時のクラスメイトO君(当時早稲田大学大学院生,現在帝京大学教授)だったことが判り,”世間は狭いですねぇ”とお互いました.それが縁で私は東京シティフィルの定期会員になり,コンサートに行くたびに演奏の感想を話し合ったりしていました

会場はほぼ8割方埋まっている感じです.先日聴いた古典四重奏団の時は余りの聴衆の少なさにびっくりしましたが,今回は逆にこんなに多くの聴衆が入ったのかとびっくりしました Yさんによると「このカルテットは年間数十回の定期演奏会だけで運営して頑張っているユニットなので応援している」とのこと.なるほどプログラムに掲載されたプロフィールによると「年間を通じて70回以上の公演を行う常設の弦楽四重奏団.1994年桐朋学園大学在学中に結成」とあります また,プログラムに挟み込まれたチラシによると「エクフレンズ・エクパートナーズ」という,この四重奏団をサポートする組織も出来ており,年会費で運営されているようです.こういう組織的な活動によって多くの聴衆が会場にやってくるのでしょう

拍手に迎えられて女性3人が朱色のロングドレス,チェロの大友さんが黒のスーツで登場です 向かって左から第1ヴァイオリンの西野ゆかさん,ヴィオラの吉田有紀子さん,チェロの大友肇さん,第2ヴァイオリンの山田百子さんという配置を取ります 先日聴いた古典四重奏団はヴィオラとチェロの位置が逆でした.それぞれのカルテットで個性があるようです

1曲目のモーツアルト「弦楽四重奏曲第11番変ホ長調K.171」は当時17歳のモーツアルトがウィーンに旅行した際に作曲されたものですが,その際ハイドンに出会っています この曲はハイドンの弦楽四重奏曲に刺激を受けて書いたのではないかと思われています.聴いているとなんとなく取り留めのない印象が残りますが,それがハイドンの影響による実験的な試みの結果なのでしょうか

この曲が終わったところで,左のブロックやや前方の席に座っていたYさんがやや後方席に移られました.その理由は後で分かります

2曲目のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第10番変ホ長調”ハープ”」は,「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」や「ピアノ・ソナタ”告別”」などと同じ時期に作曲されましたが,冒頭がモーツアルトの不協和音カルテットの冒頭に似た曲想で始まります 一番特徴的なのは第3楽章「プレスト」でしょう.”運命”の動機が姿形を変えて登場します

休憩時間に再度,Yさんと立ち話をしました.シティフィルの仕事を勇退されてからは,まとまった音楽関係の仕事に就くこともなかったようで「かつてほどコンサート通いも出来なくなった」と話されていました「この小ホールはどの席で聴いても等しく良い音がするので好きですね.さっき席を移ったのは,空調が体に当たる席だったのです.それを避けるために後ろの席に移ったのです」と教えてくださいました.私が「あす土曜日は大学オーケストラを聴きに東京芸術劇場に行く予定です」と告げると,「私は北とぴあで開催されるシャルパンティエのオペラ”病は気から”を聴きに行く予定です.大学オーケストラは,飯守泰次郎さんが指揮を執るコンサート(注)を聴きに行こうかと思っています」とおっしゃっていました.飯守泰次郎さんはYさんが東京シティフィルの事務局長だったときの常任指揮者でした          (注)12月5日.東京芸術劇場にて.桐朋学園大学.飯守泰次郎指揮:ブラームス「交響曲第4番」.高関健指揮:マーラー「交響曲第1番」.

休憩後のブラームス「弦楽四重奏曲第3番変ロ長調」は,Yさん同様,私も初めて聴く曲です それまでの四重奏曲と違い明るい曲想の音楽で,ブラームス自身も3曲の弦楽四重奏曲の中で一番気に入っていたとのことです

第1楽章の冒頭を聴いた時に感じたのは,まるでドヴォルザークのような”軽さ”でした 次第にブラームスらしさが全体を覆ってきますが.第2楽章「アンダンテ」は憂いに満ちた曲想です 「秋の今聴くのが最も相応しいのがブラームスの室内楽だな」としみじみ思うのが,こういう緩徐楽章です 第3楽章「アジタート」はヴィオラが”待ってました”とばかりに大活躍します.吉田有紀子さんの演奏は音楽性が豊かで好きです 次いで第4楽章のフィナーレを迎えます

そもそもこのコンサートを聴こうと思い立ったのは,今年6月にサントリーホール”ブルーローズ”で開かれた「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」にエクセルシオSQが出演した時に,ヴィオラの吉田有紀子さんの演奏が素晴らしかったからです

ブラームスというと4つの交響曲,室内楽ではピアノ五重奏曲など”重い”印象の強い作品を頭に思い浮かべがちですが,こうした長調の明るい曲もいいな,とあらためて思い直したコンサートでした

 

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