ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

生き生きと町会役員の活動をしている風景 アイデア広場 その796

2021-01-20 18:06:10 | 日記


 町内会の役員を引き受ける人がいないことが、全国的に話題になっています。私の知人の町会では、2018年に役員のなり手がいないということで、新しい役員選出方式を作りました。いわゆる輪番制という形式です。1回目には新しい役員選出方法で、新しい7名の役員が決まりました。役員の任期は2年で、2年間やれば次の人が代わってくれると、てっきり信じて役割をこなしてきました。この役員チームで、コロナ禍の難しい情況を乗り切ってきたわけです。そして、2回目の輪番制の年に入ったのです。でも、2回目の選出になったとき、前と同じように、役員のなり手が出なくなったのです。信じた方が、悪かったようです。7名の役員のうち、会長や副会長などの3名が続投となったわけです。役員の輪番制が崩れると、人の良い人が、心ならず何年も続けるということになるようです。良心的な方は、町内会の10年とか20年と続いた事業や慣習を、自分の代で変えることができないようです。慣例の事業に、加えて行政からの仕事を引き受けるようになります。行政からは、町内会にとって「良いこと」が次々に提案されてきます「良いこと」はやらなければならないと、引き受けて負担は増え続けていきます。役員のなり手がないにも関わらず、役員の仕事は次々増えていく悪循環が続くことになってしまったのです。
 町内会の仕事が増えている理由には、市町村からの委託業務の増加があります。この委託業務には説明会、そして研修などの要請が付属的についています。ある町会の会長さんは、町会の行事を含めて年間100件以上の会議や出張の要請あったのです。普通の会社員では、務まらない仕事量になります。これを見ている人は、会長はもとより、役員を引き受けることはなくなります。町内会の多くの仕事は、こうした市町村の委託業務が活動の主流となりつつあります。もっとも、町内会に対して、市町村は指導監督権限がありません。町内会が、市町村からの委託業務を引き受け、委託料をもらう限りは責任を負うという立場になります。市町村からの委託業務は負担ばかりで意味がないと思えば、委託を受けない選択肢も当然あります。知人の町会では、15万円ほどの支援金が出ているようです。このお金をもらわずに、自立して町会のことは、町会の事情を考慮して行っても良いわけです。
 例えば、福島県の福島市は、紙媒体の回覧板の情報伝達を電子化する実証事業を始めたのです。電子メールの導入による迅速な情報伝達は、ゼロカーボンの社会にはふさわしいものです。普通に考えれば、良い提案です。市は、電子メールの効果や通信機器の普及状況などを検証することにしました。このモデルには、市内の4町会が選ばれました。昨年12月には、4モデル町会向けの説明会が市民会館で開かれたのです。市の担当者から、取り扱う文書や実証事業内容の説明があります。実証事業は、市が電子メールで回覧文書を町内会の会長さんにまず送信します。次に、会長から会員にメールやlineを通じて情報を伝達する仕組みになるようです。市の担当者は、紙の使用が減り、情報は素早く伝わるというメリットを強調します。でも、市が良かれと思うことが、町内会の役員には過重負担になっていくのです。このような事例は、部分最適、全体最悪のケースになることもなります。
 この市のやり方が、どの程度の負担になるかのヒントがあります。新型コロナウイルス感染で全国の小中高が一斉に休校になりました。その時に、いくつかの小学校は、オンライン授業を取り入れました。この授業を行う中に、ヒントがあるのです。各学校は「臨時休校」期間の子どもの学習をどのように確保するかという問題に直面しました。「オンライン授業」と聞くと、一人一台パソコンが前提という印象をもってしまいがちです。でも、各家庭のIT状況はいろいろです。学校は、保護者に、「スマホがあれば学べると捉えていただき、ご協力いただきたい」と学校の意図を伝えることから始めます。家庭に子どもが使える機器はあるかどうか、ネット接続はできるかどうか、ネット環境はあるが機器がないとか、器機の使える時間帯はいつかなど調べる作業があるわけです。その上で、全員が学習できるオンラインの授業を構築していく作業があります。蛇足ですが、オンライン学習には、非同期型のオンライン学習と同期型のオンライン学習があります。非同期型のオンライン学習は、簡単にいうと提示したプリント課題に取り組む形式になります。同期型のオンライン学習は、子どもと教員が画面越しで、双方向にやり取りができる形式になります。「双方向型オンライン学習」を実施したのは、小学校で8%でとごくわずかでした。非同期型のオンライン学習は、いつ学習に取り掛かっても良いというメリットがあります。でも、伝達の場合、全員に徹底するには、事前に送信や受信の時間を決めておくことが必要です。福島市の担当者から、会長へ、そして会長から会員へという伝達経路になるようです。むしろ、市の担当から直接会員へ伝達したほうが、合理的のように思います。おそらく、災害時を想定して、この電子化を進めているようにも思えます。
 そこで、災害時の対策についてのお話になります。近年の災害から学ばされることは、分散避難が原則だということのようです。2020年9月に発生した台風第10号は、日本に接近後に朝鮮半島に上陸した台風です。台風第10号は過去最強クラスと言われ、特別警報の発表も予想されました。ホテルなどに分散して避難する「分散避難」が初めて大規模に実施されたケースになりました。分散避難は、3つに要約できます。まずは、自宅で自分の安全を確保することです。第2に、自宅が危険となれば、知人宅やホテルなどの自宅外避難を選択します。最後の手段として、指定された避難所を選ぶということになります。でも、避難所は決して快適な場所ではないということです。それが分かるようになったために、今回の台風ではホテルなどの2番目の分散避難が多くなったわけです。分散避難の増大の要因は、避難先の事前検討や在宅避難を想定する人が増えたことによるともいえます。福島市が電子化を災害に利用する場合、自宅避難、ホテル避難、避難所と事前に把握できれば、対策をたてやすくなります。
 町内会の役員を引き受ける人がいないことが、話題になっています。でも、すべての町会の役員がイヤイヤやらされているわけではありません。生き生きと活動を、行っている町内会もあるのです。積極的な町内会では、5000万円の自主財源を作り出したところもあります。5000万円をもとに、I T器機を整備し、子ども達の1Tのスキルの向上を図っている町会もあるのです。パソコンやコピーも無料で利用できるため、会員による多様な活動を行っている町会もあります。だれでもが、役員になれるような仕事量であればよいわけです。そこに、共通の趣味があり、「楽しいこと」があれば、役員はやりがいのある地域の仕事になります。
 そこで、知人がハッピーに役員を務めている情景を再現してみます。国土交通省のスマートシティ構想では、ウオーキングが重視されています。歩けば健康になり、医療費は軽減されるということです。知人は、会員が健康という利益を獲得し、社会に貢献でき、町会役員の仕事が激減する町内会の仕掛けを作ったのです。スマートシティの構想では、1人が1000歩を歩くと60円の医療費節減になります。この町会の100人が1000歩100日歩くということで、60万円の医療費節減という社会貢献したのです。役所からの配布物を班長さんや役員が配ることを止め、回覧文書もやめました。町会の会館に、回覧文書を張り付けたのです。会員はそれを見に来るために歩いてくるわけです。それが、1日1000歩ということです。配布物は集会所に置いて、それを会員が取りに行く方式にしました。
 次に、減らした仕事は、役所から依頼される研修や集会に参加しないことでした。その代わり、市から補助金の15万円をもらわないことにしました。市町村からの委託業務を引き受け、委託料をもらう限りは責任を負うという立場になります。委託業務は負担ばかりで意味がないと決断をしたのです。そのために、市からの委託業務に関わる100件の仕事がなくなりました。補助金の15万円をどうするのかという問題が残ります。60万円の社会貢献をしました。この町会は、赤い羽根や歳末助け合い募金の寄付金を12万円支出していました。15万円の4倍の貢献をしているので、これらの12万円の寄付を止めたのです。歩く仕掛けを作ったことで、町会員の健康は向上し、役員の仕事は激減しました。おかげで、役員を引き受ける人が、心配せずに引き受けてくれたというハッピーエンドのお話です。市役所の回覧版の電子化も良いのですが、歩いて見に行くというシンプルな形式も選択肢になるかもしれません。
 後日談ですが、100人の町民が会館に歩いていく時間が、子ども達の通学や帰宅の時間と重なるようになり、自動的に見守り隊の役割を果たすようになりました。あと、分散避難の事前検討や在宅避難を想定する人たちは、非常食をストックするようになりました。そんな仲間が話し合うようになり、新しい災害の知見が出てくるようです。非常食は、普段食べ慣れているものを備蓄品いたほうが良いようです。いざ災害のときには、普段食べているものがあると気持ちが落ち着くという理由です。賞味期限が1年くらいの備蓄食品を「家族の人数分を3~7日分」を備えておくのが一般的です。この仲間たちは、会館の周りで、月に1回程度の割合で非常食を料理して、歓談するようです。非常食は、常に入れ替えて、賞味期限切れにならいような配慮が必要です。防災では、「自助・共助・公助」の3つが問われます。最近の災害を考えると、公助に依存しすぎず、自助・共助を重視すべきという考え方が増えました。防災も自助の時代になり、非常食の「ローリングストック法」も注目されるようになりました。それを実践する人々も、町内会に現れているということです。

ドライバーの収入と健康を向上させる仕組み アイデア広場 その795

2021-01-19 18:07:28 | 日記


 新型コロナウイルス感染の拡大で、外出を自粛の動きが継続しています。外出自粛のムードにより、料理店舗の売り上げが低迷している状況です。代わりに、料理店舗は出前館などを通じた宅配依頼が急増しています。調理が、全く間に合わない状態のお店もあるようです。出前館とウーバーイーツでは、緊急事態宣言後の利用者が6割増となっています。ウーバーイーツは、注文が殺到する地域をアプリで赤く表示しています。一点100円以上のボーナスを支払うことで配達を誘導しているのです。感染の継続により、宅配需要が高まり、対応店舗もこのチャンスを生かそうとしています。アマゾンは、米連邦航空局からドローンを使った配送サービスに必要な認可を受けました。まだ、実現はしていませんが、ネット通販サービスにドローン配送を導入する計画です。ラストワンマイルのボトルネックの解決のために、ドローンの採用を決めたわけです。2kgまでの重さの商品を、注文から30分以内に発注者の自宅の庭などに商品を届け、それを自動操縦で飛行することを目標にしているのです。ラストワンマイルをスムーズに行う仕組みを、多方面から実現しようとしています。人を使った配達や最新のドローンを使った配達などを考案する機運は高まっています。
 一方、配達の方法に工夫が求められるようになりました。マクドナルドは、日本全国の331店で宅配業務を展開しています。この会社は、排ガスを出さない電動3輪バイクの使用に徐々に移行していく計画を立てています。マクドナルドが導入するのは、日本の企業が発売した電動3輪バイクになります。電動バイクの車両価格は、一般にガソリン車と比べて6割ほど高くなります。でも、数年単位で利用すれば、ガソリン燃料のバイクに比べコスト負担が軽減できるのです。ガソリン車で、定期的に発生するエンジンオイルや駆動系部品の交換も不要になります。新型コロナ感染拡大による宅配需要の増加で、電動3輪バイクを採用する飲食店が増えています。排気ガスをまき散らすガソリン車を使用する企業よりも、環境に配慮する企業のほうが、これから評価が高くなる時代です。
 人の有効活用を考え、先端技術を開発し、そして、その2つのコストパフォーマンスを考慮する時代になっています。新しければ、良いというわけでもなりません。アメリカのメジャーでは、運動能力の高いアスリート系の選手を外野に配する傾向が出てきました。メジャーの内野守備は、近年データを駆使し、極端な守備隊形を取る方式が定着してきたのです。内野が抜かれても、外野で抑えれば良いという考え方です。内野の運動能力のある選手であれば、外野に回したほうが良いというデータが多くなったともいえます。内野手には、「君たちは決められたところに立っていればいい」、そして、抜かれた場合はデータが間違っていたと割り切るようになったわけです。このデータ野球が、いい結果を残していることに驚きを覚えた方は多いようです。さらに、報酬の高い選手はトレードに回して、報酬が低くともチームの戦力になれる選手を入れる傾向も出てきています。
 人の活用という点では、お隣の韓国では、面白い宅配形態があります。ある面で、非常に合理的な仕組みです。ソウルの宅配事業団では朝から高齢者が、宅配依頼が入るのを待機室で待ちかまえています。軽量の荷物や書類を届ける宅配事業団では、朝から高齢者が宅配依頼の入るのを待っているのです。65歳以上の高齢者は、ソウルの地下鉄が無料で利用できます。地下鉄を利用できるために、宅配を安く請け負うことができるわけです。安くて、確実であれば、依頼は多くなります。宅配歴6年の73歳の老人は、地図アプリを使いこなして配達しています。1日の稼ぎはおよそ2000円で、月に4万円を稼ぐといいます。年金制度が十分に確立していない韓国では、月に4万円は年金を上回る収入だと言うことです。彼は、歩くのは健康に良いし、毎日決まって出かけるところがあって幸せだといっています。日本でも、地方自治体によっては、バスが無料で乗れる地域が多いようです。増加する高齢者を、有効利用する仕組みを作ってはどうでしょうか。60代後半の人が、40分ほど速歩を1年続けたところ、海馬の容積が2%増加したという報告があります。認知症などの予防にも、使える仕組みになるかもしれません。
 宅配も速さだけでなく、環境や福祉の観点からビジネスに繋がると時代になっているようです。満足は、速さだけではありません。アマゾンと差別化できるものができるならば、規模や速さで対抗する必要がありません。ニューヨークのマンションの人達に一番売れた家庭用品は、花壇に使うガーデニング用品になっています。隙間ビジネスは多くの人にではなく、ほんの一部の人が満足するものを届ければ良い環境になっています。物質的にも精神的にも人の要望を満たすモノを、届ける仕組みを作れば勝ち組になります。ゆっくりと花壇の花の成長を見守るゆとりの精神の中にも、ビジネスチャンスが潜んでいるようです。また、高齢者が働く中に生きがいを潜ませておく仕掛けにも、ビジネスチャンスがあるようです。
 ドライバーを長く続けていた方の健康寿命は、短いとされています。流通業に関わる人たちの健康が、心配されるわけです。健康志向の現在、多くの人々が、体重体組成計や血圧計、そして万歩計から、健康データを把握しています。リストバンド型の活動量計は、歩数や睡眠時間などをセンサーが計測していきます。歩数や睡眠時間のデータを、専用アプリで解析するサービスもあります。そして、体重体組成計や血圧計、リストバンドからのデータ収集は、スマホでカバーできる時代になってきたようです。目の動きは、スマホのカメラをかざしておけばわかるようになりました。運転席の頭上にスマホ置き、運転手の目の動きを捉え、センサーでクラウドに送信することができます。目の疲れは、ドライバーにとって命取りになる場合があります。ドライバーの健康は、ある意味でとらえやすい環境になりつつあるわけです。
 高等動物の脳は、常に熱を持った状態で活動するようになりました。進化を加速したのは、哺乳類と恐竜を子孫に持つ鳥類になります。鳥型恐竜は脳の発熱が多いために、トサカが脳を冷やす役割を担っています。人間の場合、入眠の前に手足の指先が温かくなることが知られています。8時間の眠りのうち、6時間がノンレム睡眠、2時間がレム睡眠といわれています。ノンレム睡眠は大脳を鎮静化し、大脳の機能を回復させるための休養の時間になります。睡眠の時間まで、脳が活動的になると脳の機能が損傷します。深いノンレム睡眠の確保が、人間の健康を保証しているわけです。流通に従事した方は、健康寿命が短いケースが多いのです。その理由は、睡眠不足が日常化していたためともいわれています。宅配ドライバーの方は、睡眠をきちんととれる職場で働くようにしたいものです。睡眠を個人の責任で取るということは、ある面で当たり前とされます。でも、宅配業務は、大きな社会的な役割を果たす業務になりました。この仕事に従事している方の健康は、社会全体で保障する時期にきているようです。ドライバーの方には、働くときも健康な状態でお金を稼ぎ、ドライバーを辞めてからも健康に過ごす仕組みを作っていきたいものです。



減速中国経済の中にビジネスチャンスを見出す アイデア広場 その794

2021-01-18 18:32:18 | 日記


 世界経済は、富が労働者と資本家にバランスよく分配されることで、経済の好循環が生まれると考えられてきました。人口が多ければ、人口ボーナスが増えるという定説も信じられてきました。その理論によれば、労働人口の減少がその補完的関係から技術進歩や資本蓄積も停滞することになります。長期的には、労働人口が減少する国ほど、経済成長率は低くなるというわけです。この定説は、ヨーロッパや日本の経済先進国で見られている現象でもありました。一方、最近の技術革新は、この定説に意義を唱えるようになりつつあります。技術革新が起こることで、人手不足は経済成長に必ずしもマイナスの影響を与えない現象がでてきたのです。労働力の減少がもたらすマイナスを、新技術の開発によって、プラスに代えるケースも出てきているわけです。中国の人口ボーナス減少論が、以前から経済学者によって強調されてきた経緯があります。一方、労働人口が減少すると、新技術が加速的に進歩する結果、経済成長は逆に促進されるという説も少数ですが認知され始めているようです。もっとも、新技術が良いことばかりもたらしているわけではありません。新技術が急速に広がる分野は、労働分配率の低下という現象がとくに顕著となりつつあるのです。そんな混とんとした世界において、日本の企業がビジネスチャンスをつかむことを考えてみました。
 中国の現在の発想からは、基本的人権、民主主義、法治主義、国際法といった発想がありません。中国は伝統的に、農地を子どもに相続し子孫の生活を安定させ祖先崇拝をしてもらうことに価値を置いてきました。祖先を崇拝し、年長者を敬う儒家の考え方が根付いていたのです。この儒教的な伝統を一瞬にして破壊した事件が、毛沢東が指揮した文化大革命でした。文化大革命は、性に関する伝統や慣習も一掃してしまいました。この革命の特徴は、警察と軍が動員されず人民が暴れまわったことにあります。たった10年間の文化大革命で、中国の伝統が完全に否定されてしまったのです。もっとも国民の精神の奥底には残っているのでしょうが、伝統の上位に共産党の権威が位置するようになりました。文化大革命は、意図せずに市場経済に適さないような中国の伝統や習慣、そして行動様式を一掃したともいえます。この革命により、伝統の拘束力が低下し、中国人が自由になり、改革開放を進めやすくなったのです。
 先進国でも富の偏在が進み、一部の富裕層が多くの富を占有するようになりました。中国でも、富が中国共産党の有力者に集まっています。中国の16億円を超える富豪は3200人と言われ、そのうち2900人は共産党幹部の子弟となっているようです。この国では、違法でも何でも売れれば良いというルールが無数に存在していました。利益集団化した官僚や共産党支配層の存在は、腐敗や汚職の蔓延と深く結びついていたのです。企業は、儲かったら従業員に少し分けます。工場長が多めに取って、党の幹部に付け届けするという構図ができていたようです。膨大な汚職が発生したけど、みんながうまく分けあったので、あまり不平は出ませんでした。共産党の権限がある限り、市場経済から巨額の収入が共産党幹部に入っていたのです。経済が順調なときには、ある面で分かりやすい仕組みでした。でも、経済成長が少しずつ低下してくると、分配が不公平に感じるようになります。下層の人々への分配が減ってきました。すると、収入の減少や環境破壊、そして汚職腐敗などが表立ってきます。これらを背景として、市民の不満が増大しているように見えます。
 中国では2018年10月ごろから、経済の厳しさの到来を予感して、家計の倹約に心がける人々が増えてきています。この倹約の流れは、民間企業にも出てきています。中国では、国有企業が増強し民有企業が縮小する局面が現れはじめています。政府の支援を受ける企業は、依然として資金や資材の不安がない状態になっています。自主イノベーション能力増強の担い手として、国有企業は政策的優遇を受けてきたのです。以前、国営工場は原材料が割安な公定価格で仕入れた後、市場に横流ししたほうが儲かるとまで言われていました。この非効率的な国有企業の利権に、メスを入れる姿勢が共産党には見られませんでした。でも、状況は変わりつつあるようです。中国経済が拡大するにつれて、成長に必要な資源やエネルギーの確保は切実になっています。無駄が、許されない情勢になってきたわけです。
 中国は安全保障の優先順位が極めて高く、そのことを国民のすべてが理解しているようです。人民解放軍は、国境を守るだけでなく、国家利益も守る体制を目指しています。一方、軍隊は生産性がなく、消費するだけの存在になります。中国の軍事は、すでに巨大な規模になりました。このコストを維持しようとすると、経済成長の停滞を招く要因になってきました。中国では経済規模の拡大と生活水準の向上が、必ず両立しているとはえいません。国防の予算を、民生に回す時期になってきたのかもしれません。中国にとって明るい話題もあります。10年ほど前に作成した重点産業政策は、情報、バイオ、先端製造業、海洋技術、レーザー技術、宇宙技術などの8分野でした。これらの産業が順調に成長して、開花の時期を迎えているのです。中国の鉄道網は、公共投資で過剰なほど充実しています。自由な発想のできる人材が出現すれば、今までの投資を利用しながら中国の抱える問題を解決できる可能性を持っています。
 中国の弱点は、工業生産施設が深川などの海岸地域に集中していることです。アフリカからマラッカ海峡を通過し、南シナ海を通過するルートには多くのリスクが伴います。たとえば、石油の輸送がマラッカ海峡で止まれば、中国の工業地帯は大きな打撃を受けます。アフリカからミャンマー、中国への陸のルートは、経済通路としての利点を持っています。ベンガル湾からミャンマーに陸揚げされたアフリカの資源は、鉄道を通して中国に運ぶことができます。中国はミャンマーを開発し、アフリカからの原油や鉱物資源を中国に運ぶ通路にしようとしています。ミャンマーから雲南を通過して、中国の内陸部に工業資源を送ることが一つの念願です。中国の内陸部の開発が、国内の経済格差の解消につながるからです。また、中国はミャンマーを通じて、自国の商品をアフリカに送ることも可能になります。中国にとってリスクは少ない方が、良いというわけです。
 最後に、提案になります。中国経済の減速の中にも、光るダイヤモンドがあるということを知っておくことも必要です。光るダイヤモンドを見つけられれば、ビジネスチャンスをつかむことができます。中国がせっかく建設した港や鉄道施設を、有効に使っていない国々が多いのです。ミャンマーの市場は、中国の企業とミャンマーの軍が利権を握っています。この国が、流通の大動脈になるとするならば、物流センターが必要になります。ミャンマーに物流センターや流通倉庫群を作ることも、将来のビジネスチャンスに繋がるかもしれません。あるいは、流通施設は中国が作り、その施設の効率的運用を担うビジネスの方が利益を得ることができることも考えられます。ミャンマーの軍と中国の企業が、ウインウインになる仕組みはできているようです。ここに、日本の企業がサービス面のソフトを提供することも可能でしょう。入ることができれば、ビズネスの種が大きく育つかもしれません。


イチゴ狩りはロボットを使った遠隔操作で行う アイデア広場 その793

2021-01-16 18:06:39 | 日記

 テレイグジスタンスのロボットが、サンドイッチやおにぎり、そして飲み物を陳列しています。離れた場所にある分身ロボットを遠隔操作する技術を、「テレイグジスタンス」といいます。東京のあるローソンのお店では、バックヤードから商品棚への陳列業務にロボットを活用しています。都内のファミリーマートでも、同様の陳列業務にロボットを活用する検証を始めています。ロボットはカメラを搭載し、その映像を見ながら遠隔地にいる従業員が操作する流れになります。VRヘッドセットを装着し、手に持ったコントローラーでロボットの動きを制御するのです。コントローラーを動かし、バックヤードから弁当を棚に並べる作業を1時間ほどで終えるようです。距離を超えた拡張労働力を浸透させていくことで、新たな小売りの姿を創造するモデルが出現しています。
 国内では1980年代に産業ロボットが普及期に入り、部品の移動や組み立て作業を代替し始めました。でも、決まった品種を、大量に生産する現場での利用に限られていました。事前に教えられた情報に基づいて動くために、扱う部品の変更などへの柔軟性がなかったのです。多品種の製品を扱う現場では、プログラミングが複雑でした。このために、ロボット導入のハードルは高いという現実がありました。ところが、高精度な画像認識を可能にするセンサーやカメラなどの開発が、急ピッチで進展してきました。動作の経路を自動化できる設計が、柔軟なソフトウェアという形で開発されました。ロボットが自分で動き方を判断するように賢くなり、導入コストも半減できる例も出てきたのです。意識の高い中小企業は、既にこのようなデジタル技術を使いこなし始めているのです。
 ある企業の制御システムは、流れてくる段ボールの仕様を自動で判断することができます。従来は、ロボットに段ボール箱の大きさや運ばれてくる順番を教えていました。この進化したロボットは、コンベヤーから送られてくる段ボール箱の大きさや形をカメラで認識します。事前に学習したデータを基に処理するため、現場での高度な画像認識能力は必要ありません。アームについた1 台の汎用カメラで、つかむ位置を判断します。カメラによる段ボール認識とアームの動かし方の速さは、約2秒で計算し、箱の積みつける場所決めていきます。様々な大きさの箱がばらばらに来ても、隙間なく積み上げる優れものです。このロボットの導入は、人手不足の現場に福音をもたらしています。
 サンドイッチやおにぎりを陳列は人がやると簡単な仕事です。でも、人工知能(AI)で解こうとすると難しい作業になります。人ならば、光の当たり方が変わっても、障害物が突然現れたときでも対応できます。産業用ロボットの場合、作業の違いごとに動作を指定するプログラミングが必要になります。軌道計画を指定するシステムの構築には、プログラミング作業に膨大なコストがかかります。コンビニでの作業は、人間がしばらくは遠隔で制御するようになります。もっとも、将来的にはAIがロボットの制御を代替することになるようです。従業員が遠隔操作したデータを、ネット越しに収集し蓄積します。ビッグデータとして、機械学習や強化学習と組み合わせながら利用することになります。将来的には、AIで多彩な作業をできるようにしていくわけです。3年くらいで、ある程度のAIで制御ができるようなると見られています。
 お話は、跳びます。東京の大田市場では青果の初競りが開催されました。野菜の宝船は、青果市場の初競りで出荷される慣例があります。この宝船は、五穀豊穣や商売繁盛の願いが込められた縁起物です。大田市場では例年、桐箱に入った促成栽培の高級サクランボが、初荷の目玉になります。山形県産サクランボの高級品種「佐藤錦」500グラムが、100万円で落札されたのです。マグロの初セリのようです。2020年の80万円を上回り、20万もの高値で取引されました。2020年は、新型コロナ禍で外食店などへの影響が大きな年でした。食に携わる人たちを元気づけたいと、市場関係者は心積もりがあったようです。高値をつけようと昨年の夏ごろから決めていたといいます。江戸っ子の心意気が伝わりました。
 食に関することでは、イチゴ狩りの時期に当たる昨年の2~3月に新型コロナウイルスの感染が拡大し、市場が停滞しました。コロナ禍で、農業関連の企業は事業の変革を迫られているようです。そんな中で、面白い試みが行われました。栃木県のある農園で、オンラインによるイチゴ狩りを始めたのです。スマホを通じて、東京都内や埼玉県から参加者は、Zoomを使って自宅でイチゴ狩りをしたのです。農園の方は、「とちおとめ」や「スカイベリー」など10種類のイチゴを次々と紹介していきます。オンラインの参加者は、「品種の勉強になった」「イチゴが食べたくなった」と良い反応を示したそうです。いちご狩りだけでなく、サクランボやモモなどにおいても、オンライン化は新たな市場開拓の可能性も秘めているといえます。
 オンライン化と言えば、オンラインで客の依頼を受け付ける「衣服のお直しオンライン」のサービスもあります。利用客は、同社のサイトであらかじめスタッフの空き日程を確認し、日程を予約することになります。予約日に、ウェブカメラを使ってスタッフと会話し、衣服の直したい部分について相談するわけです。相談で見積もりの金額に同意すると、クレジットカードを使った決済が行われます。オンラインでの相談で見積もりの金額に同意すると、集荷の手続きに入ります。衣服の引き取りは、宅配便を使うことになります。営業活動を対面からオンラインにシフトし、デジタル技術で仕事を効率的にするモデルになります。企業の75%が、新型コロナを契機にデジタル施策に取り組んでいるといいます。
 最後に、提案になります。いちご狩りをテレイグジスタンスのロボットを使って、行ってはどうかという提案です。自分で収穫したという体験は、収穫した果物を美味しくします。VRヘッドセットを装着し、手に持ったコントローラーでロボットの動きを制御しながら、イチゴを収穫するわけです。2~3月にはイチゴ狩りをコントローラーで行います。メロンは4月の九州からから7月の北海道まで遠隔地の果物を収穫していきます。ブドウは7~8月、モモも7~8月、ナシは7~11月にかけて、そしてリンゴは秋から冬にかけて果物狩り三昧ができます。もちろん、ロボットの利用も重要です。まだまだ高価なロボットですから、レンタルで行います。要請があれば、ロボットを果物産地にレンタルをし、オンラインで果物をするお客にはVRのコントローラーをお貸しするという形になります。果物が到着したときに、コントローラーを返却するようにします。収穫に失敗し傷ついた果物は、ジュースにしてお届けすることになります。ロボットによる遠隔操作の果物狩りが、話題を呼んで、農家の方の所得が少しでも増えればと提案した次第です。



生産効率を高めるプラス思考を継続させる仕組み アイデア広場 その792

2021-01-15 20:10:42 | 日記


 「一寸先は闇だと思うか、一寸先は光」だと思うかで、未来への感じ方は大きく変わるようです。「これからの生活は、どうなってしまうのだろうか」とか、「収入が滅ってしまって生活できるだろうか」などのマイナス思考は、良い結果をもたらしません。「コロナ禍になったが、どうすれば生活していくことができるか」とか、「どうすれば乗り越えられるかな」などのプラス思考の場合、未来が見え始め道は開けるようです。マイナス思考で考えれば、パワーが弱まり、プラス思考で考えればパワーが強まるというわけです。良いことを毎日書き続けると、プラス思考にやすい脳が作られていきます。良い事柄を書くという習慣が、プラス思考の脳回路を形成することになります。
 うつ病の人たちは、あの時ああしておけばよかったというマイナス思考を反復するケースが多いようです。マイナス思考の反復は、脳を疲労させる要因になります。それは、うつ病の症状を進行させることに繋がります。うつ病治療の薬物として、ケタミン、スコポラミン亜酸化窒素などが候補にあがります。最近は、副作用が心配され、投与することが少なくなっているようです。特に、アメリカなどでは、薬物治療を避ける動きが広がっています。代わりに、磁気を用いて脳の活動を局所的に変える反復経頭蓋磁気刺激法と呼ばれる治療法が行われるケースも増えています。この反復経頭蓋磁気刺激法の方法で左背外側前頭前野という部位の活動を高めると、「うつ」の治療ができるとされています。脳に関する疲労や感情の研究は、進んでいるようです。ケタミンなどは、抗うつ剤の作用メカニズムが脳を科学的に解明していく中で見出されたものです。脳の研究が、病気だけでなく、健康な人の脳を活発にする仕組みまで解明する時代になったようです。
 脳への脅威が高まると、急性ストレス反応が起きます。これが長く続くと、心身にさまざまな負の影響が表れるのです。急性ストレス反応が長く続くと、胸の痛み、頭痛、不眠、免疫不全など負の影響が表れます。ストレスや緊張が続くと、交感神経だけが働き続け、自律神経のバランスが乱れるのです。自律神経の乱れは、精神面だけではなく、内臓や骨格、筋肉などにも影響します。脳が脅威を感じると、視床下部から分泌されるホルモンが副腎を刺激するようになります。ホルモンが副腎を刺激すると、コルチゾールが放出されます。このホルモンは緊急時には良い方向に働くのですが、長く働いていると人体に悪影響を及ぼします。これを救うホルモンが、オキシトシンです。このホルモンは、副腎皮質刺激ホルモン放出因子の生産を減らす作用をします。オキシトシンは、ストレスを抑える作用があり、心身を守る働きをしているわけです。
 免疫力を高めるという観点から着目されたホルモンが、このオキシトシンでした。このホルモンの抗ストレス作用によって、ストレスから生じる症状や疾患を改善できるのです。オキシトシンは、愛情ホルモンと呼ばれています。オキシトシンの分泌を促進するためには、受動的な刺激、あるいは能動的な刺激が必要になります。具体的には、親に子どもが愛されること、好意を持たれること、共感される大切にされるという受動的刺激によって、このホルモンが子どもに分泌されるわけです。さらにオキシトシンの分泌を促進には、親が子供を愛すること、好意を持つこと、共感すること、関心を持つなどの能動的行為によって親に分泌されます。親が小さな子どもを可愛いと愛撫する時、能動的にオキシトシンが分泌されます。子どもにとってこの時、受動的にこのホルモンが分泌されるというわけです。これが、自分の子ども以外の人たちにも、波及する現象もみられます。世界では30億人、おおよそ5人に1人が電気を使わずに生活をしています。この家庭の子どもに電気を送り、ランプの下での学びを提供する人たちがいます。学びの環境は、教育により貧困を食い止める糸口になります。このような活動においても、オキシトシンが分泌されるといわれています。
 利他的行動が、注目されています。それを目指す人たちは、人口の変動や地球環境の変化、技術の進化とそれに伴う社会の課題を考えています。予測した未来の課題解決に、何が必要になるか、何が不足しているかを探求しているわけです。未来で提供できる具体的なサービスや商品を、いくつか思い描く人もいるかもしれません。未来に必要なもの中で、自分はどんな価値を提供していきたいかを具体化することになります。自分が、未来に提供したい価値あるものを考えるわけです。現状はどうなっているか、今の自分の状況、周囲の状況はどうか、などの現状分析をします。現状を変化させて、目標を達成できる資源は何か、自分が持っている資源は何かなどの検討をします。困る人たちを、どう支援することができるかなどの対策を具体化することになります。こんな時、脳が活発に働いているかどうかなどを、視覚化するツールがあると面白いことになります。
 あるお店では、店内にカメラとバイオセンサーを搭載したマシンを設置しています。カメラは、お客さんの表情をリアルタイムでデータ収集するのです。彼らの身体情報を収集が普及すれば、お天気レーダーのように人々の感情を俯瞰できるのです。気分が高まりすぎている人には、心が落ち着くハープティーを提供することになります。悲しい気分の人には、やさしい昧のスープを提供していきます。このエリアにいる人々が、全体としてどんな気分なのかを俯瞰します。その上で、適切なメニューを提供するようになります。お客の過去の情報が多ければ、膨大なデータと照合解析して、お客さんのいまの気分を測定、それに見合ったメニューを提供することが可能になります。
このシステムを、会社の生産性を向上させる仕組みにも応用することも可能のようです。
 職場や組織が疲労することを知る優秀な企業トップたちは、いち早くマインドアルネスを導入しています。一流の起業家や経営者たちは、マインドフルネスの実践者であることも知られています。グーグルなど世界を代表する上位企業でも、次々とマインドフルネスが導入されています。マインドフルネスは、瞑想などを通じた脳の休息法の総称になります。オフィスや空港などにも瞑想ルームが設置されるほど、これはメジャーなものになっています。この長所は、副交感神経を優位にすることで、ストレスへの耐性をつくりだすことにあります。全社でマインドフルネスを導入したある会社は、社員のストレスが3分の1になったという報告があります。この瞑想の導入後、医療費が大幅に減り、生産性が年間約3000ドルも高まったともいわれています。
 そこで、提案になります。瞑想の心身の状況をリアルタイムで捉え、どのような感情の動きのときに脳が活動的になったのかを調べることができれば、面白いことになります。脳が活発になった時に、ハープティーの提供が生産効率を上げたとなれば、一つの仕組みができます。悲しい気分の人には、アップテンポの音楽を流したところ、気分が高揚したなどのデータが出てくれば、作業効率の面で利用できる材料になります。さらに、チーム作業が効率的に流れているときに、どのような環境を用意すれば、流れが維持できるのかなどが分かれば、さらなる高みの仕組みを準備できることになります。「うつ」の状態の時、利他的な行動の時、生産性を上げている時などの脳の働きなどが、視覚化できる技術ができつつあるようです。視覚化できた情報にプラス思考を加味すれば、生産性の高い状態を続ける環境整備ができるかもしれません。



富裕層の富を社会に分配する仕掛け  アイデア広場 その 791

2021-01-14 18:16:42 | 日記


 戦後、日本経済が発展する中では、先進国の技術を模倣しました。ある意味で、先進国の技術導入が日本経済成長の源泉でした。日本は、技術を先進国から模倣することで実用的な技術を蓄積し、高度成長を実現したわけです。技術進歩が、経済成長の原動力になったともいえます。この成長時においては、所得が労働者と資本家にバランスよく分配されることで、経済の好循環が生まれました。そのような環境で、日本が先進国の仲間入りをし、技術面でも世界のクラスを維持することになりました。でも、労働人口が減少すれば、その補完的関係が崩れ、技術進歩や資本蓄積も停滞するという心配が出てきます。トップクラスになると、もはや模倣によるモデルでは技術進歩は実現できません。
 今あるビジネスの多くは、不便を便利に変えたことで成長してきました。たとえば、世界に誇る炊飯器などはその最たるものでしょう。かまどに火を入れてからご飯を作る姿が、昭和の20年代には見られました。日本は、多くの不便を便利にする器具を開発してきました。そして、今その役割は中国が世界の工場として生産を担うようになります。最初の内は、大量生産の衣類のように、価格が安ければ広く市場を獲得できました。でも、消費者の多様なニーズが、重要な要素になってきます。象徴的な事例があります。ワークマンは、機能性の高い作業着を安く提供できるようになりました。それまでは、中国の工場が大量生産で日本に提供していたものです。でも、消費者のニーズを、満たす製品ではなくなってしまったのです。働く人々は、性能と同時に美的感覚を満たすような製品やサービスも求めるようになりました。中国よりコストの安いミヤンマーでの生産は、数十とか数百といった小ロット数で生産することができます。ミヤンマーでの生産は、製品の多様化と消費者のニーズをとらえている生産様式になってきたのです。
 このような生産方式が広まっているのですが、大きな問題が起きていることに気づく人たちが現れました。人々のニーズが多様化し、生産活動が盛んになっているにもかかわらず、売り上げや富の多くが少数の企業に集中する傾向がでてきたのです。グーグル、フェイスブック、アマゾンといったネットサービスの登場が、この傾向を特徴づけています。企業の内部留保や経営者や創業者への報酬が、莫大な額というという形で分配されるようになりました。技術革新によって新技術が促進されても、その恩恵がすべての人々に行き渡るとは限らないことが起きてきたのです。巨額な利益が、ごく一部の大富豪に滞留するという現象が多くの国々で観察されています。その一方で、中間層を中心に全体の所得分布が下がる傾向が、多くの先進国で起きているのです。少数企業へ富が集中した結果、賃金の低迷の形で労働者への分配が減少しているというわけです。技術革新による最先端の技術の進展は、すべての人々に「豊かさ」をもたらすとは限らないことを如実に示しています。
 デジタル化の有無により、時代に乗れるか乗れないかという新しい格差が生み出されつつあるようです。利用の検索履歴のサイトの情報をもとに、利用者の関心事や消費傾向などを入手でき環境が整っています。ロボットやAIなど新技術が、労働力を代替する分野が急速に広がってきました。これらの新技術の製品の高機能化で、複雑な操作のスキルが求められるようになりました。技術革新の中で生活水準が向上するには、技術を使いこなすスキルが必要になります。新時代に対応できる人々と、そうでない人々の間で所得格差が拡大する可能性が出てきています。個々人の中にスキルの差があれば、それは所得格差が拡大する大きな要因となるというわけです。
 一般事務の有効求人倍率は、1.0倍を下回ることが多くなりました。看護や介護の場合は、優に4.0倍を超す職業になります。でも、なり手がいないのです。これらの仕事は、負担が大きいために敬遠されているのでしょう。そこで、オーストラリア看護連盟は、「持ち上げない」ということを義務付けた規則を作りました。これらに従事する方には、職業病としての腰痛が多かったのです。看護師が重いものを持たないことになったために、さまざまな機器の開発が進みました。医療介護の現場では、ロボットが介助の作業を補助に使われることになったのです。ロボットを導入したことで、腰痛は激減しました。さらに、良い結果をもたらしました。介護現場で聞かれるのは、遠慮、まさに「気兼ね」だったのです。身体接触やその他のプライバシーへの配慮が、ロボットの導入で軽減しました。介護において、ロボットであれば気兼ねがいりません。ロボットなど新技術と労働との間には代替的関係があります。でも使い方によっては、人とロボットの補完関係も成り立つわけです。
 自由な競争市場には、イノベーションをもたらし、社会に豊かさをもたらすとされます。でも、自由な競争市場には、相手を犠牲にして自分だけが儲かるための創意工夫を促す側面もあるのです。ネットでは、利用の検索履歴、購入履歴や閲覧したサイトの情報を入手することが可能になっています。利用者の関心事や消費傾向などに関する膨大なデータが、コストをかけずに入手できる状況ができています。このような状況の中で、オレオレ詐欺などの事件が多発しています。ネット環境を悪用して、高齢者を陥れる仕組です。経済システムには、多くのごまかしを生み出すメカニズムが広がってしまう側面があります。有害な食品や医薬品の販売でも、無知な人たちをだます商法が後を絶たちません。情報通信関連の分野では、衛生や健康関連の分野などとともに、「コロナ特需」が堅調に推移しています。この高度情報社会が大きく進展する中で、スキルや知恵を持たない人への偽善商法が行われている現実があります。
 最後になりますが、富裕層と経済弱者の二極分化が続く状況が起きています。分配の不条理により、所得格差はこれまで以上に拡大しているわけです。ジニ係数は、社会における所得の不平等さを測る指標になります。ジニ係数が、0.5~0.6になると慢性的暴動が起こるとされます。日本は0.38ぐらいで、何とか安定を保っているようです。このまま世界の二極化が進んでいくならば、世界は不安定な社会になってしまいます。富裕層の富を、経済弱者に分配する仕組みが求められるわけです。人は、人のためになる行動を取ると幸福感が高まると言われます。富を持つ人が弱者に富を与えることによって、幸福感を高める仕掛けを作れれば面白いことになります。もっとも、弱者も富を分けてもらうだけでは、満足しないでしょう。弱者も社会的に自立し、社会に貢献できる仕組みを作りたいものです。勝者と敗者の間の所得格差の拡大を、弱者の自立という経済行動を通して解決していくわけです。社会的弱者を取り残さない国や地域が、真の豊かさを実現するパラダイスになるかもしれません。



61万人のいじめ体験者が誹謗中傷をなくす人材に育つ アイデア広場 その790

2021-01-13 18:08:10 | 日記


 静岡県浜松市では、昨年7月下旬に飲食店でクラスター(感染者集団)が発生しました。このクラスターが発生してから、SNSで感染者や店を攻撃する悪質な発言が増えたのです。浜松市は、この誹謗中傷をなくすため取り組みを始めました。誹謗中傷は、社会全体が萎縮させてしまい、さらに悪いことに感染対策に支障が出ると危惧されました。「すべての人に優しさと思いやりの心を」と題したメッセージを、市の運営施設に掲示する対策を取ったわけです。同じように、長野県も新型コロナウイルスに伴う誹謗中傷の抑止を狙った共同宣言を公表しました。インターネットなどを通じて、感染者や医療従事者への誹謗中傷を抑止する対策を行ったのです。誹謗中傷やデマを流すことが、重大な人権侵害に当たるとし、こうした行為を控えるよう促したわけです。
 社会が不安定になると、小さなデマや中傷が、大きなストレスになることがあります。東日本大震災や熊本地震などの災害時、自宅が倒壊した人やその恐れのある人は避難所に避難しました。避難所にはプライバシーもなく、衛生状態も良くありません。慣れない避難生活は、ストレスに満ちています。精神的に疲れてしまうと、がまんする自制心も低下していきます。こんな中では、状況に応じた臨機応変の判断や行動ができなくなります。全国から送られた支援物資の多くが、荷ほどきもされないまま山積みになっているケースが報告されていました。災害支援に当たっている公務員の方は、公平感を大事にします。パンも水も、公平に平等に配布しようとします。パン一つもらうのにも、長い時間を並び、ストレスが高まります。公平である前に、パンを食べたい人に配ることを、避難してきた人たちに任せるという選択が合理的です。災害対応を行う公務員の方は、公平であることより市民の良識にまかせる度量も必要というわけです。やり方次第で、災害の避難所が、市民が自分たちで、協力を求めることや助け合う力を高めていく場になります。
 文部科学省は、2019年10月に2018年度のいじめの認知件数を54万人と発表しました。そして、2020年10月には、2019年度の小中高校などで認知されたいじめが61万件と過去最多を更新したと報告しています。いじめの認知件数は、前年度に比べ、約7万件増えたことになります。増加幅が最も大きかったのは、小学校の約6万件です。増えた理由は、例年同様の回答になっています。学校が初期段階の対応を強化するため、いじめを積極的に把握するようになったために増えたという分析です。この6年間、いじめの認知件数は増え続けています。その理由に、強化と積極的の言葉が出てくるわけです。でも、認知したいじめのうち、83.2%が2019年度中に解消しているという成果には注目したいのです。昨年度も、文科省や厚労省は、いじめ対策を積極的に行うと明言していました。そのために、各市町村の相談事業に費用を助成し、市民団体と共同して子どもの相談に乗る体制を整えるとしていたわけです。その体制整備が少しずつ、成果を現してきたと評価したいものです。
 いじめを積極的に認知して、暴力行為の把握の把握をするだけでは、いじめは減少しません。いじめに参加する子どもは、学校やクラス内で「存在感」が認められないケースが多いのです。仲間から受容されていないことが、いじめの基本にあります。授業で参加意識を持たせ、達成感を積みあげることにより、存在感を増していくことができます。学習に集中できるようにすることが、一つの解決策になります。子どもは、正解が好きです。そして、勉強ができるようになる子を、教師は好きなのです。「わかった」「できた」と感じる体験を、増やしていくことになります。でも、ここに大きな問題が起きているのです。小学校の教員試験を希望する人たちが、2倍以下になると教育の質が極端に落ちるといわれています。現在、小学校の教員試験希望者が、2倍を切る県が増えている現実があります。さらに困ったことには、小学校には英語教育、プログラミング教育と、小学校教師の負担が増える傾向があります。負担が増え、教える先生が未熟となれば、小学校の学習指導や生活指導に不具合ができます。その不具合が、まさに現れているのが、小学校の現場ということができるかもしれません。
 余談ですが、カナダやアメリカでは、男の子がピンクの服を着ていると、いじめが起きます。男性がピンクの服を着ていると「ゲイだな」「ピンクかよ」と、いじめられる光景がでてきます。カナダの中学校で、ピンクのシャツを着て登校した男の子がいじめ集団にいじめを受けました。いじめを見た他のグループは、ユーモアのある行動を取りました。単に、いじめのグループに「いじめはやめろ」という以上のことをしてのけたのです。いじめの集団以外の全校生徒にSNSで連絡し、ピンクの衣類や身にまとうものを用意するように伝えたのです。翌日のキャンパスはピング一色になり、そうでないのはいじめの集団だけになったのです。いじめの集団は、これには黙るしかありませんでした。以来、このキャンパスではいじめがなくなり、ずっと平和が維持されているということです。
 ハッピーな出来事もありますが、今の社会ではいじめはあるものと覚悟しておく必要があります。学校だけでなく、一般社会でも、セクハラやパワハラがなかなかなくなりません。ではどうすれば、いじめを軽減することができるのでしょうか。父親や母親と相談できる子どもは、いじめられにくいという経験則があります。いじめが続くかどうかは、父親や母親と相談できるかどうかが、一番のポイントになります。親子で話し合う場合、いじめの事実を裏付ける確かな物証を確認する作業も大切になります。両親としっかり話し合い、立ち向かうことで、辛いいじめを克服していく力が育っていくわけです。家族の力が低下していると言われています。でも、話し合いのできる家庭は強いと言えます。
 話題のソーシャルスキルの中には、援助を求めるスキルが重要な位置を占めています。自分には力がないとか、能力がないと自信を喪失している子どもが見受けられます。この子どもは視点を変えることができれば、面白い局面を作ることができます。能力がないと思えば、いじけるだけのようです。でも、能力のないものは、助けを求めることが当然という立場に変身すれば、得難い長所になります。脳が未来を想像すると、自然にポジティブ思考になることがわかっています。助けを求めることが、これからの社会ではポジティブ思考になることを自覚すれば良いのです。いじめを受けた子ども達が、前向きになる練習や思いやり、未来の想像、人生の流れにゆだねる気持ちを持たせる訓練を行うのです。援助を求めるスキルを学べるクラスや学校は、最先端のソーシャルスキルを教える場になります。61万人のいじめられたケースが、ソーシャルスキルの高める学習の教材になるという発想が出てきます。経験しない人より経験した人のほうが、より高みに登れるものです。失敗を経験した人が、成功する図式が成り立つわけです。いじめを受けた人は、いじめを解決するチャンスがあるわけです。問題は、よりよく支援できる先生が近くいるかどうかという点になります。



元気が元気を産むライフスタイル  アイデア広場 その789

2021-01-12 19:40:12 | 日記


 アイデアの作り方は、組み合わせが基本になります。日本の良いところと韓国の良いところ、もしくは日本に足りないもので、韓国に余っているものを組み合わせれば、アイデアが出てきます。たとえば、韓国には灯油基地があります。日本にも北海道や秋田にあります。九州の方は韓国から輸入したほうが、速いという利点が生じます。利点があれば、それを利用することになります。このようにして、アイデアができるわけです。ある本を読んでいたら、新しく作ったアイデアを2つ組み合わせると、もっと面白いアイデアが出てくるという記述がありました。確かに、その記述には納得できるものがありました。さらに、その新しいアイデアを3つ組み合わせてくださいとありました。そしてアイデアの組み合わせを4つ、5つと増やしてくださいとあるのです。ここまでくると、困難になります。そこで、グーグルの最初のサイトには、ウイキペディアがほぼ載っています。その最初のサイトに載っている私のブログを3つ抜きだし、それを組み合わせて、作ってみたのが今回のブログになります。
 生産性の高い職場で働くことは、楽しいものです。できれば、働くことが社会に貢献していることが実感できればより楽しいことでしょう。一般的に、職場の医療体制は、メタボなど身体的な病気の予防に力点をおく企業が多くなります。社員への運動の奨励などによって、欠勤による損失、出勤時の生産性低下を防ぐことを狙いとしています。この対策では、健康で元気に働いている社員へのモチベーショへの配慮が欠けるようです。生産性の高い仕事を確実に継続するためには、社員のポジティブメンタルヘルスに着目することが求められます。一般の社員のいきいきした生産的な労働は、今までの健康管理の外側におかれてきたようです。企業における医療は、生産性の損失を予防するだけでなく、より積極的に生産性を向上にすることを狙いにすべきです。たとえば、元気なシニアをより元気にすることが、医療費節約や介護費の節約になることは明らかになっています。要介護者にばかりお金を投資することは、社会的に損失という面があるということです。
 仕事をする目的は、よい製品を作ること、よいサービスを提供することになります。少しでも、ルーティンワークが楽しくなるように工夫をしたほうが生産性を上げることになります。工夫の一つに、休日出勤のメリットがあります。「仕事の在庫」を抱えたまま日曜日を過ごしても、月曜日からの仕事が大変になるだけです。大変だとわかっていれば、心理的に苦痛になります。人のいない職場で、集中して仕事をこなすことは効率が上がります。不必要な外からの刺激が遮断され、自分のペースで仕事がはかどります。自主的判断がなければ、仕事に誇りが持つことができないものです。仕事に誇りが持てなければ、仕事の質も低下していきます。生産性が高く安全確実という仕事を、「継続できた」という視点で評価する仕組みもあります。「しない、できない」だけでは、良い仕事とは言えません。現場の創意工夫と臨機応変な対応が奨励されます。仕事に誇りを持って働くようにする仕組みができると、生産性の高い職場になるようです。そのための社員の個々人の多様なニーズを、企業はくみ取ることも大切になるようです。
 高齢者の意識の高まりの流れに沿った企画立案は、日本でも盛んに作られています。その一つに、車いす利用者に対して、全日空(ANA)が中心になって開発した「ユニバーサルお出かけアプリ」があります。このアプリは、駅構内図を表示してエレベーターの位置が見られます。お出かけアプリは、乗車をサポートしてくれる駅係員の手配の仕方も確認できます。このアプリは、車いす利用者に合った旅程を作成してくれるのです。このスマホアプリは、直感的に理解でき操作しやすいデザインに作られています。GPSを備え、トイレの位置を瞬時に把握する機能を備えた優れものです。このようなアプリと電動車いすの組み合わせの実証実験が、欧米では先行しています。これらの国では、空港内を電動車いすが自動走行する実証実験を進めているのです。ここで成功事例が確立すれば、このスタイルを次の地域、さらに次の地域と当てはめる流れになるようです。体が少し弱ったが、意識の高い高齢者層をターゲットにした市場開拓が行われているわけです。お出かけアプリを、より効率的に実現する高性能の電動車いすなどのハード面の製品開発も求められるようです。
 その要望に応えるかのように、日本のある企業が高性能の電動車いすを開発しました。このウィルという車いすは、1台45万円と高額です。この車いすは、弱い立場の乗り物という従来の概念を打ち破りました。この電動車いすは、高いデザイン性と歩道の段差を乗り越えられる優れた走行性能が強みになっています。ウィルは、操縦レバーを倒すだけで、360度動き回れるのです。このような高性能を持つ車いすで、アプリの実現性を高めることも可能でしょう。体の不自由なシニアが、元気なころの動きを取り戻すことにワクワク感があるようです。体が弱っても、自分のやりたいことが自由にできるツールは貴重なものです。この企業は、この高性能の車いすを日本だけでなく、中国で販売したいと野心を燃やしています。中国は、2020年に1億7000万人いる65歳以上の人口が2060年には2.3倍の3億9000人になるとされています。中国では高齢化が急速に進み、電動車いすは成長市場になりつつあります。その高齢者4億人の1%を顧客にすることができれば、400万台の高級車いすの市場が生まれるわけです。できれば、中国の国内事情にあったアプリと車いすで、より自由で行動範囲の広い可能性を実現したいものです。中国には、優れた位置情報を発信するインフラが整いつつあります。そんな新しいインフラを、有効に使えるソフトとハードを作っていけば、中国市場でもビジネスチャンスになります。
 欧米でクリスマスに家族で旅行する場合、高齢者や要介護者は、介護施設にお願いする家庭もあります。施設に預けるのは、お金がかかります。介護施設より、クルルーズ船の方が安いといわけです。そのためでしょうか、船の旅行では、要介護の方の利用も増えるようになりました。クルーズ船のキャビンスタッフは、世界各国からきたプロのホテルマンです。彼らは、プロとしての教育を受けた人たちになります。キャビンスタッフは、接客態度も丁寧、そのスキルも持っています。ここに、一つの高齢者や要介護の方をターゲットにした、ビジネスの図が浮かび上がります。要介護の方でも、高性能車いすを自由に操作し、排泄などを気にすることなく、自由に買い物や旅行に行く環境は整いつつあります。それを助けるハードとソフトのツールも、必要に応じて作られています。要介護者の方が個々に要望するものに対して、多様なサービスを用意するわけです。多品種少量生産の要領で、その要望を満たすことができれば、ビジネスチャンスになります。もちろん、費用対効果を分析したうえで、お互いがウインウインになるサービスの提供と受け入れになります。
 一般に、7つの基本価値を持つことこそが、豊かな社会でのよい暮らしにつながるといわれるようになっています。現代社会は、健康、安定、尊敬、人格、自然との調和、友情、余暇の7つの基本価値があるようです。これらの価値を、多くの人たちが享受できる社会の在り方が望ましいわけです。社会的弱者を取り残さないという価値観が、本当の豊かさを実現する原動力といえるものです。超高齢社会や少子化社会では、生活環境をITCやIoTによって整備していく必要性は高まってきます。医療や介護の現場ではロボットが介助の作業を補助していくことに期待が寄せられています。この作業はロボットがやることになりますが、高齢者自身が操作するスキルを磨いたほうが、充実した生活を送ることができます。
 スキルを磨くには、学習が必要です。スマホの機能は、たくさんあります。でも、それを100%使いこなせる高齢者は、少ない現実があります。せめて、自分に必要な機能を覚えて、使いこなすようになれば、便利な生活を送れるようになります。さらに覚えれば、楽しい生活を送ることができます。イノベーションの進む社会で、生活水準を向上させていくためには、IT技術を使いこなす学習が必要になります。個人間で「学習の」に差があれば、それは所得格差の拡大という事象までに及んでしまいます。便利で楽しい生活には、元気が必要のようです。元気は、健康な健常者だけでなく、障害者の方にあります。元気に過ごすためには、元気の中で仕事ができる職種や職場を選ぶことになります。職場も、社員が元気で働ける環境を整えることが、生産性をあげることに繋がります。多くの人々が豊かさを享受するには、社会的弱者が新技術に取り残されないようにする学習が不可欠のようです。


医療従事者と国民の健康を向上させる仕組み  アイデア広場 その788

2021-01-11 18:00:35 | 日記


 日本の誇るべきものに、学校制度と医療制度があります。戦後何もない焼け野原から、経済大国になった理由に、教育の力があったことは世界が認めています。日本の医療は、非常に優れたものです。病気になれば、すぐに病院に運ばれ、お医者さんに治療を受けることができます。そして、誰でもがリーズナブルな費用で治療ができるのです。日本の医療は、同じような制度を持つイギリスなどに比べれば、とても早く治療をしてもらえます。でも、日本の優れた医療が、制度疲労を起こしていることに国民は気づき始めました。新型コロナウイルス感染によって、教育も医療も不都合な真実を見せ始めたのです
 労働災害と認定される過労死ラインは、月80時間以上の時間外労働になります。労働災害(労災)は、働く人が、働いていることが原因で事故にあい、病気になることです。この80時間の2倍を超える時間外労働が、行われている病院もあります。この長時間の時間外労働を認める制度に、医療現場には不満がくすぶっていました。この不満は、コロナ禍が起きる前からささやかれていたものです。今回のコロナ禍において、医療を担ってきた医療従事者の方からは、診療の体制が維持できないとの声もあがっています。できないという声だけでなく、事実できない状況が現実に現れてきたわけです。コロナ禍は、医療現場の実態がさらに明らかにしたわけです。医療に従事する方は、患者にとっては救いの神です。でも、お医者さんや看護師さんは、過労死ラインの厳しい労働環境の中で働いているのです。
 医療関係だけでなく、3交代制で働く人の労働は、厳しいと言われています。でも、本当は、3交代制の勤務より2交代制のほうが厳しいのです。その中で、3交代制勤務より厳しくなる2交代制勤務をとる病院が増えています。大きな原因は、看護師さんの不足があるようです。そこで、3交代制の勤務と2交代制の勤務に関する実験が行われました。看護師さんを対象に、モチベーション向上の実験が行われたのです。給料を上げるという条件で行われたこの実験では、いくつかの結果が予測されていました。普通に推測すれば、3交代側のモチバーションが上がり、2交代側は下がると予想されていました。子育ての真最中の看護師さんは、給料より3交代制の勤務を選ばざるを得なくなりました。この育てに重点を置く看護師の場合でも、病院に保育施設があれば、高いモチベーションを持って看護業務を行っていました。一方、厳しいとされた2交代制を進んで、受け持った看護師さんもいたのです。看護のスキルを上げたい方は、自発的に訓練の場として2交代勤務を受け入れたのです。厳しい労働環境の中でも、看護師さんの家庭状況や自己研鑽の意欲など、いくつかの要素を加味した勤務体系を構築することも必要なことかもしれません。
 東京都では、新型コロナウイルス感染が陽性でも入院先や療養先が決まらない人が急増しています。受け入れ先となる医療機関の病床はひっ迫する状態になっています。割り振りを担う保健所などの人手不足が深刻です。保健所業務の増大で、新規感染者への適切な対応が難しくなっているのです。神奈川県内では市中感染がまん延し、感染経路をたどりきれなくなってきています。感染経路たどる疫学調査には、1人当たりに対して数時間かかります。現在の保健所の人員では、すべての調査が不可能なほどに感染者が急増しているのです。いま対応は、感染されている方への対応を最優先にする非常時の段階に来ています。制限された状況の中で、情報集約や健康観察といった感染者への対応力の維持を目指す方向に、舵を切ったということになります。
 医療の世界では、患者を救いたいけれど、そうできないケースがでてきます。医療従事者の方も、悩み苦しむという構造を取る場合がでてくるわけです。「治療をすべきだという理想と、できない現実の葛藤」が、医療従事者の悩みや苦しみを増幅しています。人間に大きな苦しみが生じたとき、コルチゾールが分泌されます。コルチゾールは、ストレスホルモンともいわれ、苦しみに抵抗します。軽い苦しみならば、すぐに正常に戻ります。でも、苦しみや葛藤が長く続くと、コルチゾールの分泌や効果も限界になってきます。ストレスの過剰の非常事態が長期間続くと、脳や体内の組織が弱体化していきます。深刻な悩みや苦しみに耐えられず、人間は押しつぶされてしまうのです。コロナ禍は、2020年2月ごろから、医療従事者を休ませずに、過労な環境で働くことを強いてきました。その過重な負担が、この時期に顕著に現れているようです。
 医療の質を落とさずに、患者の命を守るためには医療従事者の健康が大切になります。ケアをする側の医療従事者はフレッシュな状態を維持しながら、医療業務に従事すべきです。理想的な医療は、専門家のスキルを十分に発揮できる心身の状態を確保が前提条件になります。医療従事者の方にも、自分たちの生活があります。新型コロナの情況は、医療現場で働く方たちへ配慮をする余裕がなくなりつつあります。ある意味で、国民のエゴの現れかもしれません。国民の皆さんが求めるサービスの水準は、高いところにあるようです。病気になれば、治してもらえるという甘えがあるようにも見えます。人間は必ず死ぬというという事実を忘れているかようです。国民が医療サービスを求める場合、分度をわきまえることが大切になります。あまりにも、エゴを強めると両者が共倒れという事態になります。医療従事者の厳しい労働環境が続き、ケアをする側が病気になれば、患者も共倒れということになるということです。国民にできることは、外出をしない。感染をしない、感染しても人にうつさないという姿勢が求められるようです。新型コロナウイルスに感染しない有効な方法は、示されているわけです。
 余談ですが、中間層」と言われる人たちの所得が、全体的に下がる傾向は多くの先進国で観察されるようになりました。そんな中で、極端な人手不足が発生する職種と人員が過剰となる職種の二極化が生まれています。「事務的職業」や「清掃・包装等の職業」は、有効求人倍率「1.0」を大きく下回るようになりました。有効求人倍率は、「保安の職業」で7倍、「建設や採掘の職業」で5倍を超と高水準で推移しています。そして、「家庭生活支援サービスの職本業」、「介護サービスの職業」、そして「生活衛生サービスの職業」は、4倍を超えて人手不足が顕著になっています。不足する労働力を、新技術で代替する動きが加速していくことになります。また別な面からは、余剰感のある分野から不足している労働市場に、人材を供給していくことも必要になります。個人としては、事務も生活衛生もできる能力を身に付けておけば、仕事を得ることができる社会とも言えます。社会全体としては、人材の最適化を目指す人員配置が求められることになります。目先の利く方は、今からこの「家庭生活支援サービスの職本業」、「介護サービスの職業」、そして「生活衛生サービスの職業」の分野で働けるスキルを磨くことになります。できれば、ここに新技術のデジタルのスキルが加味できれば、完璧かもしれません。



喜多方ラーメンのブランド力を高める  アイデア広場 その786

2021-01-11 09:35:37 | 日記

 福島県の喜多方は、酒と蔵とラーメンの町といっても良いでしょう。ラーメンを求めて喜多方には、多くの方が訪れます。使われている平打ち熟成多加水麺は、幅は約4mmの太麺で切刃番手は12番および14番が人気を集めているようです。この麺は、多くの水を加えてつくられます。喜多方は酒所だけ合って、水がとても美味いのです。飯豊連峰の湧水が、酒とラーメンを両立させる下地になっているようです。
 そこで、より喜多方独自のラーメンを提供できないかと考えてみました。日本では、ラーメンに適した小麦種が少ないのです。小麦粉は、ほとんどが外国産の小麦を使用してきました。そんな中で、福岡県は国産の小麦を使ったラーメンを開発しました。この麺は、細麺です。この細麺にはコシのあり、歯切れが良く、味が良いと評判です。この細麺に使う麦はラー麦といわれ、福岡のラーメンのために新たに品種改良された小麦なのです。このラー麦は、福岡の郷土食である豚骨ラーメンの麺に適した品質を持っています。
 喜多方ラーメンの麺は、独特の縮れがあり、食感は柔らかいことが特徴です。この麺の特徴を出せる小麦を、喜多方の地でつくり出してほしいのです。地産地消が、これからの流れになります。喜多方のダイズで醤油をつくり、ネギやメンマも地元産のものを提供することができれば楽しいことになります。他では味わうことのできない喜多方ラーメンを、これからも訪れる方に提供して欲しいわけです。それでは、具体的にどのような策を練れば良いのでしょうか。以下が、現在のラーメン業界の現状を眺めながら愚考したものです。
 ラーメンという食文化は、日本で育ち、現在の地位を獲得しています。小麦はふつう、秋に蒔いて冬に育て、初夏に収穫します。小麦は水が十分に得られる冬を生育期間とし、夏は種子で休眠して凌ぐという生存戦略を持っています。いわゆる地中海式気候の中で、育つ作物になります。この小麦を、美味しいラーメンの麺にしたいわけです。現在、コメの研究は多くの県で行っています。でも、小麦の研究やその試験栽培をする県は少ないようです。福岡県のラー麦の開発は、特別の事例のように見えます。このラー麦のような研究や栽培を、やってほしいのです。それも、各県単位ではなく、いくつかの県が集まって研究資金や人材を集中的に投資する事業を行えればと考えています。テーマを決めて研究し、そして試験栽培をして、ラーメンの品質を高める小麦を開発してほしいわけです。一般的に、小麦の特徴、他品種への優位性、消費者のニーズ、販売実績の4点の視点から、小麦の優先順位を決めることになります。さらに、新品種の利点と欠点を分析する組織、時間とコストなどリスクを管理する組織などが、優先順位を決めて栽培を奨励することになるでしょう。予算の少ない県同士が集まり、日本や世界に売れるラーメン用の小麦を作ってほしいものです。
 2020年は、過去最多ペースで倒産が続くラーメン業界の現状があります。新型コロナウイルスの感染でお客が激滅する中でも、努力と工夫をしながら売り上げを伸ばしているお店もあるのです。あるチェーン店では、夜の集客に期待できないなら、昼の営業を開拓したいと挑戦している企業もあります。夜はイタリア料理店として、昼間はラーメン店として、昼夜の二毛作営業を始めたのです。販売責任者は、「生ハム」と「キノコ」を使う条件を出して、ラーメンのプロジエクトチームをスタートさせたのです。このチームは、イタリア式の生ハムと乾燥ポルチーニ茸を使い、塩味でまとめるラーメンを作り上げました。パスタで使用するデュラムセモリナ粉を混ぜて、良い歯触りに仕上げています。麺はストレートの中細麺で歯触りと、のど越しの良さの両立を実現して、評判は良いようです。
 もう一つの事例は、コロナ禍の影響をほとんど感じさせないほど人気を呼んでいるラーメン宅配店です。宅配でのラーメンはまだ珍しく、コロナ禍では「ほぼ独占状態」だったといいます。この店は2019年から新しい収益源として、直営4店で宅配のテストを進めていました。ラーメン業界で宅配参入が進まなかった理由は、汁漏れを防ぐことが難しい点でした。この開発チームは、ラーメンを載せた盆を30分揺らし続けて配達時の振動を再現するといった検証を重ねました。努力の甲斐があり、この難関を乗り越えました。昼になると、料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員がひっきりなしに出入りするお店になりました。ラーメンの麺は、配達員が店に取りに来る5分前にゆで始めます。麺のゆで時間も45秒縮めて、お客のところに届くまでのびにくくするという工夫も加えています。イタリア式ラーメンからは、小麦をブレンドすることにより、新しいラーメンの麺ができるかもしれないということが分かります。宅配ラーメンからは、「伸び」を遅くする麺ができれば、販路を広げることができることなどわかります。これらができれば、ビジネスチャンスになるわけです。
 不易流行という言葉があります。変わるものと変わらないものが、あるということです。喜多方ラーメンは、変わってほしくないものです。その中にあっても、進化したラーメンになってほしいという欲張った要望になります。以前、ラーメンに求めるものとして、消費者の要望は「おいしさ」が1位でした。でも近年、ラーメンに求めるものは「安全・安心」、次いで「健康」、そして「おいしさ」の順になってきています。安全安心を確認する指標として、近くに絶滅危惧種の動物が住んでいれば、良い環境ということができるようです。ある地域に、ニホンミツバチ、アリ、アブなど、多彩な昆虫の生息が確認されたとします。すると、この小さな虫を求めてカエルやフナやドジョウ、トンボまでが飛来してくることになります。さらに、これらのカエルやフナやドジョウ、トンボを狙った鳥たちが降り立つ光景も日常的になります。もし、これらの動物の中に、絶滅危惧種が混じっていれば、この地域(生態系)は非常に安全な場所になります。このような場所で栽培された小麦は、付加価値の高い食材になります。この小麦で作られたラーメンも、評価が高くなるわけです。イギリスやEUでは、これらの生態系を維持する農家には、補助金を出して応援しています。喜多方ラーメンの小麦が、こんな環境で作られ、地産地消を実現して頂ければ、これからも皆さんに愛されるラーメンになることは確実でしょう。