ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

アフリカ大陸で中古車のシェアのシステムを作る アイデア広場 その783

2021-01-05 18:03:24 | 日記


 アメリカで、中古車の価格が上昇しています。この国の中古車市場は、年間約4000万台と、新車市場の1700万台の2倍以上の規模になるのです。売れ筋の多目的スポーツ車(SUV)は、店舗の在庫不足が続いているようです。2017年モデルの中古車は、6月から1500ドル近く値上がりしています。アメリカの自動車生産は、新型コロナ危機で5月中旬までおよそ2カ月間ストップしました。コロナ禍の影響によって、生産休止が続き、新車が不足しているのです。GMの販売店の担当者は、「新車の在庫不足で顧客の希望する車種や色が用意できない」と嘆いています。一方、トヨタ自動車の販売店幹部は、「高級車の注文は引き続きあり、あまり変わらない」と述べています。富裕層にとって、コロナ禍はあまり影響がなかったようです。影響を受けている層は、中間層以下の人々のようです。アメリカ経済は、中古車の動向を見るとわかりやすい構造になっています。
 日本からは、世界に新車で460万台と中古車で130万台輸出されています。あまり知られていないことですが、これらの中古車に関わっているバイヤーはパキスタン人の方が多いのです。1970年代後半以降、日本製中古車貿易で市場を牽引してきたのはパキスタンの人たちでした。有名な印僑やパキスタン人のコミュニティが、すでに世界各地に形成されていいます。これは中古車販売において、大きな利点を持つことになります。パキスタンを含む旧イギリス領植民地は、54もの国々と地域に上ります。旧イギリス領植民地は、基本的に左側通行で右ハンドル車を使用しています。日本の車が、喜ばれる理由がここにもあります。パキスタン人企業家は,友人や知人といった同胞を積極的に世界各地の拠点に配置しました。中古車の輸入規制が緩和の噂を聞くと,言語的な障壁をものともせず各国の市場へ進出したのです。ムスリムの人口は16億人と、中国の14億人を凌駕しています。イスラム圏に大きな経済圏が形成されれば、大きなビジネス市場が生まれます。中古車市場が、一つの足掛かりになるわけです。
 先進国は、大量生産した車を個々人が購入し、個人で車を乗り回す生活スタイルを築きました。でも、自動車産業は、移動手段のサービスを提供する形式に転換しつつあります。先進国は製品の販売という形式から、レンタサイクルやシェアの経済スタイルに変わりつつあるともいえます。便利で、ものを無駄にしない、自然に優しい生活は、未来にふさわしい生活様式になります。先進国で行われていることは、条件が揃っていれば、途上国で模倣されるケースが増えます。アフリカなどの途上国には、この模倣する条件が整いつつあります。先進国が作り出した複数のアイデアを、途上国はさらにそこにアイデアを加えて、新しいシステムを作り出そうとしています。少ない車を効率的に使用し、自然に負担をかけない仕組みを作れれば、良いモデルになります。
 現在の自動車は、50万kmを乗りこなしても、その性能は維持できる優れたものが多くなっています。アフリカ大陸では、悪路を走破する性能の高い車が自動車の価値を左右します。この大陸には、大量の中古車が海外から流れ込んできます。中古車の需要が増えれば、粗悪品で暴利をむさぼる業者も出てくるようです。トヨタは認定中古車制度を作り、良い中古車をトヨタ商事自ら販売する戦略を立てています。中古車の販売に、中古車のシェアを加えてみてはどうでしょうか。中古自動車を途上国の人々が、シェアで使用することは合理的な仕組みです。途上国は輸入した中古車をシェアの仕組みを使い、多くの人が車の恩恵を受けるシステムを作るわけです。
 シェアビジネスの核心は、使われていない資源を有効活用することで成立します。今までは、どこに空き部屋があるのかという情報がつかめませんでした。空き部屋は使われていなければ、利益を生み出しません。希望する方にお金を出してもらって、使用してもらえば、空き部屋は利益を生み出します。でも、借りたい人が誰なのかが分からなかったのです。スマホという文明の利器が、その2つのマッチングをする道具に変身しました。スマホのアプリを見れば、需給マッチングの機能がより効率的に果たせるようになったわけです。民泊のエアビーや配車のウーバーのサービスは、スマホのアプリを使うことを前提に構築されてきました。ここに信用スコアが加わり、より安全なマッチングサイトが形成されつつあります。アフリカの人たち、そしてアフリカに中古車を販売している人たちが、普及してきたスマホを通して、この機能を利用することは当然考えられることです。
 グーグルは米国の公衆衛生当局よりも早く、インフルエンザ流行の予測に成功しています。咳止め薬や解熱剤をオンライン発注する傾向が強い地域は、インフルエンザ流行を予測できる場所になります。「咳止め薬」をウェブ検索頻度で見ると、インフルエンザの流行地域が特定できるというものです。グーグルは、検索キーワードの使用頻度とインフルエンザ感染の相関関係を分析しました。このビッググデータの特徴は、「全件処理」と「質より量」、そして「因果から相関へ」というものです。検索キーワードと流行の相関分析は、4億5千万の膨大な数式モデルを使って分析作業を行っています。データの種類や件数がふえるにしたがって、組み合わせ数は天文学的に増加していきます。これをAIが、処理していくことになるわけです。もっとも、このビッグデータやAIにも弱点があります。近くに薬局がたくさんある密集した市街地の場合、ネットの検索の条件は成立しにくいというネックもあるようです。いずれ、膨大な数式モデルの中に、密集市街地の数式が入ることになり、より精度の高いモデルが完成することでしょう。要は、アフリカの中古市場においても、スマホの普及、ビッグデータとAIの利用により、マッチングサイトが構築され、人々のシェアの利用は増えるということです。
 余談になりますが、中古車を輸入するビジネスより、より良いビジネスはないかと考えてみました。中古車の活用には、部品の供給が生命線になります。中古車の輸入増加は、消耗しやすい部品の輸入の増加に繋がります。どの部品が、そろそろ切れて、必要になるか分かれば、一つのビジネスが成立します。これだけでは、楽しくありません。車の維持修理には、技能工が必要になります。車の維持修理ができれば、現地従業員の雇用を促し、技能工の養成を図ることもできます。部品の供給とそれで維持修理できる人材がいれば、中古車産業はよりスムーズにいきます。もう少し進めて、部品工場を誘致し、ケニア人自身に部品を作る工場を運営してもらう仕組みも考えられます。自動車は、3万点の部品で成り立っています。そのうち5千点の部品を、ケニア国内でつくれるようにすれば面白いことになります。経済を安定させ雇用を増やすためには、製造業の育成がかかせません。販売(三次産業)から製造(二次産業)への道も、アフリカではあるのかもしれません。