ファンタジアランドのアイデア

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二酸化炭素排出量330億トンをゼロにする仕組み アイデア広場 その781

2021-01-03 17:52:55 | 日記


人類は18世紀の農業革命で穀物生産を伸ばし、産業革命では工業生産を飛躍的に増やしました。18世紀から21世紀の300年の間に、わずか1℃の地球温暖化が北極海などの氷の融解を急速に進め、気流の流れを変えたのです。これに続いて、相次いで熱波や洪水、山火事が地球の異変が起きるようになりました。いくつかの報道では、気温が上がり、たくさん島が沈むなどの扇動的な記事も出るようになりました。でも、冷静に過去の地球の気温変化を知らなければ、現在を評価できないものです。地球の長い歴史から見ると、じつは寒冷な環境にあるということになります。しかも、二酸化炭素による温室効果がなくなったら、地表の気温はマイナス18℃に下がるという学説もあるのです。とは言え、気温は産業革命後、約1度上がり、このままでは2030~50年には気温がさらに1.5℃上がるという学説もあるわけです。現在では、世界の多くの人が、化石燃料の使用を控え、二酸化炭素の排出を抑えるべきだという意見に集約されるようになりました。
 世界の意見は、再生可能エネルギーのさらなる使用になります。その流れを見て、世界の太陽光の発電量は急激に増えています。その中でも、中国の比率は、2010年の2%から2018年には32%まで急上昇しています。北京から西へ700キロには、中国最大級のダラト太陽光発電所があります。ダラト太陽光発電所の完成時には、広さが67㎢と山手線の内側に匹敵するものになります。この発電能力は、原発2基分の200万kwになります。公害をもたらす砂漠の黄砂の地が、宝を産む地域になるのです。日本も、太陽光パネルの性能では負けてはいません。シャープは、「太陽光だけで走れる車をめざす」計画を持っています。現在、開発中の新型太陽電池は薄くて軽く、太陽光を電気に変換する効率も30%を超す優れものです。プラグインハイブリッド車にのせると1日の充電分で56キ口走る計算になります。ちなみに、プラグインハイブリッドカー(PHEV)は、ハイブリッドカー(HV)に外部充電機能を加え、電気だけで走れる距離を大幅に長くした次世代エコカーになります。
 現在の地球の平均的な表面温度は、プラス15℃程度です。この気温は、人類には過ごしやすい気候になります。この過ごしやすい環境が、崩れつつあるのです。人間の限りない欲望が無秩序で暴力的になり、自然破壊を継続しつつあるというわけです。人類も、その危機を理解しています。一方、この危機を優れた技術革新で、環境保全と成長を両立させようとする主張が優位を占めてきました。ところが、近年の自然災害の猛威は、環境保全と経済成長の両立の困難さを示しているのです。人間の限りない欲望の膨張と発展志向の中には、技術の統御が不可能となる事象が現れつつあるのです。人間の非力さが、見え始めたのです。努力しても、気候を2℃未満に押させることのできない人間の無力さです。一方、タフな人たちはいます。ある人たちは、温暖化に適応する戦略をとります。温暖化は、寒冷地で作物の収量が増加するとポジティブ思考になる人たちもいるのです。でも、温暖化の本質的事象を避けて通る場合、不都合な真実になります。やむなき温暖化への「適応」ということで、いわば敗北思想という言い方をされるようになります。
 2050年までのカーボンゼロは、気温上昇を1.5℃に抑えるのに必要な温暖化ガス削減の道筋になります。国連環境計画によると世界の3分の2に及ぶ、126の国と地域が二酸化炭素など温暖化ガスの実質ゼロを表明しました。日本も、2050年までに二酸化炭素など温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言しています。宣言は簡単ですが、カーボンゼロは世界の産業や暮らしのあり方も塗り替えることなのです。化石燃料で発展してきた人類史の歯車が逆回転し、再生可能エネルギーが主役になる流れになってきました。化石燃料を中心とする化石資源の市場は、年間1000兆円以上の規模と言われています。カーボンゼロには、エネルギー、運輸、産業、建物などの投資に8500兆円ものの金額がかかります。カーボンゼロの奔流が、世界の政治経済、そして文化を流動化させていきます。
 カーボンゼロは人類の営みで、これまで増え続けた二酸化炭素を一転して減らす革命になります。世界では、巨大装置で大気中の二酸化炭素を回収する争いを始めています。たとえば、アイスランド南西部で大規模な二酸化炭素の除去装置が設置されています。直径約1mの吸気ファンが、24基そなえた装置を4つ備えつけた装置です。吸い込んだ空気から二酸化炭素だけを特殊フィルターで吸着します。大気中のこの気体を吸い込み、地下2千mで岩に変えるのです。吸い込んだ9割以上の二酸化炭素を半永久的にとじ込め、漏れる恐れも小さいというものです。
 大気にある炭素は、重量で8300億トンになり、その多くが二酸化炭素のかたちで存在しています。全世界で1年間に排気される二酸化炭素は330億トン程度になります。蛇足ですが、陸上には2兆4700億トンの炭素が存在しています。陸上の植物が行っている光合成量をみると、1年で約600億トンの炭素固定量を行っているわけです。木を切ったら、木を植える活動が必要になるわけです。海洋には、38兆トンの炭素が溶けています。植物プランクトンの死体の多くは、二酸化炭素を固定した有機物として海底に沈みます。海洋の植物プランクトンによる炭素固定量は、1年で400億~500億トンと考えられています。海底堆積物には2兆卜ン弱の炭素が存在しています。大気中の二酸化炭素を岩石として固定化することも、選択肢になります。そして、植物プランクトンの死体を海底に堆積させることも、カーボンゼロの有力な方法になります。
 光合成を人工的にできれば、人類にとって大きな福音になります。太陽光と水、そして大気中の二酸化炭素で有機物を作ります。その有機物を地下に保存すれば、カーボンゼロは達成されることになります。でも、そこまで技術は進んでいません。大気中のカーボンゼロには、21~50年に欧米やアジアなど4地域だけで計8500兆円もの投資が必要になります。このカーボンゼロの立役者は、水素になります。水に浸した白いシート状の触媒に光をあてると、電気なしで水を水素と酸素に分解する技術が開発されています。ここで作り出した水素と二酸化炭素を反応させ、プラスティックや化学繊維の原料をつくる実験が進んでいます。あたかも植物の光合成のように、二酸化炭素を大気中から吸い込む作用になります。アイスランド大規模な二酸化炭素の除去装置より、効率的な除去装置になります。有用なプラスティックができるわけですから。光触媒を用いて水素を生む「人工光合成」モドキも、有力なカーボンゼロに方法になります。再生可能エネルギーで電力等のエネルギーを蒔かなう一方で、植物プランクトンや人工光合成の技術を使って、大気の二酸化炭素を取り除く方法を開発することで、人類はカーボンゼロに挑戦することになるようです。