ファンタジアランドのアイデア

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異常気象による大雪やバッタの被害に備える  アイデア広場 その805

2021-01-30 17:57:48 | 日記


 2020年12月中旬から1月上旬にかけて、日本海側を中心に大雪が降りました。多くの車が身動きできない映像が流れたので、ご記憶の方もいることでしょう。東北地方や北陸地方などでは、19地点で72時間降雪量が観測史上最多の記録を更新したのです。今回の大雪は、偏西風の蛇行で寒波が流れ込んだことと、日本海の海面水温が平年よりも高いことによるものです。2020年の夏の猛暑で、海面水温が高くなっていました。雪が降り始めた12月15日前後の日本海の海面水温は、平年に比べ2~3℃も高かったのです。大陸からの強い寒波の訪れと、日本海の海面水温が平年よりも高かったことが、水蒸気を大量に発生させ、豪雪という現象を起こしたわけです。でも、年間の総降水量は、増えも減りもしていないのです。ただ、降雨量の増減はないが、極端な豪雨や豪雪は増える傾向にあるのです。いわゆる異常気象が、頻発する状況になってきたともいえます。
 北海道沖に暖かい海水の塊が滞留する影響で、この数年サンマ漁は歴史的な不漁を続けています。サンマは寒流である親潮の流れに沿って、千島列島から北海道の東岸沖を抜け東北沖へ回遊していました。その親潮の勢いを示す流量は、90年代から少しずつ減少し、現在も回復の兆しが見えないのです。海流の勢いは、主に海上の風によって生み出されます。親潮の勢いは、北太平洋上にあるアリューシャン低気圧によって左右されます。地球温暖化が、この海域の風を弱めている可能性があります。もう一つの要因は、流氷によるものです。オホーツク海の場合、アムール川から大量の真水が注ぐため塩分が薄くなり流氷ができ易いのです。流氷は流れている間に、たくさんの植物性プランクトンや養分を付着させて南下してきます。流氷の下で、魚が活発に活動し増えているわけです。でも、流氷に閉ざされた冬場の漁場は、漁業ができません。流氷がある間は、一種の禁漁期間になり、魚を大きく成長する時期にもなるわけです。でも、1990年頃から、流氷の厚さが薄くなってきました。魚が成長する期間が、短くなってきたわけです。禁漁期間が短くなり、漁業資源の保護ができにくくなってきたともいえます
 北から寒流の親潮が、南から暖流の黒潮が流れてぶっかって三陸沖に潮目を作ってきました。潮目のできる日本列島の太平洋沖は、世界屈指の好漁場でした。日本の漁獲量の約5割を占める北海道の南東沖の海域には、冷たい親潮が流れています。サンマは、セ氏12~18度の冷たい水を好み、浅い所に生息する魚種です。勢いを弱めた親潮の流れは、サンマの南下を妨げてしまった可能性があります。北海道近海のサンマ産卵場所が、海水温の影響で、東の海域に移動しているのです。暖水塊の発生は、サンマと同じように回遊しているサケの水揚げ減少との関連も取り沙汰されています。とは言え、沖に行けば必ずサンマがいるとは限らず、燃料代がかさみ漁業者の負担は増しているのです。勝手な評論家は、寒冷な海と温暖な海、寒冷な水と暖かい水を人工衛星から見分ける手法を開発すれば良いなどというかもしれあせん。また、暖かい海水を好むマイワシが増えたから、良いではないかなどと言う人もいるようです。雑音はともかく、サンマのすむ環境が変わったことは間違いないようです。
 一方、異常海水温の恩恵を得ている漁場もあります。富山湾から能登の海で寒ブリ漁が本格化しました。北陸の漁港は、寒ブリの旬到来に活気づいています。富山県のブランド魚「ひみ寒ぶり」は、12月の水揚げ量が前年同月の2倍と好調です。ブリは、西日本の正月料理に欠かせません。成長につれて呼び名が変わる出世魚」で、縁起の良い魚なのです。
今年の冬は、ハレの日だけ特別に味わう魚ではなくなってきました。刺し身やしゃぶしゃぶ、そしてブリ大根など日常の食卓でも味わうことのできるリーズナブルな値段になっています。日本の2019年の水産物輸出額の中で、ブリはホタテや真珠に次ぐ3位を確保しています。もっとも、食阜にあがるブリの半分以上は養殖ものです。この養殖ブリは、主に九州で育てています。エサをたっぷり与えた養殖ブリは、霜降りのように真っ白に脂が乗り人気が高いのです。
 異常気象は海だけでなく、陸上にも深刻な影響を与えています。東アフリカでバッタの大量発生による被害が広がり、数千万人の食料供給が脅かされる状況が続いています。バッタの群れは、ものの数時間ですべてを食い尽くしてしまいます。数億匹のバッタは、ケニアをはじめとする国々に移動して農地に壊滅的な被害を及ぼしています。バッタの群れが、作物や牧草地に襲いかかります。その跡は、何もない農地や牧草跡になってしまうのです。ジブチ、エリトリア、エチオピア、ケニア、ソマリアの数千万人が、深刻な食料不に陥る状況があります。バッタの大量発生が、東アフリカの7カ国に拡大したのは最近にはないことでした。2020年の1月にはケニアでは、過去70年で最悪の規模の蝗害が発生しています。一部の専門家は、今回の蝗害はこれから起こる大きな変化の前触れかもしれないと指摘しています。
 サバクトビバッタの大量発生のきっかけは、2018年5月のサイクロンでした。このバッタは、アフリカと中東の乾燥した地域に生息しています。大型のサイクロンは、アラビア半島南部の広大なルブアルハリ砂漠に雨を降らせたのです。サイクロンの雨は、砂丘の間に多くの一時的な湖を出現させました。サバクトビバッタは、大雨が降って植物が繁茂すると大発生するのです。バッタの大発生が3度起こり、アラビア半島に生息するバッタは8000倍に増えました。アラビア半島でのバッタの繁殖は、異例ともいえる2つのサイクロンの発生によってもたらされたものでした。インド洋の海面温度の上昇は、サイクロンのエネルギーを高め、今回のバッタの被害(蝗害)を引き起こしたのです。蛇足ですが、バッタの初期発生の段階で根絶する殺虫剤は、各国に準備されています。でも、発生が拡大した場合、準備しただけの殺虫剤で抑えることが難しいのです。発生を素早く見極める人材の育成が求められているようです。いずれ、人工衛星などの監視体制が整えば、この対策は現在よりは効果的に進められるかもしれません。いずれにしろ、自然の変化を捉える人類の進化した目や耳が必要になるようです。
 雷が鳴る前に、急に頭痛や腹痛を訴える人がいることはよく知られています。天気予報で今日は雷が鳴ると予報がでていれば、先に頭痛薬を飲むと良いわけです。ぜんそくの場合などでは、最低気温が15度の気温が5時間以内で3度下がると発作が出ることが多くなります。気象が人体に及ぼす影響は、個人差が大きいものです。でも、ある一定の条件が整うと、確実に病状がでることも多いものです。個人を超えて、集団で備えることも必要になります。温暖化は、高い気温が苦手な作物が栽培しにくくなります。気候の変化によっては、それまでになかった病虫害が発生したりします。気温や海水温が上昇すると病害虫が増え、穀物生産が減り食糧難を招く恐れがあるわけです。企業は、精度の高い長期予報、特定地点の情報、情報端末から気象情報を引き出すことを求めています。これらの情報を提供できるようになれば、ビジネスチャンスが訪れることになります。
 余談ですが、昨年の豪雪で流通業では、損害を受けた企業があったようです。これを事前に予測できれば、損害を最小限にできるわけです。夏から続く対馬海流の海水温、そして大陸からの寒波の来襲が分かれば、それに備えることができます。それも、かなり前からわかると、冬用トラックなどの手配がスムーズになります。そんな情報を提供するビジネスも、これからは出てきてほしいものです。