ファンタジアランドのアイデア

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K-POPを超えるJ-POPの実現に向けて  アイデア広場 その782

2021-01-04 17:58:05 | 日記


 最近は、スマホに曲をダウンロードして聴いて、YouTubeで映像を見るというスタイルが定着してきました。最近流行のK-POPは、歌詞で聴かせる歌ではありません。このK-POPは、ダンスの魅力と、分かりやすいノリの良さが重視されています。これは、ある意味で人間の根源的な欲求を満足させるものなのです。アフリカの森から平原に出たホモ・サピエンスは、世界中に分布するようになりました。私たちの祖先であるホモ・サピエンスは、きわめて移動能力が高く、適応能力が高い生き物でした。彼らは10万年前の時代でも、音楽やおしゃれを楽しんでいたのです。世界中の神話や物語を分析すると、30程度のパターンに分類できてしまいます。それらには、聞いたり読んだり見たりして、心地いいと感じる物語やお話があります。その心地よい物語には、共通の「型」があることが分かりました。人類が移動して、いろいろな地域に生活するようになっても、なにを喜び、なにを哀しむかは、どの国でも似たようなことが多いのです。音声の言葉ではなく、音楽(リズム、メロディ、ハーモニー)と身体言語でコミュニケーションを行っていたのです。この音楽や身体言語が、本当の喜びや悲しみを表現するものになっていたともいえます。
 この意味で、K-POPは世界に広がる要素を備えていたことになります。多種多様な言語や宗教と多彩な生活様式などの多様性が、人類の生存を支えてきました。K-POPはこの多様性の上に乗り、共通の言語を持たないアジアや欧米の人々にも楽しんでもらえる要素を備えていたというわけです。さらに、人類学的視点だけでなく、現在文明の力も備えていました。スマホとYouTubeの融合した曲や映像を提供しているために、K-POPは成功しているともいえます。さらに深堀すると、巧みな戦術や戦略も見え隠れします。韓国の各地の大学に、コンテンポラリー音楽を教える専門学科がたくさん設立されていました。そして、韓国の国策ともいえるネットを巧みに使った戦略があったのです。
 1997年、韓国はいわゆるIMF危機という国家的な経済危機に陥りました。韓国政府は財政再建と世界に勝つための経済政策としてIT産業や文化事業の振興を選択したのです。2000年前後から、音楽や映像のプロを育てる大学や専門学校が韓国内に設立されていきます。国内各地の大学に、それまでには無かった実用音楽科や映像学科がたくさんできたわけです。韓国はこの10年の間で、エンターテインメント産業の人材を育ててきました。この間に育った人材は、若いYouTuberといったネット配信技術のスタッフたちだったのです。IMF危機のときの学生たちが今、韓国の音楽や映像の世界の第一線で活躍しているわけです。経済危機で韓国政府が方針を絞ったことが、今のK-POPブームや韓流ドラマブームの下支えになったともいえます。
 この当時(2011年)韓国易輸出の総額は、5565億ドルでした。このうち、コンテンツ産業は42億ドルで、スマホや液晶テレビなど電子機器の輸出額に比べれば、決して大きなビジネスではありませんでした。でも、韓国政府はアーティストの力で世界に韓国ブランドを広める戦略に重きを置いたのです。音楽やドラマが海外で認知度を高めることが、韓国のイメージを上げると確信していたのでしょう。音楽などで国のイメージを向上させて、韓国製品の購買につなげる戦略でした。音楽やドラマの間接的効果は非常に大きいとい韓国政府は見ていたわけです。K-POPの輸出が100ドル増えると、電子製品やIT機器の輸出は平均395ドル増加するという試算までありました。韓国のイメージを上げることが結果として、韓国メーカーの製品の購買を高め、韓国の観光客を増やすという戦略だったわけです。
 2003年4月にNHKのBS2で「冬のソナタ」が放送され、"韓流ブーム"が日本全国に広がりました。このようなヒット作は現在、影を潜めました。でも、依然として着実に、韓国ドラマは日本に進出を続けていいます。ドラマの出来や筋立ては上質とはいえませんが、一定数の女性ファンをとりこむノウハウを持っています。日本の今年上半期のレンタル総回数は、過去最高の3億6397万回を記録しています。その中で、60代女性のレンタル回数のトップテンは、すべて韓国ドラマが占めています。いかに韓流ドラマが、支持されているかわかる数字です。韓流ドラマは最初から海外での放映を前提につくられており、放映料はきわめて安いことが特徴です。日本おいては、テレビドラマを海外で放映する場合、出演者全員の同意を取り付ける必要があります。韓国では海外で放映する場合、出演者全員の同意を取ることなく、外国で放映ができます。このスピード感が、日本と韓国の明暗を分けているようです。
 2002年当時、ボア(BoA)は日本に活動の場を置き、完璧な日本語を習得して成功しました。BoAは韓国の歌い手として、日本で最初のミリオンヒットを記録します。それから約10年を経て、後輩の「少女時代」が、アルバムでミリオンを達成しました。これは、韓国歌い手としてはBoA以来の記録になります。2007年以降、韓国で過熱したK-POPが2010年に日本に飛び火してきます。2010年の統計で、韓国から輸出されるコンテンツの約54%が日本向けでした。現在は、世界各地に輸出先が広がっています。「少女時代」をヒットに導いた要因は、YouTubeといったネット配信技術によることが大きかったのです。「少女時代」は、活動拠点を韓国に置きながら、日本やアメリカ、そしてヨーロッパにおいても活躍しています。以前のような日本に定住してファンを獲得する手法より、ネットを活用する活動が主流になっているのです。
 余談ですが、人気になる体型もあるようです。たとえば、ファッション界では、ナイーヴで優しげな雰囲気をたたえた男性モデルを起用することが増えています。マッチョであるよりも、ほっそりした肉体の男性モデルを起用したコレクションが増えているのです。化粧年齢層の幅は著しく広がり、若者から高齢者までデパートの化粧品売り場には客足が絶えないようです。男性用のグルーミング機器や基礎化粧品も、続々と発売されています。男性のモードは、細身化、子供化、繊細化、女性化の方向になりつつあります。「何を着るか」ではなく」、「どう着るか」が試行錯誤されています。この中で、主流になりつつあるものが、中性化と子供化になるようです。歌手やダンスの振り付けを見ると、そのような傾向が目につきます。
 最後に、で日本人歌手が海外においてが活躍できる仕組みを考えてみました。ビジネスのあらゆる面で、国境を超えた大規模な変革が起きています。これは、音楽やダンスの世界でも同じ現象が起きているようです。「東方神起」を抱える大手芸能事務所のSMは、2020年5月に有料オンラインライブを開催するようになりました。これは、100万人近いユーザーを集めたといいます。いま地球上で使われている言語は、約6000あるといわれ、その全容は把握しきれていません。音楽のターゲットは、これら6000の言語を操る人たちになります。でも、音声言語ではなく、身体言語(ボディランゲージ)でコミュニケーションを取ることもできます。むしろ、この言語のほうが、相手の心に入り込むかもしれません。
 ソフトバンクには、ペッパーくんという人工知能を備えたロボットがあります。ペッパー君がどう受け答えをするかは、吉本興業が考えているのです。この人工知能を、ロボットに応用してはどうでしょうか。白系オウムと呼ばれる鳥たちは、アップテンポの音楽に合わせて踊ります。耳で聞き取った音楽のリズムに対する身体の同調が、オウムでも可能であることがわかったのです。鳥類も人類も、高い知能を持っています。そして、音楽やダンス行う高等動物でもあります。ダンスや音楽は、音声言語の以前から主要な伝達手段だったと言われています。最新のロボットと原初的欲求を組み合わせて、新しい歌やダンスの分野を開拓してはどうでしょうか。日本の小中学校では、ダンスを教材として取り入れています。この中から、才能のある子供たちが育っています。これら十代の子ども達が、ブレイクダンスなどで活躍していることは周知のことです。彼らに、歌と踊りの楽しさを広めてもらうこともヒントになるかもしれません。