ファンタジアランドのアイデア

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61万人のいじめ体験者が誹謗中傷をなくす人材に育つ アイデア広場 その790

2021-01-13 18:08:10 | 日記


 静岡県浜松市では、昨年7月下旬に飲食店でクラスター(感染者集団)が発生しました。このクラスターが発生してから、SNSで感染者や店を攻撃する悪質な発言が増えたのです。浜松市は、この誹謗中傷をなくすため取り組みを始めました。誹謗中傷は、社会全体が萎縮させてしまい、さらに悪いことに感染対策に支障が出ると危惧されました。「すべての人に優しさと思いやりの心を」と題したメッセージを、市の運営施設に掲示する対策を取ったわけです。同じように、長野県も新型コロナウイルスに伴う誹謗中傷の抑止を狙った共同宣言を公表しました。インターネットなどを通じて、感染者や医療従事者への誹謗中傷を抑止する対策を行ったのです。誹謗中傷やデマを流すことが、重大な人権侵害に当たるとし、こうした行為を控えるよう促したわけです。
 社会が不安定になると、小さなデマや中傷が、大きなストレスになることがあります。東日本大震災や熊本地震などの災害時、自宅が倒壊した人やその恐れのある人は避難所に避難しました。避難所にはプライバシーもなく、衛生状態も良くありません。慣れない避難生活は、ストレスに満ちています。精神的に疲れてしまうと、がまんする自制心も低下していきます。こんな中では、状況に応じた臨機応変の判断や行動ができなくなります。全国から送られた支援物資の多くが、荷ほどきもされないまま山積みになっているケースが報告されていました。災害支援に当たっている公務員の方は、公平感を大事にします。パンも水も、公平に平等に配布しようとします。パン一つもらうのにも、長い時間を並び、ストレスが高まります。公平である前に、パンを食べたい人に配ることを、避難してきた人たちに任せるという選択が合理的です。災害対応を行う公務員の方は、公平であることより市民の良識にまかせる度量も必要というわけです。やり方次第で、災害の避難所が、市民が自分たちで、協力を求めることや助け合う力を高めていく場になります。
 文部科学省は、2019年10月に2018年度のいじめの認知件数を54万人と発表しました。そして、2020年10月には、2019年度の小中高校などで認知されたいじめが61万件と過去最多を更新したと報告しています。いじめの認知件数は、前年度に比べ、約7万件増えたことになります。増加幅が最も大きかったのは、小学校の約6万件です。増えた理由は、例年同様の回答になっています。学校が初期段階の対応を強化するため、いじめを積極的に把握するようになったために増えたという分析です。この6年間、いじめの認知件数は増え続けています。その理由に、強化と積極的の言葉が出てくるわけです。でも、認知したいじめのうち、83.2%が2019年度中に解消しているという成果には注目したいのです。昨年度も、文科省や厚労省は、いじめ対策を積極的に行うと明言していました。そのために、各市町村の相談事業に費用を助成し、市民団体と共同して子どもの相談に乗る体制を整えるとしていたわけです。その体制整備が少しずつ、成果を現してきたと評価したいものです。
 いじめを積極的に認知して、暴力行為の把握の把握をするだけでは、いじめは減少しません。いじめに参加する子どもは、学校やクラス内で「存在感」が認められないケースが多いのです。仲間から受容されていないことが、いじめの基本にあります。授業で参加意識を持たせ、達成感を積みあげることにより、存在感を増していくことができます。学習に集中できるようにすることが、一つの解決策になります。子どもは、正解が好きです。そして、勉強ができるようになる子を、教師は好きなのです。「わかった」「できた」と感じる体験を、増やしていくことになります。でも、ここに大きな問題が起きているのです。小学校の教員試験を希望する人たちが、2倍以下になると教育の質が極端に落ちるといわれています。現在、小学校の教員試験希望者が、2倍を切る県が増えている現実があります。さらに困ったことには、小学校には英語教育、プログラミング教育と、小学校教師の負担が増える傾向があります。負担が増え、教える先生が未熟となれば、小学校の学習指導や生活指導に不具合ができます。その不具合が、まさに現れているのが、小学校の現場ということができるかもしれません。
 余談ですが、カナダやアメリカでは、男の子がピンクの服を着ていると、いじめが起きます。男性がピンクの服を着ていると「ゲイだな」「ピンクかよ」と、いじめられる光景がでてきます。カナダの中学校で、ピンクのシャツを着て登校した男の子がいじめ集団にいじめを受けました。いじめを見た他のグループは、ユーモアのある行動を取りました。単に、いじめのグループに「いじめはやめろ」という以上のことをしてのけたのです。いじめの集団以外の全校生徒にSNSで連絡し、ピンクの衣類や身にまとうものを用意するように伝えたのです。翌日のキャンパスはピング一色になり、そうでないのはいじめの集団だけになったのです。いじめの集団は、これには黙るしかありませんでした。以来、このキャンパスではいじめがなくなり、ずっと平和が維持されているということです。
 ハッピーな出来事もありますが、今の社会ではいじめはあるものと覚悟しておく必要があります。学校だけでなく、一般社会でも、セクハラやパワハラがなかなかなくなりません。ではどうすれば、いじめを軽減することができるのでしょうか。父親や母親と相談できる子どもは、いじめられにくいという経験則があります。いじめが続くかどうかは、父親や母親と相談できるかどうかが、一番のポイントになります。親子で話し合う場合、いじめの事実を裏付ける確かな物証を確認する作業も大切になります。両親としっかり話し合い、立ち向かうことで、辛いいじめを克服していく力が育っていくわけです。家族の力が低下していると言われています。でも、話し合いのできる家庭は強いと言えます。
 話題のソーシャルスキルの中には、援助を求めるスキルが重要な位置を占めています。自分には力がないとか、能力がないと自信を喪失している子どもが見受けられます。この子どもは視点を変えることができれば、面白い局面を作ることができます。能力がないと思えば、いじけるだけのようです。でも、能力のないものは、助けを求めることが当然という立場に変身すれば、得難い長所になります。脳が未来を想像すると、自然にポジティブ思考になることがわかっています。助けを求めることが、これからの社会ではポジティブ思考になることを自覚すれば良いのです。いじめを受けた子ども達が、前向きになる練習や思いやり、未来の想像、人生の流れにゆだねる気持ちを持たせる訓練を行うのです。援助を求めるスキルを学べるクラスや学校は、最先端のソーシャルスキルを教える場になります。61万人のいじめられたケースが、ソーシャルスキルの高める学習の教材になるという発想が出てきます。経験しない人より経験した人のほうが、より高みに登れるものです。失敗を経験した人が、成功する図式が成り立つわけです。いじめを受けた人は、いじめを解決するチャンスがあるわけです。問題は、よりよく支援できる先生が近くいるかどうかという点になります。