ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

喜多方ラーメンのブランド力を高める  アイデア広場 その786

2021-01-11 09:35:37 | 日記

 福島県の喜多方は、酒と蔵とラーメンの町といっても良いでしょう。ラーメンを求めて喜多方には、多くの方が訪れます。使われている平打ち熟成多加水麺は、幅は約4mmの太麺で切刃番手は12番および14番が人気を集めているようです。この麺は、多くの水を加えてつくられます。喜多方は酒所だけ合って、水がとても美味いのです。飯豊連峰の湧水が、酒とラーメンを両立させる下地になっているようです。
 そこで、より喜多方独自のラーメンを提供できないかと考えてみました。日本では、ラーメンに適した小麦種が少ないのです。小麦粉は、ほとんどが外国産の小麦を使用してきました。そんな中で、福岡県は国産の小麦を使ったラーメンを開発しました。この麺は、細麺です。この細麺にはコシのあり、歯切れが良く、味が良いと評判です。この細麺に使う麦はラー麦といわれ、福岡のラーメンのために新たに品種改良された小麦なのです。このラー麦は、福岡の郷土食である豚骨ラーメンの麺に適した品質を持っています。
 喜多方ラーメンの麺は、独特の縮れがあり、食感は柔らかいことが特徴です。この麺の特徴を出せる小麦を、喜多方の地でつくり出してほしいのです。地産地消が、これからの流れになります。喜多方のダイズで醤油をつくり、ネギやメンマも地元産のものを提供することができれば楽しいことになります。他では味わうことのできない喜多方ラーメンを、これからも訪れる方に提供して欲しいわけです。それでは、具体的にどのような策を練れば良いのでしょうか。以下が、現在のラーメン業界の現状を眺めながら愚考したものです。
 ラーメンという食文化は、日本で育ち、現在の地位を獲得しています。小麦はふつう、秋に蒔いて冬に育て、初夏に収穫します。小麦は水が十分に得られる冬を生育期間とし、夏は種子で休眠して凌ぐという生存戦略を持っています。いわゆる地中海式気候の中で、育つ作物になります。この小麦を、美味しいラーメンの麺にしたいわけです。現在、コメの研究は多くの県で行っています。でも、小麦の研究やその試験栽培をする県は少ないようです。福岡県のラー麦の開発は、特別の事例のように見えます。このラー麦のような研究や栽培を、やってほしいのです。それも、各県単位ではなく、いくつかの県が集まって研究資金や人材を集中的に投資する事業を行えればと考えています。テーマを決めて研究し、そして試験栽培をして、ラーメンの品質を高める小麦を開発してほしいわけです。一般的に、小麦の特徴、他品種への優位性、消費者のニーズ、販売実績の4点の視点から、小麦の優先順位を決めることになります。さらに、新品種の利点と欠点を分析する組織、時間とコストなどリスクを管理する組織などが、優先順位を決めて栽培を奨励することになるでしょう。予算の少ない県同士が集まり、日本や世界に売れるラーメン用の小麦を作ってほしいものです。
 2020年は、過去最多ペースで倒産が続くラーメン業界の現状があります。新型コロナウイルスの感染でお客が激滅する中でも、努力と工夫をしながら売り上げを伸ばしているお店もあるのです。あるチェーン店では、夜の集客に期待できないなら、昼の営業を開拓したいと挑戦している企業もあります。夜はイタリア料理店として、昼間はラーメン店として、昼夜の二毛作営業を始めたのです。販売責任者は、「生ハム」と「キノコ」を使う条件を出して、ラーメンのプロジエクトチームをスタートさせたのです。このチームは、イタリア式の生ハムと乾燥ポルチーニ茸を使い、塩味でまとめるラーメンを作り上げました。パスタで使用するデュラムセモリナ粉を混ぜて、良い歯触りに仕上げています。麺はストレートの中細麺で歯触りと、のど越しの良さの両立を実現して、評判は良いようです。
 もう一つの事例は、コロナ禍の影響をほとんど感じさせないほど人気を呼んでいるラーメン宅配店です。宅配でのラーメンはまだ珍しく、コロナ禍では「ほぼ独占状態」だったといいます。この店は2019年から新しい収益源として、直営4店で宅配のテストを進めていました。ラーメン業界で宅配参入が進まなかった理由は、汁漏れを防ぐことが難しい点でした。この開発チームは、ラーメンを載せた盆を30分揺らし続けて配達時の振動を再現するといった検証を重ねました。努力の甲斐があり、この難関を乗り越えました。昼になると、料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員がひっきりなしに出入りするお店になりました。ラーメンの麺は、配達員が店に取りに来る5分前にゆで始めます。麺のゆで時間も45秒縮めて、お客のところに届くまでのびにくくするという工夫も加えています。イタリア式ラーメンからは、小麦をブレンドすることにより、新しいラーメンの麺ができるかもしれないということが分かります。宅配ラーメンからは、「伸び」を遅くする麺ができれば、販路を広げることができることなどわかります。これらができれば、ビジネスチャンスになるわけです。
 不易流行という言葉があります。変わるものと変わらないものが、あるということです。喜多方ラーメンは、変わってほしくないものです。その中にあっても、進化したラーメンになってほしいという欲張った要望になります。以前、ラーメンに求めるものとして、消費者の要望は「おいしさ」が1位でした。でも近年、ラーメンに求めるものは「安全・安心」、次いで「健康」、そして「おいしさ」の順になってきています。安全安心を確認する指標として、近くに絶滅危惧種の動物が住んでいれば、良い環境ということができるようです。ある地域に、ニホンミツバチ、アリ、アブなど、多彩な昆虫の生息が確認されたとします。すると、この小さな虫を求めてカエルやフナやドジョウ、トンボまでが飛来してくることになります。さらに、これらのカエルやフナやドジョウ、トンボを狙った鳥たちが降り立つ光景も日常的になります。もし、これらの動物の中に、絶滅危惧種が混じっていれば、この地域(生態系)は非常に安全な場所になります。このような場所で栽培された小麦は、付加価値の高い食材になります。この小麦で作られたラーメンも、評価が高くなるわけです。イギリスやEUでは、これらの生態系を維持する農家には、補助金を出して応援しています。喜多方ラーメンの小麦が、こんな環境で作られ、地産地消を実現して頂ければ、これからも皆さんに愛されるラーメンになることは確実でしょう。