ファンタジアランドのアイデア

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減速中国経済の中にビジネスチャンスを見出す アイデア広場 その794

2021-01-18 18:32:18 | 日記


 世界経済は、富が労働者と資本家にバランスよく分配されることで、経済の好循環が生まれると考えられてきました。人口が多ければ、人口ボーナスが増えるという定説も信じられてきました。その理論によれば、労働人口の減少がその補完的関係から技術進歩や資本蓄積も停滞することになります。長期的には、労働人口が減少する国ほど、経済成長率は低くなるというわけです。この定説は、ヨーロッパや日本の経済先進国で見られている現象でもありました。一方、最近の技術革新は、この定説に意義を唱えるようになりつつあります。技術革新が起こることで、人手不足は経済成長に必ずしもマイナスの影響を与えない現象がでてきたのです。労働力の減少がもたらすマイナスを、新技術の開発によって、プラスに代えるケースも出てきているわけです。中国の人口ボーナス減少論が、以前から経済学者によって強調されてきた経緯があります。一方、労働人口が減少すると、新技術が加速的に進歩する結果、経済成長は逆に促進されるという説も少数ですが認知され始めているようです。もっとも、新技術が良いことばかりもたらしているわけではありません。新技術が急速に広がる分野は、労働分配率の低下という現象がとくに顕著となりつつあるのです。そんな混とんとした世界において、日本の企業がビジネスチャンスをつかむことを考えてみました。
 中国の現在の発想からは、基本的人権、民主主義、法治主義、国際法といった発想がありません。中国は伝統的に、農地を子どもに相続し子孫の生活を安定させ祖先崇拝をしてもらうことに価値を置いてきました。祖先を崇拝し、年長者を敬う儒家の考え方が根付いていたのです。この儒教的な伝統を一瞬にして破壊した事件が、毛沢東が指揮した文化大革命でした。文化大革命は、性に関する伝統や慣習も一掃してしまいました。この革命の特徴は、警察と軍が動員されず人民が暴れまわったことにあります。たった10年間の文化大革命で、中国の伝統が完全に否定されてしまったのです。もっとも国民の精神の奥底には残っているのでしょうが、伝統の上位に共産党の権威が位置するようになりました。文化大革命は、意図せずに市場経済に適さないような中国の伝統や習慣、そして行動様式を一掃したともいえます。この革命により、伝統の拘束力が低下し、中国人が自由になり、改革開放を進めやすくなったのです。
 先進国でも富の偏在が進み、一部の富裕層が多くの富を占有するようになりました。中国でも、富が中国共産党の有力者に集まっています。中国の16億円を超える富豪は3200人と言われ、そのうち2900人は共産党幹部の子弟となっているようです。この国では、違法でも何でも売れれば良いというルールが無数に存在していました。利益集団化した官僚や共産党支配層の存在は、腐敗や汚職の蔓延と深く結びついていたのです。企業は、儲かったら従業員に少し分けます。工場長が多めに取って、党の幹部に付け届けするという構図ができていたようです。膨大な汚職が発生したけど、みんながうまく分けあったので、あまり不平は出ませんでした。共産党の権限がある限り、市場経済から巨額の収入が共産党幹部に入っていたのです。経済が順調なときには、ある面で分かりやすい仕組みでした。でも、経済成長が少しずつ低下してくると、分配が不公平に感じるようになります。下層の人々への分配が減ってきました。すると、収入の減少や環境破壊、そして汚職腐敗などが表立ってきます。これらを背景として、市民の不満が増大しているように見えます。
 中国では2018年10月ごろから、経済の厳しさの到来を予感して、家計の倹約に心がける人々が増えてきています。この倹約の流れは、民間企業にも出てきています。中国では、国有企業が増強し民有企業が縮小する局面が現れはじめています。政府の支援を受ける企業は、依然として資金や資材の不安がない状態になっています。自主イノベーション能力増強の担い手として、国有企業は政策的優遇を受けてきたのです。以前、国営工場は原材料が割安な公定価格で仕入れた後、市場に横流ししたほうが儲かるとまで言われていました。この非効率的な国有企業の利権に、メスを入れる姿勢が共産党には見られませんでした。でも、状況は変わりつつあるようです。中国経済が拡大するにつれて、成長に必要な資源やエネルギーの確保は切実になっています。無駄が、許されない情勢になってきたわけです。
 中国は安全保障の優先順位が極めて高く、そのことを国民のすべてが理解しているようです。人民解放軍は、国境を守るだけでなく、国家利益も守る体制を目指しています。一方、軍隊は生産性がなく、消費するだけの存在になります。中国の軍事は、すでに巨大な規模になりました。このコストを維持しようとすると、経済成長の停滞を招く要因になってきました。中国では経済規模の拡大と生活水準の向上が、必ず両立しているとはえいません。国防の予算を、民生に回す時期になってきたのかもしれません。中国にとって明るい話題もあります。10年ほど前に作成した重点産業政策は、情報、バイオ、先端製造業、海洋技術、レーザー技術、宇宙技術などの8分野でした。これらの産業が順調に成長して、開花の時期を迎えているのです。中国の鉄道網は、公共投資で過剰なほど充実しています。自由な発想のできる人材が出現すれば、今までの投資を利用しながら中国の抱える問題を解決できる可能性を持っています。
 中国の弱点は、工業生産施設が深川などの海岸地域に集中していることです。アフリカからマラッカ海峡を通過し、南シナ海を通過するルートには多くのリスクが伴います。たとえば、石油の輸送がマラッカ海峡で止まれば、中国の工業地帯は大きな打撃を受けます。アフリカからミャンマー、中国への陸のルートは、経済通路としての利点を持っています。ベンガル湾からミャンマーに陸揚げされたアフリカの資源は、鉄道を通して中国に運ぶことができます。中国はミャンマーを開発し、アフリカからの原油や鉱物資源を中国に運ぶ通路にしようとしています。ミャンマーから雲南を通過して、中国の内陸部に工業資源を送ることが一つの念願です。中国の内陸部の開発が、国内の経済格差の解消につながるからです。また、中国はミャンマーを通じて、自国の商品をアフリカに送ることも可能になります。中国にとってリスクは少ない方が、良いというわけです。
 最後に、提案になります。中国経済の減速の中にも、光るダイヤモンドがあるということを知っておくことも必要です。光るダイヤモンドを見つけられれば、ビジネスチャンスをつかむことができます。中国がせっかく建設した港や鉄道施設を、有効に使っていない国々が多いのです。ミャンマーの市場は、中国の企業とミャンマーの軍が利権を握っています。この国が、流通の大動脈になるとするならば、物流センターが必要になります。ミャンマーに物流センターや流通倉庫群を作ることも、将来のビジネスチャンスに繋がるかもしれません。あるいは、流通施設は中国が作り、その施設の効率的運用を担うビジネスの方が利益を得ることができることも考えられます。ミャンマーの軍と中国の企業が、ウインウインになる仕組みはできているようです。ここに、日本の企業がサービス面のソフトを提供することも可能でしょう。入ることができれば、ビズネスの種が大きく育つかもしれません。