ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

読書からマイナンバーへの連想ゲーム アイデア広場 その787

2021-01-09 18:38:38 | 日記


 読書の必要性が、改めて理解されるようになりました。高い学力を持つ子は、例外なく小さい頃からたくさんの本を読んでいます。全アメリカの上位高校の多くは、能力の高いユダヤ系の子が占めています。彼らは、読書を小さいところから行っています。麻布、開成、武蔵など有名私立は、入試問題で読書する子かどうかでふるいにかけています。子どもの頭脳を順調に発達させるには、幼い頃から本に親しませたほうが良いことを世界の知性が理解しているようです。幼児の場合、できるだけ音読する期間を長くすると良いことが、経験的に知られています。親から読書量の貯金をたっぷりもらった子は、底力が格段に違います。それを知っている進学校は、同じ学力であれば、読書をする子供を合格にするわけです。
 社会人になっても、この傾向は変わりません。その中でも、ジャンルにかかわらず多読することが大切になります。一定数の量を読めば、当たりの本があります。1冊に向き合うよりは、乱読を意識的に心掛けたほうが良いようです。本を読んでいれば、外れにどうしても当たります。それを避ける方法は、翻訳書を読むことが一つの選択肢になります。翻訳書は翻訳された時点で、翻訳家や出版社によって厳選されており当たりの可能性が高いのです。翻訳家の選定も、読書家には必須の項目になるようです。本との対話によって、自分自身の幅を拡げ思考力を深めていくことになります。この方針を進めていくためには、今までの自分を否定するような情報を持つ本の読書も必要になります。心理的には、きつい面があるのですが、克服したい壁です。本に書いてあることや読んで閃いたアイデアを、ときどき試すことも面白いものです。メモを取らないとか、本を読んでも行動しない場合、進歩や成長は遅くなるようです。大事なことは、すべて覚えておくよりも、必要な時に、必要な情報を探せる仕組みを持つことです。情報を探すことに時間を取られると、モチベーションが低下します。
 インプット中心の読書も良いのですが、アウトプットとしての書き物も良いものです。世界の教育の流れは、インプットからアウトプットへ転換しています。インプットからアウトプットへ転換が、情報産業社会における姿になっています。社会には、刈り取り社長と種まき社長の2種類がいます。種まき社長は、将来のために種を蒔き続ける経営者のことです。刈り取る社長は、現在の果実をもぎ取る人になります。結論からいうと、この2つのビジネスを同時にやらなければ、会社は成功しません。ビジネスで成功するためには、「上りのエスカレーダー」に乗ることになります。伸びている市場に参入すれば、ビジネスも自動的にどんどん伸びていきます。伸びる市場を見つけて、そこで仕事をする方が楽しいものです。その市場を見つける種が、読書の中に見出されることが多いというわけです。
 余談ですが、ボケない方法として、本を読んだり、文章を書いたりしている知人がいます。彼は、旅と本を、セットの楽しみにしています。旅行に行くときに、何冊かの本を持っていきます。楽しみは、旅行に行くときの本を選択するところから始まります。長く旅行するときには、10冊程度の本を、衣類と一緒にホテルに送ることもあります。その彼が、目が悪くなったせいか、細かい字を読むのが嫌になったのです。目が悪くても、内容のある本を読みたいようです。そんな時、彼の知人が電子書籍を紹介したのです。この電子書籍は、字を大きくすることもできるすぐれものでした。この書籍には、5千冊ほどをダウンロードが可能です。もしこれが手に入れば。旅行に重い本を持っていく負担がなくなります。目に負担をかけずに、本も読めます。問題は、電子書籍を買うにはお金がかかることです。彼には本代がもったいないので、なかなか電子書籍を買う気持ちになりません。図書館に行けば、本代はタダになるわけですから。
 知人は、電子書籍を読みたいという欲求とお金をかけないという障壁にぶつかります。ぶつかれば、乗り越える方法を考えることになるわけです。以下は、その壁を乗り越える苦難のお話です。日本の出版物は、国立図書館に収納されることを義務づけられています。その国立図書館では、書籍のデジタル化を進めているのです。2007年から国会図書館の資料を、すでに1200万冊くらいをデジタル化しているのです。この図書館の価値は、誰でもいつでもどこでもアクセスできることです。全国の公共図書館等では、国会図書館の電子資料のほとんどが利用できるようになっています。でも、図書館には問題があります。この問題とは、図書館に本が置かれたら、書店で本を買う人が減ってしまうことです。「図書館問題」とは、図書館に本が置かれたら出版社も作家も困ると言われる問題です。
 日本人は1億2千万人です。その中で、本を読む人は600万人です。そして、その読者を支える出版関係者、書店員さん、そして作家などがなどの600万人から成り立っています。本の出版や販売行う人たちは、生活を支えるために一定のお金が必要です。そのお金が、図書館の存在によって少なくなるというわけです。全国に図書館は、3261の数が存在します。そこで、1冊ずつ購入すれば、在庫の本が3000冊程度は一気にはけることになります。人気のある本は、3冊程度を購入する場合もあります。上手くいけば、1万冊程度、図書館が購入することも出てきます。もっとも、これでは600万人の関係者の生活を保障することはできません。
 そこで、次の仕掛けを作ることになります。本を読む高齢者は、健康年齢が高いというデータがあります。ある意味で、本を読む人たちは医療費や介護費の出費の軽減貢献しているのです。医療費は40兆円で介護費は10兆円と、計50兆円を使う時代になっています。そのうちの2%は、1兆円になります。図書館に通う人たちの健康状態が良く、医療費などが節約できるというデータが出れば面白いことができます。読書人たちが貢献した、1兆円の半分の5千億円を著作権料として支払う仕組みを作るわけです。国民の皆さんは本を読むことで健康になり、作者は著作権の収入が入り、医療費は減少するという「三方良し」が成立することになります。
 電子書籍を持つ方は、国立図書館から、電子書籍をダウンロードできる仕組みを作ることは可能でしょう。この図書館でダウンロードした本に対しては、貸本屋のようにお金を払うようにするわけです。払うお金は、医療や介護を節約した5千億円を使うことになります。マイナンバーがあれば、誰でも図書館から電子書籍をダウンロードできるシステムができれば面白い世の中になります。知人も、タブレットの大きな文字で読書を楽しむことができるというものです。でも、これだけでは面白くありません。時代は進んで、小中学生にはタブレットが配られ、デジタル教科書を使用することになります。書籍のデジタル化ができれば、小中学生に配布されるタブレットやパソコンにダウンロードできるようになります。本を読む子供たちは、高い知性を養っていきます。高い知性が、日本の経済成長を支えます。こんな好循環がでることを希望しています。



変動する時代に食のビジネスチャンスが訪れる アイデア広場 その785

2021-01-07 17:57:40 | 日記


 2021年の初競りが、豊洲市場で開かれました。大間産のクロマグロが、1匹2084万円の最高値で競り落とされたニュースが流れました。1kgあたりの単価は10万円と、昨年の7分の1だったのです。初日の魚河岸では、その年の商売繁盛を願い、様々な魚介類が通常より高い値段で取引される慣例があります。クロマグロは近年、「億超え」の高値をつけていたものです。でも、今年は新型コロタウイルスによる低迷が続いているようです。昨年の飲食店の需要低迷が響き、フグやブリなども例年より安く取引されています。ある食通の方は、「魚の不漁は続いたが、高級魚をリーズナブルな値段で食べられた」と言っています。高級魚の買い手である高級ホテルや割烹旅館店が、お客が少ないので買い控えたというのです。この高級魚が、安値で市場に出てきたというのです。裏には裏があるものです。
 高級魚とされる、マグロの歴史をたどってみました。マグロは、江戸初期には上等な魚ではなかったようです。現在、珍重されているトロは屋台すしから発達したものなので、上品とはいえないものでした。江戸中期ごろ、定置網漁が発達し、マグロが本格的に漁獲されるようになります。現在は、青森県大間のマグロが有名です。でも、江戸時代には、関東付近の海で獲れたのです。縄文時代の気候は温暖で、江戸時代中期の気候は寒冷でした。ふつう小氷期は、1550年から1850年までの300年間とされているようです。この期間は、ロンドンの様子などを描いた絵画を見ると冬は氷っている風景が良く出てきます。江戸の後期になると、海温の影響でマグロが大量に漁獲されるようになるのです。天保の末期には、大漁にとれたマグロが売れ残ったので、捨て場に困ったほどだと言われています。この困ったマグロを、馬喰町の恵比寿ずしが、すしダネに使ったところ流行に至ったとされています。
 江戸時代の後半に、江戸の四大名物食の蕎麦きり、てんぷら、うなぎ、握りずしが生まれました。文化文政の世に、江戸の町で握りずしが広がっていくわけです。マグロが本格的に漁獲されるのと同時期に、醤油産業が発達します。さらに、ここにワサビが加わります。1600年代初頭から100年の間は、関東に醤油が普及していませんでした。刺身は、香辛料と酢を組み合わされた調理だったのです。17世紀後半から18世紀前半の頃に、「すりおろしわさび」の利用がでてきます。そして、ワサビは、「握りずし」と出会うことで定着するようになります。醤油とワサビの融合で、江戸の町で握りずしはたちまち一世を風靡することになりました。握りずしが流行すると、ワサビの大量生産が求められるようになります。それに答えた地方が、伊豆の天城山天領になります。江戸までの船での流通が確保され、江戸前の握りずしが定着することになります。
 徳川家康が江戸幕府を開くことにより、江戸の町は発展を遂げることになります。天下普請の資材の購入が多用されたこともあり、貨幣経済が急速に浸透していきます。江戸は、男性の比率が異常に高いため外食文化が発展します。江戸の初期は、食文化の中心は上方にありました。でも、江戸の発展は、上方文化はおろか地方の文化まで江戸に吸い寄せる力を発揮します。調理法や加工食品、保存食品が上方から猛烈な勢いで江戸に向かって流入してきました。文化の中心は、江戸に移ったのです。参勤交代制度の確立は、全国の富を江戸に集中するメカニズムを定着させる役割も果たしていました。
 余談ですが、マグロや刺身と切っても切れないワサビのお話になります。慶長九年(1604年)の朝鮮通信使の食材として、ワサビが提供されています。朝鮮通信使に対して、徳川幕府は朝鮮侵略で損なわれた関係を修復することを目的にしていました。この通信使に対しての処遇は非常に手厚く、その後も各地で盛大なもてなしがなされています。この時期にはすでに、比較的大規模な宴の食材として、ワサビが調達できたことを示しています。ワサビは「日本海要素植物」とよばれ、日本海側を中心に分布する植物になります。このワサビが、静岡の駿府城から近い有東木で栽培されていたことが分かるわけです。さらに、このワサビが17世紀の後半にかけて、伊豆の天城山天領で栽培されていくことになります。天城山の豊かな森と水源がこのワサビ生産を支えました。江戸にワサビの需要があったとしても、供給がともなわなければ握りずしの普及は見込めなかったわけです。
 握りずしが急速に全国に広がったのは、大正から昭和初期にかけてとされています。関東大震災(1923年)で被災した料理人が東京をはなれ、地方に移り住んだことが一つの理由です。さらに、太平洋戦争でも、東京を追われた職人による握りずしの伝播の影響は大きかったようです。ワサビは、刺身や蕎麦、そして握りずしの献立には必ずといってよいほど添えられています。それが、和食の伝統だと思われてきました。それが、変わりつつあります。現在では、回転ずしが「すし文化」の一翼を担いつつあります。今、回転すしでは、子供たちが多く利用しています。少し前までは、「さび入り」「さび抜き」が皿で区別されるなどしていました。でも、現在ではほぼ全ての店舗で、最初からはワサビを加えない「さび抜き」が基本になってきています。すしとワサビが、切り離されるようになってきているのです。食文化に、変容が起きているともいえます。
 歴史を見ると、食の変容は時代の激動期に起きています。フランス革命では、王族や貴族が没落しました。貴族のお抱え料理人たちは、パリの町でレストランを開業せざるを得なくなります。フランス革命で上流階級の独占物であった高級料理が、一般庶民に知られるようになるわけです。パリの庶民は、高級料理をまねたり改善したりしながら、世界のフランス料理を創り上げていきます。また、中国においては、1927~1950年にわたって国共内戦が行われます。この内戦で、中国の有名料理人は香港や台湾に移動したのです。現在、香港や台湾の料理は、本場の中華料理よりも高級感のある風格をもつ料理に成長しています。優れた料理人や店が集まれば、その集積効果が計り知れないほど高まります。高級料理の拡散と融合は、中国だけでなく、世界中で起きています。特に、東京ではミシュランガイドの数を見るまでもなく、料理店や料理人が集積しています。食の変容を起こす町として、東京(江戸)も記憶されることになるかもしれません。もっとも、この変化を素早く捉えられれば、ビジネスチャンスにもなるわけです。

女性キャリアを継続的に育てる社風  アイデア広場 その784

2021-01-06 18:26:50 | 日記

 日本から海外を眺めると、欧米には女性の首相や閣僚が多いことに気が付きます。ヨーロッパでは、クオータ制が導入されているのです。この制度は、積極的に女性を登用するものです。クオータ制が導入されている理由は、女性の知的生産が高いことが認知されてきたからです。一方、男性は既得権が守られており、女性に不利に働く社会制度の存在があります。子育て中のワーキンマザーは、知的生産性がとても高いことが分かってきました。この女性の能力をより生かすことと、制度的不利を克服するためにクオータ制が取り入れられているわけです。議員や会社役員などの女性の割合をあらかじめ定め、女性の有効活用を図っているともいえます。クオータ制の仕組みは、男性優位の社会制度を是正する優れた制度になりつつあります
 先日、アジア有数の広告業界のビジネス会議が東京で開かれました。この会議で、女性登壇者の比率が33%と初めて3割を超えたと話題になりました。ビジネスイベントや企業の会議で、女性の参加やその割合の目標を明確に打ち出す動きが出てきています。女性の参加の割合を明確にする動きは、多様な意見を引き出す場にするためです。市場調査や将来について議論する場で、男性ばかりのグルーピングでは問題があるという流れが出てきているのです。アメリカではもはや、登壇者に女性が1人だと批判の対象になります。「適任の女性がいない」「女性が登壇したがらない」といった言い訳も当然、禁句になっています。適任の女性を育ててこなかった企業が、非難の対象になる時代になったともいえます。女性の場合も、一回登壇すると他のイベントにも声がかかり、機会は増えていく流れがでてきました。公の場に参加する女性が増えることで、若い女性のロールモデル(お手本になる女性)を見つけやすくなってきました。ロールモデルの活躍が、活躍を産むという好循環が出現しつつあります。
 現代の経営には、男女にかかわらず、新たな視点や価値をもたらすには世代間の多様性が必要になっています。グローバル化が進む中で、海外の女性と競争をしなくてはならない時代に突入しています。フランスのキャリア女性は、可能な限り家事や育児をアウトソーシングしています。それは、仕事に集中する時間を確保するためです。そして、彼女たちは、仕事と子供との至福の時間を同時に享受しているのです。日本のキャリア女性で、仕事と子育てに挑戦した方がいます。彼女は3人目の出産を前にして、残業有りのフルタイムの勤務を自ら課したのです。自分の体で、フルタイムの勤務を覚えたというわけです。夫にも週1回は、子ども達のお迎えを頼みました。産後の仕事は、どのようになるかをシミュレーションしたわけです。この実験の成果で、数度にわたる海外出張も、家事代行と夫の協力で乗り切ったというお話です。もちろん、シミュレーションの時にも、家事代行を利用したことは言うまでもありません。
 世界トップクラスの人材は、家族同伴で世界を移動します。彼らが要望するのは、子息の教育環境になります。具体的には、国際バカロレア級の学校の存在です。このバカロレアの学校で、自分の子どもを教育させたいのです。人生で成功するかどうかは、認知的スキルだけでは決まらないと彼らは理解しています。非認知的な要素である心身の健康、根気強さ、意欲、自信といったものが求められます。非認知的スキルは、認知的な到達度を測定する学力テストの成績にも大きく影響することが分かってきました。幼少期の教育は、成長後の対策よりも経済的社会的影響がはるかに大きいという事実です。トップクラスの人材は、子どもが自分と同じ境遇で学問や研究に挑戦してもらいたいと願っています。シンガポールは、その親心を十分に把握し、国際バカロレア級レベルの学校を準備して、人材確保を行っています。
 幼少期の過ごし方や幼児教育が、重要視されているわけです。日本でも、子ども達の成長発達を上手に伸ばす保育園は、競争率が激しくなっています。保育園に入れば良いという段階から、子どもの成長を十分に伸ばしてくれる保育園を希望するようになっています。子どものやる気を起こさせる言葉の選択も、保育士のスキルになります。子どもの多様な行動と変化は、AIでも分析が困難と言われています。乳幼児と接する保育士の職業は、一筋縄ではいかないスキルの上に成り立っているのです。乳幼児は、聞くこと、見ること、触れることを同時に行いながら多くの能力を発達させていきます。保護者が子どもの保育の中心に位置し、それを支援する保育士がいるという形になります。保育士のスキルを向上させるような仕組みが、保育園にあることが重要になっているのです。
 キャリアの女性を育てて活用するのであれば、このような教育環境が不可欠です。さらに、会社が近くに住居を準備する配慮も必要になるようです。職住接近は通勤時間のロスがなく、満員電車で不快な思いをして体力を消耗することもありません。職住接近であれば、10分から20分以内に帰宅できます。保育園や学校に迎えに行く時間もかかりません。空き家は数多くあり、利用する住居は近くに見つけることは可能でしょう。住居と教育が満たされれば、仕事に集中することができます。無駄な通勤時間も省くことが、職住接近の利点になります。
 ダイバーシティ(多様性)を志向する日本の企業でも、多くは女性役員を社外から招く手段に頼っています。外から借りてくるその場しのぎでは、真のダイバーシティーにならないようです。アメリカ企業では、女性を計画的に育てているケースが多くあります。日本も、内部から昇格する女性の執行役員を増やすべき時がきているようです。もっとも「べき」だけでは、進歩や実現にほど遠いことになります。採用時点において、優秀な女性を増やさないと人材に厚みが出ません。短期的利益をターゲットにした案件だけでは、将来がマイナス資産になる可能性もあります。最近話題になっているESGの課題では、社内だけの意見だけでは評価されないケースが出てきます。優秀な人がそろっていても、異質な人を排除するとしたら、評価は低くなります。目に見えるロールモデルに女性がいなければ、女性リーダーの不在を指摘されます。継続して、優秀な女性キャリアを育てていく社風にしたいものです。社員に投資することは当然ですが、その子供にも投資する時代になったのかもしれません。

アフリカ大陸で中古車のシェアのシステムを作る アイデア広場 その783

2021-01-05 18:03:24 | 日記


 アメリカで、中古車の価格が上昇しています。この国の中古車市場は、年間約4000万台と、新車市場の1700万台の2倍以上の規模になるのです。売れ筋の多目的スポーツ車(SUV)は、店舗の在庫不足が続いているようです。2017年モデルの中古車は、6月から1500ドル近く値上がりしています。アメリカの自動車生産は、新型コロナ危機で5月中旬までおよそ2カ月間ストップしました。コロナ禍の影響によって、生産休止が続き、新車が不足しているのです。GMの販売店の担当者は、「新車の在庫不足で顧客の希望する車種や色が用意できない」と嘆いています。一方、トヨタ自動車の販売店幹部は、「高級車の注文は引き続きあり、あまり変わらない」と述べています。富裕層にとって、コロナ禍はあまり影響がなかったようです。影響を受けている層は、中間層以下の人々のようです。アメリカ経済は、中古車の動向を見るとわかりやすい構造になっています。
 日本からは、世界に新車で460万台と中古車で130万台輸出されています。あまり知られていないことですが、これらの中古車に関わっているバイヤーはパキスタン人の方が多いのです。1970年代後半以降、日本製中古車貿易で市場を牽引してきたのはパキスタンの人たちでした。有名な印僑やパキスタン人のコミュニティが、すでに世界各地に形成されていいます。これは中古車販売において、大きな利点を持つことになります。パキスタンを含む旧イギリス領植民地は、54もの国々と地域に上ります。旧イギリス領植民地は、基本的に左側通行で右ハンドル車を使用しています。日本の車が、喜ばれる理由がここにもあります。パキスタン人企業家は,友人や知人といった同胞を積極的に世界各地の拠点に配置しました。中古車の輸入規制が緩和の噂を聞くと,言語的な障壁をものともせず各国の市場へ進出したのです。ムスリムの人口は16億人と、中国の14億人を凌駕しています。イスラム圏に大きな経済圏が形成されれば、大きなビジネス市場が生まれます。中古車市場が、一つの足掛かりになるわけです。
 先進国は、大量生産した車を個々人が購入し、個人で車を乗り回す生活スタイルを築きました。でも、自動車産業は、移動手段のサービスを提供する形式に転換しつつあります。先進国は製品の販売という形式から、レンタサイクルやシェアの経済スタイルに変わりつつあるともいえます。便利で、ものを無駄にしない、自然に優しい生活は、未来にふさわしい生活様式になります。先進国で行われていることは、条件が揃っていれば、途上国で模倣されるケースが増えます。アフリカなどの途上国には、この模倣する条件が整いつつあります。先進国が作り出した複数のアイデアを、途上国はさらにそこにアイデアを加えて、新しいシステムを作り出そうとしています。少ない車を効率的に使用し、自然に負担をかけない仕組みを作れれば、良いモデルになります。
 現在の自動車は、50万kmを乗りこなしても、その性能は維持できる優れたものが多くなっています。アフリカ大陸では、悪路を走破する性能の高い車が自動車の価値を左右します。この大陸には、大量の中古車が海外から流れ込んできます。中古車の需要が増えれば、粗悪品で暴利をむさぼる業者も出てくるようです。トヨタは認定中古車制度を作り、良い中古車をトヨタ商事自ら販売する戦略を立てています。中古車の販売に、中古車のシェアを加えてみてはどうでしょうか。中古自動車を途上国の人々が、シェアで使用することは合理的な仕組みです。途上国は輸入した中古車をシェアの仕組みを使い、多くの人が車の恩恵を受けるシステムを作るわけです。
 シェアビジネスの核心は、使われていない資源を有効活用することで成立します。今までは、どこに空き部屋があるのかという情報がつかめませんでした。空き部屋は使われていなければ、利益を生み出しません。希望する方にお金を出してもらって、使用してもらえば、空き部屋は利益を生み出します。でも、借りたい人が誰なのかが分からなかったのです。スマホという文明の利器が、その2つのマッチングをする道具に変身しました。スマホのアプリを見れば、需給マッチングの機能がより効率的に果たせるようになったわけです。民泊のエアビーや配車のウーバーのサービスは、スマホのアプリを使うことを前提に構築されてきました。ここに信用スコアが加わり、より安全なマッチングサイトが形成されつつあります。アフリカの人たち、そしてアフリカに中古車を販売している人たちが、普及してきたスマホを通して、この機能を利用することは当然考えられることです。
 グーグルは米国の公衆衛生当局よりも早く、インフルエンザ流行の予測に成功しています。咳止め薬や解熱剤をオンライン発注する傾向が強い地域は、インフルエンザ流行を予測できる場所になります。「咳止め薬」をウェブ検索頻度で見ると、インフルエンザの流行地域が特定できるというものです。グーグルは、検索キーワードの使用頻度とインフルエンザ感染の相関関係を分析しました。このビッググデータの特徴は、「全件処理」と「質より量」、そして「因果から相関へ」というものです。検索キーワードと流行の相関分析は、4億5千万の膨大な数式モデルを使って分析作業を行っています。データの種類や件数がふえるにしたがって、組み合わせ数は天文学的に増加していきます。これをAIが、処理していくことになるわけです。もっとも、このビッグデータやAIにも弱点があります。近くに薬局がたくさんある密集した市街地の場合、ネットの検索の条件は成立しにくいというネックもあるようです。いずれ、膨大な数式モデルの中に、密集市街地の数式が入ることになり、より精度の高いモデルが完成することでしょう。要は、アフリカの中古市場においても、スマホの普及、ビッグデータとAIの利用により、マッチングサイトが構築され、人々のシェアの利用は増えるということです。
 余談になりますが、中古車を輸入するビジネスより、より良いビジネスはないかと考えてみました。中古車の活用には、部品の供給が生命線になります。中古車の輸入増加は、消耗しやすい部品の輸入の増加に繋がります。どの部品が、そろそろ切れて、必要になるか分かれば、一つのビジネスが成立します。これだけでは、楽しくありません。車の維持修理には、技能工が必要になります。車の維持修理ができれば、現地従業員の雇用を促し、技能工の養成を図ることもできます。部品の供給とそれで維持修理できる人材がいれば、中古車産業はよりスムーズにいきます。もう少し進めて、部品工場を誘致し、ケニア人自身に部品を作る工場を運営してもらう仕組みも考えられます。自動車は、3万点の部品で成り立っています。そのうち5千点の部品を、ケニア国内でつくれるようにすれば面白いことになります。経済を安定させ雇用を増やすためには、製造業の育成がかかせません。販売(三次産業)から製造(二次産業)への道も、アフリカではあるのかもしれません。



K-POPを超えるJ-POPの実現に向けて  アイデア広場 その782

2021-01-04 17:58:05 | 日記


 最近は、スマホに曲をダウンロードして聴いて、YouTubeで映像を見るというスタイルが定着してきました。最近流行のK-POPは、歌詞で聴かせる歌ではありません。このK-POPは、ダンスの魅力と、分かりやすいノリの良さが重視されています。これは、ある意味で人間の根源的な欲求を満足させるものなのです。アフリカの森から平原に出たホモ・サピエンスは、世界中に分布するようになりました。私たちの祖先であるホモ・サピエンスは、きわめて移動能力が高く、適応能力が高い生き物でした。彼らは10万年前の時代でも、音楽やおしゃれを楽しんでいたのです。世界中の神話や物語を分析すると、30程度のパターンに分類できてしまいます。それらには、聞いたり読んだり見たりして、心地いいと感じる物語やお話があります。その心地よい物語には、共通の「型」があることが分かりました。人類が移動して、いろいろな地域に生活するようになっても、なにを喜び、なにを哀しむかは、どの国でも似たようなことが多いのです。音声の言葉ではなく、音楽(リズム、メロディ、ハーモニー)と身体言語でコミュニケーションを行っていたのです。この音楽や身体言語が、本当の喜びや悲しみを表現するものになっていたともいえます。
 この意味で、K-POPは世界に広がる要素を備えていたことになります。多種多様な言語や宗教と多彩な生活様式などの多様性が、人類の生存を支えてきました。K-POPはこの多様性の上に乗り、共通の言語を持たないアジアや欧米の人々にも楽しんでもらえる要素を備えていたというわけです。さらに、人類学的視点だけでなく、現在文明の力も備えていました。スマホとYouTubeの融合した曲や映像を提供しているために、K-POPは成功しているともいえます。さらに深堀すると、巧みな戦術や戦略も見え隠れします。韓国の各地の大学に、コンテンポラリー音楽を教える専門学科がたくさん設立されていました。そして、韓国の国策ともいえるネットを巧みに使った戦略があったのです。
 1997年、韓国はいわゆるIMF危機という国家的な経済危機に陥りました。韓国政府は財政再建と世界に勝つための経済政策としてIT産業や文化事業の振興を選択したのです。2000年前後から、音楽や映像のプロを育てる大学や専門学校が韓国内に設立されていきます。国内各地の大学に、それまでには無かった実用音楽科や映像学科がたくさんできたわけです。韓国はこの10年の間で、エンターテインメント産業の人材を育ててきました。この間に育った人材は、若いYouTuberといったネット配信技術のスタッフたちだったのです。IMF危機のときの学生たちが今、韓国の音楽や映像の世界の第一線で活躍しているわけです。経済危機で韓国政府が方針を絞ったことが、今のK-POPブームや韓流ドラマブームの下支えになったともいえます。
 この当時(2011年)韓国易輸出の総額は、5565億ドルでした。このうち、コンテンツ産業は42億ドルで、スマホや液晶テレビなど電子機器の輸出額に比べれば、決して大きなビジネスではありませんでした。でも、韓国政府はアーティストの力で世界に韓国ブランドを広める戦略に重きを置いたのです。音楽やドラマが海外で認知度を高めることが、韓国のイメージを上げると確信していたのでしょう。音楽などで国のイメージを向上させて、韓国製品の購買につなげる戦略でした。音楽やドラマの間接的効果は非常に大きいとい韓国政府は見ていたわけです。K-POPの輸出が100ドル増えると、電子製品やIT機器の輸出は平均395ドル増加するという試算までありました。韓国のイメージを上げることが結果として、韓国メーカーの製品の購買を高め、韓国の観光客を増やすという戦略だったわけです。
 2003年4月にNHKのBS2で「冬のソナタ」が放送され、"韓流ブーム"が日本全国に広がりました。このようなヒット作は現在、影を潜めました。でも、依然として着実に、韓国ドラマは日本に進出を続けていいます。ドラマの出来や筋立ては上質とはいえませんが、一定数の女性ファンをとりこむノウハウを持っています。日本の今年上半期のレンタル総回数は、過去最高の3億6397万回を記録しています。その中で、60代女性のレンタル回数のトップテンは、すべて韓国ドラマが占めています。いかに韓流ドラマが、支持されているかわかる数字です。韓流ドラマは最初から海外での放映を前提につくられており、放映料はきわめて安いことが特徴です。日本おいては、テレビドラマを海外で放映する場合、出演者全員の同意を取り付ける必要があります。韓国では海外で放映する場合、出演者全員の同意を取ることなく、外国で放映ができます。このスピード感が、日本と韓国の明暗を分けているようです。
 2002年当時、ボア(BoA)は日本に活動の場を置き、完璧な日本語を習得して成功しました。BoAは韓国の歌い手として、日本で最初のミリオンヒットを記録します。それから約10年を経て、後輩の「少女時代」が、アルバムでミリオンを達成しました。これは、韓国歌い手としてはBoA以来の記録になります。2007年以降、韓国で過熱したK-POPが2010年に日本に飛び火してきます。2010年の統計で、韓国から輸出されるコンテンツの約54%が日本向けでした。現在は、世界各地に輸出先が広がっています。「少女時代」をヒットに導いた要因は、YouTubeといったネット配信技術によることが大きかったのです。「少女時代」は、活動拠点を韓国に置きながら、日本やアメリカ、そしてヨーロッパにおいても活躍しています。以前のような日本に定住してファンを獲得する手法より、ネットを活用する活動が主流になっているのです。
 余談ですが、人気になる体型もあるようです。たとえば、ファッション界では、ナイーヴで優しげな雰囲気をたたえた男性モデルを起用することが増えています。マッチョであるよりも、ほっそりした肉体の男性モデルを起用したコレクションが増えているのです。化粧年齢層の幅は著しく広がり、若者から高齢者までデパートの化粧品売り場には客足が絶えないようです。男性用のグルーミング機器や基礎化粧品も、続々と発売されています。男性のモードは、細身化、子供化、繊細化、女性化の方向になりつつあります。「何を着るか」ではなく」、「どう着るか」が試行錯誤されています。この中で、主流になりつつあるものが、中性化と子供化になるようです。歌手やダンスの振り付けを見ると、そのような傾向が目につきます。
 最後に、で日本人歌手が海外においてが活躍できる仕組みを考えてみました。ビジネスのあらゆる面で、国境を超えた大規模な変革が起きています。これは、音楽やダンスの世界でも同じ現象が起きているようです。「東方神起」を抱える大手芸能事務所のSMは、2020年5月に有料オンラインライブを開催するようになりました。これは、100万人近いユーザーを集めたといいます。いま地球上で使われている言語は、約6000あるといわれ、その全容は把握しきれていません。音楽のターゲットは、これら6000の言語を操る人たちになります。でも、音声言語ではなく、身体言語(ボディランゲージ)でコミュニケーションを取ることもできます。むしろ、この言語のほうが、相手の心に入り込むかもしれません。
 ソフトバンクには、ペッパーくんという人工知能を備えたロボットがあります。ペッパー君がどう受け答えをするかは、吉本興業が考えているのです。この人工知能を、ロボットに応用してはどうでしょうか。白系オウムと呼ばれる鳥たちは、アップテンポの音楽に合わせて踊ります。耳で聞き取った音楽のリズムに対する身体の同調が、オウムでも可能であることがわかったのです。鳥類も人類も、高い知能を持っています。そして、音楽やダンス行う高等動物でもあります。ダンスや音楽は、音声言語の以前から主要な伝達手段だったと言われています。最新のロボットと原初的欲求を組み合わせて、新しい歌やダンスの分野を開拓してはどうでしょうか。日本の小中学校では、ダンスを教材として取り入れています。この中から、才能のある子供たちが育っています。これら十代の子ども達が、ブレイクダンスなどで活躍していることは周知のことです。彼らに、歌と踊りの楽しさを広めてもらうこともヒントになるかもしれません。



二酸化炭素排出量330億トンをゼロにする仕組み アイデア広場 その781

2021-01-03 17:52:55 | 日記


人類は18世紀の農業革命で穀物生産を伸ばし、産業革命では工業生産を飛躍的に増やしました。18世紀から21世紀の300年の間に、わずか1℃の地球温暖化が北極海などの氷の融解を急速に進め、気流の流れを変えたのです。これに続いて、相次いで熱波や洪水、山火事が地球の異変が起きるようになりました。いくつかの報道では、気温が上がり、たくさん島が沈むなどの扇動的な記事も出るようになりました。でも、冷静に過去の地球の気温変化を知らなければ、現在を評価できないものです。地球の長い歴史から見ると、じつは寒冷な環境にあるということになります。しかも、二酸化炭素による温室効果がなくなったら、地表の気温はマイナス18℃に下がるという学説もあるのです。とは言え、気温は産業革命後、約1度上がり、このままでは2030~50年には気温がさらに1.5℃上がるという学説もあるわけです。現在では、世界の多くの人が、化石燃料の使用を控え、二酸化炭素の排出を抑えるべきだという意見に集約されるようになりました。
 世界の意見は、再生可能エネルギーのさらなる使用になります。その流れを見て、世界の太陽光の発電量は急激に増えています。その中でも、中国の比率は、2010年の2%から2018年には32%まで急上昇しています。北京から西へ700キロには、中国最大級のダラト太陽光発電所があります。ダラト太陽光発電所の完成時には、広さが67㎢と山手線の内側に匹敵するものになります。この発電能力は、原発2基分の200万kwになります。公害をもたらす砂漠の黄砂の地が、宝を産む地域になるのです。日本も、太陽光パネルの性能では負けてはいません。シャープは、「太陽光だけで走れる車をめざす」計画を持っています。現在、開発中の新型太陽電池は薄くて軽く、太陽光を電気に変換する効率も30%を超す優れものです。プラグインハイブリッド車にのせると1日の充電分で56キ口走る計算になります。ちなみに、プラグインハイブリッドカー(PHEV)は、ハイブリッドカー(HV)に外部充電機能を加え、電気だけで走れる距離を大幅に長くした次世代エコカーになります。
 現在の地球の平均的な表面温度は、プラス15℃程度です。この気温は、人類には過ごしやすい気候になります。この過ごしやすい環境が、崩れつつあるのです。人間の限りない欲望が無秩序で暴力的になり、自然破壊を継続しつつあるというわけです。人類も、その危機を理解しています。一方、この危機を優れた技術革新で、環境保全と成長を両立させようとする主張が優位を占めてきました。ところが、近年の自然災害の猛威は、環境保全と経済成長の両立の困難さを示しているのです。人間の限りない欲望の膨張と発展志向の中には、技術の統御が不可能となる事象が現れつつあるのです。人間の非力さが、見え始めたのです。努力しても、気候を2℃未満に押させることのできない人間の無力さです。一方、タフな人たちはいます。ある人たちは、温暖化に適応する戦略をとります。温暖化は、寒冷地で作物の収量が増加するとポジティブ思考になる人たちもいるのです。でも、温暖化の本質的事象を避けて通る場合、不都合な真実になります。やむなき温暖化への「適応」ということで、いわば敗北思想という言い方をされるようになります。
 2050年までのカーボンゼロは、気温上昇を1.5℃に抑えるのに必要な温暖化ガス削減の道筋になります。国連環境計画によると世界の3分の2に及ぶ、126の国と地域が二酸化炭素など温暖化ガスの実質ゼロを表明しました。日本も、2050年までに二酸化炭素など温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言しています。宣言は簡単ですが、カーボンゼロは世界の産業や暮らしのあり方も塗り替えることなのです。化石燃料で発展してきた人類史の歯車が逆回転し、再生可能エネルギーが主役になる流れになってきました。化石燃料を中心とする化石資源の市場は、年間1000兆円以上の規模と言われています。カーボンゼロには、エネルギー、運輸、産業、建物などの投資に8500兆円ものの金額がかかります。カーボンゼロの奔流が、世界の政治経済、そして文化を流動化させていきます。
 カーボンゼロは人類の営みで、これまで増え続けた二酸化炭素を一転して減らす革命になります。世界では、巨大装置で大気中の二酸化炭素を回収する争いを始めています。たとえば、アイスランド南西部で大規模な二酸化炭素の除去装置が設置されています。直径約1mの吸気ファンが、24基そなえた装置を4つ備えつけた装置です。吸い込んだ空気から二酸化炭素だけを特殊フィルターで吸着します。大気中のこの気体を吸い込み、地下2千mで岩に変えるのです。吸い込んだ9割以上の二酸化炭素を半永久的にとじ込め、漏れる恐れも小さいというものです。
 大気にある炭素は、重量で8300億トンになり、その多くが二酸化炭素のかたちで存在しています。全世界で1年間に排気される二酸化炭素は330億トン程度になります。蛇足ですが、陸上には2兆4700億トンの炭素が存在しています。陸上の植物が行っている光合成量をみると、1年で約600億トンの炭素固定量を行っているわけです。木を切ったら、木を植える活動が必要になるわけです。海洋には、38兆トンの炭素が溶けています。植物プランクトンの死体の多くは、二酸化炭素を固定した有機物として海底に沈みます。海洋の植物プランクトンによる炭素固定量は、1年で400億~500億トンと考えられています。海底堆積物には2兆卜ン弱の炭素が存在しています。大気中の二酸化炭素を岩石として固定化することも、選択肢になります。そして、植物プランクトンの死体を海底に堆積させることも、カーボンゼロの有力な方法になります。
 光合成を人工的にできれば、人類にとって大きな福音になります。太陽光と水、そして大気中の二酸化炭素で有機物を作ります。その有機物を地下に保存すれば、カーボンゼロは達成されることになります。でも、そこまで技術は進んでいません。大気中のカーボンゼロには、21~50年に欧米やアジアなど4地域だけで計8500兆円もの投資が必要になります。このカーボンゼロの立役者は、水素になります。水に浸した白いシート状の触媒に光をあてると、電気なしで水を水素と酸素に分解する技術が開発されています。ここで作り出した水素と二酸化炭素を反応させ、プラスティックや化学繊維の原料をつくる実験が進んでいます。あたかも植物の光合成のように、二酸化炭素を大気中から吸い込む作用になります。アイスランド大規模な二酸化炭素の除去装置より、効率的な除去装置になります。有用なプラスティックができるわけですから。光触媒を用いて水素を生む「人工光合成」モドキも、有力なカーボンゼロに方法になります。再生可能エネルギーで電力等のエネルギーを蒔かなう一方で、植物プランクトンや人工光合成の技術を使って、大気の二酸化炭素を取り除く方法を開発することで、人類はカーボンゼロに挑戦することになるようです。



テレワークから違法ワクチンまでの連想ゲーム  アイデア広場 その780

2021-01-02 17:59:06 | 日記


 お正月の新聞は、情報の量も質も優れたものが多いのです。毎年、それを楽しみにしています。今年は少し遅くコンビニに行ったら朝日新聞がすでに無くなっていました。そこで、読売、毎日、産経、日経の中で印象に残った記事から、いくつかの連想を行ってみました。
 最初に目についた記事は、テレワークの普及でした。東京を中心にしたテレワークの実施率は、上下動がありました。でも、確実に定着をしてきているようです。3月ごろの26%の実施率が、新型コロナウイルス感染のピークには67%まで高くなります。その後、コロナが落ち着いてきた9月から10月にかけては53%になります。そして、第三波が訪れている最近では徐々に上向きになっているようです。テレワークの導入は、三密を避けること、事業の継続をすること、そして通勤の負担軽減が主な理由になっています。一方、テレワークを取り入れてやめた理由も興味深いものがあります。やめた理由は、生産性が下がること、IT器機などの不備、そしてコミュニケーションの問題が挙げられてきました。この止めた理由を改善すれば、テレワークが普及する条件が整うことになります。改善が上手くいけば、働き方改革を自然と実現するかもしれません。
 このテレワークをもたらした新型コロナウイルス感染は、人々を家の中での生活を強いることになりました。でも、人間はタフにできています。家でできる遊びを積極的に開発していきます。室内ゲームが、盛り上がりました。特に、ゲーム配信企業の売り上げは増大し、利益を上げています。コロナ禍において、人々の消費動向を把握した企業は成長しているようです。一方、ゲーム依存の心配もされるようになりました。おそらく、コロナ禍が終息した暁には、ゲームを行う人は減少するでしょう。むしろ、室内に閉じ込められていた人々はその反動として、野外活動を志向することになるでしょう。この仮定がある程度正しいとすれば、ゲーム産業の知恵者はゲーム配信と野外活動を結び付けた新しいゲームを開発するかもしれません。いつの時代でも、遊びは楽しく、人々を虜にしていくものです。
 室内遊戯の代表といえば、囲碁と将棋です。その若きエースの対談がありました。囲碁は柴野虎丸十段と将棋の藤井壮太棋聖のお話は、興味深いものがありました。AIが出現してからは、打ち方もさし方も完全に変わってきています。棋士もAIにあわせて、序盤を進めるようです。トップ棋士を上回るAIが誕生して囲碁将棋界は一変したようです。プロ棋士は強くなろうと、AIの打つ手を研究しています。これまでの定石は見向きもされなくなったといいます。ただ、AIにも限界はあるようです。AIは道具であって、人間の要求をこなしているにすぎないという点です。AIは正解ではないし、その答えはAIの作り方次第で変わります。たとえば、囲碁のコミ6目半のAIとコミ7目半のAIでは、プログラミンが異なります。これまでも、棋士はより強い棋士の手をまねてきました。名人の手をまねるのと、AIの手をまねるのと本質的には同じことだというわけです。AIの解答を参考に、次のステージを目指す若き棋士の素顔を見たようでした。
 2020年は、新型コロナに翻弄された1年でした。テレワークも室内ゲームも、この小さなウイルスに影響を受けてきたわけです。そのウイルスに立ち向かう強力なお助けマンが、が世界各国に出現しています。その一つに、中国のワクチンがあります。この中国で製造されたとする新型コロナウイルス感染症の未承認のワクチンが、日本国内に持ち込まれているというのです。その未承認ワクチンは、日本を代表する企業の経営者など一部の富裕層に接種されていたことが、明らかになったという記事です。2020年11月以降、既に企業トップとその家族ら18人が接種を受けたということです。この経営者はビジネスの都合上、数多くの人との接触をしなければならない立場にあったようです。三密にさらされる立場から、ワクチンを打つことになったようです。彼は、ワクチンをいち早く経験したことをきっかけに、知見を深めれば新しいビジネスに関するヒントを得られるもしれないと言っています。ある意味で、納得できるお話になります。
日本の貿易相手は、中国が第1位です。中国における日本企業の拠点数は3万2千余りと、米国の4倍近い多さになります。もちろん、日本企業も中国との外交リスクや突然のルール変更には不安を持っています。中国に拠点を持つ日本の企業は、中国進出に濃淡をつけた戦略を立てています。製造業は、技術の保護や政治外交リスクに十分備えた個別対応になるようです。情報通信や最先端技術に関連した企業は、中国国内に拠点の新設などは控えた方が無難といわれるようになりました。一方、政治と距離を置ける文化、芸能、スポーツなどは積極的に進出し、ビジネスチャンスを享受しても良いという判断があるようです。
 中国の大都市などの人口の密集地帯には、多種多様なニーズに生じています。大都市には、多くのニーズを持った人々と企業が集まってきています。人々はいろいろな視点を取りいれて、個々人がニーズを満たすための環境整備が求められています。この環境整備には、時代のトレンドを上手くつかむ才覚が求められます。特に、スキマ産業では、モノだけでなく、店の作り方、そして販売の方法など多彩な才覚が求められます。中国では、高度なデジタル技術が長足の進歩を見せています。これらのデジタル技術と旺盛なニーズを組み合わせれば、多くのスキマ産業が成立する素地があります。スキマ産業の成功は、最終的に企画するリーダーと社員の感度、及び実行力にかかっています。そして、中国では人との関わりが重要です。特に、政治家や党関係者との関りがビジネスの成否に繋がるようです。
 以前、小沢一郎幹事長の時代、民主党の国会議員が大挙して中国を訪問しました。そして、現在の二階堂幹事長の元でも、自民党議員が大挙して中国を訪問した経緯があります。そこで行われていたことは、政治家同士の関係を深める狙いがあります。よく言えば、友好関係を築くことになります。もう一つは、ビジネスの種を育てることがあります。双方の国の政治家とコンタクトのある事業家と事業家同士が、接触する機会を提供する場になるわけです。この接触は濃いケースも薄いケースもあります。これらの関係を通じて、中国への企業進出がスムーズにいった面があります。逆に、この関係を通じて、中国から日本への進出もあったようです。中国は、経済的に発展しています。いわゆる蜜が溢れている国です。そこに引き込まれる企業が、出てきても不思議ではありません。逆に、日本に中国にないものがあれば、それを狙うことも合理的な行動になります。もっとも、国内法に基づいて行うことは言うまでもありません。楽しい話題だけで、話を進めようとしたのですが、強烈なワクチン報道で、そちらに脳が動かされた連想になってしまいました。

リーダーには時間と余裕を与える配慮も必要です アイデア広場 その779

2021-01-01 21:50:13 | 日記


 2020年9月の菅義偉政権発足から100日が過ぎ、内閣支持率が急落しています。内閣支持率が42%に急落しているのです。コロナ対策を「評価せず」と59%の数字が政権の足場を不安定にしています。経済再生の目玉だった観光需要喚起策の「GoToトラベル」が、停止に追い込まれました。さらに12月25日以降は、国内でこれまでより最大70%感染しやすいとされる新型コロナの変異種が確認されています。菅首相との多人数の会食に批判が集まり、「国民の誤解を招く意昧で真撃に反省している」と陳謝の報道もされています。こんな状況を、10年近く前にもあったなと思い出してしまいます。
 2011年3月の東日本大震災が発生しました。その時の対応を民主党政権が、国民から非難された状況と似ているのです。原発事故を含めた復興費は、20兆円を越えたといわれています。その復興費が使われている現在、住民にとって良いインフラ整備だったかというと疑問もでてきます。せっかく建設したのに、利用しない施設もあるようです。その疑問が如実に示すことは帰還する住民が極端に少ないことです。ちょっと一息おいて、地域のより良いインフラを考える時間があっても良かったのではないかと思ってしまいます。復旧が、災害前より良い環境に変わっていることを誰しも希望します。でも、速い復旧を、窮地に陥った人々は求めるものです。今考えれば、もっとこうすれば良かったという点が今考えると次々と出てきています。東日本大震災や原発事故にだけ目が注がれている間に、外患が拡大していました。
 この震災の時期にも、中国艦船は尖閣諸島に侵入を繰り返していました現在はさらに、多くの艦船で侵入を恒常化してきています。中国の台頭は、日本の安全を脅かしています。尖閣諸島のスクランブル回数を見れば明らかです。1962年に起きた中印国境紛争では、インドは規定の国境線を大幅に後退させられました。インドも中国の海洋進出に警戒を強めています。海軍の実力は、潜水艦の性能で決まるともいわれています。インドの海軍は、中国海軍に比べ劣勢です。優れた潜水艦の技術は、インドにはなく、日本にはあります。インドにはI T技術者が豊富におり、日本には不足しています。ある意味で、日本とインドは、補完関係にあるともいえます。
 世界は、軍事的緊張を増してきています。2014年のロシアによる東部ウクライナ侵攻は、NATOに新たな脅威をもたらしました。東部ウクライナ侵攻は、NATOに「加盟国の領土と国民の防衛」と言う政策に回帰させているのです。スウェーデンは2010年に廃止した徴兵制を、2017年に復活しています。フランスも、同様の処置を取り始めています。小国であるリトアニアにも、脅威を感じています。リトアニア社会全体が、侵略者に対して戦う意思があることを示しています。独立を維持するために、多くの一般市民が生命を犠牲にする用意があることを表明しているのです。リトアニア国民が全体で抵抗すれば、NATOは独立リトアニアを支援すると捉えています。NATOもその要請に答えて、NATO軍をリトアニアに駐留させています。
 一方、中国が海洋進出する理由は、過去の苦い経験があるからです。アヘン戦争で沿岸防衛がもう少ししっかりしていたら、イギリスに破れることはなかったと考えています。冷戦時代、中国はアメリカとソ連を敵に回していました。その時に、中国は戦略的に重要な施設を内陸部に移動させていたのです。改革開放後は、沿岸部に移し、現在の繁栄を築いています。沿岸部の繁栄を支えたのは、石油や鉄鉱石など輸入による工業化の発展でした。沿岸部が崩れると中国の繁栄は崩れるということになります。沿岸部の守りを確実にするため、南沙諸島に人工島を建設し、海洋進出を図っているわけです。そして、さらに安全を高めるために、太平洋へ、インド洋へ、果ては北極海まで進出しようとしています。ここまでくると、他国への侵略と捉えられる状態になります。見方を変えると、ここに中国の弱点があることになります。
 近年、内患外憂の状態が続く日本です。これを乗り切るリーダーが、求められます。でも、パーフェクトなリーダーはいません。リーダーが、いきな政策をピークの状態に持って行けるわけではありません。ピークにもっていくまでには、時間がそれなりにかかります。自分の精神テンポと異なるテンポに合わせて作業をすると、普通は作業効率が落ちます。一度に大量の情報が手に入るからといって、情報を有効に利用できない場合も出てきます。順調にいかない、壁にぶっかるという経験は、どのリーダーにもあります。国民は拙速な判断を、リーダーにさせるべきではないようです。東日本大震災や原発事故で、そのことは明らかになっています。リーダーの能力が十分に発揮できる時間と環境を整えることも、国民の知恵になります。そして、成熟した国民の民度ともいえるものです。この対極にポピュリズムがあるようです。リーダーがモチベーションを高めて、それを維持できる時間と環境を、与えても良いようです。新型コロナウイルス感染の感染者は増えていますが、日本全体としての死者は減少しています。医療従事者の方の頑張りがあるからでしょう。ここで国民が、もう少し外出を控え、行動を自粛すれば、感染者は減ります。感染者が減れば、心疾患や脳疾患の治療に、医療従事者をまわすことが可能になります。日本の医療を安定させて、持続可能な状態にできるわけです。これを行う日本国民の民度は、評価されることでしょう。
 日本には、優れた人材がいます。優秀な官僚が戦後の日本を成功に導いてきたことは、日本より世界が認めています。日本のキャリア官僚が、優秀であることは世界的に知られていることです。政治家が官僚の背中を押せば、官僚は着々と政策を実現していきます。一度決まったことは、行政が淡々とこなしていきます。今後の課題とされるワクチン接種なども、淡々と実施されていくことでしょう。始まれば、速く終息することになるかもしれません。その時を平常心で待ちたいものです。
 余談ですが、日本とインドの補完関係が成立する可能性があります。中国の力による領土拡張は、将来中国の子ども達に周辺国からの恨みという「負の遺産」を残します。日本とインドの安全保障は、中国の暴走を抑制する作用を果たします。それだけでなく、両国の安全保障は、中国の子ども達への負の遺産を軽くするものになると善意に解釈することもできるようです。