ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

北陸一宮の気多大社・常緑広葉樹・観光資源  アイデア三題噺260

2019-08-20 16:19:22 | 日記
 
 富山県のチューリップで有名な砺波市に3泊ほどして、近辺の名所旧跡を訪れました。その日は、北陸一宮の気多大社をまず訪れました。能登の道路は高速道路並に整備されていました。縁結びの神様で知られていましたが、目に付いたものは「入らずの森」でした。この森には、シイやタブなどの照葉樹林が見られるのです。古墳時代以前、日本の国土は照葉樹林に覆われていました。でも、それ以降照葉樹林は焼きものなどの燃料に使われて、その姿はなくなってしまいます。現在、残っている場所は格式の高い神社などわずかになっています。
 シイやタブなどの常緑広葉樹を伐採し続けると、コナラなどの落葉広葉樹林にります。さらに、広葉樹を切り倒し続けると落葉広葉樹が、松林になっていきます。松の木が進出した後、数十年経過するとコナラやクヌギの樹木が松の木を押しのけて生育するのです。さらに何十年か過ぎると落葉広葉樹の下でシイやタブなどの照葉樹の稚樹が育ち始めます。照葉樹の稚樹が育ち始めて何十年かすると、落葉広葉樹を抑えて照葉樹が優占種になるという流れです。シイやタブなどの照葉樹林の存在に出会ったことは、本当の生態系を見られる幸運にぶつかったともいえます。罰当たりでなことですが、縁結びで売り出すより、照葉樹林の存在をピーアールした方が、外国人観光客には受け入れられるように思ってしまいました。
 入らずの森は、一種の極相林ということができます。人工の手が入らない自然に任せた森林なのです。であれば、生態系のモデルケースとして外国人観光客を誘致することもできます。欧米にはすでに大口径の広葉樹がなくなっています。ましては照葉樹は希少種になっています。工業先進国の日本が希少種である照葉樹を数多く残していること、それ自体が貴重な遺産ともいえるのです。イギリス植物1500種のうち、固有の種は15種しかありありません。日本に自生する5300種のうち、1800種が日本固有の植物なのです。日本の生物の多様性は生物資源としては当然ですが、観光資源として大きな可能性を持っています。外国人観光客は、これからも日本を訪れます。神社には、世界が失ってきた生物資源が豊富にあることを知る外国人が増えることでしょう。知る行動そのものが、外国人観光客に日本の文化を理解してもらうことに繋がります。つまり、多くの神社を持つ日本は、無限にリピート客を獲得し続けることができるわけです。
 2030年には、世界の観光旅客数が30億人に達すると予想されています。外国人観光客に対して、どのような商品やサービスを準備するのか、日本が現在持っている経営資源で、どのような付加価値のあるものを提供するのかを常に考えていかなければなりません。特異な生態や生息状況が、常時見られるということになれば、より付加価値の高い自然志向の観光資源になります。蛇足ですが、スイスなどの観光立国は、自然保護に国が資金を提供しています。住民は、その資金を使って自然保護に努めているのです。日本人は、神々を敬うという姿勢で、自然保護活動を住民が自主的に行う形を取っています。話は戻って、その限られた資源を、有効に持続的に使うことが、これからの日本では求められます。日本における森林を中心とした生物多様性は、先進国において稀少性があります。観光資源としては、費用対効果が高いものになるでしょう。
 余談ですが、砺波のホテルに滞在したわけですが、朝晩は温泉に浸かり、バイキング料理を適度に食べる生活でした。スタッフの方の仕事ぶりを見ると、非常に合理的なのです私たちが食べた食器を手際よくワゴンに入れていきます。よく見ると、厨房の方が洗いやすいように食器を一定の流れで集めています。私たちが持って行くと、笑顔で受取り、積んでいきます。仕草に無理のない動きに感心してしまいました。もうひとつは、キッド専用に食べたいなと思うビスケットがありました。「このビスケットを食べても良いですか」と尋ねたところ、年配の方が、笑顔で「私はキッド用としか言えません。でも、私は聞いていません」と、年配の方が暗黙の了解のサインをだすのです。レストランスタッフの方には、合理性に加えてユーモアもありました。私たちシニアには、子ども時代に戻りたいときがあります。このスタッフの方のユーモアは、スムーズに子ども時代の雰囲気に入れるものでした。良いサービスは、モノもコトも提供する時代です。心の豊かさを求め、毎日の生活を楽しみたい気持ちがあります。このホテルでの酒量はかなり増え、楽しい夕食になりました。



命がけの登山・都市型災害・避難生活を快適に  アイデア三題噺259

2019-08-19 19:36:22 | 日記

 以前、登山は若者の命がけの遊びでした。日本で最も厳しい登山は、冬の北アルプスと言われています。北アルプスは厳冬期、悪天に陥ると1週間から10日間吹雪くことが続きます。この間、若者は命をかけながら登山という遊びをするわけです。10日間の吹雪に耐えられる装備と訓練をした者だけが、入ることができた世界でした。未熟なパーティは、北アルプスに閉じ込められで身動きできなくなり遭難という報道を招くこともあったようです。登山の事故は、自己責任が世界の常識です。ここでは、想定外の吹雪でしたという言い訳が通用しない世界でもあります。
 阪神淡路大震災のような都市型災害にあっても、普通の生活が送ることができたのは1週間でも10日間でもビバークのできた山男達でした。都市型災害では、電気が止まり、水道が止まり、ガスが止まり、日常を支えるインフラが機能しなくなります。彼らは、電気が止まってもへッドランプを使うことができます。ガスが止まっても、ガスコンロとガスカートリッジを使い、コッヘルで慣れた料理ができます。水道が止まれば、空の水筒を利用します。ガラスの破片の上でも、安全に歩けるトレッキングシューズがあります。テントも寝袋もあり、寒ければテント用のマットもあり寝泊まりに不安はありません。
阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓で、多くの家庭では、食料や水を備蓄しました。危険ものど元を過ぎれば、危機管理を忘れてしまう傾向があります。おそらく、多くの家に備蓄されている食料は、とうの昔に賞昧期限切れになっているかもしれません。入れ替えが、必要でしょう。これを有効利用するために、仲間で集まりバーベキューなどして、賞味期限の食品を入れ替えてはどうでしょうか。災害時を思い出しながら、危機に備える場にするわけです。
 登山やハイキング人口は、800~1000万人といわれています。山ガールブームで、それが1200万人以上に増加したとも言われています。多くの登山者の中には、遭難する人も増えています。特に、報道で目につくのはツアー登山による遭難事故です。ツアー登山では、トレーニングなしで登る方が多いようです。不足している部分を、ガイドや旅行会社に託す傾向があります。登山には、絶対の安全ということがありません。ツアー登山では、不足している技術、体力、精神力を少し高めてから参加するする仕組みを作ってはどうでしょうか。1000万人の山男や山ガールの何割かが、ツアー登山に参加します。その対象者が、災難に備えることができれば、二次災害は減らせるかもしれません。
山登りに絶対安全がないように、日常生活にも絶対ということはありません。山登りの初心者は、山頂までに体力を使い果たしてしまうことが多いようです。山頂に立つまでに全力を使い果たしてしまっては、下山に力が残っていません。下山に捻挫や道に迷う事故が増えています。身体的にも精神的に余裕がなくなっているので、このような単純な事故が、山では重大事故に発展します。山登りの体力は、山頂まで3分の1、下山に3分の1、3分の1の余力を残しておくことが基本になります。山行を何度か経験することで、自分の体力を客観的に把握して、無理のない山歩きができるようになります。余裕をもって長い行程を歩き通すには、それなりの体力が必要となることがわかります。これと同じようなことは、避難生活でも現れるようです。避難所での生活に3分の1、帰宅後の生活に3分の1、再出発に3分の1の余力を残すような備えをしておきたいものです。


1000兆円の借金・過大な要求・地域に眠る資源の発掘  アイデア三題噺 258

2019-08-17 21:59:25 | 日記

 日本の国は、地域の住民ニーズにおうじて行政がサービスを提供してきました。住民のニーズが増えたにもかかわらず、税金の収入は増えませんでした。それでも政府は、住民の求める良質なサービスを提供し続けてきたわけです。結果として、1000兆円の赤字を抱える国になってしまいました。政府は、都市も地方も平等になるように施策を進めてきました。そのひとつが、道路や鉄道の建設でした。全国で道路建設などの公共事業を行いました。結果として、全国の道路網は整備され、物資の輸送はスムーズに配送されるようになったわけです。宅配などのサービスも、容易に受けられる環境整備ができたのです。道路を建設すれば、地方にお金が落ちます。このお金が、地方経済を潤していたのです。この道路資金は、都市部で集めた税金が使われていました。都市で稼ぎ、その稼ぎを地方で使うという流れができていのです。その代償として、地方は都市に人材を供給する仕組みができていました。でも、最近この仕組みに不具合が出てきています。都市と地方の格差が大きくなり、その溝が埋めがたくなってきたのです。
 そこで、これまでのように地方と都市を円滑にしていた仕組みについて考えてみました。できれば、格差を少なくする方法などがあれば探したいと思いました。高度成長の時代は、道路や鉄道の建設資金が成長と税収を生み、所得減税や公共事業のための財源を用意してきました。所得減税と公共事業で、豊かな地域とそうでない地域のあいだでの利益分配が実現されていました。都市と農村のバランスのとれた利益分配が、実現されていたともいえます。
 企業誘致をすれば、従業員として地元の人が雇用され、その給与は地域に入り、潤わせていました。従業員が地元の商店で買い物をすれば、お金は地域をまわり始めます。人と企業が増えれば、地域全体の購買力も大きくなります。観光客を呼び込んで、土産物を買ってもらうことは良いことです。地域の企業が外部から受注を受けることは、「波及効果」を発生させます。各地の地域がそれぞれ地元の経済をきちんと回していくことは、その地域を豊かにしていったのです。でも、産業の空洞化が起こります。安い労働力を求めて、地方の企業が海外に進出します。地元に、お金が落ちなくなったのです。でも、行政サービスや水道のサービスは、往年のように行っています。当然無理が、生じてきます。外部にお金が流れるようになり、地域の豊かさは急速に低下していきます。
 地方が衰退する中で、合理的対策を行っている自治体があります。長野県の松本市が、挑戦をしています。セイコーエプソン社から、脈拍や活動量を測定するウェアラブル端末を借りうけたのです。信州大学医学部と連携しながら、60歳以上の男女160人の生活習慣と健康状態を調査しました。健康診断の横断的な調査は、日本中で行われています。でも、個々人を24時間追跡しながら脈拍や呼吸を計る縦断的調査は、なかなかできなかったのです。ある意味で、この調査結果は貴重なデータになります。市民は、健康を願っています。健康の実態を個々人に毎に把握することは、なかなか難しいのです。その困難に、企業と医学部と松本市が立ち向かっているわけです。
 消費者の関心は、食品で言えば、味・外観・鮮度だけでなくなっています。その関心は健康の安全や栄養になりつつあります。さらに、倫理要件である食品ロスやプラスチックゴミなど環境問題や途上国の人権などに移りつつあります。健康要件や倫理的要件に貢献する組織は、評価が高くなるわけです。市民の健康というニーズをみたすために、企業の利益と矛盾しない形で自治体と企業とが協働をする姿は今後のモデルになります。生活習慣と健康状態を調査の情報は、それ自体がが経済的価値をもつ時代になっています。この情報が企業の商品開発に繋がれば、企業にとっても地域に取ってもプラスになります。モノだけの生産だけが、地域を豊かにするわけではありません。健康や環境に関する情報も、価値を持つ時代になっています。そんな価値ある情報を、地域にある人的資源を使いながら掘りおこし、形ある物して発信していきたいものです。



AIのブラックボックス・ホワイトボックス・説明責任 アイデア三題噺257

2019-08-16 17:28:57 | 日記

 グーグル写真検索で画像認識AI(人工知能)導入したところ、黒人を「ゴリラ」だと判断した事例がありました。美人コンテストでAIに判定させたところ、白人女性ばかりが多く入賞したことで、人種差別という批判もあがりました。ウーバーの自動運転による車両が横断中の女性と衝突し、死亡させたこともありました。自動運転の中枢は、AIが行っています。でも、自動運転車が事故を起こしても、AIの判断根拠を説明することができないのです。いわゆるブラックボックスになっており、事故の原因を解明できません。また、マイクロソフトの会話型A1が、悪意あるネットユーザーに不適切な言葉を教え込れたことがあります。この会話型A1が、ツイッターで差別発言を繰り返したのです。AIブームの火付け役となった深層学習技術には大きな問題があります。でも、現在も使われ続けています。深層学習を使うと高度な分析ができる一方で、AIの判断根拠が不透明になることがあります。AIが独自の基準で複雑な計算を繰り返すため、結論を導く過程がブラックボツクスになるのです。人工知能活用を進める多くの企業がAIの「ブラックボックス」化に頭を悩ませています。
 そこで、人間にもわかるAIの仕組みにせまってみました。好成績を期待されていたAIによる株式運用は、現在のところ苦戦しています。株式運用では、Alが人間よりも振るわないのです。日経平均株価が年初来で2%安に対し、AIが運用する日本株投信の平均はマイナス8%と、悪い成績を上げています。アメリカ株などグローバル株式に投資するものは、平均5%のプラスと比較的良い成績です。Alが株を運用するということは、データサイエンティストが目的に合うようにシステムを作ることになります。この時に使う数式が、回帰分析といわれるものです。回帰分析は、複数のデータを用いてある値を予測する計算式を作ることです。回帰分析の作業は、データサイエンティストが行うことになります。アメリカのデータサイエンティストのほうが、日本より株のデータやAIのシステムを上手に運用しているようです。
 このAIは、人材採用にも使われるようになりました。優秀な人材は、どの会社でも採用したいものです。この採用を人間に任せるより、AIの行わせようとしたわけです。この新しい試みを、アマゾンが行いました。自慢のクラウドコンピューティングを使ったわけです。アマゾンは、過去の入社採用履歴書データをAIに学習させました。AIは、膨大なデータから合否を判定していったのです。結果は、男性希望者に高い評価を与える結果になりました。今までのデータに、問題があったのです。応募者の多くが男持た性だったため、女性に対して差別的な評価を下すようになったわけです。AIが採用に当たってどの情報を重視したのかは不明です。でも、データに偏りがあると、偏った解答しか帰ってこないことも分かりました。
 日本でも、人事にAIを使う会社が出てきています。優秀な人材に関しては、どこでも引く手あまたです。注意を怠れば、優秀な人材の流出に繋がります。この会社は、半年以内に退職をする可能性の高い人を予測するためにAIを利用しているのです。まず、途中退社した社員のデータを蓄積します。データの結果を基に、管理職が社員の不満や心配事を聞き出し、継続を促す仕組みを作ったわけです。AIがこの仕組みを、支援する形になりました。データに基づき流出の対策を早く打てるようにし、働きやすい環境を整え、流出を防いでいるようです。
 医療行為では、AIの判断が人命を左右しかねないことがあります。その場合、判断の根拠を示す説明が求められます。株式運用のように、失敗は許されません。失敗の根拠を明確にすることが求められるわけです。そんな中で、判断の根拠を説明できるAIの開発が進んでいます。これは、XAI(Explainable AI)という「説明可能なAI」です。NECは、分析結果の根拠を示せる「ホワイトボックス型AI」を開発しています。これは深層学習より旧式技術を応用し、分析結果の根拠を示せるAIになります。現在の高性能のAIは、判断根拠が不透明になるため、人命などを左右する分野では使いづらい面があります。これからのAIは、透明性と説明責任の可能なAIが普及することが求められます。結果や判断に、説明を求められる場面が増えているということでもあります。



幼児脳の可能性を大きくする  アイデア広場 その492

2019-08-15 18:27:24 | 日記
 3歳までに獲得する音韻体系が、生涯にわたってその人の言葉の感性を支えます。親は子どもに美しい日本語を使用してもらいたい場合、親自身が美しい日本語の使用に心がけることになります。国際化が叫ばれ、英語の重要性が強調されています。でも、母国語の原理が分からずに、外国語を覚えても砂上の楼閣となってしまいます。英語力に問題解決力が伴わなければ、真の意味での国際化に適応できることはありません。英語力は小さい子どものうちから始めなくても、あとからの努力で十分身につけられます。まず、日本語を理解するすることでしょう。
 人がなんらかの行動を起こすとき、脳のどこか一つの部位が単独で働いていることはありません。前頭葉と小脳は、何らかの連携を図って行動が成立しています。小学校低学年の体育の成績が、中学校以上の理系の成績に比例するという研究報告も出ています。理系に必要な空間認識は、前頭葉だけでなく小脳とも連携しているのです。蛇足ですが、小脳を発達させるにはどうすれば良いのでしょうか。生活体験と外遊びを通じて、適度に体を動かすだけで、小脳はぐんぐん発達することが分かっています。
 今求められているものは、多くの知識ではなく、未経験の未来を読み解く想像力と言われています。未知の世界で、何が起こっても、自分の力で生きていけるような問題解決能力が大切になります。生きる力の強い脳を作るためには、複雑で柔軟な脳神経回路を育てることが不可欠です。心理学や教育学の中には、育てて伸ばせる能力となかなか伸ばせない能力があるという命題があります。遺伝と環境の問題です。骨格はあまり変わることはありませんが、人の筋肉はトレーニング次第で大きく変わります。学習の中にも、伸ばせるものと伸ばせないものがあるというわけです。
 そこで、伸ばせる能力や伸ばしにくい能力について考えてみました。運動が脳に支配されているように、学習も脳に支配されています。すでに知っていることを反復するだけでは、脳はほとんど刺激を受けず学習の効果はありません。また、いきなり正解を教えても、子どもの脳は学習することはありません。刺激のない経験によっては、知識や知恵が形成されず、脳が成長することもありません。新しい経験をして感動を覚えたとき、脳内物質のドーパミンが分泌されます。この物質は、楽しさや喜びといった快感や興奮を感じたときに分泌されるものです。ドーパミンが出ているとやる気がアップし、好奇心にあふれるイキイキとした脳になります。子どもは、その「快」の刺激をもっと味わいたいがために、自己の目標達成に貪欲になります。単なる反復作業より自分の決めた目標ができたことに快を感じるようになります。この快が、学習の原動力になるわけです。
 幼児期には、強い制約のない環境の中で、子どもの脳が放任されることが求められます。その放任される中で、自分で快を体験することが、複雑で柔軟な脳神経回路を育てることになります。もちろん、お母さんの喜ぶことも、快になります。でも、お母さんに強制されることが続けば、脳の回路を育てることに失敗します。早期教育の重要性を説く専門家や無用論を唱える専門家がいます。でも、子どもの選択を重視する学習方法を採用している場合、早期教育も有用性を持つかもしれません。一般的に、現在行われている乳幼児に対する早期教育は、脳科学的に見るとデメリットのほうが大きいと言われています。もっと上を目指そうとするチャレンジ精神が、複雑で高度な行動を育成します。子どもが興味を示して行っていることをすぐに制止すると、脳を伸ばすことを阻止することにもなります。成長する脳には、「待ってあげる時間」が必要です。ある種の早期教育は、速さを重視するあまり、上を目指す芽を摘んでしまうわけです。脳を育てることの大切さを知らない早期教育には、問題があります。幼児期は、自由に遊ぶことで生きる力に関わる脳神経回路を充実させる時期ともいえます。
 脳は、快の感動たくさん経験して成長していきます。快を伴う感動は、脳回路の栄養のようなものです。常に、快の感動を与える続ければ、複雑で柔軟な脳神経回路ができることになります。でも、感動のタネはそうそう都合よく道に落ちているものではありません。自分自身が意識して、感動を作る環境を作ることになります。もっとも、この環境を子どもだけで作ることは困難でしょう。親や教育機関の支援や援助が必要になります。要は、小さな成功体験を積み重ねていくことがベターということです。山登りは、頂上に立つには一歩一歩、堅実に歩かなければなりません。頂上に立ったときの感動を知る人なら、一歩一歩のがんばりの意味がよく分かっています。感動には、苦しさや困難さが伴うことも、経験から分かるようになるでしょう。むしろ、一定の苦しさを乗り越えたときに、得がたい快が体験できることも分かります。
 余談ですが、脳はしっかりしているようで、だまされやすい器官なのです。苦しそうになる時期やストレスが高まる時期を見越して、新たな目標を加えることも選択肢になります。山登りで苦しくなった時に、「あそこの木まで行ったら休憩だ」などと具体的目標を脳に伝え、苦しさを一時先送りするやり方がよく行われます。予想される状況や展開を読んで、脳に先回りしながら刺激を与えていく手法です。目標をクリアした時には、自分の脳に対し、ご褒美や報酬を与えるのもひとつの手です。ダイエットが1つの通過点を成就したときに、甘いものを食べるなどの仕掛けはよく行われます。苦しそうになるころや飽きそうな頃を見越して、生活リズムに変化を与えることもあります。ポジティブ思考などは、その最たるものかもしれません。強く思い込んだほうが、より脳をその気にさせて、やる気を起こさせます。あの手この手を使って、自分の脳を鼓舞しながら、前向きに進むことが、脳を大きく育てるようです。








文明の課題を突破する女性脳の可能性  アイデア広場 その491

2019-08-14 18:10:58 | 日記
 文明の初期においては、女性は採集に従事し、男性は狩りに励みました。食物採取にさいして、毒ではない安全な食材を集める能力を発達させました。男女が力を合わせて、自然に対して闘いを挑んできたわけです。十分な食糧を確保できない状況の中で、人間は少量の食事で生命を保つ特殊な能力を身につけてきたのです。この特殊能力は、食糧確保のリスクのある時代において、生存のメリットになっていました。時が経ち、飽食の時代が訪れました。脂肪中心の食事が出回るようになったために、肥満になる人びとが激増しています。いわゆる文明病です。食べ物が簡単に手に入る世の中では、少量の食事で生命を保つ特殊な能力がマイナスに働くようになったのです。食糧の脅威は克服できたが、人類の中に内部崩壊の芽がでてきたのです。人間の文明を発展の中核に、男性の経験と知識がありました。でも、男性が前面にでるだけでは、解決のできない新しい問題が出現しています。
 過去を振り返ると、人類は男女の能力が上手く噛み合うことで勝ち残ってきました。でも、男性の発言力が強くなり、女性が軽視される状況が長く続いてきました。そのような状況が続く中で、発展してきた男性中心の文明が、変調に陥り始めているのです。一方、微視的にみると面白い現象があります。女性大統領や首相のいる国は、女性の活躍する社会が形成されています。女性の地方議員がが多い市町村では、地域に密着した福祉政策や待機児童ゼロなどの政策が充実しているのです。また、女性が働きやすい制度が構築されています。文明の未解決問題を解決する鍵を、女性が持ち始めているのかもしれません。
 そこで、女性の問題解決能力について考えてみました。女性は子供を出産すると、ワーキングメモリーの処理能力が高まります。子どもが夜泣きをすれば、すぐに起きてミルクやオムツの取り替えをします。短い睡眠にもかかわらず、自身の健康を守り、子どもの成長を確保します。子どもを産むと頭がよくなるのは、人間に限ったことではありません。ネズミや他の動物でも見られます。ネズミは子を産むと学習が早くなったり、エサをとる速度が速くなることが分かっています。目の前に何らかの問題が湧き起こった際に、必要に応じて適切な答えを見つけ、その解決に動いているのです。この優れた能力を出産直後だけでなく、継続的に文明の問題解決に使えないものでしょうか。
 女性は、コミュニケーションに必要な言語能力や共感能力が男性より高いことが知られています。彼女達は、集団の生産力を高めることに必要なコミュニケーション能力を発達させていきます。脳は、右脳と呼ばれる右半球と、左脳と呼ばれる左半球に分かれています。右脳は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感から入ってくる情報をイメージに変えることが得意です。左脳は、決断や判断、選択をする顕在意識と直結して言葉や数字、記号をつなぎます。女性性脳の特筆すべき点は、男性脳の数十倍も上手に、「右脳で五感を感じて、それを左脳で考えて言葉にする」ことができるのです。男性脳は、女性脳ほど、「感じて考えて言葉にする」ということが優れてはいないようです。
 左右の脳をつなぐ情報の束は「脳梁」と呼ばれています。女性の脳梁は、男性よりも20%以上太いのです。脳梁が太いということは、左右の脳の連係の良さに繋がります。「脳梁」の太さの違いが男性と女性の感性の違いを生じさせています。女性シニアの集まりでは、話題が途絶えることがありません。次々に、発言者が出てきてます。犬の世話についても、ゴミの処理についても、延々と喋り続けます。その中でコミュニケーション能力が磨かれお互いの理解も深まっていきます。女性脳は共感能力も豊富で、感じたことをしゃべり合えばすぐに仲良くなるようです。喋る中で多くのテーマが話され、結果として地域社会の変化や問題点を把握するのです。男性脳は女性脳に対して、変化に鈍感で共感能力も低い一面があるようです。
 女性は男性の数十倍以上も、「右脳で感じて、左脳で考え言葉にする」ことができます。もし、このことが本当に事実なら大量の問題解決のアイデアをつくり出すことが可能になります。複雑な脳神経回路を手に入れるためには、心を感動させるものに触れ、多様な経験をすることが必要です。この複雑な脳神経回路を持った女性達を集めたらどうなるでしょうか。高いレベルの会話が延々と続き、ペット問題や海洋汚染の問題についての提言が数多く出されるでしょう。このプランは、優れた異業種の女性専門家を数人招へいすることから始まります。この異業種の専門家の中で、お互いの仕事の経験を話したり情報を交換します。異業種にまたがった知識や経験持つことは、適切な課題解決に役立ちます。さらに具体化すれば、優秀な女性の開発グループを作ります。女性脳はちょっと変化にもすぐに気付くという特徴があります。異業種から変化を察知し、自分の業種で利用できる能力もあります。この開発グループは、英知を集める総合的な判断をより高度なレべルにあげることができます。そして、変化や問題点の把握から、多くの問題解決策を提供するグループになるかもしれません。
 現代は、男性の経験や知識、そして好奇心を加えながら文明の進歩を加速化させてきました。でも、海洋汚染にても大気汚染にても、温暖化にしても、その問題を解決する糸口が見いだせていません。秩序や縄張りを維持できなくなったオスは、集団から去ることになります。女性の社会進出が加速化されれば、彼女達の共感能力や変化の感知能力を生かせます。未来の文明の希望を女性託すのは、自然な流れなのかもしれません。


ケニア留学生のセカンドライフを充実させる  スモールアイデア NO316

2019-08-13 18:40:30 | 日記

 世界有数の長距離王国であるケニアの選手は、世界中に留学したり、企業選手として活躍しています。サムエル・カマウ・ワンジル選手が、有名です。日本の高校に留学して、日本の陸上界で活躍した選手です。北京オリンピックでは、ケニアの選手として男子マラソンに出場し、見事金メダルに輝いています。このような選手は、日本だけでなくヨーロッパでも多く見られます。全ての選手が、このように活躍しているかというと、そうでもないのです。アメリカに留学したケニアの選手の多くは、中途退学しています。競争社会であるアメリカでは、学生の勉強と競技者のトレーニングを両立させるには、相当な努力が求められます。長距離だけの能力だけでは、ビジネスの成功が難しい国のようです。
 そこで、ケニアの選手が持つ才能と彼らのセカンドライフを考慮した留学方式を考えてみました。ケニアは、経済的に発展しつつある国です。農業にしても、工業にしても多くの人材の育成が望まれています。日本に留学させて、一定程度の技術を身につけてもらってはどうでしょうか。その後、帰国して、身につけた技術を祖国の経済成長に役立つようにするというものです。例えば、日本の農業高は、各都道府県に1校以上はあります。ここに2名の留学生を受け入れます。100人近いケニアの高校生が、農業を学びながら長距離を陸上部の生徒と走る光景は楽しいものでしょう。
 日本人の出生数は、毎年100万人です。死亡する人は、毎年130万人になっています。高校生も大学生も減少することは、目に見えています。アフリカに進出する企業はこれから、増えていきます。日本政府は、アフリカの人材育成を5万人と目標を立てて、経済援助を行っています。初期においては、日本人が現地で指導することも可能でしょう。でも、一定数以上の労働者になれば、ケニア人同士が教え合うことが、スムーズな技術伝達方式になります。架け橋となる人材を日本で育成し、毎年100名のケニア留学生を育てることは、ケニアの経済に貢献することになります。

ふるさと納税のお返しはペットの快適環境  スモールアイデアNO315

2019-08-12 18:05:19 | 日記


 人口3万人未満の地方では、地域の経済が回らなくなる傾向が出てきています。地方経済の停滞は、人口減少をさらに推し進めていきます。一方、地方の明るいニュースに、ふるさと納税ががあります。この納税額は、4000億円を超えるようになりました。ふるさと納税を行う人に対しては、所得税や住民税から控除される優遇処置があります。税の免除の特典がある上に、寄付をした町村から嬉しいお返しがあります。このお返しが、年々豪華になってきています。ふるさと納税の集め方に、総務省から特定の市町村にクレームが出さています。総務省は、この納税のお金が地元で有効に使われていないことに問題意識を持っているようです。地元の物産ではなく、他地域の産物を「お返し」に使う市町村も出てきたのです。
 そこで、ふるさと納税の有意義な使用方法について考えてみました。地域内でお金を上手く回転させていけば、市町村の活性化に役立てることができます。例えば、観光客に「ソバまんじゅう」という土産物を1万円買ってもらえば、このお金が地元のお店に入ります。お店は、このまんじゅうを作っている工場に8000円を払います。まんじゅうを作っている工場は、この材料のソバやアンコの小豆を作っている農家に6400円を払います。このように地元に工場や農地があれば、地元の中をお金が回る仕組みになります。1巡目は、1万円のうち、80%の8000円が残り、2巡目は、8000円のうちの80%、6400円が残ります。3巡目は、6400円のうち、80%にあたる5120円が、4巡目には4096円が地域に残るという具合です。80%を掛け合わせながらどんどん足していくと、最終的な合計金額は約5万円になるのです。地域に生産する人達やサービスに関係する人達がいれば、お金は地元を回り続けます。4000億円のふるさと納税が、地元を中心に回り始めれば、2兆円の経済効果をもたらすかもしれません。でも、大型モールやネット通販で買うお金は、地域の外に出て行くことになります。地域の外にお金が出ていくことは、地域の需要が減退していくことを意味します。ふるさと納税を地元の中で使うことは、需要を増やし、地域を豊かにすることに繋がるわけです。
 豪華なお返しという視点を変えてみることも、面白いかもしれません。豪華なモノではなく、「コト」に重点を置いたサービスの提供について考えてみました。ペットと一緒に日本中を旅行する人びとが、現れています。旅行を通して、人はもちろんぺットも元気になっているようです。いろいろなペットと交流する刺激や楽しみもあるようです。快適環境でぺットに過ごしてもらう場所をめぐっているようです。このような愛好家とペットに対して快適環境を提供する市町村が、現れたら面白いでしょう。ぺットに快適環境な提供することと、ふるさと納税を結びつけるのです。
 ふるさと納税を納めたペット愛好家のために、自由にのびのびと運動できる環境を提供するわけです。愛犬家がペットホテルに預ける不安は、愛犬が普通の環境と違うことにストレスが高まることだといわれています。このストレスを快適なものにできる人材や設備が、市町村にあれば大きな財産になります。ペットを一定期間預かるサービスは、高いニーズを持って迎えられます。快適な環境だけでなく、ペットの理学療法士や作業療法士を配備して、リハビリのサービスを行うことも面白いかもしれません。ペットも年老いれば、いくつかの病状を持つようになり、体力も低下します。その機能回復を「ペット人材」と設備を持つ市町村で行うわけです。夢を追うようですが、日本一の快適環境を提供できるようになれば、ふるさと納税が増えるかもしれません。その資金を利用して、ペットの医療環境を充実させることも考えられます。預かったペットの健康診断を行うことも、可能になります。さらに、年老いたペットに多くなるガンを防ぐために、若いうちに避妊手術を行う場所として利用することも可能でしょう。ふるさと納税のお返しを、モノからコトに変える市町村が出現すれば、ペットにとって楽しい世の中になるかもしれません。


飲食業ではサービスの工夫が求められます  スモールアイデアNO314

2019-08-11 20:36:48 | 日記

 動画や音楽を定額配信するサブスクリプション(サブスク)の波が、飲食店に広がっています。毎月数千円の定額で飲食できると、特定の人達には人気があります。居酒屋やラーメン店に、このサブスクが広がる傾向があります。たとえば、ある飲み放題定額制では、約60種類のお酒が飲み放題「120分」で月4000円になります、通常は1800円ですが、定額制にすれば、月4000円で何度でも利用できるのです。毎日行けば1回130円になるという安さです。晩酌をここですれば、本当に安上がりになります。
 定額制というシステムは、動画や音楽では利用者が増えても、ネット配信ですからコストは増えません。でも、飲食業では利用が何度でも利用されると、食材費などのコストが比例して増えることになります。動画などデジタルコンテンツと異なり、飲食業は利用者が増えるにつれてコストが膨らむという特徴があります。上手く運営するカギは、利用者数と損益分岐点の予測になります。一般に飲食業の売上高は、客の回転率と客単価で決まります。定額制の場合、客単価は決まっています。客の払うお金は定額ですので、契約が多く来店者数が少なければ大きく儲け、たくさん来ると赤字ということになります。それでも、一定数の利用客を安定して確保できる魅力があります。収入は一定なだけに利益の管理が難しく、撤退する店舗も多いようです。
 話は変わりますが、日本人1人当たりの生産性が低いと言われています。日本のサービス業は、国内総生産(GDP)の7割以上を占めます。労働生産性は、サービス業の大半で低いのに対し、製造業では比較的高くなっています。日本を豊かにする方法は、GDPの7割を占めるサービス業において、1人1人の生産性を上げれば良いことになります。
 そこで、日本のサービス業が現在より儲ける仕組みを考えてみました。ある高級店のカリスマ店長は、ずば抜けた販売成績を上げているのです。この店長は店が代わっても、その成績が下がることはありません。好成績の理由は、常連客の個々人に合わせた着こなしを提案していたことでした。以前、購入して貰った高級服に合う服装を、ダイレクトメールで次々に提案していたのです。高級服を、趣味や生き方、そして自分の思いを持って着こなそうとする人々もいます。その限られた人にターゲットを絞り、着こなしを提案していたわけです。顧客については、かなりの情報を得て、的確な提案を繰り返していたと想像できます。サービス業は、値段だけでなく、生き方とか自分の思いなどの要素が重要になることが分かります。
 高級なフランス料理店では、シェフよりフロアスタッフのほうが収入が多いそうです。フロアスタッフが、お客をテーブルに案内し、注文を聞いて、調理をテーブルに運びます。
注文された料理を、シェフが厨房で調理します。有能なフロアスタッフは、お客から要望を聞き、料理とプラスアルファを提供する仕事になります。そのプラスアルファが、カリスマ店長のように生き方や思いを満たすことを提供しているのです。外国では、そのプラスアルファにチップというお駄賃を上げることになります。シェフの力は、フロアスタッフの支援があって、より力が出せるのです。レストランは、料理人とフロアスタッフの協力がなければなりたたない職場ともいえるようです。
 残念ながら、料理のフロアスタッフに関わる人材の育成が、日本の飲食業の中ではまだ十分に確立されていないようです。フランスと違い、サービスに対する意識が習慣として定着していないということです。これは、レストラン側だけでなく、日本人のお客にも言えることです。感謝の表現が上手でなくスマートに心づけを渡せる人、受けとるサービス側も、ともに少数派です。サービスの世界にも、カリスマが多数出現し、サービスが儲かるものと分かるようにアピールしてほしいものです。
 余談ですが、変なホテルが話題になりました。ロボットを多用することで、有名なホテルでした。でも、現在ロボット主体のホテル経営を、軌道修正しているようです。ホスピタリティが重要な要素になるホテル業では、ロボットがいつまでも主役にはなれないようです。ホスピタリティが重要な要素になる産業では、コミュニケーション能力が重要だということです。A I社会の中で、生き残る飲食業は、サービスのカリスマ、プロフェッショナル、ベテランといわれている人達が主役になるようです。これらの人達が、自由に動ける環境を整えることが儲けに繋がります。
 蛇足ですが、食事は気分や趣向に左右されやすいほか、同じものを食べていれば飽きもきます。定額制の場合、飽きさせない工夫が求められます。コンビニでは、お客の視線が、どの商品に向けたかで、嗜好や買い求める商品予測する技術の開発が進められています。幸福感などが、体の微妙な揺れから把握する技術も開発されています。味覚センサーの精度も上がってきました。これらの開発された技術を使ってお客の飽きや好みのデータを蓄積し分析していけば、定額制の店でもお客様に安定して来ていただける店になるかもしれません。


快適居住環境を構築する  アイデア広場 その490

2019-08-10 20:37:10 | 日記

 ネット通販は、右肩上がり成長をしています。2018年度の市場規模は19.3兆円になり、2024年度には27.2兆円と予測され、70%以上の成長を見こまれています。このような環境の中で、小売り大手がネット通販を前提とした店作りを始めています。ネット通販で買い物する人の8割が、事前に商品を確認しているという調査結果があります。ネットで買う前に、実店舗で商品を確認するわけです。バーチャルによる確認より、実物の確認が優先することが、人間の購買行動のようです。であれば、ネット通販を多用する消費者にマッチした販売戦略をたてることが合理的になります。そこで、出現した店が、商品を売らない店です。注文の基本は通販サイトで対応し、店舗は商品を見せたり、体験したりする「コト」に限定しています。ショールームは小さいのですが、家具の配置や電化製品の総合的使用法を組み合わせを提案しています。と同時に、提案を実物で操作したり、体験をしてもらう仕掛けになっているようです。店をショールームの機能に限定し、客を呼び込み、気にいった商品は自社の通販品やサイトに誘導する仕組みです。ショールームを家と仮定すると、家の家具や電化用品をどのように使えば快適に過ごせるかを示すことも選択肢になります。
 そこで、ショールームを使いながら、家の快適性を売り出す仕組みを考えてみました。知人の家で、最新の洋式水洗トイレの水が流れなくなったのです。水が流れなくなった原因は便器に内蔵されていたモーターの故障でした。自動洗浄機が付いているために、数個のモーターが使用されていました。そのうちの1つが、寿命になったようです。このモーターの修理費に、3万円かかったそうです。モーターの代金や職人さんの修理の費用費、そして交通費など含めればが当然の経費なのでしょう。家を所有している人は、家の老巧化に伴って、いろいろな修理ヵ所がでてきます。それを全て業者にお願いしていては、費用がかかりすぎると知人は嘆いていました。ちなみに、同じような故障があった別の知人宅では、モーターをネットで取り寄せて数千円で修理をしたそうです。彼は、簡易な修理ならばできる知識と技能を持っていたのです。このような能力を持っていれば、費用を節約できます。そして、老後の蓄えを切り崩すこともないようです。
 家を新築するだけでは、快適な生活はおくれません。家は、維持や修繕を繰り返しながら、快適性を保っていくものです。新築した家の快適性を保つためには、年月が経るにしたがって、業者にお願いすることも多くなります。老朽化が進めば、家の修理ヵ所増えてきます。建築業者は、家を建てて引き渡すことに多くの努力をします。でも、建てた後のケアが不十分な場合があります。新築する前までは頻繁に訪れますが、家を建てた後はご無沙汰が続くようです。家を快適に過ごす場所にするためには、家を建てるだけでなく、その後の維持や修理にも気を配らなければなりません。そんな配慮を、商品を「売らない店」に備え付けてはどうでしょうか。
 欧米の中古住宅は修理などが上手に行われている場合、価格が上がっていく現象があります。日本は新築時は高いのですが、中古住宅になると急速に価格が低下します。その理由は、中古住宅が修理に費用がかかることが上げられます。もし、この面での改善がなされれば、中古住宅でも高い価値を保つことができます。新築した家が古くなっても簡単に修理をすることのできる仕組みにすれば、家に住みながらお金持ちになっていくことも夢ではなくなります。老後の心配が、少し減ることになります。
 家を建てる時に、故障箇所を直し易いように作ってもらう方法があります。コマツのコムトラックスは世界中の建機の稼働率をしらべ、部品の交換時期を把握しました。ブルドーザーなどの建機が、いつも稼動できる状態を確保したわけです。新築した家も、いつトイレのモーターが故障するかを、把握する仕組みにしたらどうなるでしょうか。日本の新築件数は、年間90万件程度あります。10年で900万件の家が建てられています。これをコマツのコムトラックス方式で、どの部分が交換時期かを「見える化」しておくわけです。「売らない店」では、新築までの工程表を説明するだけでなく、新築後の工程表を説明することにします。事前に修理する部分や時期が分かっていれば、心構えもできます。故障する時期を把握しておき、その前に部品を交換すれば快適な住環境が確保できます。900万件の家屋把握し、部品の供給や修理の時期をloTで最適化を図ることができれば面白でしょう。故障する前に部品を交換するこのシステムは、日本のお家芸です。「売らない店」にこのようなサービスを備え付ければ、持ち家に対する安心感は盤石になるかもしれません。
 蛇足ですが、業者の方に任せるだけでは、費用が大きくなります。家の持ち主が、故障が出る時期に、その所の修理や部品交換ができるスキルを身につけるコースも、「売らない店」に設けていただくと、さらに安心感が深まります。シニアの分かるレべルで説明や実技を指導をするコースを設けていただき、家の老巧化応じた知識や技能を身につけるコースを充実させて欲しいものです。