ファンタジアランドのアイデア

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子ども食堂が高度人材の養成機関になる  アイデア広場 その494

2019-08-29 18:06:15 | 日記

 まだ食べられる食品を廃棄廃棄せずに、フードバンクに提供する企業が増えています。ローソンと三菱食品などの企業は、フ-ドバンクへの寄付を始めています。これらの企業が力を入れる理由は、企業の環境対策などを重視するESG投資が普及してきたためです。この投資とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のことです。 ESG評価の高い企業は、事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業とされています。日本でもフードバンクへの食品寄付を巡り、法人税の控除対象になるようになりました。税務上、廃棄と同じように扱えるため「寄付のハードル」は下がっているのです。フードバンクは食品を無料で受け取り、食品を必要としている家庭や施設などに提供しています。ここで取り扱う食品量は、2015年時点で3800トンになっています。最も、企業が廃棄する食品は300万トンですので、0.1%強がフードバンクに回されていることになります。
 フードバンク発祥の地は、アメリカです。フードバンクに関しては、欧米は民間企業の取り組みや法整備が先行しています。フランスでは、2016年に食品廃棄禁止法が施行されました。この法律により、賞味期限切れによる食品廃棄を禁じたために、フードバンクの活用が促進されています。アメリカでは、2016年からスクーバックスが同国の全店舗で売れ残った食品をすべて寄付しています。幸福の条件には、社会に貢献することとか、人の役立つことが含まれています。フードバンクは、この意味で幸せにする事業になるかもしれません。
 日本では、十分に食料の買えない家庭が一人親の世帯で32%にも及んでいます。経済的理由から、必要な食料を買えない家庭が増えているのです。経済的に、学習に従事できない子ども達もいます。でも嬉しいことに、日本にはその悲惨な実情を見過ごすことのできない人達もいるのです。彼らは民間団体を立ち上げて、無料で安価な食事を提供する「子ども食堂」の担い手になっています。子供の貧困問題への関心の高まりなどから、団体数は2017年の80から2019年には120に増加しています。日本の家庭には、食生活に困り、学習活動に悪影響を与えつつある負の要因が存在しています。
 スターバックスという世界的なコーヒーメーカーは、面白い側面を持っています。アメリカの大学スポーツクラブは、慈善事業を積極的に行っています。アメリカの有名大学であるワシントン大学のスポーツ選手は、地域小学校の読書プログラム活動を行っています。この活動に必要な費用を、スクーバックスが支援しているのです。この企業の面白い点は、慈善事業を援助するけど、税金を国にできるだけ納めない姿勢を取っていることです。税金を払わずに、社会貢献に力をつくしているわけです。日本の「子ども食堂」の中にはプロの料理人が調理をし、美味しい料理を提供する事例も増えています。子ども食堂が、貧困世帯だけではなく、地域の憩いの場として機能し始めている面があります。世界的潮流を見れば、貧困家庭には食事だけでなく、教育の向上を付与する活動も盛んになっているようです。
 日本でも、新しい潮流が出てきています。ワシントン大学の読書プログラムではありませんが、体育大学が中学校の部活動の支援をしているのです。部活動の指導者不足に悩む自治体は多くあり、その不足している面を支援しています。運動の経験がない顧問もおり、中学校の部活動を十分に指導できない顧問もいます。指導者の指導不足を乗り越えて、練習環境を改善していくことを目指しています。ソフトバンクから貸与されたタブレットで練習の様子を撮影し、仙台大学に送信します。大学の専門教員が、フォームなどで改善点を指摘します。動画に活矢印を書き込んだり、音声を取り込んだりして中学側に送り返す仕組みです。ソフトバンクは、仙台大と協力し遠隔地の気仙沼市の中学生を指導する取り組みを始めたのです。このような運動への支援が、机上の学習に応用されることも、有効な方法でしょう。このようなエドテックによる学習支援を、子ども食堂においても導入してほしいものです。
 2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されるます。福島のある英語学習塾は、コンピュータープログラミングの考え方を学ぶ講習会を開いています。講師が、英語を交えてプログラミングを指導しているのです。子どたちは、ブロックを組み立てて作ったロボットの動きをタブレット画面で入力すます。どうすすれば自分の思い通りにロボットが動くかを、試行錯誤しながら入力を繰り返します。スピードや方向、強さを調整しプログラミングの流れや考え方を学ぶわけです。楽しみながら、プログラミングの基本的流れを身に付けてもらう企画です。
 遠隔操作による教育とこれから必要になるプログラミング習熟を、子ども食堂で行うことが可能になれば、経済格差による教育格差は是正されるかもしれません。AIの人材が、渇望されています。AIの人材は、簡単にいえばデータティエンテイストです。データマイニングを自由に操れる人達と言っても良いでしょう。データマイニングの技術には、微分や統計学が必修です。微分や統計学を教科書どおりに学んでも、理解できない子ども達がいます。微分ができなくて学習の進度が伸び悩んでいる子どもは、数列の理解に戻って始めることが基本です。この学習には、エドテックが有効です。エドテックとは、教育とテクノロジーを組み合わせた造語です。この手法を利用したリクルートは、蓄積した140万人の学習履歴データ分析して、学習方法を助言しています。理解できない子ども達に、モデルを基づいて学習のやり方を助言しているのです。
 子ども食堂が、食事をし学習をする場として成立する環境は整いつつあります。環境や社会課題への取り組みを重視する投資の観点から、食糧を大量に廃棄する企業へは厳しい視線が注がれています。この食糧は、フードバンク通じて子ども食堂に提供されています。企業は、次世代の高度人材を求めています。工夫次第では、子ども食堂が知的訓練の場になります。社会的課題に敏感な企業は、この食堂に教育投資をしてはどうでしょうか。人権や教育格差という側面と人材確保という側面から、投資をする企業が出てきてほしいものです。子ども食堂が、日本の人材養成の孵卵器になることを期待しています。