ファンタジアランドのアイデア

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木材の需要が増加・広葉樹大径のニーズ・入皮のある木材 アイデア三題噺262 

2019-08-31 17:28:24 | 日記

 住宅の梁などに使う北アメリカ産丸太の対日輸出価格が、高騰や下落を繰り返しながら高めに推移しています。木材の需要は増えることがあっても、経済成長が続く限り減ることはありません。特に、中国や東南アジアの富裕層は、家の建築における木材の良さが徐々に浸透しています。各地域で生産された無垢の材は、高く評価されています。日本でも、木材の生産が少しずつ軌道にのり、無垢のスギ材やヒノキ材を輸出する力を付けつつあるのです。成長し伐採時期のスギ材やヒノキ材が、他国に比べ豊富にあります。これを輸出することは、合理的な手法になります。高級な無垢の材木を育てるには、枝切りや間伐などを丁寧に行うことが求められます。一方、今まで低級材として扱われていたバークポケットのある床材が、見直されているのです。
 そこで、最近の木材に付加価値を付けて売り出すことを考えてみました。世界的にみると、広葉樹大径材生産は枯渇した状態にあります。日本には、この広葉樹がたくさんあるのです。コナラなどの広葉樹を中心とした森林を回転させていくことは、日本の自然に合った林業経営になります。針葉樹の無垢の木材を安定的に供給することもひとつの選択肢になります。また、世界的に不足している広葉樹の大径材を輸出材として供給していくこともひとつでしょう。そして、最近注目されている木材があります。この木材は、環境擁護派に評価されているものです。「入皮」のある木材が、それに当たります。
 光合成で育つ樹木は、鳥や動物などに樹皮が傷つけられると、傷ついた部分を体内に取り込み自ら癒そうとします。癒やすことには時間がかなりかかります。でも、確実に修復していきます。鳥に傷つけられた樹皮を体内に取り込み修復したものが「入皮」です。この入皮はバークポケットと言われています。業界ではずっとバークポケットのある床材は、低級品の扱いが続いたのです。例えば、キツツキがつついた痕跡だというバークポケットのある床材は低級材でした。
 キツツキが巣穴を掘る部分は、木の悪い部分が多いのです。この巣は、深さが30cmほどの穴になります。でも、その木は枯れないのです。キツツキが巣穴を掘る場合、若い木を選びます。キツツキが掘った穴は、4~13年と経るうちにふさがり、太く健康な木になります。環境派の人びとにとって、入皮の形成過程やキツツキの巣の跡が、床材にあることは非常に価値があることなのです。足下に、生態系の複雑な営みがいつでも見られる生活は心を豊かにしてくれるのでしょうか。消費者の関心は、高級な無垢の木材だけでなくなっています。彼らの関心は、倫理要件(環境・人権・地域)にまで広がっています。入皮は、この関心を満たしているのです。バークポケットのある床材は低級材でしたが、今はニーズの高い床材になってきています。
 余談ですが、キツツキが木に穴を開けるのは、虫を食べるためです。そして、巣穴を作るためです。この鳥がたくさんの穴を開ける木は、虫に食われておりすぐに枯れる木なのです。弱い木を早く枯らして、新しい木が生えやすいことは森にとって望ましい事です。キツツキは、人手が除去できない木の中の虫をついばんでくれます。鳥たちが、森を元気にしてくれる役割を評価する流れが出てきています。この証拠が、キツツキなどに傷つけられた入皮ということになります。