ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

次世代の人材を育てる仕組み  スモールアイデア NO 313

2019-08-07 06:44:44 | 日記

 現世代が次世代に有能な人材を育成できれば、お互いの世代は、ウインウインになれます。老後に、2000万円必要だという議論があります。でも、次世代の人達が1億円を稼ぐ能力を持てば、その稼ぎは、回り回って現世代の高齢者にも回ってきます。良い人材をどうすれば、育成できるかという課題が出てくるわけです。
 そこで、現世代を助けるかもしれない次世代の人材育成を考えてみました。量子コンピュータは、今のコンピユータには不可能な膨大な量の計算が瞬時にできるといわれています。現在のコンピュータの弱点は、電気を使いすぎるということです。世界の電気使用量の10%をコンピュータが使っているのです。量子コンピュータは、現在のコンピュータよりはるかに少ない電気使用量で成果を上げることができます。もし、実現できれば、現在のエネルギー問題の幾分かは解決できます。この量子コンピュータの実用化が、近づいてきました。基幹部品の開発に、若手研究者が挑戦して、成果を上げているのです。
 成果を上げている理由があります。量子コンピュータの専門の大学院生を集めて、研究に集中できる環境を整えているのです。ただ集めるだけでなく、この院生には給料が払われています。日本の大学は、学生や院生は無料で研究を手伝うことを暗黙の了解としていました。その最たるものが、大学病院の研修医が行っている給料をもらわずに診療をする仕組みでしょう。話を元に戻しますが、このグループでは海外研修も行っています。この院生たちにを例外なく、数力月間単位で海外に留学させているのです。自分が、いかに優秀であるかを気がつく契機にしているようです。自分が研究者として海外で研究活動ができる能力を持つことを自覚する場にしています。この費用は、現世代が次世代への人材育成の支援という形で提供されています。
 研究者には、継続的努力が必要です。そして、その過程で生じるアイデアを具体化する能力の育成も大切になります。アイデアをもたらす能力が発揮される現象を、セレンディピティといいます。十数人いる院生に、若手教官はそれぞれテーマを与えます。彼らはテーマに沿って、夜遅くまで実験を行い、装置の調整を行います。この繰り返しの中には、多くの失敗があります。この失敗の過程が、とても楽しいとか苦労は余り感じなかったという人材には、大きな可能性があります。研究や仕事が道楽と思えるようになって、はじめて幸運の女神が微笑んでくれるものです。「アイデアをもたらすのは運不運の問題ではなく、幸運を引き寄せる能力だ」といわれる所以です。現世代は、これらの研究好きとか失敗にめげない人材を支援することになります。与えなければ、見返りはありません。
 もうひとつの注意点があります。株式や読書には、ポートフォリオを組むことが大切だということがあります。読書のポートフォリオを組む場合には、まず大きな分野を決めます。たとえば、経営、技術、人文、社会といった四つの分野をを選んだとします。経営分野では、経営戦略、マーケティング、業界研究、イノべーション、財務会計などになります。ご存じのように、真理というものは書物の中だけにあるのではありません。書物を読むこととと自分の頭で考えることは、車の両輪のように大切なことです。本を読み自分の頭で考え、実践してみることが重要です。マーケティングでは身近な製品を開発しようとすれば、いろいろな過程を経て、最終的には消費者の立場になって考えます。それに合った製品を、開発して市場に出すことになります。
 研究者の場合も、ある程度これらの流れを理解しておくことです。量子コンピュータの開発は、今後とも続きます。でも、このコンピュータを使いこなさなければ意味がありません。量子コンピュータの使い方をどうすれば、容易に使いこなせるかなどのマニュアルが必要になります。各職場で使いやすい使用法を教える人も必要になります。マニュアルを作る場合、研究者と営業関係者、そして使用する人の3者がお互いにアイデアを出し合う場も必要になるでしょう。要は、量子コンピュータには、「設計、開発、製造する人」、「社会や企業内に広く普及させる人」、「雇用が創出され、そこで働く人」をこれからも継続的につくり出していくことになります。立派なコンピュータができただけでは、利用価値は少ないのです。各企業が、使いやすいようにする工夫が求められます。他国に輸出するのであれば、その国の企業風土や文化・歴史などをよく知っていなければなりません。企業系経営や技術も結局は人です。次世代の人材には、技術に取り組む姿勢とともに、人や文化を理解する能力も育成していきたいものです。その環境整備は、現世代が行うことが自然の流れになるようです。