ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

スマート農業で地域の活性化を計る  スモールアイデアNO320

2019-08-26 19:37:25 | 日記
 先日、新聞読んでいると2件のスマート農業に関する記事がありました。ひとつは、福島に関するものでした。原発事故のために避難指示が出た地域では、農業の復興が遅れています。この地区の農業が、疲弊しているのです。でも、太平洋沿岸に沿ったこの地域は、温暖な気候で森林と、肥沃な土地に囲まれた地域でした。長い避難生活の中で荒れていく農地に心を痛めた方が、「紅梅夢ファーム」を立ち上げたというものです。もうひとつは、北海道の事例でした。岩見沢市で、スマート農業の実現に向けた実験が進んでいるというものです。農業従事者の高齢化で、従来の農業ができない現状があるようです。2つの地域とも、広い農地が確保できるという利点があります。さらに、少子高齢化を乗り越えて、地域農業の持続性を確保したいという強い思いがあります。その思いに応えるかのように、大学や企業、そして行政が支援する体制を整えています。ITCを活用したスマート農業で、地域社会を活性化することを目指しています。
 そこで、スマート農業の実証実験の最前線を見ながら、今後の農業のあり方を考えてみました。2つの実験農業で目玉になっているものが、GPSを利用した自動運転トークターの活用です。無人のトラクターが耕す後ろや横から、人が乗ったトラクターで種や肥料を蒔くのです。一度の作業で、複数の農作業を終えるという仕組みです。今後は耕す機能だけでなく、露地野菜の収穫も自動化していく機能も付与していく計画のようです。もっとも、この程度の機能は、世界の先進農業国ではすでに取り入れられています。
 例えば、ドイツでは、平均農家の耕作地は100㌶になります。ドイツのトラクターは、1日に10㌶以上を耕作する能力を持っています。このトラクターはコンビマシンを連結しており、播種と鍬入れの複数の工程を一気にやることができます。異なる作業を同時にこなすために、何度も同じところに農機を走らせる無駄がないでのです。この農機は運転しながら、土壌水分データを記録整理できるセンサーも備えてあります。作物を刈り取りながら、測定した結果を地図に表示し送受信ができる優れものです。どこに肥料をいれれば良いかを、地図上に示してくれるのです。これは、肥料の節約に繋がります。100㌶の農地を耕し、収穫し、販売する作業を、1.5人で経営しているのです。蛇足ですが、トラクターは全て自動で動き、運転手の仕事は、想定外に人や動物が作業中の畑に現れた時の対処だけになります。
 ドイツと並ぶ先進国の日本は、ドイツの上をいくスマート農業を開発することでしょう。
大学や企業、そして自治体は、農業ロボット技術とITCを活用した世界トップ級のスマート農業を目指すことで合意しています。タブレット端末で、数十m離れた場所からトラクターを操作することもできます。さらに進化させて、東京の監視センターから北海道の農地で動く無人トラクターを制御することもできるようになるようです。複数の農地で稼働する無人トラクターを、遠隔監視センターで同時に動すことも可能になるようです。たとえば、カボチャの収穫をロボットトラクターが行う計画もあります。日本全国のカボチャの収穫を、東京の監視センターで行うことも可能になるかもしれません。さらに、進化させて、カボチャとジャガイモを別々に収穫することができれば素晴らしいことです。収獲だけではもの足りない場合、食味の良い作物だけを収穫できる仕組みができれば、市場との連動は円滑になるでしょう。
 このスマート農業の主旨には、農業の担い手を育成するという目的もあります。一連の取り組みでは、非熟練者の作業効率や疲労に関するデータも集めています。これからの先進的農業では、熟練の技術が無くても広い農地で適度に稼げる技能が求められます。欲をいえば、高品質な農産物を効率的に生産し、収益を上げ、そして非熟練者でも早期の技術習得できるという道を目指したいわけです。スマート農業は、地域農業の人材育成も大きな目的になります。紅梅夢ファームでは、2017年、2018年と地元の農業高校や大学生計4人を社員として迎えています。スマート農業の先端技術が新たな可能性を生み、若い人材を育成していくことを期待しています。