ファンタジアランドのアイデア

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6000万人の訪日外国人を目指す  スモールアイデアNO319

2019-08-24 18:40:07 | 日記

 日本の観光事業は、4000万人の訪日客から6000万人の訪日外国人を目標に動き出しています。東京五輪の開催や訪日客の急増に合わせて、ホテルを増設しています。このままのペースでホテルを建設していくと、客室が余るのではないかと心配されています。業界の方は、ビジネスホテルが急増しているが、フルサービスの高級ホテルは5%程度しか増えていないと言います。ビジネスホテルは、余剰感がでています。でも、高級ホテルの成長はまだまだ余地があるようです。世界の富裕層が好む高級ホテルの不足は、2020年以降も続くとのことです。2018年のアメリカからの訪日客数は2017年に比べて11%増の152万人でした。これは、7年連続で2桁増の記録になっています。欧州ではドイツやイタリアの訪日客も前年に比べて、やはり2桁増でになっています。アメリカやヨーロッパ諸国の訪日外国人は、アジアを含めた全体の伸び率8.7%を上回っています。
 訪日外国人の1人当たりの宿泊費は、アジア圏は2~6万円台で、欧米圏は7~10万円になります。アメリカやヨーロッパ諸国の訪日外国人は、旅行支出のうち、宿泊費にかける割合が大きいのです。余談ですが、沖縄県恩納村で開業した「ハレクラニ沖縄」というホテルがあります。このホテルは、全360室の客室があります。その単価が、5万円以上と沖縄では最高価格帯のホテルです。ハレクラニ沖縄は、7~8月の予約はほぼ満室なのです。現在の予約客は日本人が中心ですが、将来は外国人客の誘致も念頭においているようです。欧米の観光客は、このような高級ホテルに泊まる割合が多いのです。日本のホテル業界が高級ホテルに力を入れる背景には、欧米からの訪日客の増加がひとつの要因になっています。
 そこで、今後の訪日外国人の方に対する観光対策を考えてみました。オリンピックやその後に開催される大阪万博をにらんで、訪日外国人6千万人を目標に掲げています。でも、客数増で稼ぐビジネスモデルにはいずれ限界がきます。その限界を露呈している都市に、古都京都があります。京都市内では、低料金のゲストハウスなど簡易宿所が急増しています。簡易宿所の客室数は、2018年度末時点で12000室と、2014年度比で9000室以上増加しています。多くの簡易宿泊所の存在が、市民生活に支障をきたす観光公害の問題も起こし始めたと指摘されています。本来、宿泊施設にはフロントがあり、管理者がいるのが普通です。でも、管理人が不在で、外国人の宿泊者に適切なアドバイスをしていないために、問題が起きています。安全面から、この管理人をおくように規制を強めているようです。手ごろな料金で泊まれる簡易宿所への規制を、強化し始めたことになります。京都は、観光客の「数より質」を重視する方向に舵を切ったわけです。
 京都市では観光客の強急増に伴い、渋滞や騒音などがおきています。この問題を解決する方策として、観光客を増やすビジネスモデルを追究するより、顧客の満足度という点から観光を捉える姿勢に転換しています。満足度を高めるために、付加価値の高い収益を得て、都市を美しくするための資金源を確保することも狙いになります。観光客向けの料金を高めに設定し、得た資金を観光地の整備や文化財の修復費用に充るわけです。京都市は安全性やサービスの水準を維持することで宿泊客の満足度を獲得する方向を模索しています。
 私ども熟年は、京都というと修学旅行の思い出が強く残っています。大部屋で食事をし、雑魚寝で過ごすことが当たりまでした。でも、良い思い出になっています。京都が目指す満足度の高い観光には、高級ホテルも含まれるでしょう。ところが、日本には高級ホテルの代名詞といわれる5つ星ホテルが、32軒しかないのです。他国と比較しても、貧しさが浮き彫りになります。ロンドンの79軒やパリの61軒、そしてニューヨークの60軒で、欧米の都市に比べて半分程です。これはイギリスやフランではなく各都市の5つ星ホテルなのです。アジアの中では、中国の137軒やタイの112軒、インドネシア58軒を大きく下回っているのです。
 もっとも、5つ星ホテルが少ないということは、これからの可能性があるということになります。嬉しいことに、訪日外国人は確実に増加しています。富裕層も、増加傾向にあります。欧米の富裕層は、滞在日数が多く、宿泊に支出を多くかける傾向があります。高級ホテルが高い稼働率を維持できれば、高い収入を得られます。観光行政の軸足を数より質に移す戦略は、満足度を高めることを通して成立します。そんな高級ホテルが、適度に建設され、収益を上げて欲しいものです。