ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

幼児脳の可能性を大きくする  アイデア広場 その492

2019-08-15 18:27:24 | 日記
 3歳までに獲得する音韻体系が、生涯にわたってその人の言葉の感性を支えます。親は子どもに美しい日本語を使用してもらいたい場合、親自身が美しい日本語の使用に心がけることになります。国際化が叫ばれ、英語の重要性が強調されています。でも、母国語の原理が分からずに、外国語を覚えても砂上の楼閣となってしまいます。英語力に問題解決力が伴わなければ、真の意味での国際化に適応できることはありません。英語力は小さい子どものうちから始めなくても、あとからの努力で十分身につけられます。まず、日本語を理解するすることでしょう。
 人がなんらかの行動を起こすとき、脳のどこか一つの部位が単独で働いていることはありません。前頭葉と小脳は、何らかの連携を図って行動が成立しています。小学校低学年の体育の成績が、中学校以上の理系の成績に比例するという研究報告も出ています。理系に必要な空間認識は、前頭葉だけでなく小脳とも連携しているのです。蛇足ですが、小脳を発達させるにはどうすれば良いのでしょうか。生活体験と外遊びを通じて、適度に体を動かすだけで、小脳はぐんぐん発達することが分かっています。
 今求められているものは、多くの知識ではなく、未経験の未来を読み解く想像力と言われています。未知の世界で、何が起こっても、自分の力で生きていけるような問題解決能力が大切になります。生きる力の強い脳を作るためには、複雑で柔軟な脳神経回路を育てることが不可欠です。心理学や教育学の中には、育てて伸ばせる能力となかなか伸ばせない能力があるという命題があります。遺伝と環境の問題です。骨格はあまり変わることはありませんが、人の筋肉はトレーニング次第で大きく変わります。学習の中にも、伸ばせるものと伸ばせないものがあるというわけです。
 そこで、伸ばせる能力や伸ばしにくい能力について考えてみました。運動が脳に支配されているように、学習も脳に支配されています。すでに知っていることを反復するだけでは、脳はほとんど刺激を受けず学習の効果はありません。また、いきなり正解を教えても、子どもの脳は学習することはありません。刺激のない経験によっては、知識や知恵が形成されず、脳が成長することもありません。新しい経験をして感動を覚えたとき、脳内物質のドーパミンが分泌されます。この物質は、楽しさや喜びといった快感や興奮を感じたときに分泌されるものです。ドーパミンが出ているとやる気がアップし、好奇心にあふれるイキイキとした脳になります。子どもは、その「快」の刺激をもっと味わいたいがために、自己の目標達成に貪欲になります。単なる反復作業より自分の決めた目標ができたことに快を感じるようになります。この快が、学習の原動力になるわけです。
 幼児期には、強い制約のない環境の中で、子どもの脳が放任されることが求められます。その放任される中で、自分で快を体験することが、複雑で柔軟な脳神経回路を育てることになります。もちろん、お母さんの喜ぶことも、快になります。でも、お母さんに強制されることが続けば、脳の回路を育てることに失敗します。早期教育の重要性を説く専門家や無用論を唱える専門家がいます。でも、子どもの選択を重視する学習方法を採用している場合、早期教育も有用性を持つかもしれません。一般的に、現在行われている乳幼児に対する早期教育は、脳科学的に見るとデメリットのほうが大きいと言われています。もっと上を目指そうとするチャレンジ精神が、複雑で高度な行動を育成します。子どもが興味を示して行っていることをすぐに制止すると、脳を伸ばすことを阻止することにもなります。成長する脳には、「待ってあげる時間」が必要です。ある種の早期教育は、速さを重視するあまり、上を目指す芽を摘んでしまうわけです。脳を育てることの大切さを知らない早期教育には、問題があります。幼児期は、自由に遊ぶことで生きる力に関わる脳神経回路を充実させる時期ともいえます。
 脳は、快の感動たくさん経験して成長していきます。快を伴う感動は、脳回路の栄養のようなものです。常に、快の感動を与える続ければ、複雑で柔軟な脳神経回路ができることになります。でも、感動のタネはそうそう都合よく道に落ちているものではありません。自分自身が意識して、感動を作る環境を作ることになります。もっとも、この環境を子どもだけで作ることは困難でしょう。親や教育機関の支援や援助が必要になります。要は、小さな成功体験を積み重ねていくことがベターということです。山登りは、頂上に立つには一歩一歩、堅実に歩かなければなりません。頂上に立ったときの感動を知る人なら、一歩一歩のがんばりの意味がよく分かっています。感動には、苦しさや困難さが伴うことも、経験から分かるようになるでしょう。むしろ、一定の苦しさを乗り越えたときに、得がたい快が体験できることも分かります。
 余談ですが、脳はしっかりしているようで、だまされやすい器官なのです。苦しそうになる時期やストレスが高まる時期を見越して、新たな目標を加えることも選択肢になります。山登りで苦しくなった時に、「あそこの木まで行ったら休憩だ」などと具体的目標を脳に伝え、苦しさを一時先送りするやり方がよく行われます。予想される状況や展開を読んで、脳に先回りしながら刺激を与えていく手法です。目標をクリアした時には、自分の脳に対し、ご褒美や報酬を与えるのもひとつの手です。ダイエットが1つの通過点を成就したときに、甘いものを食べるなどの仕掛けはよく行われます。苦しそうになるころや飽きそうな頃を見越して、生活リズムに変化を与えることもあります。ポジティブ思考などは、その最たるものかもしれません。強く思い込んだほうが、より脳をその気にさせて、やる気を起こさせます。あの手この手を使って、自分の脳を鼓舞しながら、前向きに進むことが、脳を大きく育てるようです。