<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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書き下ろし短編小説の競演。
1人のベテランノンフィクション作家と6人の若手実力派の作品集。

新潮文庫「ストーリーセラー vol.2」は全ての作品が面白い読みごたえある一冊だった。

そもそも漫画雑誌だって一冊買って、全作品が面白いなんてことはあまりない。
大抵は面白そうな作品や、好きな作品を読見終わったら、ポイッ。
最初から最後まで読みきってしまうことなんてほとんどなかった。
ところが「ストーリーセラー」はまったく違った。
全作品が面白く、各作品が持っている個々の面白さが素晴らしく退屈することもなかった。
例えば、先の作品が面白すぎて、次の作品がつまらなくなってしまう、なんてことがなかったのだ。

冒頭は沢木耕太郎の「マリーとメアリー」。
沢木作品が大好きな私はこの本を購入する時に、
「沢木耕太郎の短篇だけでも面白かったらそれでいい」
という、気楽な気持ちで購入したのだ。
沢木耕太郎以外の作家は有川浩しか知らないので、あとはまったくの未知数。
「面白かったらメッケモノ」
なのであった。

正直、取っつきにくい作風のものもあった。
伊坂幸太郎の「合コン」は最近のアメリカ製テレビドラマのようにいくつもの流れが同時進行して最後にくっつくみたいな香せで始まっていたので、最初は読みにくいというよりも想像しにくい話だった。
ところが読み進んでいくうちにグイグイ引き込まれ、最後は
「わ~、こんな終わり方をするなんて。粋や」
とすっかりこの作品のファンになってしまっていたのだった。

このような作品集が出版されるのは消費者の読書離れが原因だろう。
電車の中でも本を呼んでいる人は少なくないが、それにもまして携帯ゲーム機や携帯電話で遊んだりテレビを見たりしている人の方が多いような気がする。
また、東京や大阪などの超混雑路線では書籍を読む空間を確保するのも難しい場合がある。
携帯音楽プレーヤーが売れるのはこのあたりにも原因がある。
そこで、人気作家のカタログ集のようなものとして「ストーリーセラー」のような書籍が出版されるに違いない。

ともかく、こういう作品集はいつでも歓迎。
vol.2から読みはじめたので、次はvol.1を購入したいと思っている。

~新潮文庫「ストーリーセラー vol.2」沢木耕太郎他~

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