<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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「灯台もと暗し」という言葉は関西人の観光活動を表しているのではないかと、時々思うことがある。
尤も、それは私だけの話なのかもしれない。
どういうことかというと、地元に数多くの観光地がありながら、実際に訪れることは非常に稀でむしろ地方の人の方がよく知っていることがある、というものだ。
最近では地方の人はもとより外国人の方がよく知っているのではと思えることも少なくない。
「関西に住んでていいですね。色々見に行けるでしょ」
と関東に住んでいる知人に羨ましがられることがあるけれども、そもそも色々見たいものはすぐ近くにある、いつでも見に行けるという感覚があるため訪れないのだ。

そういうことで大阪生まれの大阪育ちの私は、先週生まれて初めて京都の龍安寺を訪れてきたのだ。
龍安寺といえば石庭で有名な世界遺産の寺院である。

そもそも京都を観光で訪れることは極めて少なく、だいたいは仕事か友人との飲み会のために訪れる。
このため観光スポットを訪れることはほとんどない。
居酒屋が多くある木屋町や四条河原町界隈が観光地ということも言えなくはないが、私からするとあのあたりはビジネス街であって観光を楽しむ場所ではないというわけだ。
今回は高校生の娘がとあるイベントに参加するための送り迎えを引き受けたため、イベント終了までの数時間を潰すたいくつかの観光スポットを訪れてみることにしたのだ。

龍安寺はまず最初に訪れた観光スポットであった。

龍安寺といえば、私は手塚治虫の「三つ目がとおる」という作品を思い出す。
これは私が中学生だった1970年代後半、少年マガジンに連載されていたSF作品だ。
古代文明や絶滅した生物、超能力などがエッセンスとして取り上げられており手塚作品の中でも最も面白くエキサイティングな作品だと思っている。
この頃の手塚作品はマガジンではこの作品が、チャンピオンでは「ブラックジャック」が、冒険王では「ブッダ」などが連載されていて、ノリに乗っていた時期だったのだと思う。
この時から十数年後に手塚治虫が病死していしまうなど全てのファンは想像だにできなかったのに違いない。

で、この龍安寺。
ここにある有名な枯山水の石庭が実は「古代三つ目族が残した三つ目国の地図だった」というのが「三つ目がとおる」での設定なのであった。
三つ目族は現人類が文明を築くずっと以前に地球上に優れた文明を持っていて、あるきっかけで滅びてしまった。
漫画の主人公である少年写楽くんはその滅びた文明人の唯一の生き残りなのだ。
龍安寺の石庭は写楽くんではない過去に存在した別の三つ目人が残したものなのであった。

このシリーズはいくつかの「巻」に分かれていて龍安寺が登場したエピソードには京都にまつわる数々の謎が古代文明や謎の生物と組み合わされて我々中学生のイマジネーションを大いに刺激してくれた。
京都の地下には巨大な川が流れている。
その川は今はなき巨椋池(現京都競馬場の場所にあった湖)に流れ込んでいた。
そこへ登場する謎の植物ボロボックル。
などというものがあったと思う。
とりわけ京都の地下川はともかくとして、京都が極めて水はけの良い地形であり、それが1000年以上もの長いあいだ都として機能し続けた地勢的要件であったことを教えてもらえるきっかけとなった。
京都の地形はフラットに見えるが南から北に向かってなだらかな上り坂になっているのだ。

そんなこんなで紅葉を終わりを迎えた時期とは言え、観光客で賑わう京都龍安寺の庭先で、
「京都っていいな〜」
とはちっとも思わず、
「ん〜〜〜三つ目がとおるって面白かったな〜〜〜」
と手塚マンガに想いを馳せていた私なのであった。

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