<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地





ずっと以前、中学生の頃、夢中になって読んでいたマンガに手塚治虫の「三つ目がとおる」がある。
有史以前に栄えた文明を築いた第三の目を持つ民族の生き残り写楽保介が起こす数々の古代の謎や超常現象にまつわる物語は実に魅力的なSFマンガだった。。
当時好んで読んでいた雑誌「UFOと宇宙」とあいまってサブカルチャー要素たっぷりで随分と楽しませていただいたものだった。

南米マヤ文明の謎。
京都の地下を流れる巨大な水路。
オーストラリアの絶滅した鳥モア。

などなどが登場し、イマジネーションが広がって、しばし考古学の世界を旅したものであった。

今「ブラックジャック」を夢中で読んでいる中1のわが娘がそれをひと通り読み終えたら、次はこれを読ませようと思うくらい、現代でも通じる作品だ。

この写楽保介。
三つ目族の生き残りだが、額にある第三の目は人類の想像を超える超能力が備わっていて数々の超常現象やスーパーマシンを創りだす。
とりわけスーパーマシンは圧巻で、現代のハイテクを駆使しても作れそうにないものを、古代の知識で創りだしてしまうというところにミステリアスな魅力があった。

古代には今の人類が知らない高度な文化が存在したのかも知れない。

なんてイマジネーションも広がったものだ。

「アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータ」(文春文庫)は、そういった古代の科学技術をリアルに浮かび上がらせたノンフィクションだ。
20世紀初頭にギリシャのアンティキテラ島沖の沈没船から引き上げられた小さなギアユニット。
それは紀元前に作られた天体運行を計算するコンピュータなのであった。

本書はこのアンティキテラと名付けられたギアユニットを如何にして人々が解読したのか。
その科学的競争と技術とイマジネーションから発するミステリー解読が実に面白いのだ。
実際には2008年にどのような用途に使われたものなのか、学会で発表されセンセーションを巻き起こしたという。
このアンティキテラは手のひらサイズのギアユニットながら数十個のギアが組み合わさり、その作りは精巧を極めるという。

本書を読んでいると、「三つ目がとおる」の世界は意外にも、ホントにあったのではなかと思えるほどの高度な科学技術がすでにギリシャ時代に存在したことを示していたことを知って愕然とする。
アンティキテラ。
アテネを訪れて実物を目にしたいと思ったのであった。

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