<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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山陽新幹線が開通した時、父はなんだか嬉しそうだった。
というのも、父のふるさとは岡山県。
新幹線が開通するまでは準急行の鷲羽号で3時間近くかかっていた大阪から岡山までが一時間になったからであった。

一方私はつまらなくて仕方がなかった。
新幹線は車窓を楽しむことが困難だが、とりわけ山陽新幹線はほとんどトンネルばかり。
地下鉄と殆ど変わらない車窓なのだ。
しかも一時間しかないので駅弁を食べる時間も十分ではなく、これまた詰まらない。
で、最もつまらなかったのは姫路駅の名物そばを食べることができなくなってしまったからであった。

山陽新幹線は最初、新大阪~岡山間が完成したので、その時はまだ山陽本線を181系の特急「しおじ」が新大阪と下関の間を走っていた。
だから「最後やから」と母にねだって一生に一度の山陽本線を走る特急に乗せてもらったのもこの時だった。
区間は倉敷から大阪まで。
いつもは準急だったので停車駅が多かったが、さすがに特急なので2時間ちょっとで大阪へ到着した。

新幹線はそれからしばらくは東海道山陽新幹線だけなのであったが、そのうち上越新幹線や東北新幹線が開通し、
「いつか乗ってみたい特急はつかり」
もついに乗ることができなかった。

時代は流れて、山形新幹線が開通し、秋田新幹線、長野新幹線、九州新幹線が開通。
そしてこの春いよいよ北陸新幹線が部分開通するのだが、問題はどれもこれも無粋なこと。
メリットは早いだけ。
旅情を誘うものはなにもなさそうだし、在来線は第三セクターになってしまい、運賃維持も疑わしい。

最大の残念新幹線は北海道新幹線で、どれほどの人がこの新幹線を利用するのか知らないが、北海道の場合、東京からでも函館や札幌まで新幹線に揺られて出かける人はほとんどいないだろうし、私のような関西人が利用することはまずないだろう。
九州新幹線の新大阪から鹿児島までの四時間弱でさえ、
「乗る人いるの?」
と不思議なくらいだ。
ただ九州新幹線は沿線人口が多いので納得できるが北海道新幹線はいかがなのか。

で、この北陸新幹線と二三年ののちにできる北海道新幹線の煽りを食ってなくなるのが、走行距離日本最長を誇るトワイライトエキスプレス。
大阪発札幌行き。
この鉄道本来の魅力あふれる長旅を経験できる唯一の寝台列車が姿を消す。

新幹線をあまり歓迎しない、私なのであった。

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