<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



先月のこと。
アメリカの2つの研究機関が
「新型コロナウィルスの最初の発生は中国武漢の市場である」
と特定したニュースが流れた。

そもそも今回の新型コロナウィルスは武漢にある中国のバイオ研究施設から漏れ出したウィルスが市場で繁殖。
新型ウィルスは研究所で行った遺伝子組み換えに伴い人工的に生み出されたもので、それが人に感染って大変な事態に陥ったというのが一般的な認識だ。

「恥は葬り去る」という伝統のある中国共産党。

このつまらない伝統というか性癖というか、彼の国には情報公開がないので確実な証拠がみつからない上、習近平のメンツにこだわる中国の伝統的な態度がパンデミックを大きくしてしまったのも世界の悲劇でもある。
中国は人口は大きいが世界に出ては行けないのではないか、という疑問を抱かせる歴史的事件だった。

そもそも中国のように衛生観念や道徳観念の未熟な国家でバイオテクノロジーを研究するとろくなことはない。
落っこちてくる自国の人工衛星の情報を他国に警告しないお国柄。
経済が発展して宇宙計画も独自で新幹線網もあっという間に日本やEUを抜いたっても所詮基本モラルは以前のまま。
研究所で作り出されたウィルスをどのように管理しているのか。
人の質が大きく影響する分野にもかかわらず、研究管理はまったくのブラックボックスだし、それを扱っているスタッフの質もまったくわからない。

日本では一般に研究者は実験作業、装置や容器を洗浄・メンテナンス、記録、事務とだいたい同じ人が全部行う。
これがペーペーの研究員なら未だマシだが、教授に准教授となると会議が加わり自分のやりたい研究ができなくなる。
非常に気の毒な限りだ。
研究所や大学の管理部門は「実験は料理と同じ。食べた食器は自分で片付ける」という発想なので進歩しにくい。

これと対比して海外の研究機関は研究指導する人、実験作業する人、機器や容器を準備する人、事務をする人はすべて専業であることが多い。
とりわけ容器を回収して廃棄、消毒、洗浄などをする人はブルーカラーの人が多い。
これは研究者とブルーカラーでは賃金が大きく異なるための合理的な仕組みでもある。
日本では高額な賃金を受け取っているドクターの研究者がビーカーやフラスコなどガラス器具を洗浄するというような「食器洗いは自分でしましょう」的な作業に従事したりしている。
いたってコスト意識がいい加減で非合理的な世界なのだ。
イノベーションが起こりにくい原因の一つでもある。

で、本題へ戻すと中国は同じアジアの日本ではなく欧米先進国の仕組みを真似て研究施設を運営しているので地味な仕事はブルーカラー。
研究者はビーカー洗はしない。
そしてここが大切。
中国人のブルーカラーの質は推して知るべし。

今回のような「市場で発生」というような事態に至っても不思議ではない。

「このビーカー、ご飯炊くのに使えそう」
となると平気で持って帰るのではないかと思えてならないし、そんなこと他の産業の事例を見ると日常ではないかと思う。

で、ここに、中国のような国でも遺伝子操作ができるように技術がある。
それをクリスパー・キャス9という最先端の技術なのだ。
この技術はDNAの配列を正確に編集することができる
病気の治療から新種の創造、その他諸々。
夢の技術なのだが、使い用によっては大変な時代を招いてしまう。
そう、例えば新型コロナウィルスのようなケースだ。

このクリスパー・キャス9の開発者は2人の女性科学者。
エマニュエル・シャルパンティエとジェニファー・ダウドナ。
彼女たちはこの功績でノーベル賞を受賞している。

今回のめり込むように読んでしまった「CRISPA〜究極の遺伝子編集技術の発見」の著者なのである。

そもそも植物の品種改良でも多くは偶然が作用して生まれてきた。
開発といってもその偶然を起こりやすくするように、環境を促すようなことが従来の科学だった。
ところが高校生にでもできる技術として開発されたこの技術は様々な問題を解決すると共に、新しい問題を生み出している。

読んでいて最初に連想したのはこの技術が広く研究世界に知らしめられて暫くして出てきたのが新型コロナウィルスだったことだ。
これって偶然なのか、故意なのか。

いろんなことを総合すると最初に書いたような想像がやけにリアルに思えてきて空恐ろしくなってくるのであった。

面白い、しかし恐ろしい。
扱い方に注意を要する夢の技術実現の物語なのであった。


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