金沢21世紀美術館に設置されている「スイミングプール」という作品で著名なレアンドロ・エルリッヒ。
アルゼンチン出身の現代アーティストなんだそうだが、この森美術館で開催されている展覧会は本人の最初の大掛かりな個展なのだという。
その作品の大きさというか奇抜さももちろんのこと、鑑賞者自らが作品の中に溶け込んでしまう、そのアイデアに度肝を抜かれるアートなのであった。
まず入って最初にあるアートは真っ暗がりに浮かぶボート。
ボートは淡い光に満たされていてゆらりゆらりと揺れている。
しかしよくよく見ると、床面には水は無く、ボートの形状と、揺れの振幅と漆黒の闇が調和してまるで深夜の海でボートが揺らめいているように見えるのだった。
あまりに暗い環境なのでiPhoneのデジカメでもきちんと撮影することが難しい。
また写真に撮れたからといって作品のダイナミックさが記録され、そして伝わるわけではない。
このボートの作品に限らず現代アートの多くは写真や映像では捉えることのできないものが少なくない。
それはインスタレーションというジャンルだからなのかも知れないが、それよりもなんでもかんでもネットで入手できる現代社会への挑戦があるのではないかと思えてならないのだ。
実際に美術館へ足を運び、触れてみないと体験できない何かを含んだアイデアが必要なのだろう。
今回の作品は鏡を多用した作品が多かった。
鏡を使うことで空間を創造する。
例えば何の変哲もない実物大のエレベータのオブジェが置かれている。
窓からその中を覗き込むと建物の床と天井を貫いて遥か下までエレベータシャフトが続いているように見える作品があった。
森美術館の置かれている場所が六本木ヒルズのタワー最上階ということもあり、このアートのために床に穴を開けシャフトを設置したのではないかと思わせるような面白さがあるのだ。
その他にもガラスを何層にも並べて雲を表現した作品や迷路のようなものもあったが、圧巻はやはり巨大な鏡を使ったアパートメントの壁面を表現した作品だろう。
実際のアパートメントの壁面は床面に設置されていて、来場者はそこに寝そべったり手摺を掴んだりして演技することにより、正面に斜めに設置された鏡にはまさに建物の壁面にぶら下がったり、よじ登ったように見えるという仕掛けなのだ。
インスタグラムが流行っていることもあり、絶好の撮影ポイントであり、家族でも、友人ともでも、恋人同士でも遊園地以上の楽しい作品が撮れること間違い無しの作品だった。
私も家族でいろいろ撮影してみたのだが、これが本当に面白い。
なんでもないアイデアと思う。
しかしそれを実行し、整理してデザインして見せるというところにおいて作品は人々に新鮮さと面白さと楽しさと感動を与えてくれるのだ。
散々楽しんで美術館を出た。
通路の窓から下界を見下ろすと昨日訪問した国立新美術館や新宿の高層ビルなどを眺めることができた。
その中に、建築の進む新国立競技場が見えたりするので、
「お〜い、あのクレーンがたくさん立っていて建築中の建物が、東京オリンピックのメインスタジアムやで」
と娘に解説もしたのであった。
下界へ降りると朝一番で乗り込んだのがやはり正解であったと思った。
なぜならすでに多くの人が入口には列を成しており各作品を楽しむために「溶け込む順番」を待つにはあまりにも時間がかかりすぎるように思ったからだ。
美術館を出るとちょうどランチ時。
私たち三人は六本木ヒルズのスタバで簡単に昼食を取って今回の最終目的地、東京都庭園美術館に向かうことにしたのだった。
つづく
アルゼンチン出身の現代アーティストなんだそうだが、この森美術館で開催されている展覧会は本人の最初の大掛かりな個展なのだという。
その作品の大きさというか奇抜さももちろんのこと、鑑賞者自らが作品の中に溶け込んでしまう、そのアイデアに度肝を抜かれるアートなのであった。
まず入って最初にあるアートは真っ暗がりに浮かぶボート。
ボートは淡い光に満たされていてゆらりゆらりと揺れている。
しかしよくよく見ると、床面には水は無く、ボートの形状と、揺れの振幅と漆黒の闇が調和してまるで深夜の海でボートが揺らめいているように見えるのだった。
あまりに暗い環境なのでiPhoneのデジカメでもきちんと撮影することが難しい。
また写真に撮れたからといって作品のダイナミックさが記録され、そして伝わるわけではない。
このボートの作品に限らず現代アートの多くは写真や映像では捉えることのできないものが少なくない。
それはインスタレーションというジャンルだからなのかも知れないが、それよりもなんでもかんでもネットで入手できる現代社会への挑戦があるのではないかと思えてならないのだ。
実際に美術館へ足を運び、触れてみないと体験できない何かを含んだアイデアが必要なのだろう。
今回の作品は鏡を多用した作品が多かった。
鏡を使うことで空間を創造する。
例えば何の変哲もない実物大のエレベータのオブジェが置かれている。
窓からその中を覗き込むと建物の床と天井を貫いて遥か下までエレベータシャフトが続いているように見える作品があった。
森美術館の置かれている場所が六本木ヒルズのタワー最上階ということもあり、このアートのために床に穴を開けシャフトを設置したのではないかと思わせるような面白さがあるのだ。
その他にもガラスを何層にも並べて雲を表現した作品や迷路のようなものもあったが、圧巻はやはり巨大な鏡を使ったアパートメントの壁面を表現した作品だろう。
実際のアパートメントの壁面は床面に設置されていて、来場者はそこに寝そべったり手摺を掴んだりして演技することにより、正面に斜めに設置された鏡にはまさに建物の壁面にぶら下がったり、よじ登ったように見えるという仕掛けなのだ。
インスタグラムが流行っていることもあり、絶好の撮影ポイントであり、家族でも、友人ともでも、恋人同士でも遊園地以上の楽しい作品が撮れること間違い無しの作品だった。
私も家族でいろいろ撮影してみたのだが、これが本当に面白い。
なんでもないアイデアと思う。
しかしそれを実行し、整理してデザインして見せるというところにおいて作品は人々に新鮮さと面白さと楽しさと感動を与えてくれるのだ。
散々楽しんで美術館を出た。
通路の窓から下界を見下ろすと昨日訪問した国立新美術館や新宿の高層ビルなどを眺めることができた。
その中に、建築の進む新国立競技場が見えたりするので、
「お〜い、あのクレーンがたくさん立っていて建築中の建物が、東京オリンピックのメインスタジアムやで」
と娘に解説もしたのであった。
下界へ降りると朝一番で乗り込んだのがやはり正解であったと思った。
なぜならすでに多くの人が入口には列を成しており各作品を楽しむために「溶け込む順番」を待つにはあまりにも時間がかかりすぎるように思ったからだ。
美術館を出るとちょうどランチ時。
私たち三人は六本木ヒルズのスタバで簡単に昼食を取って今回の最終目的地、東京都庭園美術館に向かうことにしたのだった。
つづく
