<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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生まれて初めての海外旅行で利用したのはパンアメリカン。
成田からロサンゼルスまでひとっ飛びだったのだが、
「帰りもあの不味い機内食を食べるのか」
と思うとロス滞在中に憂鬱になった。
それをあざ笑うかのように帰りのロサンゼルス国際空港では、
「機内では蕎麦が出る」
と耳にしたJALの同じく成田行が私のパンナムのジャンボの横の搭乗口に止まっていた。
「次回はぜったいにJALに乗るぞ」
と勝手に誓ったのは、もう30年以上前になる。

で結局「次回」は不本意ながら大韓航空を利用して、その次はシンガポール航空、その次はタイ国際航空と、結局海外へ行くときはJALはもちろんANAに乗ることもなく時間だけが経過した。

10年ほどまえにANAのマイルが溜まったので台湾へ行こう!
とばかりに予約した、
あこがれの自国エアライン。
ANAの無料チケットを手にして意気揚々関空に行ったら、利用するのはANAとコードシェアのエバー航空だった。
「コードシェアの馬鹿野郎!」
と、叫んでも無駄。
友好国台湾のエアラインなのに液晶テレビの地図には「日本海」を「東海」と書いているけしからんヒコーキで、機内に彩られていたキティちゃんが泣いていた。
以後、二度と使っていないのは言うまでもない。

で、そのすぐ何ヶ月後かに出張でシカゴへ行くことになり、利用する便がなんと!憧れの日系エアラインの、しかもJALなのであった。
しかし、この時はさすがに私も歳を食っていて、
「日系もいいけど、成田経由はしんどいやん」
と、会社の総務課に当時飛んでいたユナイテッドの関空発シカゴ行きに変更を頼んだものの、
「東京集合!」
とわけのわからん指示が出て、JALに乗ることになった。
搭乗した機種はB747。
30分早く出発するシカゴ行きのANAがB777。
どちらかというとB777に乗りたい私は、
「東京集合やったらANAでもええでしょう?」
としつこく会社にお願いしたのだが、
「株があるので」
と、これまた訳のわからん理由を付けられて、そのままJALを利用することになった。

30年前に「蕎麦があってきっと美味しいに違いない」と信じていたJALの機内食もエコノミークラスは美味しくなく、客室乗務員がアジア系の女性で、しかもベトナム航空並に無愛想だったので、すごく失望してしまったのだった。
「あーANAなら良かったかも」
と思うと同時に、
「あー、蕎麦もなぜかタイ国際航空のほうが美味い」
となってしまい、憧れのJALの国際線は失望の塊と化してしまったのであった。

それから暫くしてJALは倒産。

新聞によると経営再建に成功しているJALは新規の購入する機体をボーイングからエアバスに切り替えるのだという。
機種は古くなったB777を売っぱらって、新しいA350を購入する計画だ。
JALは食事だけではなく、利用する機種も失望させるつもりなのか。
ちょっぴり残念である。

ご存知のようにB777は韓国人のパイロットが操縦していない限り世界一安全な航空機だ。
JALはこのアシアナを除いて20年間人身事故ゼロの優秀な機種をやめて、操縦桿もない、コンピュータ優先で人は後回し、日本製部品比率の少ないエアバスの大型機を購入するのだという。
なんでも京セラ稲盛会長の稲盛イズムを踏襲し、ボーイングとエアバスにディスカウント競争させた結果としてエアバスの購入に決めたのだという。

この選択、正しいのか否か。

エアバスの飛行機はボーイングのそれとは設計思想がかなり違うという。
例えば操縦。
エアバスはコンピュータ優先でボーイングはパイロット優先。
ボーイングの飛行機は自動操縦でもパイロットが操縦桿を少し触ればパイロットのオペレーションがすべてに優先される。
これに対してエアバスはパイロットは完全にマニュアルに切り替えなければ自由が利かず、例えば名古屋空港での中華航空機の事故のようにパイロットとコンピュータが反発し合って墜落することもある。
そもそも、エアバスの飛行機には操縦桿はなく、レバーで操作する。
サンダーバード1号の要領だ。

好みの問題かも知れないが、どうもここんところが引っかかって仕方ない。
JALの選択。
安かろう悪かろうにならないかどうか、注目が必要だ。

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