「寂聴さんのすべてを紹介する」、まさに感動の展覧会だった
それにしても充実した展覧会だった。まさにその全てを見てもらおうという姿勢が、とても明確に現れていた。
出家直後に書き始め、5年刊をかけて書き、瀬戸内晴美の名で刊行した『比叡』(新潮社純文学書き下ろし特別作品)には、「一行、一行を私の遺言のような気持ちで書いた」との説明文があった。こうした文章を読むと、涙が出る。瀬戸内文学を、少し本気で読んでみようと思った。
そして、源氏物語である。「日本国民として知ってなければ恥」と語り、その源氏物語の現代語訳に取り組むにあたって、65歳になって書き始めた寂聴さんはノートに「六箇条」をメモしたものが公開されている。
①健康 サンポ、ヨガ、気孔、②規則正しく 仕事時間を決める、徹夜はしない、③仕事の整理 引き受けない、④義理を欠く 誰が死んでも、⑤経済を引き締める 慎ましい生活、⑥最後の仕事と思う、そして「収入は講演 なんとかなる」等とも書かれている。その決意の固さに感動した。しかし、この「六箇条」は、ご本人によると、どれ一つとして守れなかったとのことだ。
ともあれ、久しぶりに堪能した展覧会だ。素敵な時間を過ごすことができた。
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