押井守監督による劇場版第2作!
東京に “戦争” を再現したテロリストを追って、第二小隊最後の出撃が始まる!
2002年冬。横浜ベイブリッジに謎のミサイル投下…!
報道はそれが自衛隊機であることを告げるが、該当する機体は存在しなかった。これを機に続発する不穏な事件は警察と自衛隊の対立を招き、事態を重く見た政府は遂に実戦部隊を治安出動させる!! 東京に〈戦争〉を再現した恐るべきテロリストを追って、特車二課第二小隊最後の出撃が始まる!
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DVDでは第1作同様何度となく見ている作品。公開は1993年8月7日。28年前である。
OP直後、ものがたり世界では1999年の東南アジア某国(カンボジア?)における国連PKO任務につく、日本国自衛隊レイバー部隊が登場する。部隊は正体不明のゲリラからの攻撃に反撃が許されず、隊長以外が全滅する。
本作が公開された1993年、現実世界では国連によるカンボジア暫定統治機構(UNTAC)が前年に活動開始。’93年国民議会選挙、同年に活動が終了した。UNTAC任務中、日本人文民警察官1名、国連ボランティア(UNV)1名の殉職者が出た。そんな時代背景の元、製作・公開された作品である。
ものがたり世界では壊滅し、UNTACと異なり多数の死傷者を出した日本国自衛隊のレイバー部隊。部隊長は柘植行人(つげ・ゆきひと)という。
その柘植が帰国後、’02年、”戦争” を始める。
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ものがたりは...今回も全部わかっているつもり
横浜ベイブリッジ爆破
陸幕調査部別室の荒川の登場
墜落する飛行船から大量のガス放出
陸自攻撃ヘリによる東京破壊(Tokyo War)
埋め立て地アジトへの急襲、柘植の逮捕、エンディング
どれもこれもDVDで何度も見ている。今回劇場のスクリーンで初めて見た。ただ、あれほど見たはずの作品なのだが、所々記憶の曖昧なシーンがあり、不思議な感じがした。
4DXによる効果は、劇場版第1作と比較して動き重視、効果は適切と感じた。飛行シーンに多く用いられた印象をうけた。表現が適切かわからないが、浮揚感がものがたりに合い、没入感を増したと思う。
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柘植はホントは何をめざしたのか
途中からどんどんその疑問が大きくなった。平和ぼけした日本人への警告と取ればいいのだが、そのための ”戦争” は柘植の予想(期待)した方向からどんどんずれていく。第1作で帆場暎一が企図したレイバーOS暴走事案との、構造的本質的違いがここにある。帆場はすべて1人で準備、実行した。柘植の ”戦争” は1人ではできない。指導者(首謀者)の思いは、人を介せばそのぶん変容するのが世の常である。
ラストシーンで柘植は「これだけのことを起こして、なぜ自決しない」と尋ねられた。彼の答えは「もう少しこの街(東京)の未来が見たい」だった。おそらくウソだろう。ホントのホントは何なのか、本人も実はわかっていないような気がした。
彼はホントは何をめざし、何を理解されたいのだろう。
本作のカテゴリーは
第1作がSFアクションならば、本作は社会派パニック映画だろうか。コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言発出下の現実世界の東京も、治安維持のために出動した自衛隊が展開するものがたり世界の東京も、いずれも非日常である。そしてそれに慣れていく人々の様子が、奇妙にかさなった。
前作同様そこここに時代の流れは感じる。でも現実世界、現代社会のどこかと重なりを感じることができる作品。本作もClassicである。
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第1作の感想はこちら。
2020-08-10、「機動警察パトレイバー劇場版4DX」
パトレイバーEZY
・・・どうなったんだろう。