tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

静寂の音

2010-06-23 22:45:55 | 日記

 
 
 
 
(Entry 198~201/365) OLYMPUS PEN Lite E-PL1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm f3.5-5.6 L

”一切の強欲の軋轢の苦役から
放免せられている山々
一寸きざみに山へ登りつめる広い天と地
鋭利な知能を必要とはしない自然
老境にはいった都会を見捨てて
柔い山ふところに登りつめる私
私はその楽しみの飽くことを知らない。

額に山の雨が降りかかり冷してくれる
山の精力が細かな種子になって降る
蔓どめ、ひこばえ、山うど、鬼あざみ
私は何でも触ったものをつかむ。
トロッコで凱旋している旅愁。”
(林芙美子、屋久島紀行より)

夜、民宿の窓から聞こえるカエルの鳴き声。目を覚ますと聞こえる朝の小鳥の鳴き声。
森の中で聞く沢のせせらぎの音。
屋久島は悠久の時が育んだ "命"の音が満ち溢れている。意識に登らない静寂の音。

谷あいで足を止め、目をとじるとうっとりとするような静寂の音が響いてくる。
森を抜け、開けた川原に出て、登山靴を脱ぎ、川水に足を浸す。
素足を浸けて30秒もしないうちに、水の冷たさで足がジンジンしてくる。
ガイドの清田さんによれば、足の疲労回復には一番の効果だそうで、温泉よりも効き目があるらしい。
確かに足の血行が良くなって、ほんの少し浸けただけでむくみが取れてくる。

川原の石に寝っころがって、森の静寂の音に耳をすます。
じきに雲が晴れて、尾根を越えた太陽の光が幾筋もの木漏れ日になって、森に射し込んできた。
「ポーポーーオポポオ」と尺八に似たズアカアオバトの鳴き声や、「チーチリチリチリチリ」と高くよくとおるミソサザエ、「シーシーシーシー」と虫のようなヤブサメの声が聞こえてくる。・・・だよね!?ぐっちん?
森はにぎやかになった。鳥の鳴き方も、梢をわたる風の音も、それまでと明らかに違う響き。
森はにぎやかだ。


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