そういえばこんな感じだったよねという懐かしさに似た気持ち。インドの町を旅している間、いろんなところで感じていた。たとえば、街へつづく山道を通っていて、カーブの先に開ける風景。眼下に点在する民家の屋根や、山肌を切り開いて作られた畑、高速道路の路肩に群れるヒツジたち。
そんないとおしい風景に、日本の田舎のたたずまいをふと見てしまうことがあった。
今でも、インドの印象といえば、道路の向こう側にいた路上生活に一家の女の子の目を思い浮かべてしまう。ホーリーの日。はでに色粉をかけられたぼくの顔をいつまでもじいいいっと見つめていた子。あのときの彼女の目の中には、なにかしらぼくの心を揺さぶるものがあった。きっとそれは、ぼくが小さいころから、身近な人々から見守られていた暖かい視線であったのかもしれない。
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