tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

それぞれのノーザンライツ

2017-01-12 21:44:52 | プチ放浪 山道編

オーロラ遭遇率97%。勝った負けたで自分の旅を評価する人がいた。
悔しいけど、アラスカ滞在4日間で、3日間はほぼ雪。闇間にうごめく怪しい妖婦のスカートの裾のようなオーロラを見れたのは移動中のダッジバンのナビゲータシートからちょっとだけ。結局、三脚を立てて、フルサイズのカメラを構えていたぼくの目の前には、オーロラの不思議な光は届かなかった。

なんでもない風景だけど、いつかきっとたまらない懐かしさで思い出すと感じる時がある。それは星が瞬く冬の雪原であったり、夏風に揺れる草原であったり。決して特別な風景じゃないのに、記憶の底に沈殿していく。

Mother nature rus a show in Alaska, not us. (長い旅の途上、星野道夫)

負け惜しみなのだろうが、結果が最初の思惑通りにならなくても、冬のアラスカで過ごした時間は確実に心に残る。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしたかけがえのない時間なのかもしれない。
頬を切るようなマイナス20℃の冬の風。殴りつけるように、厚い防寒着の上に積もる雪。悔し涙で見上げる厚く雲が垂れ込める北の夜空。いつまでも忘れないと思う。

寒さを堪えながら雪の降る夜空の下にたたずみ、気持ちを込めて五感の記憶中にアラスカの夜の景色を焼き付けた。何も生み出すことのない、ただ流れていく時間。
ただし、それは人類が誕生する前から繰り返し、このアラスカの地で人に意識されることもなく流れてきた時間だ。下世話な人間のたくらみに並行して、こうしたもう一つの時間が流れていることをいつも心のどこかで感じていたいと思う。
そして、そんなことを、いつか身近な誰かに伝えることができるのだろうか。
きっと人生とは、たとえばこんな風に、それぞれの光を探し求める長い旅の途中なのかもしれない。


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