ここ数日、大気の状態が不安定だ。日本全体を覆っている夏の太平洋高気圧の勢力が弱くて、上空に寒気が入り込むせいで、積乱雲が発達しやすくなっている。このため、各地では、ゲリラ雨にも似た集中豪雨に見舞われている。
・・・あの年の夏もゲリラ雨が多発していた。
伊豆で潜った帰り、高速料金が1000円ぽっきりということもあって、厚木から乗った東名は車の量がかなり多かった。
そのうえ、日本の南側に居座った太平洋高気圧の影響で、関東はヒートアイランド現象に伴う猛暑。南からの暖かく湿った空気は未曽有の巨大な積乱雲に発達し、1時間に100ミリを超すの猛烈な雨が降り始めていた。
・・・ゲリラ雨。渋滞した高速では先行する車のテールランプあてにして運転するから、雨なのに車間が迫ってしまう。その玉突き事故は起こるべくして起きたのだろう。
豪雨の中、厚木で東名に乗ってすぐに道路わきの電光掲示板に、「この先事故 走行注意」の情報が出た。
「やれやれ」ぼくらは頭を振って、電光掲示板に目をやった。この先、長い渋滞に巻き込まれるに違いない。・・・いつものように海老名サービスエリアによる。ここの駐車場は、週末はいつも満車だ。
ぼくらはトイレ休憩を済まして建物を出ようとすると、自動ドアの前に途方に暮れて立ち尽くしている9歳ぐらいの少女が目に留まった。少女は、開かないドアを恨めしそうに見上げていた。
自動ドアは、いくら少女がガラスに向かって足を踏み入れても、一向に反応する気配を見せない。
故障しているのかな?ぼくらがドアに近づいたとき、少女は遠く離れた場所から名前を呼ばれて、その声の方へすっ飛んで行った。恐らく彼女の母親にでも呼ばれたのだろう。
ぼくらが自動ドアの前に立つと、ドアはすんなり開いた。こうしたドアの赤外線センサーは、セラミックの焦電効果(誘電体セラミック表面に赤外線が当たると表面電荷が変化する)を利用したものだ。床面と人の温度差を検知して作動する。また、マイクロウェーブを使って、人の動きによって生ずる周波数変化を検知するものもある。
その時は、その自動ドアの動作不良について深く考えもしなかった。「しなかった」と過去形で書いたのは、少女が自動ドアから出ようとしていたことを後になって思い出したからだ。
翌日のyahooニュースで、「渋滞で停車中の軽乗用車にも追突するなど計9台が絡む事故」の記事があった。この事故で軽乗用車を運転していた無職の女性が出血性ショックで死亡。助手席に乗っていた小学4年の少女(9)も頭を打って死亡。別の車の計6人が軽傷。
事故で命を失った少女の名前が、あの自動ドアのところにいた少女を呼ぶ名前と一致していたかどうか・・・思い出せない。
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