「元宵節」には、新年で初めての満月となる日に、各家庭で「灯籠」を掲げ、もち米の粉で作った団子を食べて祝う。春節から続く旧正月の祝いの最後の行事となる。
陰暦正月15日を上元、そして7月15日が中元、10月15日を下元とする、もともとは道教の祭日。陰暦では15日が満月で、上元の夜にあたる元宵はつまり「1年の最初の満月の夜」。
その昔、中国では宮殿や寺院、道観(道教寺院)、庶民の家々などの軒先、さらには街路に灯籠(ちょうちん)が灯され、人々は見物に出かけたらしい。この「観灯」の行事は、日没後の外出を禁じられた唐代も夜の禁を解かれ、街はにぎわったという。
当時の人々は、この夜、灯籠になぞなぞを書いておき、これを解いた人は答えを紙に書いて貼り付けておく遊びを楽しんだようだ。
祝你身体健康 万事如意 (ご健康でありますように、万事うまくいきますように)
横浜中華街では、元宵節燈籠祭(げんしょうせつとうろうさい)として、人々のメッセージが書き込まれたキャンドルを舞姫の舞とともに媽祖さま、關羽さまに奉納する。
この舞は踏歌(とうか)」と呼ばれる中国に古くから伝わる舞で、訪れる春への愛と喜びを意味する。
媽祖廟、関帝廟の階段に飾られた数100本のキャンドルが、夕闇が深まるにつれ幻想的な光を放ち、観るものを感動へといざなう。
媽祖廟といえば、船を守る道教の女神様を祭るところなのだが、ここには中国ではお仲人さんの代名詞ともされる「月下老人」も奉られている。
「月下老人」の伝説はまた別の機会に譲るとして、早い話が「赤い糸」伝説の元になった老人だ。
元宵節燈籠祭の最中に、一緒に灯籠をともす恋人を見つけるというロマンティックな話が台湾にはあるらしい。
特に台北の平渓天灯。
日が沈んだ後に、広い場所に集まった人々が合図と共にいっせいに灯籠を空高く飛ばす。原理は熱気球と同じ。
台北県の平渓はかつてたいへん辺鄙なところで、村の人々はよく危険な目にあった。盗賊を避けて山に逃れた村民に灯籠を空に飛ばして安全を知らせたことが天灯の始まりのようだ。
この何千個の大きな白い燈籠が空にゆっくり昇っていく様子を、デカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ」で観た。コムローイと呼ばれる燈籠が空にゆっくり立ち昇っていくさまは、涙が出るぐらいの感動だった。もっとも、こちらはチェンマイ、あるいは、タイの旧暦12月の満月の夜のお祭りのロイクラトン(灯篭流し)がその元となっている。
「月下老人」の「赤い糸」は別にしても、この元宵節に行われる台北の平渓天灯は、いつか観てみたいと思っている。
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