彦四郎の中国生活

中国滞在記

鴨川(賀茂川)源流に行く―京都の魅力、すぐ近くの北山に入れば多くの渓流が―

2018-06-23 08:35:59 | 滞在記

 梅雨の晴れ間の6月22日(金)の夕方、久しぶりに京都の四条大橋や三条大橋付近に行ってみた。ここに来ると京都に帰ってきたという感がする。橋の下を流れる鴨川(かもがわ)の流れの澄みきった清流に、外国から来ている観光客の人たちもしばし見惚れている。三条大橋のたもとには、腰をおろして外国からの旅の疲れを癒している人たちも多い。

 午後7時頃、日も落ちて夕闇が迫った鴨川。床どこ(納涼床)の灯りが四条大橋から三条大橋に連なって灯っている。先斗町の狭い通りや白川沿いの石畳通りにも明かりが灯る。アジアンチックでありながら清流とあいまった清冽な風情は、おそらくここしかないだろう。(※中国にも台湾もいろいろな古街はあるが、ここのような清冽さはない) アジアから来ている観光客も清冽なアジアの風情に、橋の上でしばし佇んでいた。

 この鴨川を北方にさかのぼると、賀茂大橋がある。「鴨川デルタ」と呼ばれる出町柳周辺だ。ここから鴨川は北西への「賀茂川(かもがわ)」と北東への「高野川」に流れが分かれる。この高野川の主な源流域は「鞍馬・貴船」と「大原」付近の「天ケ岳788m」付近の山々だ。この山々は北琵琶湖に流れる「安曇川」の源流域にもあたる。一方、「賀茂川」の源流域は「雲ケ畑」地区にある「桟敷ケ岳896m」(京都の北山では最も高い)付近の山々だ。この山々の向こうが京北町の「周山・塔・中江・黒田地区」となる。

 京都という街の最大の魅力は「山紫水明」の清流と山々の清冽さだろうと私は思う。街の中心部から20〜30分ほど車で北山の方に走ったらそこに渓谷や渓流が多くあり、ザブントと流れに飛び込むことができる。(例えば、桂川の上流の保津峡や清滝、鴨川上流の雲ケ畑や八瀬や貴船など)

 6月18日(月)、この日の朝8時頃「大阪地震」が起きた。私の家も被災した。この日、京都市の銀閣寺近くにある娘の家に午前9時半ころに行く約束をしていたが、ちょっと行くのが難しくなった。京阪電車なども全面運休で電車は利用できないので、車で行くことにした。ところが、京都高速道路は全面閉鎖、普通の道も大渋滞だった。2時間あまりかかってなんとか娘の家に着いたのは午前11時となっていた。

 すぐに私の車に娘と孫を乗せて「鴨川の源流域」である「雲ケ畑」地区に向かった。鴨川デルタから賀茂川沿いに車を走らせると20〜30分ほどで「雲ケ畑」の集落に着いた。市内から来ていた小学生たちが橋の上から川に何度も跳び込んでいた。さらに奥の山間に行くと「洛雲荘」という料理旅館があった。渓流沿いに「床どこ」などもあったがこの日は休業日のようだった。

 源流域の川原におりて孫の「栞(しおり)」は昼食タイム。そして別の川原に移動した。ここはけっこう広くて、バーべーキューなどもできそうな川原。この雲ケ畑や清滝や保津峡などは、2009年~2012年まで在籍していた立命館大学大学院生の頃、夏の土曜日や夏休み期間中の講義が終わった後、車を走らせて「ざぶん!」と水に入った場所でもあった。

 6月20日(水)、早朝に自宅近くの水田付近を散歩する。初夏の水田や花々が美しい。特にこの梅雨時期はアジサイの季節だ。

 かぼちゃの花、もう秋に咲くコスモスも花をつけているものがあった。花畑にはいろいろな初夏の花々が。

 6月19日(火)の午前中、自宅近くの八幡小学校で「理科の授業」(授業参観での講座)を行っていた友人の野村治さんや佐武さんを訪ねた。野村さんは全国でも有名な理科教育実践者。小学校を定年退職後、京都大学の研修生となり学び続けているが、これまでにも数多くの本を出版している。京都大学の教員になっても全く遜色のないキャリアと実力の持ち主だ。この日は、八幡小学校の保護者3人が講座のアシスタントとして共同授業を行っていた。その後、被災した自宅の片付けなどに終日追われた。

 

 

 

 

 

 

 

 


日本に一時帰国直後、「大阪地震」、家が倒壊するかと思った―震度6の地震

2018-06-22 12:48:00 | 滞在記

◆6月15日(金)、私が担当している大学後期の最終授業が終わった。この日から2週間は、学生たちにとって7月2日(月)から始まる「後期期末試験」への準備期間となる。私が担当する教科の期末試験は7月9日(月)からなので、まるまる3週間は特に大学の仕事も少なくなる。連日35度を超える気温と湿気が凄い中、外に外出することも辛い日々を3週間も福州で生活することも耐えがたいので日本に2週間だけ(6月17日〜7月1日)一時帰国することにした。

 6月17日(日)の午後、福州空港を2時間遅れで飛行機が離陸した。日本時間で夜の8時頃に関西空港に着陸、自宅には午後10時ころに帰った。深夜12時頃に就寝、翌朝は京都市の銀閣寺近くの娘の家に行き、1才と8カ月近くになった孫と散歩でもしようかと考えていた。

 6月18日(月)の朝8時前だった。娘に「今から京阪電車とバスを乗り継いで行くよ」と電話してからすぐの時間だった。突然「ドスーン!」という音がした直後、とても大きな揺れが起こった。いままで経験したことのない地震の揺れだった。家が揺られ「ミシミシ!!」という音を立てていた。「家が壊れて倒壊する!!」と思った。タンスの扉や引手が飛び出してきた。タンスや本棚などの上に置いてある物もたくさん落ちてきた。大きな揺れはしばらくしておさまった。時間にして30秒間ぐらいだっただろうか。以前に経験した「神戸震災」の時の揺れの2〜3倍以上はあっただろうか。家の中は、落ちてきた物がけっこう散乱していた。

 余震があった。それもおさまってきて、ソトに出ると近所の人たちもソトに出ている。自分の自宅はどうなっているだろうか。とにかく家が倒壊しなくてよかったと思いつつ家を見回すと、外壁に亀裂が入っていた。家の玄関がある正面の外壁被害はないようだが、他の面に合計3箇所のけっこう大きな亀裂や壁の盛り上がりがあった。1年ほど前に外壁を新しくしたばかりだった。屋根瓦も何枚かが落ちていた。

 家の中は幸いに本棚や茶箪笥やタンス類の倒壊はなかったが、上に置いていたものがほとんど下に落ちていた。本棚の本も下に落ちて散乱していた。書斎の恐竜のフィギァの多くが下に落下し壊れていた。なにか「恐竜絶滅」のような光景だった。2階のタンスの上にあった「ガラスケースに入った日本人形やフランス人形」なども落ちていたが、ガラスは奇跡的に割れて散乱していなかった。玄関に置いてある絵も落ちていた。

 近所の被害の様子を見てみると、向かいの家の外壁がかなり大きくひび割れていて壁が盛り上がっていた。屋根瓦が崩れた家も見られた。瓦が落下して、家の駐車屋根を突き破って車のフロントガラスが割れている家もあった。

 この日のテレビニュースや翌朝の新聞を見ると、「震度6弱」となっていた。私の家と大阪北部の震源地とは約15kmぐらいしか離れていない場所だった。神戸震災の時は震源地からかなり離れていたので「我が家は震度4」だったが、それでもかなり揺れた。今回の震度6というのはかなり強烈だった。初めて地震の本当の怖さというものを少なからず体験した。

 地震被害が大きかった大阪府の枚方市や高槻市や茨木市、枚方市に隣接している京都府八幡市は京都府では最も地震被害が大きかった。国宝の石清水八幡宮も石燈籠の多くが倒壊した。テレビニュースでは「八幡市・罹災証明書の申請手続き始まる」と報道もされていた。この日の夕方、近くのキリン堂という店に行ったが、「しばらくは営業を中止します」との貼り紙があり、シヤッターが閉められていた。おそらく棚の商品が落下散乱している状況なのだろう。

 地震のあった18日の午後3時ころに家に戻り、家の中の片付けを始めた。そして、翌日19日の夕方まで、ひたすら家の中を片付けて、ようやく家の中が整頓された。また、19日の夕方からは激しい雨になりそうなので、隣の人の助けもかりて、壊れている外壁にブルーシートを張ったりした。張り付けが終ってしばらくしたら激しい梅雨時期の雨が降ってきた。

 21日(木)に市役所に行き、「罹災証明書発行の手続き」を申請した。たくさんの人が罹災したようで、申請手続き場所には長い列ができていた。地震のあった日の夜12時ころ震度5の余震があった。そして、朝の5時ころにも震度4の余震があった。「1週間以内は最大震度6の余震があるので注意!」との報道もあったので、数日間は心配だった。22日現在、新聞によると ここ八幡市内でも公民館に「避難生活」をしている人もいるようだった。

 地震から4日が経過した今朝22日朝、まだ小さな余震があった。家が倒壊のような大きな被害でなかったので胸をなでおろした今回の地震。外壁の修理が必要なので、業者にも連絡をした。

◆地震被害による「補償」について

「地震による被災証明書の発行」を申請すると2週間以内に、市役所の職員が「被災箇所」を調査しにくる。そして、2〜3週間で「罹災証明書」が郵送で送られてくる。これは、「民間保険会社の地震保険」に加入している人が補償金を受け取る際に必要となる。

 火災保険に加入している人(家)は多いが、地震保険に加入している人は少ない。我が家も加入していない。それは、地震保険の保険料がかなり高く、補償金は少ないからだ。特に、木造家屋はコンクリート家屋に比べて「保険料金は高くて補償金は全壊の場合でも上限300万円まで」と少ないようだ。

 あと、地震被害に遭い、「罹災証明書」が発行されれば、「固定資産税」が被災の状況により減額措置が取られる場合がある。そして、被災地域に指定がされて「国の支援金指定」が決定された場合は、その中から被害状況に応じて各市町村に支援金が配布される。今のところ、今回の地震に関して、国から「支援金」が出るかどうかは決定されていない。地震保険にも入っていなく、国の支援もなければ、修理に必要なお金は全て個人負担となる。地震により壊れた車も、おそらく地震の場合は補償されないのではないだろうか。

 以上のことを、今回の地震罹災を通じて知った。

 修理の仕事が追いつかないほど急増し、当分は休みもないほど忙しい「屋根瓦店」「外壁店」などは、地震の発生は「超特需景気」となる。今回の地震で被害のあった、震源地に近い街には、近畿各県(大阪・京都・滋賀・兵庫・和歌山)から「瓦・外壁」の修理業者が来ているようだ。私の家にはいつ来てくれるかまだ連絡はない。

 

 

 

 

 

 


米朝会談[南北合同の韓流ドラマ]―中国は、「ほぼシナリオ以上」の出来栄えに満足か

2018-06-16 14:03:36 | 滞在記

 アメリカ・トランプ大統領がカナダで行われていた「G7サミット」をぶち壊し、カナダのトルドー首相やドイツのメルケル首相を激怒させたこともなんら気にせず、せせら笑って即座にシンガポールに向かった。この大統領は「Meke America Great Again」(アメリカを再び偉大に)と言いながら、アメリカや民主主義諸国の力を衰えさせ、世界の民主主義諸国から嫌われる「単なるわがまま、自己陶酔・自己ヒーロー、知性なき利己主義者」にすぎない。さらに、「人権」という感覚を持ち合わせていない(金のためなら何でもする)人物だから さらに「質(たち)が悪い」。こんな大統領に投票したアメリカ人は、自分が投票したことの「恥」を知ってほしい。

 「北朝鮮の体制は保証する」「非核化は時間をかけてよい」「北朝鮮への経済支援の金は日韓にやらせる」「金正恩はすばらしい指導者だ。俺といい友達になれるだろう。」「人権の問題なんてどこの国にもあることだから、北朝鮮の人権の問題のことは ことさらとりあげることでははない」「米韓軍事演習は今後中止することを考えている。在韓の米軍は今後撤退を検討する」「金委員長は良い資質を持っている。面白くて非常に賢く、優れた交渉家だ。金委員長は住民たちを愛している」などを、米朝会談後トランプ大統領は記者会見などで表明した。まさに、「トランプと金正恩という二人の『トラ金、最凶ダック』が誕生したの瞬間だった。特にトランプ大統領には「ノーベル人権破壊賞」というものを新設して贈呈すべき歴史的瞬間だった。

 北朝鮮の「金王朝」支配下のもと、その人権問題が最悪の状況下にあることは明白だ。米国務省によると、「現在、政治収容所に8〜12万人を収容し、拷問したり食べ物を与えず餓えさせたりしている」と。「処刑でミンチにした」といわれる金永哲人民武力部長の処刑は、高射銃(14.5mm口径の重機関銃を一つにまとめた「ZPU4」)を使用し、人体の跡をとどめぬミンチ肉にしたとも言われている。この地球上最悪の暴君に対するトランプの賛辞に耳を塞ぎたくなる人も多いだろう。

 今回の米韓首脳会談では、2機の飛行機を金正恩に貸した中国。中国の報道を見聞きすると、「おおむね満足している」「とてもよい結果だ」と満悦顔で報道している。このドラマは「韓国(文)と北朝鮮(金)」の文金ペアが脚本を書き、中国が監督し、主演は金・助演は文、そして準主演はトランプ。脇役としての通行人安倍。そして影の主役としての習。シナリオ以上のできばえに満足しているという様子だ。中国がこのドラマで描きたかったのは、アメリカのアジアからの撤退である。まずは、韓国からの米軍の撤退である。これが今回のドラマで実現の運びとなる道筋がみえてきたからだ。ほくほく顔だろう。これが実現したら、次は沖縄の米軍基地の撤去に的をもってくるだろう……。まさに、アメリカの敵失の連続にほくそ笑んで笑いが止まらないでいるのが習政権だ。

 この「米朝首脳会談」に関して、維新の党の創始者「橋下徹」は、「米朝首脳会談を評論する愚」というテーマで、公式メールマガジン<橋下徹の「問題解決の指導」>VOL.107、6月12日配信 で次のように発信していた。あきれる内容だった。

 ―準備不足批判するより、世界を動かす大号令を評価すべき―

 ………トランプのおっちゃんは、ここがチャンスと見たんだろうね。米朝首脳会談を即決した。こんなことは政治家にしかできないし、政治家と言ってもトランプのおっちゃんにしかできないことだろう。世界的に、そして特にインテリから人気のあるオバマ前大統領は、「戦略的忍耐」という小難しい言葉を使って北朝鮮外交の方針としていたけど、これって結局「何もしない」ということ。だから事態は何も動かなかった。米朝首脳会談を決める、事態を動かすというところまでは完全に政治家、国のトップの役割で、トランプのおっちゃんは、見事それをやってのけた。

 今回の米朝首脳会談には中身がない、具体性がないと批判している人たちは、事態を大きく動かすことにチャレンジしたことがない人たちだ。まあ、評論家の類だね。そして巨大組織を動かしたこともないのだろう。

◆このようにトランプ大統領を絶賛している橋下徹。今回の「米中会談の内容に関しての批判」を評論家の類と一蹴する彼の論法。この橋下徹という男の本質が満載の内容だった。このような男が創設した「維新の会」に投票している大阪の人々も、「支持投票することの恥を知ってほしい」と私などは思う。かってあった日本の首相候補などもっての他だ。

◆「金正恩主演、文在寅脚本のロマンス」と題して、拓殖大学教授の「呉善花」氏(女性)は次のように語っている。6月13日インターネット配信「Voice」

 親北派の文在寅政権の誕生から状況が大きく変わりました。経済的には優位な韓国がいつの間にか北朝鮮に従うかのような構図になってしまい、いまや南が北に呑み込まれしまう可能性すらあります。韓国の国内世論を見ると、4月27日の南北首脳会談直後、世論調査における文大統領の支持率は80%を超えました。

 とくに驚くべきなのは南北会談以降、韓国で金正恩の人気が急激に高まっていることです。韓国の公共放送MBCが4月29日~30日に行った調査によれば、金正恩を「とても信頼する(17.1%)」と「おおむね信頼する(60.5%)」の回答を合わせると約8割に達しました。民主主義国家の世論が、北の「どくさい者」を認めている。信じられない結果ですよ。韓国国内では、「金正恩は外交上手で国際性がある」など、彼を礼賛する声が聞かれます。金正恩を悪魔のように捉えていた数か月前の世論とは打って変わって、北朝鮮の悪口すら言えない空気に変わりつつあります。………。韓国人は、いまのところは民族的な興奮に浮かれているのだと思いますね。民族が力を合わせていく時代がやってきたと。

◆6月14日にロシアで開催されたサッカーWカップ。今回の「米朝首脳会談」は1対9で北朝鮮の圧倒的勝利とも言われている。中国としてみれば、これもまた1対9で中国の圧倒的勝利だろう。トランプは気まぐれで予測が難しいプレーで1得点はしたが、オウンゴールで9点を献上した「アメリカ史上超最悪のFW兼DFサッカー選手」となりそうだ。そのサポーターでファンの一人が橋下徹。トランプのプレースタイルが大好きなのだろう。

◆最近、韓国のサッカー協会の幹部が「2026年、サッカーWカップの開催地として<中国・朝鮮コリア(南北合同)・日本>の共同開催に言及した。今後これはありえない話ではない。これはこれで面白い発想だと思う一面はあるが…。それまでに北朝鮮の超人権問題は改善されているのだろうか?残念ながらまず今の状況ではありえない。決勝戦はどこで行われるのだろう? この幹部の発想では「北朝鮮の平壌」を念頭にしている節もある。この大会には、中国としても北朝鮮としも韓国としても、「オウンゴールを量産してくれるトランプ選手」にぜひ米大統領兼アメリカ代表選手として出場してほしいところだろう。アメリカが大負けをして、「トランプではだめだと早く目をさましてほしい」。このままでは世界の不幸だ。

◆6月13日の日本の報道番組。米朝首脳会談の中で、トランプ大統領は金委員長に、「日本の安倍が拉致問題をとりあげて欲しいと再三言ってきているから、一度安倍とも会ってみないかね」と語りかけ、「まあ、会うことは会ってももいいが……」と金が応えたと伝えていた。これに安倍首相は狂喜したようで、日朝会談実現による拉致問題の進展に躍起になってきた。そして、15日には、北朝鮮は「拉致問題は解決すみの問題だ。こんな話を蒸し返すのは結婚式で葬式の話をするように不愉快なものだ」と表明していた。

 まあ、カナダやドイツやフランスの首相や大統領が、トランプのG7での態度。対応に対して批判する中、何も言わずに局面を見ているだけの安倍首相にも「首相としてはこりゃもうだめだな」という感じも受ける。最近この安倍首相との党首討論に臨んだ野党党首には「外交問題の外の字もなかった」。実に情けないに輪をかけていた。日本共産党の志位委員長、立憲民主党の枝野代表など、なぜ彼らが国会議員や党首をやっているのか、理解ができなくなってしまった。この2つの党などは、残念ながら「外交に関する党としての見解・方針」はほとんどないに等しいようだ。

 1年ほど前に、長年にわたり日本共産党を支持して党活動もしている知人数人と話したが、「中国共産党を覇権主義国家と今度の党大会で表記しました」と話していた。そんなこともう5年前から分かり切っていたことだろうが……。一般国民もそんなこと5年前から分かっているよ。なにをいまさら…。それで、そのあとどうなん、どういう外交方針なん? と質問したが……。何の話も出てこなかった。情けないが党決定の内容をひたすら理解するだけの現状なんだろうな。自分たちの頭で考え合い自由に意見を出して方針を出していくという党風は、「民主集中制」という党規約のもと、長年にわたりなくなっている。この党、日本共産党内の外交問題に関する方針のなさやレベルのあまりの低さに呆れかえってしまった。残念な党内状況で外交のほんとうに素人以下の党決定に凍結されただけの集団の集まりとなっている現状を憂う。

◆中国のインターネット記事にも、「紀州のドンファン事件」が掲載されていた。

 

 

 

 

 

 

 


中国を巡るいくつかの国々との関係を考える❷—「一帯一路政策の暗雲」とマレーシァ

2018-06-16 06:12:00 | 滞在記

 前号のブログでも紹介した中国の週刊雑誌『VISTA看天下』では、マレーシァの新首相となったマハティール氏(92才)に関する記事もあった。ここ4年間ほど中国の「一帯一路政策」に全面的な支持(中国べったり)を推進していた前首相を4月の総選挙で破った新首相である。「南シナ海」を巡る中国の「誰をはばかることもないような」強引ともいえる姿勢なども相まって、マレーシァ国民に、「今のように傲慢な中国NO!」の民意を表出させた選挙結果となった。

 就任間もないマハティール首相が5月に日本を訪問した。中国のインターネット記事では、「马亚西转向"亲日"?马哈蔕尔给安部带来一个坏消息」との見出し(マレーシアは親日に転向したのか?一つの悪いニュースだ)と報道している。

 現在の南シナ海を巡る状況に関して、周辺諸国(東南アジア・東アジア)の情況は、①中国支持、②中国の政策に反対、③中立、④態度未発表は次のようになっている。[中国のインターネット記事によると]①はカンボジア・ラオス、②はベトナム・マレーシァ・インドネシア・フィリピン・日本・オーストラリア、③は韓国・モンゴル、④はミャンマーなど。(※カンボジアの現政権は、中国の政策に疑問を掲げる「最大野党」(現在・国民の支持が大きい)を非合法にして、事実上 国政選挙を取りやめさせた非民主な国情だ。)

  現在、中国とオーストラリアの関係は悪化したままだ。中国のインターネット記事では、「アメリカや日本と軌を一にして中国の政策を妨害している」と激しくオーストラリア攻撃をすることも多くなっている。

 「这国突然取消中国订单,中国損失重大?中国霸气:太异想天开了!」(この国は突然に中国との契約を取り消した。中国の損失は重大か?中国は道理のないこの国の横暴に怒る。想像外の展開だ!)―2018・6・12日付の中国インターネット記事(マレーシァ批判)もあった。マレーシァの新首相は、中国の一帯一路政策プロジェクトの「中国が主導・契約して、首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ新幹線計画」を凍結すると発表をしたことに対する批判記事だ。

 フィリピンのドゥテルテ大統領は、「中国と戦争を辞さない」と南シナ海を巡って対中強硬発言をこの頃 連発している。南シナ海の領有権をめぐっては、フィリピンの前政権が国際仲裁裁判所に訴えを起こし、2916年7月に中国の領有権主張を退ける画期的な判決を得た。

 だがドゥテルテ大統領は、投資や貿易、インフラの分野での中国との関係強化を優先し、この問題を棚上げにしてきた。しかし、中国の南シナ海支配が強大になる中、「中国に対して何もしな弱腰な大統領」という国内批判が強まってきている。今回の一連の「対中国発言」はこれを鎮静化させるためのパフォーマンスに過ぎないのだろうが、少なくてもフィリピン国内での世論が見て取れる。

◆このように、南シナ海を巡る中国のここ3〜4年間の強引な政策に対して、一帯一路の暗雲とともに、周辺諸国の国民の中に、「中国との付き合い方」に変化を求める動きが出てきている。

 

 

 

 


中国という国、中国人とは―中国を巡るいくつかの国々との関係を考える❶

2018-06-14 21:42:58 | 滞在記

 中国という国、中国人という民族の処世術や戦略を考える上では、中国の成語「韜光養晦」(とうこうようかい)と「服従背面」(ふくじゅうはいめん)という言葉は一つのキーワードだ。「韜光養晦」とは、強い相手に対しては、自分の力が強くなり相手を上回る実力をつけるまでは、決して相手に自分の実力が強まりっっあることを悟られないように気をつけて事を運ぶことだ。時がきたら容赦なく相手を倒す。そして、「服従背面」は、強い相手に卑屈なくらいにも従順に従いながらも、心は強い相手に対して「ベロ」を出していることだ。中国の人々にとってとても大切な処世の心得だ。

 日本人などと比較すると、この「韜光養晦」と「服従背面」を実に、「恥の意識」というものはあまりもたず、自然に処世術として身を処することができるところが中国という国や中国民族にはある。まあ、中国民族にとっては恥ずべきことでもなんでもなく「あたりまえ」のことなのかもしれない。日本人は、武士道の「潔さ」や「恥を知れ」や「武士の情け」というような倫理観がまだ多少となりとも残っている民族なので、「韜光養晦」や「服従背面」は当然どの社会でもあることはあるが、あからさまに出すことはためらわれる。

 中国という国の、他国に対するさまざまな対外的な動きを考える場合、この2つのキーワードを念頭に置き、考察して事にあたっていく必要があると感じている。「他人は信用しない、信じるのは身内だけ。」という、日本に比べて格段に厳しい歴史の世界で生きてきた中国民族、そしてその民族がつくっている国だからである。また、中国民族の傾向として、「いったん身内的な関係となり信用されると、ここまでしてくれるか」というくらい、親愛的な関係に変化する民族的傾向があることも念頭におくことも大切だ。

 ―最近、中国が「日本批判」を控えてきている背景、中国の思惑とは何だろう―

 中国に『VISA看天下』という週刊誌がある。2週間ごとに発売されているが、なかなか優れた週刊雑誌かと思う。もちろん中国共産党の検閲は必ず受けて発刊されているわけだが。中国に住んで5年間が経つが、時々この週刊誌を買っている。この5年間の間で、この雑誌の表紙に書かれている特集記事で日本のことが特集されたのは2回かと思う。数年前の「特集 釣魚島(※日本名:尖閣諸島)」と、今回(2018年5月18日)の「李克強訪日―"破氷―」という特集である。(破氷―氷を溶かして、氷に閉ざされたていた(日関係を良好にすること)

 なんと表紙には李克強首相と安倍首相の二人が大きく並んだ写真が掲載されている。このように安倍首相が扱われるのは、ちょっとした驚きだった。これまでの数年間の激しい批判の対象としての安倍首相ではないという不思議さ……。中国の思惑は何だろう。ページをめくると、かっての鄧小平氏の訪日に関することや、2007年の胡錦濤前国家主席や温家宝首相の訪日に関する紹介記事。

 パンダ「シャンシャン」外交の記事も。「改変日本社会的第五次"中国熱"」との小見出しで、1972年、そして1978年からの日中国交回復から現在に至る「中日40周年」の歴史なども書かれている。国交回復以来、「日本社会の中国に対する関心の高まりの時期到来は五回目となる」とも述べている。当然、中国政府の許可のもとでのこの記事内容となっているのだが、このような日本に友好的な記事を中国政府が許可し、最近(ここ1〜2年の)「日本に対する態度」を変化させてきているのはなぜだろう。

 「優位の時には相手に尊大に振る舞うが、いざ困ったときや頼み事がある時には、相手に多少下手に出る」のは"世の常"のことだが、これをあからさまにできるのも中国という国の強みだ。激しく過酷な歴史に鍛えられた民族性のなせる業でもある。(もちろんこれは、中国民族の一般的な傾向であり、個人個人にはさまざまな人が存在し上記2つの処世術をあからさまに出さない人も少なからずいることは言うまでもないが。)

―「一帯一路」という中国政府(習政権)の経済的にも軍事的にも重要な政策の行き詰まりに困ってきている中国―

 上記のグラフは「一帯一路政策」の進行状況や資金的な状況のここ数年の変化を示したものだが、これを見ると一時はすごい勢いのあった「一帯一路政策」も行詰まりをしていることがわかる。特に深刻な問題は資金不足である。一帯一路に関する世界各国とのプロジェクトは微増傾向を保つが、それを実行するための資金が調達できない状況が深刻であることが見て取れる。(グラフの青線で表わされる資金が大きく低下している)   経済的に大きな資金をもっている日本の本格的な「一帯一路政策への協力・参加」を切望していることがみえてくる。

 米中関係の対立という大きな問題が横たわる中、日本との対立関係を今は多少和らげておきたいという中国の思惑が見えてくる。そして、この「一帯一路」が本格的に軌道に乗り、日本があまり必要がなくなったりすると中国という国は現金なもので、また日本に対する強硬姿勢に変化する可能性も高いだろう。自民党の政権NO.2か3の二階幹事長はこの「一帯一路」への参加に積極的な姿勢をとっているし、日本の産業界の参加要請もかなり強いものがあるようだが。

 日中関係の好転は私も期待したいが、「中国という国、中国人という民族」の傾向も念頭に置きながらことに対応しなければならない。日本人は「人がよすぎるお人よし」な民族なのかもしれないと思うこともある。このあたりは中国や金正恩の外交術に学ぶべきこともあるような気もするのは皮肉なことだが。(※「一帯一路」参加の条件として、中国に「日中関係」が緊張関係にあるいくつかの問題の改善や、日中関係の基本的な「反日政策」を根本的に中国が改めるなどのことを外交交渉において積極的に展開することが 今 日本の外交戦略として必要だが……。そうたやすくはないだろう。しかし、やる必要がある。米中関係の対立的な構図の中、米中を天秤にかけるような外交戦略も今 日本としては必要だろう。)