彦四郎の中国生活

中国滞在記

日本ではほとんど食べない動物などを売る露店や市場❶—中国福建省福州の路上で、犬・猫・蛇・蛙・亀

2020-02-01 09:52:30 | 滞在記

 福建省の省都・福州市(人口約750万人・面積は大阪府とほぼ同じ)は亜熱帯地方にある。1年の半分(5月上旬―10月下旬)はほぼ真夏日。この半年間は湿気と高温で中国の三大火釜都市の一つだ。あとの二つは、今 「新型コロナウイルス」感染で世界を震撼させている湖北省・武漢、そして四川省の重慶。この二つの大都市は人口は1000万以上の大都市で、揚子江(長江)の中流域にある。

 武漢は中国の臍(へそ)とも呼ばれ、内陸部の政治・経済・流通の中心地。揚子江の大河にさまざまな河川が流れ込むところにある。周辺の山地や山岳地域からさまざまな野生動物が運ばれ、庶民に食されているようだ。その野生動物を112種類も売買(生きたままのものなども多い)されていたのが、今回のコロナ肺炎で問題となった「武漢華南海鮮批発市場」なのだろう。

 「食は広州にあり」とも言われるが、広州は中国南部の広東省の省都、広東料理でも有名だ。この広東料理ではさまざまな野生動物が処理されて料理として食されることでも有名だ。中国では、あらゆる動植物が食べられることをさして「飛行機以外の飛ぶ物は食される、机以外の4つ足の物は食される、潜水艦以外の水にいる物は食される」とも言われるが、これは主に広東料理のことを言っている。

 中国・福州に暮らし始めてはや7年近くが経つ。福建省は山間地と森林がとても多い省だ。このためさまざまな野生動物が捕獲され伝統的に食されているところでもある。大きなニシキヘビが捕獲されることもある。昔はこの省は「閩(びん)国」と呼ばれた。「閩(びん)」は門構えの中に虫という文字。閩の虫は蛇をさす。まあ、人口700万以上の大都市なのだが、田舎の風情も多分に色濃く残っているところだ。

 市内には、毎週の土曜日と日曜日に1000余りの露店(露店というより路上店)が開催され、さまざまなもの(骨董・古書・漢方薬・肉・野生動物・野菜・果物・衣服・魚・肉・石工芸品などなど)が売られている。私は、最初の職員アパート(閩江大学の旧キャンパス内にあった)から近かったので、毎週のようにそこに行っていた。そこでは、まず、日本人は絶対食べないものも生きたまま売られている。

 いつも、たくさんの犬や猫が生きたまま売買されている。家のペットとして買う人もまれにはいるようだが、その多くは食材として買う人がほとんどだ。いつもたくさんの人がここに買いに来ている。ゲージ籠(かご)に入れられて売られている犬や猫が多いが、中にはビニールの袋や網に入れられて売られている猫や子犬もある。

 毛虫のような虫がたくさん這っている入れ物。こんなのは日本人は絶対食べないだろうが、けっこう買っている人がいる。どのように食べるのかを聞いてみたことがある。「油で炒めたり、から揚げにしたりするんだよ。滋養強壮にいいんだよ。香ばしいしね」とのこと。

 日本人は鳩(ハト)はほとんど食べない鳥だと思うが、ここではいつも売られている。中国では鳩は食べる鳥なのだ。雀はあまり食べないようなので、飛んでいる雀はよく見かけるが、自然に飛んでいる鳩は見たことがない。蛇を手に持って売り歩いている人の姿が。背負っている円柱状の布カバンの中にはたくさんの蛇が入っている。食材として高く売れるようだ。閩江の川岸で釣り竿を使って蛇を釣り上げていた人を見かけた。2mほどはある長い蛇を2匹釣り上げていた。すごいなあと感嘆した。

 普通の亀を網にたくさん入れて売っている男性。売り言葉のかけ声を出しながら売り歩いている。一匹の大きなスッポン亀を売り歩いている男性の姿も。

 福州市内には閩江(びんこう)という大河が流れている。川幅は広いところで2〜3kmもある。上流に世界遺産の「武夷山系」があり、そのあたりの山々を源流の一つとしている。市内中心部から30kmの河口付近には福州港があり、多くの船舶が停泊している。このあたりの港から尖閣諸島まで漁に行く漁船も多い。2011年に日本の海上保安庁に逮捕され、日本と中国の外交問題に発展、中国国内で「反日の嵐」が吹き荒れた状況となったもとの船長なども、ここから少し南にある漁港から出航した漁船の船長だった。

 福州港(淡水河口の港)付近で、十数人の人たちが漁網を使ってスッポン亀捕りをしていた。スッポンがよく通る水域を知っているようだ。網にかかったスッポン亀の数もけっこうあった。市内ではよくこのスッポンが路上で売られている。日本でも一度だけ食べたことがあるが(京都府南部の木津川で捕れたもの)、日本ではスッポンはなかなか高価で、しかも数が少ないので 日本人はめったに食べられないものだ。滋養強壮にはとてもよいものらしいが。しかし、ここ福州では、安価に しかも多く売られているものをよく見かける。

 路上でおっちゃんが簡易イスに座って、カメや蛙(かえる)を売っていた。蛙は大型スーパーの鮮魚売り場で、常時売られている。まあ、けっこう大きなウシガエルやヒキガエルだ。日本人はまず気持ち悪くて食べないが、中国人はけっこう好んで食べる人も多い榕で、市内でも蛙料理を中心とした店もよく見かける。

 路上に生きた羊が置かれ、そばには羊肉が吊り下げられている。一般に中国での肉(鶏・羊・牛など)は 大きなスーパーでもどこでも、量り売りが主流だ。鶏やアヒルや鴨などは、その場で しめられ(殺処理)、毛をむしり取られて 売られている。魚などもそういう場合が多い。黒い毛をむしり取らずについたまま路上で売っているものも 見かける。何の肉なのだろうか。

 日本人も好む蟹(かに)やアワビ(小さい)はとても安価で売られている。中国の蟹は日本人には「上海ガニ」が有名だが、そのような淡水系の蟹やアワビは 中国では養殖され、市場に出回っている。とても安価で美味しい。

 

 

 


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