彦四郎の中国生活

中国滞在記

衆議院選挙結果を巡って❷貧富の格差是正に最も反対する維新の会の躍進、憲法改正も現実味

2021-11-22 19:12:16 | 滞在記

 3週間前の10月31日に行われた衆議院議員選挙について、その翌日の11月1日、各紙はその結果を報道していた。11月1日付朝日新聞では、「自民過半数を維持 立憲・共闘効果は限定的」「岸田首相続投 維新3倍超す」の見出し記事。2日付では、「野党誤算 振るわぬ共闘」の見出し記事が掲載されていた。

 最終的な選挙結果(投票率55.9%)は、衆議院公示前と比較すると、❶自民党(276➡261)[−15]、❷公明党(29➡31)[+3]、❸維新の会(11➡41)[+30]、❹国民民主党(8➡11)[+3]、❺立憲民主党(109➡96)[−14]、❻日本共産党(12➡10)[−2]、❼れいわ(1➡3)[+2]、❽社会民主党(1➡1)[+−0]、❾N党(1➡0)[−1]、❿その他(12➡10)[−2]となった。特に、維新の会は公示前の4倍近くとなる。また、自民党も公示前の選挙予想(250前後)をはるかに超える議席を確保している。(※衆議院の単独過半数は233議席) 

 政党支持を有権者が示す比例における選挙結果は、❶自民党1991万4883票、❷公明党711万4282票、❸維新の会805万830票、❹国民民主党259万3396票、❺立憲民主党1149万2097票、❻日本共産党416万6076票、などとなった。

 この選挙結果により、改憲に必要な衆議院議員数の3分の2以上(310議席以上)が、❶❷❸❹[自民・公明の与党及び改憲に積極的な政党]の合計獲得議員数345議席によって可能となった。公明党は改憲には慎重な姿勢をもっているが、改憲に最も積極的な維新の会の大躍進により❶❸❹の合計議員数は309となり、310にあと1議席。改憲に賛成の国民民主党とともに維新の会は急先鋒となって、公明党の改憲賛同への行動を迫ることとなった。また、自民党内では改憲に慎重な立場をとる岸田首相にも迫ることとなった。

 11月2日付の朝日新聞には注目すべき記事が掲載されていた。「富裕層の負担増慎重 自民当選者"分配"巡り温度差」という見出し記事だ。この記事によれば、今回の衆議院選挙で当選した全議員に、❶「①所得や資産の多い人への課税を強化すべきだ、②どちらとも言えない、③反対寄りだ」の三択、❷「④企業が納める法人税率を引き上げるべきだ、②どちらとも言えない、③反対寄りだ」の三択で聞き、その結果が報じられていた。

 ❶の「富裕層への課税強化」をみると、①の課税を強化すべきと答えた議員は、自民党43%、公明党44%、立憲民主党90%、国民民主党91%、日本共産党100%、れいわ100%となっている中、なんと維新の会はたったの24%だった。②の「どちらとも言えない」と答えた議員は、どちらかというと反対寄りのニュアンスが強いので、実質は反対よりかと推定される。

 つまり、維新の会は、貧富の格差是正において最も重要な本丸である税制改革による「貧富の格差」是正に対して極端に反対している最先鋒の政党であることが見て取れる。これが国民生活にとって最も重要な政治政策「貧富の是正、より公平な富の分配、働く人の立場を守る」ことに強く反対する維新の会の実際の姿なのだろう。吉村大阪府知事(維新の会副代表)のコロナ対応に関するこの1年間半あまりの過熱したテレビ報道で、「庶民の味方」「庶民の代弁」などの最近のイメージも、この調査結果を見る限り、それは単なる維新の会のコロナ対応を評価するイメージが全体の評価にもつながっているにしかすぎず、「庶民の味方・代弁者」というイメージは、実はそうではないことが歴然とする調査結果だ。

 ❷の「企業への法人税率引き上げ」では、与党の自民党や公明党は、自民党(①は17%、②が51%、③が32%)、公明党(①が6%、②が81%、③が13%)となっていた。政権運営を担い続けている自民・公明は、特に大企業に対する優遇を求める議員が多く、税率改革による貧富格差の是正には反対ということがみえる。

 11月2日付朝日新聞には、「分配格差語られぬビジョン」(経済学者・白井さゆり)、「新自由主義からの転換 首相貫いて」(社会学者・社会運動家・東京大学特任教授・湯浅誠)の見出し記事。11月6日付同新聞には、「遠かった?若者と政治」という見出し記事。記事には、「コロナ貧困対策が切実に」(古井康介・Poteto Media 社長)、「期待しない・現状でいい」(藤田結子・明治大学教授)、「主権者教育と真逆な大人」(安達晴野・高校生)が選挙結果について語っていた。11月7日付同新聞には「ロスジェネ 女性 非正規」という見出し記事。

■「貧富の格差是正、より公平な分配、労働者を守る仕組み」を多くの国民は求めてはいるが、それらがより悪化している現状の中、今回の選挙では、それを根本的・改革的に実現に近づけようとする政党には人々の大きな支持は向かなかった。そして、それに最も反対する維新の会などに支持が流れていったのはなぜなのか?このことの考察はとても重要だ。

 実は今回の衆議院選挙戦において立憲民主党は、この「格差是正」に関して次のような選挙公約を出していた。それは、「分配を最優先に―格差是正し"1億総中流社会"復活へ」というものであった。そして具体的には「▼消費税率 時限的に5%に▼当面 所得税を実質免除(年収1000万円程度)」というもの。これは、1000万円以下の年収の人の所得税実質免除とともに高額所得者や大企業などへの税率を上げるというものとセットとなっている。かりに日本人勤労者の平均年収430万円余りの人は、100万円近くの減税となる。

 しかし、この立憲民主党の公約は、有権者にあまり知られることは少なかった。特に、新聞・テレビ、さらにインターネットでも、このことはほとんど取り上げられなかったように思われる。選挙戦が短期だったということもあるが、今年の11月中までには実施が予定されていた衆議院選挙に向けて、立憲民主党の選挙戦略の稚拙さが露呈したことが大きく影響もしているように思う。

 11月3日付朝日新聞には、「立憲 枝野代表辞任表明」「枝野立憲 迫られた刷新—共闘路線 代表選争点に」の見出し記事。枝野代表の辞任表明に対し、維新の会の松井代表は「責任をとって代表を辞めるというのは気の毒な思いがある。責任をとるような負け方をしたかと言えば、それは違うのではないか。枝野さんが引き続きリーダーとして党を引っ張りたいという思いであれば、再び代表選をやって、立候補すればいい」と、政敵の立憲民主党党首に余裕の同情論を語る。

 今回の選挙結果について、日本共産党の11月14日付「赤旗日曜版」に、「共闘の確かな大局的確信を―比例票でも議席でも、共闘勢力は前回(2017)比増加」の見出し記事を掲載していた。確かに前回は、民主党が分裂し、小池都知事が主導する新政党「希望の党」に民主党議員が大量に参加し、50議席獲得と躍進した選挙だった。立憲民主党は55議席だった。その後、希望の党が分裂し、多くの国会議員が立憲民主党に移籍し、一部議員は国民民主党を結成している。そのような状況の前回選挙結果と今回の選挙結果を比較しているのだが、あまりに大雑把に論じている日本共産党の見解には、ごまかし的な論説との疑問が残る。

 今回の選挙結果における4野党共闘について、11月19日付朝日新聞は、「衆院選でみえた課題 どう生かすか」という見出し記事を掲載していた。この記事は19日告示・30日選挙の立憲民主党の代表選挙に関連してのもの。

 記事は「今回の衆院選で、"野党共闘"は失敗だったのか。立憲民主・共産・社民・れいわ・国民民主の5党は、全国217の選挙区(無所属の4選挙区含む)で候補者を一本化した。しかし、当選者は62人にとどまり、公示前の51人から大きな積み上げはできなかった。ただ、激戦区は2017年衆院選より増えた。217選挙区のうち、与党候補に1万票以内の差で敗れた選挙区は31あり、このうち16が5千票差以内の激戦だった。党幹部は"これらの(31の)選挙区で競り勝てば、自民党を単独過半数割れに追い込むことができた"と語り、一定の共闘効果があったとする。‥‥‥

 小選挙区で与党と戦う構図はつくりながら、接戦で勝ちきれなかった。比例を中心に議席を伸ばすこともできなかった。候補者の多様性や世代交代を進め、党の魅力をどう高めるかが、代表選の焦点になりそうだ。」と報じていた。これはこれで、客観的な事実ではあるだろう。だが、接戦で勝ちきれなかったのはなぜなのかは、それなりの理由があることは考えるべきだ。

 立憲民主党の代表選挙には、泉健太氏・逢坂誠二氏・西村智奈美氏・小川淳也氏の4人が立候補。有力候補の泉氏は今回の野党共闘路線にはやや否定的な見解のようで、特に国民民主との共闘路線又は合併路線志向かと思われる。また、日本共産党との共闘路線には反対の意向が強いようだ。昨日の報道番組のNHK政治討論会では「民主党代表選挙」に立候補している4人が、それぞれの政策について語ることとなった。4人とも、国政、立憲民主党をリードする政治家としては‥‥あまりピンとこなかった。

 この8月には菅内閣の支持率は31%にまで落ち込み、不支持率は61%となっていた。岸田内閣が成立した時点では、内閣支持率は48%、不支持率は40%となる。そして、総選挙を通じて岸田内閣の支持率は上昇し63%の支持率に、不支持率は30%となり、現在に至っている。また、政党支持率では、維新の会は選挙告示前は2.5%だったのが、選挙後は9.8%と上昇し現在に至っている。(自民党35.9%、公明党9.9%、国民民主党1.9%、立憲民主党9.3%、日本共産党3.1%) 

 さっそく、公明党が選挙公約し主導している18歳以下に1人10万円を一律給付するという案に、「所得制限は設けるべき」と維新の会は厳しく批判、困った自公が「年収960万円未満」の所得制限をつけることを決めた。するとさらに、維新の会の吉村氏は「政策の目的が非常に不明瞭だ。年齢で区切る意味も分からない。バナナのたたき売りだ」と自公に追い打ちをかけた。「じゃあ維新の会はどんな政策をもっているの?」と聞きたくなるが、それは吉村氏は語らない。維新の会の基本政治姿勢は、「共助」「公助」社会の実現ではなく、「自助」又は「無助」社会の新自由主義の急先鋒だからだ。国民がこの10万円支給問題で、疑問や不満について感じることには素早く批判の急先鋒姿勢はとる。しかし、格差社会の根本的な解決策は提示しない。

 総選挙後、維新の会と国民民主党は代表者会談で政治的連携をもつこととなった。自民党と公明党は政治的連立関係だが、自民党岸田政権は、維新の会や国民民主党との連携を模索し始めている。

 月刊雑誌『タブー』は、コンビニでも置かれている雑誌だか、11月号は維新の会を特集していた。雑誌の表紙に「維新の会大勝の異常 大阪府民の絶望的な民度」と大きく書かれていた。その雑誌を買って読んでみた。「大阪19選挙区の中、15選挙区で維新当選 あとは公明党4」との結果。この公明党の4選挙区は、維新の会と公明党が選挙協定を結び、維新が立候補者を擁立しなかった選挙区。

 記事は、「大阪で維新が強い理由とは?」との見出しで、テレビ報道の影響力の強さを指摘している。また、大阪における吉本興業タレントの影響力の大きさも。「800人以上のタレントをかかえる吉本興業は、国のお笑い業界を支配する企業というよりも、もはや政治的圧力団体」と指摘。吉本所属のダウンタウンの松本人志氏などと維新の会や自民党との密接な関係なども指摘している。

 また、格差社会を扇動し、新自由主義の旗振り役でもあり続ける竹中平蔵氏と維新の会の子弟関係的(指南役的)な結びつきにも言及。維新の会の参謀トップは実は竹中氏だとしつつ、竹中氏の派遣大会社「パソナ」は、大阪府や大阪市の非正規雇用者の8割ちかくを派遣している実態も明らかにしている。

 特集記事は、15ページにわたり、「吉村頼み&"候補者隠し戦術で総選挙に大勝 日本維新の会の本質」、「庶民の味方の振りをして、実際は既得権益者とズブスブの関係」「維新を牛耳る松井一郎のコネと虚言まみれの政治人生―人気者・吉村知事を影で操る」などの見出し記事が掲載されていた。記事内容はちょっと過激すぎる眉唾(まゆつば)ものの内容もあるが、おおむね、正鵠を得ている内容ではあるかと思う。(※「正鵠[せいこく]を得る(射る)‥‥物事の急所や要点を正しく押さえていること)

 今週号の週刊誌『週刊ポスト』にも維新の会躍進関連の特集記事が組まれていた。記事の見出しは「岸田官邸がビビッて震える―吉村維新の殴り込み—2025年"大阪万博"を吉村総理で迎えるか」。この特集記事には、日本維新の会が大躍進したその背景がかなりわかりやすく指摘してもいた。

 その指摘とは、特にこのコロナ禍下でのテレビ報道での吉村大阪府知事の、「大阪モデル」などを次々と提案し、テレビ出ずっぱりのインパクトの大きさ。コロナ対策で目の下に隈(くま)を作った吉村知事の体調を気遣い、ツィッターでは「#吉村寝ろ」がトレンド1位になったこともあった。昨年の世論調査では、「新型コロナ対策で評価する政治家」の1位にもなっている。「イソジンがコロナに効く」などの眉唾政策の失敗など、政策の失敗も多々あったが、「吉村はん、ようやってはるで」と支持が下がらなかったばかりか、今回の総選挙の立役者ともなったとの指摘だ。

 特に関西はテレビのローカル番組が多く、お昼や夕方の情報番組やニュースに吉村知事の報道がこの1年半余り途絶えることはなかった。この吉村知事のコロナ対応報道から、関西の人たちの維新の会に対する空気が変わり、年配層の女性などがアイドル的に熱心に応援するように変化していったと指摘する。

「吉村さんも、ものははっきり言うが、橋下さんや松井さんみたいな"こわそう"感はなく、どこかかわいげがある。そして、コロナでがんばってはるように見えます。大阪のご婦人たちは、彼を自分の息子のように感じていたんじゃないかと思う。少なからぬ失敗があっても、自分の息子だから悪意のない失敗なら許し、支えようとするわけです」と野党系無所属の大阪堺市市議の渕上氏はそう話すとの記事内容も。

 今回の衆院選で維新候補に敗れた立憲民主党の辻元清美氏は、「吉村知事や松井市長は、とにかく"見せ方"を意識しての動きがすごかった」とし、「橋下さんの場合は人気があるが、アンチもおおかったのでは、好き嫌いがあるんですが、吉村さんの場合は嫌いという人が少ない。言っていることは橋下さんと吉村さんも同じでも、受けとめられ方が随分ちがうように感じます」との弁。

 庶民層の不満を代弁するかのように、特定の相手に論戦を挑んでねじ伏せる"喧嘩上等"の橋下氏・松井氏が率いてきた維新は、"やってみせる政治家"吉村氏の存在感が大きくなる中で、大阪府民だけでなく、関西を中心に全国的にかなりの支持を獲得したと記事は指摘する。また、今回の衆院選での大阪・関西現象での維新にとっての勝負は、来年の参議院選挙としつつ、「憲法改正論議で自民党を左右分裂状況に追い込み、この参院選で自民党が大きく議席を減らし、維新が野党第一党へと躍進した時、自民党の改憲勢力と組むことで政権のチャンスが回って来るからだ」と記事は語り、「2025年の大阪万博が開催される時、日本に吉村総理が生まれているかもしれない」と指摘する。

 同じ関西でも、大阪府と隣接する京都府の衆院選における府民の選択はかなり違ってはいる。日本共産党系の地方紙「京都民報」の11月21日付の一面には、「自民府連会長"野党共闘に負けた"―京の自民に衝撃、当選6➡3に半減」の見出し記事。京都府には6つの選挙区がある。選挙結果としては、この6つの選挙区で、自民2人、立憲2人、国民1人、無所属(立憲や国民に近い)1人が当選した。比例復活では、共産1人、維新1人、自民1人が当選した。つまり、自民は公示前の6人から3人に半減している。

 これは、「野党共闘」がかなりの効果があったことを示す。維新の会は2つの選挙区で候補者を立てたが、小選挙区での当選者はなかった。しかし、かなりの票数を獲得し、比例復活につながっている。京都府での国会議員を維新が獲得するのは初めてだ。ここにもやはり吉村効果の大きさが及んできていることを示している。だが、この1年間半、連日、テレビで京都府民も吉村知事を見ているにもかかわらず、大阪府民と京都府民の民度は大きな違いがあることも示している。

 ちなみに、日本維新の会が今回の総選挙では告示前の11議席から41議席へとほぼ4倍近くの議席を獲得したわけだが、そのうちの25議席(62%)は関西(近畿地方)で獲得した議席だ。小選挙区では、大阪府(19選挙区)が15議席・兵庫県(12選挙区)で1議席を獲得。比例復活では、兵庫県で7議席、京都府(6選挙区)で1議席、奈良県(3選挙区)で1議席を獲得している。ほぼ、大阪府と兵庫県(最近になり知事も維新がとっている)での獲得だ。また、滋賀県(4選挙区)・和歌山県(3選挙区)・三重県(4選挙区)では維新の会は比例復活はいずれも0。あとの16議席(38%)は、東京・名古屋・福岡などの大都市圏を中心とした比例復活となっている。

 今回の衆院選での選挙結果をどうみるか?特に日本維新の会の躍進をどうみるか?一昨日に京都市内の丸善書店に行ってみたら、ベストセラー紹介コーナーには、奇しくも、新書本第1位に『戦後民主主義に僕から1票―民主主義はなぜここまで劣化したのか/この国に絶望しないための21の論考』(内田樹著)が置かれていた。

■大阪と京都は文化風土も人間もかなり違うなあと常々感じてもいる。2020年1月に大学の冬休みで、中国から日本に一時帰国して以来、日本に滞在しながらオンライン授業を続けてもうすぐ2年近くになる。この間、大阪には一度も行ったことがなかった。私が暮らす町は、京阪電鉄の最寄り駅から40分間ほどで大阪市中心の地区に着くにも関わらずである。ほとんどはこの最寄り駅から中心部まで30分間ほどの京都市内に行く。

 なぜなのか?それは京都の街は、街中を鴨川の清流が流れ、それなりの落ち着きがありホットする街だからだ。一方の大阪はなぜか落ち着かず、同じ街中の喧騒があっても疲れる都市だから、よほどの用事がない限り行くことはない。しかし、中国人の観光客たちには、大阪はとても人気度が高い。中国の都市の多くは、喧騒があふれ、落ち着きがとてもない文化風土。そんなところが大阪とは共通していて、中国人は心が落ち着くのだろう‥。こんな風土文化などの違いも、政治風土の違いともなってきているようだ。

■昔、大阪も人情のあふれる街並みの光景が多くあった。商売と人情の街というイメージだったが、今はかなりその光景も変わってきている。特に、800人を超えるタレントを擁する吉本興業が、この街の支配者のもう一つの顔だ。「おもろてなんぼ」という文化風潮の街へと変貌していった。吉本興業所属の芸人やタレントには、「この人の人間味はとてもいいなあ」という人もけっこう頭に浮かぶが、総じて日本のテレビ界に現在出ている若手タレント・芸人?は「薄っぺらな」芸?で闊歩している。まあ、日本人の劣化現象に大きな影響を与え続けているのが吉本興業。

 日本の民放テレビ局への圧力でテレビ界に絶大な影響力もある吉本興業。自民・維新・吉本興業・竹中パソナの連携的つながりは、特に安倍首相の時代から生まれてきていると言われている。最近では、関西テレビ(KTV)[フジテレビ系列]の朝の報道番組(メインキャスターは谷原章介)の、メインキャスターとして橋下徹氏がほぼ連日のように出演している。この橋下氏や大阪府吉村知事を影で上手操る人が松井一郎(大阪市長・日本維新の会代表)だ。

 3年ほど前に、私はブログで「維新と吉本が日本をダメにする」をテーマに書いたことがあった。そして、現在、そのことが現実になりつつあるのかもしれない。私は、自民党や維新の会の政策でもある、「憲法改正」や「外交政策」に対して、共感するところもある。中国という国の最近の動向を目にする限り、「平和がいいから」という単なる憲法擁護などの単純思考には疑問も感じている。

 政治は「国民の生活(経済)」と「外交関係」の二つが二大要件だ。だが、日本維新の会は、国民生活における格差是正や富の分配では、最も反対している新自由主義の筋金入りの党であることを、大阪府民や兵庫県民をはじめとする、日本国民は知っておくことはとても重要だ。だが、テレビ界は、吉本興業の支配もすすみ、なかなかその日本維新の会の本質を国民に知らせない。そして、マスメディアの少なからずがこれに追随する。

 再生されるべき立憲民主党や日本共産党などの野党勢力は、これらの対策をどうとるかも問われている。

■今日11月22日付の朝日新聞には「連合よ いまこそ労働者を見よ—政府との過度な協調を見直し、賃上げの主体に」という見出し記事が掲載されていた。記事は日本女子大学名誉教授の高木郁朗氏へのインタビュー記事。

 1990年代に入ってからの30年間、ほとんど賃上げのない状況が続く日本社会だが、その原因の大きな一つは、日本の労働組合組織「連合」の、労働者を見ず、あまりにも政府との協調・企業との協調路線にあるとする。日本の労働組合の組織率は、1947年には56%あったが、1960年代・70年代には30%台となる。特に80年代からは組織率の下降の一途をたどり、2019年には17%にまで下がってきている。2020年には少し上がり18%。

 現在の日本の労働組合のセンターでは、「連合」には700万人が加盟し、「全労連」には75万人、「全労協」には10万人が加盟している。日本では最大の組合組織の「連合」は、"赤い貴族"とも呼ばれ、労使協調路線をとる。最近、神津会長から芳野友子会長へとトップは交代した。しかし、この芳野氏のこの間の言動をみる限り、「労働者」を見ず、神津氏以上に政府協調・労使協調路線の人のようだ。立憲民主党には、「日本共産党などとの野党共闘は言語道断」と言い切る人物だった。

 

 

 

 

 


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