彦四郎の中国生活

中国滞在記

年末の1週間、アパートで学生たちと「火鍋」を囲む—辛いが癖になる「火鍋」、私の舌も—

2019-01-01 08:54:13 | 滞在記

 12月も年末となった12月20日ころから、気温がぐっと下がってきている。最低気温が6度〜7度という日も多くなった亜熱帯地方の中国・福建省福州。亜熱帯地方なので、寒さを防ぐ暖房器具や設備は販売又は設置されておらず、下はパッチを履き、背中にホカホカカイロを貼り、厚着をして寒さをしのぐ日々。アパートの窓ごしに見える低い山は、この12月の年末になって ようやく少しだけ紅葉する木が見られ始めた。

 ここ福建省では、樹木のほぼ90%以上が常緑樹。日本の温帯地方では、11上旬から11月下旬の1か月間で、赤や黄色や橙色などに紅葉するが、亜熱帯地方の福建省での樹木の紅葉時期はさまざまだ。11月中旬から12月下旬の2カ月間の間で、紅葉する種類が多い。春先や夏先に突然に紅葉する樹木の種類もある。この12月、夏の花ブーゲンビリヤはまだ花を咲かせている。日本のように樹木による季節感を感じにくい福建省だが、今、寒さだけは、季節感を体感する。

 けっこうな寒さの時期となり、鍋が恋しい季節となった12月22日(土)午後4時ごろ、閩江大学日本語学科3回生の学生たち5人がアパートにやって来たので、久しぶりに鍋パーティとなった。寒さの中の熱くて辛い鍋は体を温めてくれるので、お酒もすすむ。

 12月26日(水)、今年の6月に閩江大学を卒業した馮(ひょう)さんと、福州市内にある日本料理店「古都」で夕方に待ち合わせをして、久しぶりに会食をした。彼女は日本語学科ではなく他の学部だったが、私が担当する授業にも時々出席していた学生だった。3回生の時に1年間、協定関係のある台湾文化大学に交換留学を経験している。台湾社会と中国社会との 生活・政治・経済・文化などのさまざまな違いを痛感したようで、2019年の4月からは日本の東京にある赤門会(日本語学校)に行き、日本の筑波大学や横浜国立大学などの大学院進学を目指すという。(※彼女はすでに日本語検定1級に合格していて、日本語会話もけっこう流暢で、半年前より上達していた。)

 大学院で専攻したいのは「日中教育比較」だという。なぜ、それを専攻したいのかというと、「中国の教育のさまざまな問題点を痛感している」からだという。ちなみに彼女は、「日本発祥の剣道」の愛好家だ。彼女の父は福州にある教員養成系大学の教員なのだが、将来的には中国の大学教員を目指すという。彼女の親友(閩江大学卒業・日本語学科ではないが、時々、私の授業の聴講に来ていた学生)は、今すでに、2018年4月から東京の「上智大学の大学院」に進んでいる。

 12月27日(木)、2018年の9月下旬に京都・「立命館大学大学院言語教育情報研究科」を卒業した李君が福州にやってきた。彼は就職活動を日本や中国で行い、日本の大手企業の数社に内定をもらった。「トヨタ自動車」「ホンダ自動車」「パナソニック(松下)」「電通」などである。いずれも勤務地は、北京や上海や浙江省の杭州などだ。迷った末、それらの大手企業への就職を断り、創業してまだ新しいベンチャーの日系企業(IT+文化交流事業)を選び、現在はすでに上海支社で仕事をしている。2019年3月からは東京本社で勤務予定となるようだ。

 彼と「日中関係、政治経済、日中生活文化、慣習、日本人と中国人」などを話題として、この日の夕方から、アパートに近い「学生街」の一角にある日本風居酒屋「上野一番」で酒を飲みながら2時間ばかり話をする。京都大好きの彼だが、中国の現状を見る目も、2年間の日本への留学体験が大きな影響をしたことがうかがえる。

 翌日の28日(金)、閩江大学の日本語学科の中国人教員の依頼で、日本語学科3回生約50人を対象にして、「日本への留学、日系企業への就職」などに関する経験を後輩たちに語る(特別講座)ために、久しぶりに母校の大学に行くようだ。

  12月28日(金)の午後3時頃、今度は 日本語学科2回生の学生たち20人あまりがアパートにやってきた。広くないアパートなので、20人が入るといっぱいになる。座るための椅子も全然足りないので、半立食「火鍋」パーティとなる。

 大学での講座を終えた李君も午後5時頃にアパートにやってきて鍋パーティに参加。3回生を対象にした講座内容を2回生たちにも伝えていた。李君や学生たちは、後始末をして午後7時ごろに帰って行った。

 12月30日(日)、4回生の王君と陳さんが午後4時半ころアパートにやってきた。さっそく、近くのスーパーに行き、火鍋の食材を買いに行ってもらう。辛子とうま味の効いた真っ赤な「鍋スープ」。2時間あまり、食べて飲んで、さまざまなことを話す。

 陳さんは3回生の時に1年間、広島大学に留学していたが、現在は、広島大学大学院に進学するために試験をすでに受け、1次試験は合格し、2次試験の結果待ち(1月末合否発表)。専攻は「政治経済及びエネルギー政策」を希望している。一方の王君は、中国・上海にある大学の大学院第一次試験を1週間前に受験したばかりだった。

◆12月22日~30日までの年末の1週間、学生たちと中国式「火鍋」をよく食べた。中国生活も6年目に入ると、とても辛い火鍋なども美味しいと感じる舌になってきているようだ。中国人の舌や味覚は、「辛いものの上に甘いや酸っぱいがある」と言われる。つまり、「辛いという感じを舌がもちながら、そのことをベースにして甘い・酸っぱいなどの五感を感じる」中でこそ、「美味しい」と感じるということなのだが‥。

 私の舌や味覚感覚も、やや 中国人の舌になってきている可能性がある。ちょっと辛くないと、お菓子でも料理でも、少し物足りない感じが最近しているからだ。

◆12月末からの年末・年始は、大学からバスを乗り継ぎ1時間半あまりかかるアパートにポツンと一人暮らしている身には、日本のことを思い とても孤独とさみしさを しみじみ感じる日々となる。特に12月31日と1月1日は、毎年とても寂しい。年末にたくさんの学生たちなどがアパートに来てくれたりと、そのさみしさが しばし薄らいだ 年末となった。しかし、それは 所詮 学生たちなのである。私と年齢の近い友人たちや家族や親せきの人たちの中で感じるやすらぎとは まったくの別物なのである。

 

 

 

 


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