彦四郎の中国生活

中国滞在記

香港行政長官・林鄭月娥「恥知らずで卑劣だ」と米制裁を批判―いったいどっちの話?ブーメランの世界?―

2020-08-13 07:29:26 | 滞在記

 香港国家安全維持法の施行から1か月あまりの7月下旬から8月上旬の香港や中国と世界。香港で起こっていることは、ずっと注目し続けることがこの世界にとっても大切だが、最近の朝・昼の日本のワイドショー報道番組でもほとんど少なくなってきているが‥。

 7月29日の朝日新聞に「香港大学副教授解雇」の見出し記事。香港で2014年に行われた大規模な民主化デモ「雨傘運動」の主導者の一人で、その後も一貫して民主化運動に携わってきた香港大学法学部副教授(准教授)の戴耀廷氏(56)。28日に、同大から解雇された。戴氏は解雇を受け、大学側が中国政府からの政治的圧力に屈したものだと非難。フェイスブックに「香港での学問の自由は終わった」と書き込んだ。香港にあ中国政府の出先機関は、戴氏の解雇について「悪を罰し、美徳をたたえるものだ」と歓迎の表明をした。

 「香港民主派 窮地に―国安法1か月 12人の出馬禁止、黄之鋒氏ら民主派12候補の香港立法会選挙への立候補認めず」の朝日新聞の見出し記事が7月下旬に。また、7月29日、「学生動源」の元代表・鍾輸林氏(19)ら男女4人を「国安法」違反の罪で逮捕した。デモ以外での国安法違反の逮捕は初めてのことだった。

 7月31日、中国国営テレビの中央電視台(CCTV)は、香港国家安全維持法(国安法)に違反したとして、香港当局が民主化活動家6人(「国安法」施行の7月1日の直後にイギリスに亡命した著名な民主活動家の羅冠聡氏や、中国で拷問を受けたとして英国への亡命が認められた在香港英国領事館の元職員、サイモン・チェン氏など)の逮捕状をとったと報じた。8月1日の朝日新聞には「海外の民主活動家 香港警察指名手配 米国籍含む6人」との見出し記事が掲載された。

   CCTVの報道によると、国安法が犯罪行為と定める4種類のうち、「外国勢力との結託」に該当するとしている。6人のうちの一人で、米国で民主派団体・香港民主委員会を運営する米国市民(30年前に渡米し米国市民権を獲得)の朱牧民氏は、「国安法」違反容疑で自身が指名手配されていることを米国国内で31日に知った。朱氏は「中国国籍でない私が標的にされるのは私が初めてかもしれないが、これが最後になることはないだろう。私が標的にされるなら、香港のために声をあげるいかなる米国人も、日本・台湾・イギリスなどのいかなる国籍の人も、同じ目に遭う可能性があり、実際そうなるだろう」と述べていた。

 朱氏など6人への「国安法」適用について、米国国務長官ポンペオ氏は「中国による不当な措置だと非難、中国の独裁から市民を守り続ける」との声明を出した。

 8月に入り香港行政長官の林鄭月娥氏は、9月に予定されていた香港立法会選挙を1年間延期すると発表、昨日の8月12日には中国全人代の委員会で了承された。7月に行われた「民主派の予備選挙」に61万人もの香港市民が参加したことへの警戒など、1年間の期間を経る中で民主派への香港市民支持の勢いを削ぎ支持を抑える目的があるようだと日本のテレビでは報道されていた。このことについて、朝日新聞には「選挙1年延期 背景に中国の意向―香港政局 立法会選挙で民主派12人の立候補取り消し、感染拡大理由に選挙1年間延期」の見出し記事が掲載されていた。

 昨年6月に香港政府の「逃亡犯条例」改正案に反対し、警察本部包囲デモに参加したとして、無許可集会参加などの罪に問われた民主活動家・周庭氏の公判が8月5日、香港の裁判所で開かれ、有罪が言い渡された。量刑は12月1日以降に言い渡されることとなった。周氏は裁判終了後、「(量刑で)収監されるかことについてどうなるかはわからない。香港国家安全維持法による恐怖感はとんでもなくあるがこれに負けず、自分の信じている信念に基づき香港の自由と民主主義のために闘っていく」と語った。

 8月6日、香港警察は、今年6月の天🔴門事件追悼集会に参加した民主活動家の黄之鋒氏や胡志偉氏ら少なくとも24人に対し、不許可の集会に参加した罪で起訴すると通知した。今年の追悼集会は防疫を理由に初めて禁止されたが、数千人が参加した。

 これらの中国と香港政府の一連の動きに対し、8月7日、米国政府は「香港の自治を侵害し、表現の自由を制限した」として、香港の林鄭月娥行政長官や香港の中国出先機関のトップら11人を制裁対象に指定した。制裁内容は在米資産が凍結され、米国人との取り引きが禁止される。また今後の追加制裁も辞さないと表明した。

 これに対して林鄭月娥氏は「恥知らずで卑劣だ」と8月8日に非難の声明を出した。「恥知らず?」「卑劣?」。よくもぬけぬけと🔴🔴🔴ものだと思う。こりゃ「ブーメラン返🔴」がくる非難声明かとも思う。林鄭月娥氏も1年前にはまだ恥や民主の感覚が残っているのを感じたが、この1年間でとことんまで中国政府に民主への恥感覚の残滓をしゃぶられたのかな‥‥‥?。

 8月10日、中国の趙立堅報道官は「米国の上院議員らを含む11人に、香港問題でひどい振る舞いをした」として、米国が11人に科したことと同じ内容の制裁を科すと発表した。

  香港情勢の深刻さを受けて、8月8日ころ、インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」で、「マル激トーク・デマインド第1009回 世界は香港を見殺しにするのか」が放送されていた。出演者は、福島香織(ジャーナリスト)、神保哲生(ビデオニュース・ドットコム代表、ジャーナリスト)、宮台真司(首都大学東京教授)。

 討論用のパネルには「①香港国家安全維持法の概要図示、②なぜ今 国安法なのか―1・香港デモの決着 2・新型コロナの責任回避 3・米中貿易交渉の挫折」が使われていた。