彦四郎の中国生活

中国滞在記

特別講座❹―新海誠作品の影響を受けた日本・中国の若手監督『詩季織々』が今夏公開

2018-07-11 17:39:50 | 滞在記

 特別講座「日本映画名作で綴る日本の社会、歴史・文化」の講座第二回目。この回は新海誠の作品について説明をしたり、アニメ映画『秒速5センチメートル』を全編鑑賞してもらう講座内容だった。新海誠は、昨年に『君の名は。』を公開し、日本でも中国でも、世界的に大ヒットとなった。私は彼の作品の中では、『秒速5センチメートル』と『言の葉の庭』(ことのはのにわ)が最も優れていると思っている。日本のアニメーションは、手塚治作品『鉄腕アトム』などから始まって、さまざまな作家の作品を生んだ。そして、大人も楽しめる宮崎駿の作品群へと到達した。

 新海誠も当初は宮崎駿の作品の影響を強く受けた作品を発表していたが、その後、宮崎駿作品の影響を抜け出して、彼独自の作品を発表し始めている。宮崎駿の作品を「和洋(欧)折衷」の世界・画像としたら、新海誠独自の上記の作品は「和」の世界・画像である。それは、「光と影」のコントラストを和的に又はアジア的に表現していると思う。宮崎駿の作品群は「光」的な世界・画像であると思う。どちらの優劣は比較できるものではないが、新海誠の作品は、日本やアジア的だ。

 『詩季織々』(しきおりおり)という、日本と中国の若手監督たちが製作したアニメ映画が、今年の夏に日本と中国で公開されるということを「特別講座」の2回目では学生たちに紹介した。日本人監督1人と中国人監督2人の3作品がセットになっている(3話)作品である。彼ら3人ともに、新海誠作品の影響を強くもっている若手監督たちのようだ。その3つ(中国の3都市を舞台にした)を紹介したい。今夏、私も機会があればぜひ見たいと思っている。

①『上海恋』監督:李(リ・ハオリン)  ※中国「上海」が舞台

②『小さなファッションショー』監督:竹内良貴 ※中国「広州」が舞台

③『陽だまりの朝食』監督:易小星(イ・シャオシン)

 「中国の3都市を舞台に、大人になった若者たちの、失いたくない大切な思い出を胸に 過去と今を紡いだ 珠玉の青春アンソロジー」の3作品で構成されている『詩季織々』。この作品は、とりわけ激しく変わりゆく中国社会で生きる今の若者たちにとっては特に、また日本社会でも感動を広げて共感できる映画なのかもしれないかなと思っている。

◆2018年夏公開。公開劇場は、「テアトル新宿」「シネ・リーブル池袋」「他」で公開となっていた。(制作:「フィルム・パートナーズ」)

 

 

 

 

 


特別講座「日本映画名作で綴る日本の社会、歴史・文化」❸―講座への学生の感想より②

2018-07-11 16:06:55 | 滞在記

🔴楊卓異―いろいろな映画を見ました。聞き取れなかったセリフがたくさんありますが、画面を通して分かったこともたくさんあります。日本の映画に興味がわいてきました。これからは日本の映画を見に行って、日本の文化を勉強したいです。

🔴周珂―一番分かりやすいのは『ハナミズキ』だと思います。私が一番好きなのは『ALWAYS三丁目の夕日』。画面も大好きです。先生がいろいろすばらしい映画を選んで見せてくれて本当にありがとうございます。そして、古代の『源氏物語』の言葉が聞き取ることが難しいが、映画の前にいろいろPPで説明してくれたので、言葉はあまりわからなかったが、楽しむことができのした。先生のおかげで、この授業のおかげで、日本の映画の美しさを初めて実感しました。これからも、このような授業があったら、またしてほしいです。

🔴柯晗英―先生の特別講座に参加して、たくさんの映画を見て、楽しいです。一番好きな映画は中国の映画『我的父親母親』です。他の映画も面白いですが、字幕がないので、ちょっとわかりにくかったです。でも、教室で日本語の映画を見るのは字幕がなくても貴重な経験です。

🔴譚佳卉―映画は全部面白かったです。一番印象に残ったのは『火垂るの墓』です。戦争の残酷を知りました。今の平和な生活を大事にしていきたいと思いました。

🔴白雪―この8回の授業はときどき事情で来れないことはあるけど、先生はずっとやさしく私たちを いろいろな日本文化についての映画を紹介してくれて 本当にありがとうございました。その中でも普段は絶対見ない分野『怪談』とかを見て、ためになります。

🔴楊宝平―本当に感動した。いい映画ばかりだった。時に思うけど、主人公たちは果てのないようなストーリーの中で、生き続けていて、生活に追い詰められて、苦しみに耐えていて、行けども行けども変わらぬ景色ばかりの歩み道の先を探しつつ、終る頃になると、本当は何も変わらなかったと振り返るんです。なんか無駄なことをしたような感じもした。それでも、思うままに生きているだけで幸せなのだ。少なくとも生きているんだ。

 いい映画を見せてくださって、共に楽しかったひと時を過ごすことができて、ありがとうございました。

🔴林剣飛―最近、先生の映画鑑賞の講座でいろいろ勉強しました。特に『火垂るの墓』と『初恋の来た道』は印象深いです。『火垂るの墓』は、戦争の怖ろしさを描いて、この映画を通じて、日中双方の平和の大切さを感じました。『初恋の来た道』も面白くて、物語は複雑ではなくて感動しました。

 


特別講座「日本映画名作で綴る日本の社会、歴史・文化」❷―講座への学生の感想より①

2018-07-11 14:49:21 | 滞在記

◆学生たちの講座の感想を何人か紹介します。感想文は「原文ママ」です。

🔴鍾欣雨―この八回の講座を通じて、いろいろな勉強になった。先生が選んだ映画はとてもおもしろくて意義がある。映画を見た間に、感動の場面もあって、笑いたい瞬間もあった。この中で、一番印象強いのは『火垂るの墓』だ。この映画を見た後に、戦争に対しての理解は深くなった。二戦での日本人の被害のようすを知ったからだ。

🔴江芬芳―先学期から、ずっと先生の「特別講座」が期待していました。いろいろな日本映画を見たら、分からないところもいっぱいあるし、やっぱり日本語会話を勉強することの大切さも感じた。ドラマはあまり好きではないですが、日本の映画もきびしい事を反映するのも少なくないですが、こんな現実を直面して、もっと多くのことを勉強する方が、いいと思います。いろいろお世話になっております。ありがとうございました。

🔴蘆双月―特別な授業を通して、日本文化についてのいくつかの点が知っています。でも、私にとってはやはりアニメが面白い。好きだから。映画を見て、やはりアニメは魅力があると思います。この間、先生もご苦労しました。本当にありがとうございます。『火垂るの墓』のようなアニメが辛くて、親戚という人間関係もまあまあと思います。新海誠の作品はいいですね。

🔴薛昊林―今日までの特別講座で、いろいろな映画を鑑賞することができて大変勉強になりました。その中で私が一番好きなのは『天空の城ラピュタ』です。日本のアニメの魅力が感じられる作品だからです。この講座を持ってきてくださる寺坂先生に感謝します。

🔴涂寧―8回の講座でいろいろな映画を観せていただいて、そのほとんどは初めて観たのですが、その中で一番記憶に残ったのは『火垂るの墓』と『初恋のきた道』です。題材がまったく異なった映画だが、『火垂るの墓』は観たのは2回目ですけど、また泣いちゃいました。章子怡が出演した映画で純朴で愛を求める未熟な少女を見られて、やはりこの年になった自分はなんだか感動しました。中国にこんな名画があるとは知りませんでした。最後にこの間ありがとうございました。

🔴陳晶晶―今回の特別講座を通じて、色々なジャンルの映画を見ました。それに、日本文化にも、増して興味が深めました。一番深い映画といえば、きっと『初恋のきた道』だ。私の心を打って、非常に感動する。日本映画には、字幕があれば、たとえ聞き取れなくても、せめて字幕を読めます。字幕がなくて、言葉の意味がわからないことも多かったです。

🔴王文重―日本文化や日本人の考え方などについて、映画を見て理解することも多かったです。とても楽しい講座だと思います。いろいろ勉強になりました。

 


特別講座「日本映画名作で綴る日本の社会、歴史・文化」❶―全8回の3回生への講座

2018-07-11 13:32:37 | 滞在記

◆大学の要請で、閩江大学の後期(2学期)授業の一環として、日本人教員はそれぞれが「特別講座」をすることとなった。2月の冬休み期間に日本に帰国している際に、「どんな講座をしようかな?」と考え続け、「日本映画名作で綴る日本の社会、歴史・文化」というテーマで特別講座を実施することとした。講座開始日は3月27日、毎週火曜日午後、5・6時間目(全100分間—休み時間含む)に講座を行った。

 全講座終了後の期末試験は実施せず、成績も付けないので、実質的に「自由参加」という形式の「特別講座」だった。日本語学科3回生を対象とした講座だった。(3回生は2クラス、合計36人)  参加者は多い時で25人〜27人程度、少ない時で15人〜17人程度だった。ほとんどの回に参加していた熱心な学生は10名程度だった。

 毎回100分ほどの講座時間のうち、15分間程度は、その回のテーマについてPPを使って説明、その後、映画を学生たちに鑑賞してもらった。(※映画によっては全編を見る時間はないので、鑑賞するシーンを事前に調べておいて、鑑賞してもらった。)

 特別講座で行ったシラバス(授業・講座計画)は次の通りだった。

❶3月27日(火)―◆「中国における日本アニメの歴史を振り返る①」宮崎駿『天空の城ラピュタ』と高畑勲『火垂るの墓』

❷4月3日(火)―◆「中国における日本アニメの歴史を振り返る②」新海誠『秒速5センチメートル』

❸4月10日(火)―◆「日本の文芸より①」川端康成『伊豆の踊子』

❹4月17日(火)―◆「日本の文芸より②」小泉八雲『怪談』、東野圭吾『さまよう刃』

❺4月24日(火)―◆「日本の文芸より③」紫式部『源氏物語』、太宰治『人間失格』

❻5月15日(火)―◆「日本を代表する映画監督・黒澤明作品、中国を代表する映画監督・張謀芸作品」

 黒澤明『七人の侍』、張謀芸『初恋のきた道』(※中国での映画名『我的父親母親』)

❼5月22日(火)―◆「日本という国、日本人理解のために①」山田洋次『男はつらいよ』

❽5月29日(火)―◆「日本という国、日本人理解のために②」―『ALWAYS―三丁目の夕日』、『ハナミズキ』