MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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新しい通訳入門用テキスト 柳父章の新刊

2004年11月25日 | 通訳研究
水野真木子・鍵村和子(2005)『Let's Interpret 通訳実践トレーニング』(大阪教育図書)の見本を頂いた。このテキストは以前よりも内容が少し高度になっていて、英日・日英の逐次通訳の導入によりふさわしいものになっている。(秋葉広島市長のスピーチもある。)テープあるいはCDも利用可能とのこと。学部レベルから使えると思います。(発行日が2005年4月1日になっているのはなぜでしょうか。)たぶん書店には出回らないので、大阪教育図書のHPで直接注文して下さい。ただしまだHPにはアップされていないようです。

柳父章(2004)『近代日本語の思想:翻訳文体成立事情』(法政大学出版局)が出た。法大出版局から出ていた柳父の本は長らく絶版になっていたものが多いが、最近ほとんど復刊されている。ただしこの本は新刊。一部、既刊書を流用した部分もあるが、基本的には最近の論考を集めている。係助詞「は」についても書いていて、三上章の説を援用している。ここで疑問に思ったのは、三上章とプラーグ学派はどういう関係だったのかということだ。どうも三上説の先行、あるいは並行ということだったらしいのだが、三上はプラーグ学派とはまったく独立に「題目」などの概念を構想したのか。三上の本にはTopicやThemeという英語が出てくるのだが、出典がわからないのだ。ところで柳父の記述はプラーグ学派には触れておらず、オリジナルの理論構成になっている。つまりTranslation Studiesとは直接的な接点はないということだ。しかしこのあたりは我々がやるべきことだろう。

最近マンガ研究の方で、スクリーントーンがいつ頃から使われ始めたのかが話題になっているが、たまたま見つけた「カバヤ・マンガブック」に、どうもそれらしいものが見えるのである。写研の正式のトーンではなく何か代用したのかもしれない。ちなみに岡山県立図書館の「デジタル岡山大百科」のところでかなりの数の「カバヤ文庫」と「マンガブック」を閲覧できる。(直接リンクできないようなので岡山県立図書館→デジタル岡山大百科とたどってください。)こういうのを本当の文化事業と言うのではないかな。箱ものばかり作っているところは少しは見習って欲しいものだ。